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2011年11月26日土曜日

人格の異常

人格とは心的活動を営む主体、もしくは心的活動の特徴全体を指す。
体験から生じた精神障害を心因反応という。PTSDなど。
原因と発病が時間的に結びついていること、因果関係が了解できること、原因がなくなると症状も消えることが心因反応の特徴。

刺激と反応の間に人格が関わる反応を内的葛藤反応。何かにつけて自信がない、物事に過敏な人になんらかの鍵体験が作用して起こる反応。

人格のレベルが下がることを人格変化といい、心的機能の統一性が失われる。

境界例は精神病と神経症の中間。
欲動コントロールが不良で周囲を巻き込みやすく、複数の未分化な神経症症状と、マイクロサイコーシスと呼ばれる一過性の精神病症状を呈する。

境界例は、分裂病寄りの分裂病型人格障害、神経症寄りの境界性人格障害に収録された。
人格発展の屈折から摂食障害を経て、境界性人格障害に至るものが多い。

希望に満ちた生命上昇的な世界と、地上の世界を調和させる思い上がりに幾度も失敗し、地下の墓穴の世界に引きずり込まれ、愛や救いを期待できない虚無、挫折の現存在状態。羞恥と自責を特徴とする。


自我egoは知覚、思考、意思などの心的活動をつかさどる主体。
心的活動を意識することを自我意識という。
自我意識の障害は、
自己所属性が障害される離人症、
内的な体験の変容を自覚する内界意識離人症、
外の対象が生き生きと感じられない外界意識離人症、
体の感覚の疎外を感じる身体意識離人症がある。
内界、外界、身体と拡散していく。

残った自我が自我意識障害を自覚して悩む。

意識の障害

意識とはあらゆる心的活動を支える媒体
意識が障害されると、全ての心的活動は影響を受ける

アンフェタミンでは過度覚醒になり、注意が散漫、思考の流れが速まり、僅かな刺激に過敏に反応する。幻覚や錯覚、追い詰められる妄想、交感神経の興奮。
後になって記憶が不確かなので、意識障害がある。

ガンサー症候群は拘禁反応のひとつで正答をかする的外れ応答

非定型精神病は不安と高揚が交錯する著しい気分変動と妄想気分、関係妄想、幻聴、させられ体験。
要するに躁うつ病と統合失調症の交錯したものか。

人格は低級な心的諸機能が心的緊張により統合されたもの。統合を維持するには心的力が必要となる。心的緊張の部分的低下がヒステリー、全体的低下が精神衰弱。

心的諸機能とは、記憶、学習、

特定の記憶を能動的に想起できないにも関わらず、その記憶が自動的に蘇る。
記億の想起、抑制は心的緊張によりなされ、低級な心的機能である記億は保たれているので、自動的な記億の展開がもたらされた。
心的緊張がなくなり、心的活動の統合が緩むと、低級な活動が自動症として現れる。術後せん妄の作業せん妄 、も同じか。
自動症は、ヒステリー、分裂病、類縁疾患にも見られる。
統合失調症の初期には、人格統合が緩み、思考、記億、意欲などさまざまな領域で自動症が現れる。
自動症は強迫、幻覚にも発展する。

意識から別の意識状態が分離して、自分の知らない心的活動が生じるものを、解離、二重意識という。PTSD、多重人格。

意識領域が情報を受け取り、前意識は知識や記億ですぐに意識領域に入ることのできる心的内容。無意識は欲動の発散や充足が繰り広げられている場。
不快な体験は意識から排除され、無意識に押しこめられるが、消滅したわけではなく、歪曲したかたちで意識領域に登ってこようとする。
歪曲されているので、解釈しなければならない。精神分析。

人類に共通する普遍的無意識、時代や文化を越えた神話など。分裂病では普遍的無意識が意識領域に登ってきて、心的活動を妨げる。
では、分裂病に見られる妄想内容には人種差がみられないのだろうか。
分裂病に見られる、心的活動の自動症は、意識、前意識、普遍的無意識のヒエラルキーが解放されることによる。

脳障害や分裂病遺残状態、精神病後抑うつ、では心的エネルギーの欠乏が見られる。
精神病後抑うつでは、内因性うつ病と異なり、意欲の低下が全面に出て、感情の低下、抑うつ気分は少ない。外の物事は気にならないのに、体の僅かな変化にこだわる関心の不均等、敏感と鈍感の同居が認められる。

分裂病初期は心的エネルギーは低下しないが、統合バランスが悪く、全体の調和や方向の誤りが見られる。ある事柄への強いこだわり、そうしないではいられない強迫、とりとめなく堂々めぐりする考えなど。
心的ネルギーの展開に創造性と柔軟性を欠き、極端に理念化した、数学的、空間的な思考(病的合理主義、all or nothing)。分裂病だけでなく境界例、摂食障害にも見られる。

統合失調症の発症

シュープ(今にも何かが起きそうだという緊張の高まり)
→トレマ(心的な場が狭まって決断の自由が奪われる
→アポフェニー(主体が受動的な世界の中心になり、対象が特定の性質を帯びる)
→アナストロフェ(主体が世界に影響を与え始める)
→アポカリプティック(暗示の意味が明らかになり、意味の連続性が崩壊)
→場の緊張がゆるみ、ある程度回復し、固定化
→心的エネルギーの低下
→遺残状態

2011年11月17日木曜日

産科ポイント

産科ポイント

・妊娠中期は4M~7M(「死なないで」)、4Mは胎動自覚
・排卵→24h以内に膨大部で受精→7日目に胚胞(胚盤胞)となり着床
・胚胞は胎芽胚葉と栄養胚葉
・胎芽胚葉は胎児、栄養胚葉(トロホブラスト)は胎盤になる。
・卵膜:羊膜、絨毛膜は胎児由来、脱落膜は母体由来、羊膜は外胚葉、絨毛膜は中胚葉
・胎盤
胎盤は繁盛絨毛膜と脱落膜から成る
16週で完成、500g,直径20cm,厚さ3cm
内側は細胞層(ラングハンス細胞層、24週には消失)
外側は合胞体層(シンチウム細胞層)→hCG分泌(10週10万ピーク、妊娠黄体の持続)、hPL分泌(正常は4-10、胎児への糖供給)、E/P分泌
・胎児副腎のDHEA-S→胎児肝、胎盤で代謝されE3→母体血中へ、正常は20-30、胎盤機能、胎児成熟度を反映、妊娠末期にピーク
・hCGは10週がピーク
胎盤がとりあえずhCGを分泌→卵巣の月経黄体を妊娠黄体にしてE,Pを分泌促進→妊娠維持→胎盤が完成すると妊娠黄体は必要がないのでhCGも減少
・つわり:morning sickness、5週に始まる、始まりは個人差なし、終わりは個人差あり、重症化すると妊娠悪阻→ブドウ糖+B1輸液
・尿中hCG>200で妊娠反応+、妊娠の半確徴
・子宮底長=3×(月数+1)、35cm以上ならCPD、月数よりも低いならIUGR、羊水過少
胎嚢(GS:gestational sac)=週数-4(cm)
頭臀長(CRL:crown rump length)cm=週数-7(cm)
大横径(BPD:biparietal diameter)cm=週数÷4(cm)
・胎児発達:心拍5週、四肢運動10週、呼吸様運動15週、聴覚形成20週
・胎児染色体検査:絨毛10週、羊水16週、臍帯血18週
・10ヶ月で3000g、2ヶ月前は2分の1、さらに3ヶ月前は3分の1
・PRL作用:乳汁産生、Eで腺管発達、Pで腺房発達、EもPも乳房発育
・オキシトシン作用:平滑筋作用→子宮収縮、腺葉から腺管へ射乳、EでOxy感受性↑、PでOxy感受性↓
・胎児循環:胎盤→1本の臍静脈→門脈orArantius管を介してIVC→RA→卵円孔→LA→LV→脳→SVC→RA→RV→Bottalo管→Ao(左鎖骨下Aより末梢)→2本の内腸骨A→2本の臍動脈→胎盤
・羊水穿刺
羊水過多:800ml以上、羊水スポット8cm以上→切迫早産
羊水過少:200ml以下、羊水スポット2cm以下→胎児肺低形成、関節拘縮
AFI(羊水指数):4ヶ所の羊水ポケットの合計、正常5~20cm
羊水量は7Mがピーク、700ml
・羊水診断は中絶可能な22週より前で羊水が十分量になる16~18週以降
・羊水による成熟度判定→出生後は胃液で判定(∵羊水嚥下)
肺surfactant:Shakeテスト(2倍希釈でも泡)、マイクロバブルテスト(20個/mm3以上)、L/S比(2以上)→肺surfactantは28週で合成スタート34週で完成
羊水Cr:2以上
脂肪細胞:20%以上
△OD450:0.02以下
AFP:陰性
・NST
妊娠中に行う、胎動に伴って頻脈になるのが正常、胎児心拍数は140±40bpmを超えると異常(正常は140±20)
30週以降は覚醒睡眠が各20分→最低40分は検査すること、基線細変動は5bpm以上
一過性頻脈が20分で2回以上ならreactive
sinusoidalは100bpm以下かつ基線細変動消失
・CTG
CTGは分娩開始時に装着する、陣痛に伴って徐脈になるのが正常
早発一過性徐脈:子宮収縮ピークと徐脈ピークのtime lagが25秒以下、児頭圧迫だが正常、児頭圧迫→ICP↑→Cushing現象
遅発一過性徐脈:子宮収縮ピークと徐脈ピークのtime lagが25秒以上、胎児機能不全(早剥など)
変動一過性徐脈:徐脈と収縮のタイミングがバラバラ、羊水過小→臍帯圧迫、胎児と臍帯の位置関係によっては圧迫がないのでバラバラになる
・胎児機能不全→帝切、吸引分娩
児頭採血でpH<7.15、サイヌソイダルパターン、基線細変動5bpm以下、遅発一過性徐脈が15分以上、変動一過性徐脈60bpm以下が60秒以上
・胎児感染:母体の炎症所見(CRP)、子宮圧痛、羊水悪臭、NSTで持続性頻脈(180bpm以上)
・Bishopスコア(2倍して反対にして60で合格)
         0    1    2    3
頚管開大度(cm)  0   ~2   ~4    ~6
下降度(sp)    -3   -2    -1    +1
展退度     ~30  40~50  60~70  80~
硬さ      鼻翼  口唇   マシュマロ
8点以上で分娩誘発できる、子宮収縮薬はPG、オキシトシン(麦角アルカロイド=エルゴメトリンは弛緩出血の予防治療薬)
展退度100%でも全開大とは限らない
・胎児の位置
胎位:頭位、骨盤位、横位
胎向:第1は児背が母体右、第2は児背が母体左(母体左は肝臓があるのでスペースがない→第1が多い)
胎勢:
 屈位:先進部は小泉門=後頭部、最大通過径は小斜径
 反屈位は前頭位、額位、顔位
 前頭位:先進部は大泉門=前頭部、最大通過径は前後径
 額位:先進部は額部、最大通過径は大斜径
 顔位:先進部は顔(顎が母体前を向くのはオトガイ前方顔位、顎が母体後ろを向くのはオトガイ後方顔位)
・分娩開始:10分に1回の規則的な分娩陣痛
・分娩機転
第1期:陣痛周期10分~子宮口全開大、固定は38週頃でsp0、第1回旋(横を向く)でsp+1
第2期:胎児娩出、第2回旋(肛門を見る)→sp+1~+3、第3回旋(エビ反り)→sp+3~+4、第4回旋(肩を出す)、第1前方後頭位(第1胎向、先進部は後頭部=小泉門、先進部が母体の前に移動)が正常
第3期:ダンカンは前から、シュルツは後ろから胎盤がはがれる、出血は500ml以下、胎盤剥離徴候(アフェルドは臍帯が下降、クストナーは恥骨上縁圧迫で臍帯下降、シュレイダーは子宮底が上昇し右に傾く)
・産瘤:たんこぶ、仙骨と反対側、第1胎向で右、縫合を越える(第1胎向は背中が左)
・頭血腫:骨膜下血腫、仙骨でこすれる、第1胎向で左、縫合を越えない
・回旋異常
第1回旋の異常:前頭位、オトガイ前方顔位では経膣分娩可能
第2回旋の異常:
 後方後頭位:逆回転、臍を見る向き→自然治癒しなければ吸引分娩
 高在縦定位:下降なしで第2回旋→児頭浮遊→帝切
 低在横定位:第2回旋なしで下降(sp+2なのに小泉門9時)→吸引分娩
・吸引分娩の適応:子宮口全開大、sp+2以上、CPDなし
・児頭骨盤不均衡(CPD):全妊娠の5%、原因は狭骨盤か頭位拡大、CPD疑いは38週以降も浮遊,ザイツ法(触診で児頭が恥骨より上),子宮底長35cm以上,身長150cm以下、診断はガットマン法、エコーで産科的真結合線-児頭大横径<1cmまたは産科的真結合線が9.5cm未満、治療は帝王切開
・妊娠7週までは1/3が骨盤位、末期には3%
・骨盤位:全妊娠の3%、臀位が70%、足位が30%、膝位が1%、臀位は予後良好、足位は予後不良、先進部の臀部、足に産瘤
・足位は予後不良:前期破水→臍帯脱出→予後不良、足娩出→臍帯血管収縮→頭部子宮内→低酸素血症、足分娩後はブラート、バイトスメリ、横8などの方法で頭を素早く娩出、現在は帝切
・第1期は12h、第2期は2h、第3期は20分→計15h(経産婦は半分)
・遷延分娩は正常の2倍以上
・微弱陣痛
第1期では周期が6分以上、発作時間は30秒以下
第2期では周期が4分以上、発作時間は30秒以下(正常娩出期陣痛は周期2分、持続1分、内圧は50±5mmHg)
原因は①子宮が収縮しない:双胎、羊水過多、筋腫、子宮奇形、高齢妊娠、②胎児が出ない:CPD(狭骨盤、巨大児)、回旋異常
治療は通過障害/胎児仮死がなければ経過観察、頚管熟化なら陣痛促進剤、通過障害/胎児仮死があれば帝王切開
・過強陣痛:周期1分30秒以内(子宮口4~6cm),1分以内、Bandle収縮輪が臍高、原因は陣痛促進剤乱用、産道抵抗大、治療は陣痛抑制(塩酸リトドリン)、麻酔
・子宮復古:3日で3横指上がる→臍高→10日で10横指下がる→恥骨
・悪露:赤(3d)→褐(2w)→黄→白(1M)
・産褥期は感染性静脈血栓が好発→産褥0日から早期離床
・初乳:生後5日目まで、乳白色、IgA、蛋白、塩類、ラクトアルブミンが多い
 成乳:出生後2週以降、乳白色、乳糖、ラクトアルブミン、不飽和脂肪酸が多い、ミネラル、ビタミンKが少ない、ほぼ等張 
・流産:全妊娠の15%、22週未満の胎児の娩出、分類は、完全流産(胎児+胎盤が娩出、8週までに多い)、不全流産(一部が子宮内に残る)、進行流産(頚管開大、陣痛開始)、切迫流産(頚管開大なし、妊娠継続可能、頸管粘液中好中球エラスターゼ+)、稽留流産(死亡胎芽胎児が子宮内留まる、流産徴候なし、放置するとDIC起こす)、原因は胎児染色体異常(妊娠初期)、子宮奇形、頚管無力症、抗リン脂質抗体症候群(妊娠中期以降)
・習慣性流産:3回連続の流産、原因は①抗リン脂質抗体症候群、②子宮奇形(中隔子宮にはヒステロスコピー下切除、双角子宮にはStrassmann手術)、③頚管無力症:妊娠中期に流産徴候なく無痛性の流産、治療は頸管縫縮術(シロッカー:膣前壁からアプローチし内子宮口を縫縮、マクドナルド:外子宮口を縫縮、マクドは安い外食)、分娩時に抜糸
・早産:全妊娠の5%、22週~37週未満の胎児の娩出、原因は絨毛膜羊膜炎,多胎妊娠,前置胎盤、子宮頚管長短縮(35mm以下)、頸管粘液中顆粒球エラスターゼ+、治療は塩酸リトドリンで子宮収縮抑制、絨毛膜羊膜炎には抗菌薬、胎児仮死があれば急遂分娩
・絨毛膜羊膜炎:発熱38℃以上、母体頻脈100以上、WBC15000以上、羊水悪臭、頸管粘液中顆粒球エラスターゼ+
・卵管妊娠:膨大部70%、峡部30%、破裂前ならMTX卵管注入か腹腔鏡下卵管切開で卵管温存、破裂時はダグラス窩にecho free space→開腹し卵管切除、特にクラミジアが原因による卵管妊娠は対側にも起こるのでできる限り卵管温存
・頚管妊娠:だるま型子宮、内診は大出血、MTX血管内注入
・破水の診断:シダ状結晶、AFP、BTBで青変(アルカリ)
・妊娠高血圧症候群(PIH):全妊娠の10%、20週以降に初めて140/90以上(160/110以上なら重症)→胎盤血流↓→早剥/羊水過少(変動一過性徐脈)/胎児仮死、高血圧により子癇、脳出血、血管内脱水と循環血漿量↓、妊娠後半期の500g以上の体重増加は要注意、重症型はHELLP症候群(hemolysis,elevated liver enzyme,Low platelet count)、治療は低カロリー1800kcal、塩7g、蛋白70g、降圧剤(ヒドララジン、αメチルドパ)、抗痙攣薬(MgSO4)、帝切
・対称性IUGR:奇形、染色体異常、子宮内感染(妊娠前半期の異常)
 非対称性IUGR:胎盤機能不全、妊娠高血圧症候群(頭は大きく体は小さい→頭はOK∴妊娠後半期の異常)
・前置胎盤:突然、就寝中の無痛性警告出血(外出血)、頚管の立方上皮に胎盤が入り込んで癒着胎盤、内診禁忌→経膣エコー、原因は頻回の出産や中絶、治療は自己血保存の上、37週まで経過観察、胎児仮死や出血量増加あれば急遂分娩
・常位胎盤早期剥離:全妊娠の1%、胎盤後出血(内出血)→DIC/shock、板状硬、強い腹痛、胎盤血流↓→胎児仮死、羊水過少、原因は妊娠高血圧症候群、腹部打撲、急激な羊水内圧減少、治療はDIC/shockに輸液輸血、ヘパリン、胎児仮死あれば急遂分娩
・胎児仮死:胎動減少、羊水過少、NSTで胎児心拍140±40を超える、CTGで遅発一過性徐脈、変動一過性徐脈、超音波パルスでMCA-RI(resistanse index)低下、胎児血pH7.15以下、BPS2点以下、
・妊娠糖尿病(GDM):妊娠中DMだが産後1ヶ月後には正常化、産褥1週/4週に診断する
・糖尿病合併妊娠:DMの人が妊娠
胎児合併症:催奇形性、巨大児(肩甲難産)、低Ca(副甲状腺未熟)、低血糖、高bil(肝臓未熟)、IRDS(肺未熟)
母体合併症:妊娠高血圧症候群、羊水過多
診断:BS92/180/153(空腹時/75gOGTT1h/2h)のうち1項目
治療:インスリン(経口血糖降下剤は禁忌)でFBS100/OGTT2h120以下にする、カロリーは妊娠初期+50/中期は+250/末期は+450/授乳期は+350kcal
・バセドウ合併妊娠:プロピオチルウラシル、自己抗体がIgGだから起きる
・SLE合併妊娠:少量プレドニゾロンで寛解なら妊娠OK、新生児一過性ループス(皮疹、AVblockはSS-A抗体+で多い)
・子宮筋腫合併妊娠:分娩継続、分娩障害あれば帝王切開とともに筋腫核出術(妊娠中は核出術しない)
・子宮頸癌合併妊娠:異形成、CISは分娩後に円錐切除、浸潤癌は頚癌治療しつつ22週以降帝王切開
・尿路結石合併妊娠:ESWLは禁忌、尿管ステントや輸液で妊娠継続、痛みがあってもNSAIDは禁忌(動脈管収縮でIUGR)
・てんかん合併妊娠:抗てんかん薬は妊娠中も継続、バルプロ酸は二分脊椎起こす
・心不全合併妊娠:妊娠8ヶ月が循環血漿量最大
・腎不全合併妊娠:GFR<50、Cr>1.5で妊娠中絶
・Rh不適合妊娠:胎児水腫、核黄疸(CP)、診断は直接Coombs(臍帯血中抗D測定)、間接Coombs(母体の抗D測定)、羊水△OD450(羊水中bil測定)、治療は母Rh-,父Rh+で感作前なら72h以内に母に抗D-Ig、感作後なら胎児輸血、交換輸血、光線療法
・トキソプラズマ:水頭症、脳内石灰化、網脈絡膜炎
・サイトメガロ:水頭症、黄疸、血小板減少
・風疹:白内障、PDA、感音性難聴、妊娠初期の風疹ワクチン接種は禁忌
・HSV:ヘルペス脳炎、母体血中IgG-なら経膣分娩は禁忌
・HBV:母がe抗原+なら児は95%がs抗原+のキャリア、治療はHBIG投与、その後出生3ヶ月以内にHBワクチン
・HIV:妊娠中からのHAART+無血帝切+分娩後児への抗HIV薬投与+授乳禁止で垂直感染2%
・一卵性双胎:遺伝性なし、胎盤が1個(1絨毛膜1羊膜)なら必ず1卵性、しかし胎盤2個だと1卵性で別々に着床したか2卵性か分からない、胎盤1個+羊膜だけ2枚→TTTS→吻合血管をレーザーで焼く、TTTSは受血児の方が予後不良
・二卵性双胎:遺伝性あり、胎盤2個、羊膜、絨毛膜、脱落膜すべて2枚
・子宮破裂:CPD、回旋異常、過強陣痛、帝切既往、前兆は収縮輪が恥骨上10cmに上昇、破裂時の激痛と内出血によるショック、漿膜側不全破裂の場合はDouglas窩に血液貯留、治療は輸液輸血、緊急開復術、DIC治療、帝切ではsilent rapture(痛み少ない)
・頚管裂傷:子宮収縮良好→分娩直後で子宮底は臍下2横指、鮮紅色の外出血、痛み少、治療は縫合術
・会陰裂傷:子宮収縮良好→分娩直後で子宮底は臍下2横指、鮮紅色の外出血、痛み少、不十分な会陰保護、6時方向が多い、1度は皮下限局で自然治癒、2度は筋層に及ぶ、3度は肛門括約筋に及ぶ、4度は肛門粘膜に及ぶ、治療は2度以上はすぐに縫合術
・弛緩出血:子宮収縮不良→分娩直後なのに子宮底が臍上(正常は臍下2横指)、暗赤色の外出血、痛み少、治療は子宮収縮薬、分娩後出血の90%を占める
・子宮内反:胎盤娩出時の急激な腹圧、臍帯牽引、激痛を伴う出血、ショック、治療は全身麻酔下で用手整復、無理なら開腹整復
・産褥熱:胎盤剥離面からの感染、産褥10日までに2日以上の38℃以上、治療は抗菌薬(嫌気性菌はクリンダマイシン)、子宮内膜炎、骨盤結合織炎、付属器炎、腹膜炎、感染性静脈血栓(左下肢の浮腫、疼痛、熱感が多い)
・うっ滞性乳腺炎:乳汁うっ滞による疼痛、感染や炎症所見なし、感染がないので授乳はOK、治療は搾乳、乳頭清拭
・急性化膿性乳腺炎:うっ滞性乳腺炎+黄ブ菌、感染があるので授乳NG、治療は抗菌薬、切開排膿

婦人科ポイント

婦人科ポイント

・婦人科診察
外陰部視診→クスコ(膣鏡診)→双合診
双合診をすると粘膜の性状が変わるのでクスコを先にすること
触診では卵管、卵巣は触れないのが正常
経腹超音波は膀胱充満、経膣超音波は膀胱空で行う
・発生
生殖原基→卵巣、精巣(6,7週頃)
Muller管→卵管、子宮、膣上2/3
Wolff管→精巣上体、精嚢、精管(Y染色体があるとMuller管抑制因子が出る)
尿生殖洞→小陰唇⇔尿道(陰毛なし)
生殖隆起→大陰唇⇔陰嚢(陰毛あり)
生殖結節→陰核⇔陰茎
・卵子形成
卵子数:胎生期600万、出生時200万、思春期30万個
出生時には第1減数分裂の途中、排卵時に第1減数分裂が完了、受精時に第2減数分裂が完了
第1減数分裂完了時に第1極体1個、第2減数分裂完了時に第2極体3個が放出される
・靱帯
卵巣固有靱帯(固有卵巣索):卵巣と子宮をつなぐ
骨盤漏斗靭帯(卵巣提索):卵巣と骨盤をつなぐ
基靱帯:子宮と骨盤をつなぐ
膀胱子宮靱帯:子宮と膀胱をつなぐ
仙骨子宮靱帯:子宮頚部と仙骨をつなぐ→直腸指診で触診
円靭帯:子宮底部と恥骨をつなぐ、鼠径管を通過する
広靭帯(広間膜):体部と骨盤をつなぐ
・卵巣動脈は大動脈から直接分枝し、固有卵巣索、卵巣索の中を走行
・子宮動脈は内腸骨動脈の枝で内子宮口の高さで子宮に入り、上行枝と下行枝に別れ、上行枝は卵巣動脈を吻合
・尿管は基靱帯の上、子宮動脈の下をくぐって膀胱子宮靱帯を貫く
・感染症
性器クラミジア:膣炎は起こさない、頸管炎→内膜炎、筋層炎→卵管炎→付属器炎→子宮卵管溜嚢腫、汎発性腹膜炎、肝周囲膿瘍、肝周囲膿瘍により肝機能低下、頚管分泌物をPCR法か血中IgM型クラミジア抗体
尖圭コンジローマ:HPV6,11が重層扁平上皮に感染、潜伏期は数週から数ヶ月で幅がある、痛くも痒くもない、新生児に産道感染すると乳幼児喉頭乳頭腫→呼吸困難や哺乳困難で重篤化∴帝切、治療は冷凍療法、抗腫瘍薬軟膏
外陰ヘルペス:HSV1,2、外陰部潰瘍、歩くだけで痛い、妊婦の初感染(HSV-IgG陰性)では帝切、治療はアシクロビル
膣カンジダ症:真菌、誘引はステロイド、DM、妊娠、ピル、抗菌薬。激しい掻痒感→掻爬して陰部が赤発、酒かす様帯下、治療はトリコマイシン
トリコモナス膣炎:原虫、膣炎のみ、上行性感染は起こさない、泡沫状帯下、掻痒感、治療はメトロニダゾール
細菌性膣症:妊婦の20%、Gardnerella vaginalis、無症状、切迫早産を起こしやすい、帯下所見は灰色、pH>5、アミン臭、Clue cell、治療はメトロニダゾール
・子宮内膜
基底層→海綿層→緻密層、海綿層と緻密層を機能層といい、月経で脱落する
増殖期:腺が折りたたまれて偽重層(本来は腺組織なので単層立方上皮)
分泌期:単層の腺組織、初期は丸いがピーク時は蛇行、腺上皮内は粘液で核が偏在→染色過程で空洞化(核下空胞、核上空胞)
・月経周期
増殖期は約14日だが個人差あり、黄体期は全員14日
内膜:増殖期①②→分泌期③④→月経⑤
卵巣:卵胞期①②→黄体期③④
①FSH↑により卵胞発育→卵胞周囲の顆粒膜細胞からE分泌
②E↑↑→GnRH↑↑→LHサージ→排卵、E↑により子宮内膜機能層増殖
③排卵後の卵胞が黄体になり、P分泌
④Pは代謝亢進(体温上昇)、子宮内膜機能層増殖をstop&保持
⑤黄体が白体化しP↓、子宮内膜機能層剥離(月経)
・排卵の1,2日前から精子受け入れ準備でE↑→頚管粘液が生食で薄められる→粘調度↓、けん糸性↑、シダ状結晶↑、アルカリ化(酸性環境の中和)
・黄体期は受け入れ拒否で逆
・アクチビン:卵巣が分泌、下垂体のFSH,LH合成を促進(FSH,LH分泌はGnRHが促進)、インヒビンはアクチビンの逆作用
・稀発月経は39日~3ヶ月未満の月経周期、無月経は3ヶ月以上
・早発月経は初経10才未満、遅発月経は初経15才以上、原発性無月経は18才でも初経なし
・早発閉経は閉経43才未満、遅発閉経は閉経55才以上
・続発性無月経
診断:まずP投与→出血あれば第1度無月経、なければE+Pを投与→出血あれば第2度無月経でGn測定し、Gn↑なら卵巣性、Gn↓なら視床下部か下垂体性、出血なければ子宮性無月経
高PRL血症:PRL↑→Gn↓→無月経、乳汁漏出(絞ると出てくる)、治療はブロモクリプチン(ドパミン作働薬)
第1度無月経:Pで性器出血、治療はクロミフェン(抗E作用薬、EによるGnRHへのnegative feedbackをブロック)
第2度無月経:E,Pで性器出血、Gn↑なら卵巣性、Gn↓なら視床下部/下垂体性
 視床下部/下垂体性:治療はhMG-hCG(hMG=FSH,hCG=LH)
 卵巣性:Gn↑,FSH↑,LH↑、治療はKaufmann療法(ピル、Eの後にP投与で月経起こす)→ほとんどがTurnerなので妊娠は無理だが生理と2次性徴を起こし精神的安心を得るため
・PCOS(多のう胞性卵巣症候群):卵巣白膜肥厚化→排卵できず成熟卵胞多数貯留→両側卵巣腫大、黄体できずP↓(初経から不順)、卵胞成熟必要なしでFSH正常、排卵促進のためLH↑↑(LH/FSH>2.5)、E2になれないE1がアンドロゲン化(男性化)
    LH↑↑                FSH~
前駆物質→アンドロステンジオン↑↑(莢膜細胞)→E2(顆粒膜細胞)→E1
アンドロステンジオン↑↑→男性化、卵巣白膜肥厚→クロミフェンだけでは排卵させにくい、E1↑↑で子宮体癌のリスク、治療は肥満にDM治療、挙児希望ならクロミフェン(有効率20%)、GnRHアゴニストでLHを0にした後、hMG-hCG療法、腹腔鏡下卵巣多孔術、挙児希望ないならピル(E+P)で子宮体癌予防
・Stein-Leventhal症候群:PCOSで男性化が強いもの、PCOSは無月経,多毛,肥満がtrias
・不妊
男性因子:精子量>2ml、濃度2000万/ml、運動率>1/2、奇形率<1/2
卵管因子:Rubinテスト(卵管通気通水法)→通気通水性が正常でも線毛機能障害で不妊の可能性あり
頚管因子:Huhnerテスト(前日性交して翌日精子がどれだけ生き残っているか)
子宮因子:子宮卵管造影
卵巣因子:E+Pで性器出血、LH,FSH↑↑
・不妊の治療
①人工授精:精子を濃縮して子宮に注入(男性因子、頚管因子に)
②体外受精胚移植(IVF-ET):hMG,hCGで排卵させ卵子を取り出して受精させて子宮壁に着床させる
③GIFT,ZIFT:卵子を取り出して受精させ、腹腔鏡で卵管に戻す(pick up障害)
・OHSS(卵巣過剰刺激症候群):hMG,hCG→E↑↑→血管透過性↑→胸水、腹水、血管内脱水→血液濃縮→血栓塞栓、卵巣は多嚢胞性(PCOSより大きい嚢胞)、治療は輸液(生食、アルブミン)、尿量減少にはドパミンで腎血流↑
・黄体機能不全:流産の原因の1つ、高温相10日以内(正常では14日で個人差なし)、温度差0.3℃未満、治療はE(クロミフェン)で卵胞成熟促進、P(ゲスターゲン)で黄体ホルモン補充、hMG-hCGで黄体化促進
・月経困難症:内膜症、腺筋症、筋腫→月経痛↑、月経量↑、不妊、治療はLHRHアナログ=GnRHアゴニスト(ブセレリン、スプレキュア)でLH,FSH下げる、ダナゾール(男性化)
・子宮内膜症:妊娠の高齢化で月経回数増加→月経血が卵管を逆流→卵管、卵巣、ダグラス窩、仙骨子宮靭帯、子宮漿膜下に異所性内膜増殖、卵巣病変はチョコレート嚢胞でT1脂肪抑制下でもhigh、ダグラス窩/仙骨子宮靭帯病変は直腸指診、子宮漿膜下病変はブルーベリースポットで凍結骨盤、診断は腹腔鏡、血液は脂肪と同様T1T2high、CA125↑、治療は妊娠状態にすること→偽閉経療法(GnRHアゴニスト)、骨粗鬆症起こすので6ヶ月以内にする、ブルーベリースポットは電気メス
・子宮腺筋症:子宮筋層の中に内膜が侵入し増殖し出血→ものすごく月経痛が強い、子宮収縮ができないので月経血の止血ができず過多月経、着床できず不妊、T2で筋層(low)の中に腺組織と出血(high)が散在、腺組織は境界不明、junctional zoneとの境界不明、中に出血、CA125↑(内膜増殖で↑)
・子宮筋腫:子宮の平滑筋腫、T2low、境界鮮明、筋層内筋腫や粘膜内筋腫は子宮収縮ができないので月経血の止血ができず過多月経、漿膜下筋腫は無症状、粘膜下筋腫は筋腫分娩、治療は核出術、子宮動脈塞栓(UAE)、収束超音波治療(FUS)、しかしGnRHアゴニストは使わない(∵治療開始時のフレアアップによる出血量↑)、筋腫内に出血や壊死があれば子宮肉腫(ケモラジ効かない)、FUSは塞栓部位子宮壁癒着により不妊
・子宮頚癌:
SCJ内側の円柱上皮にHPV16,18が感染→扁平上皮化生→扁平上皮癌(85%)、15%は腺癌(腺腔構造+、粘液+、CEA,CA19-9、予後不良)
頚部擦過細胞診→コルポスコープ→狙い組織診→円錐切除→準/広汎子宮全摘
①まず細胞診で組織診を予想する
Ⅰ:正常
Ⅱ:炎症
Ⅲa:軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)
Ⅲb:高度異形成(CIN3)(CIN3までは極性あり→表皮に行くほど角化傾向)
Ⅳ:上皮内癌CIS(極性なし、細胞質のほとんどを核が占める)CIN3
Ⅴ:浸潤癌(基底膜が追えない)
コルポで酢酸加工後白色上皮、モザイク、赤点斑、異型血管、ナボット小卵→Ⅲ以上
②Ⅲ以上は組織診を行い確定診断
③ⅢⅣは円錐切除
④Ⅴは期別分類
頚癌の期別分類
Ⅰa1:基底膜を超えた深さ3mm以下
Ⅰa2:基底膜を超えた深さ3mm~5mm
Ⅰb:基底膜を超えた深さ5mm以上
Ⅱa:膣壁2/3までの浸潤
Ⅲa:膣壁2/3以上の浸潤
Ⅱb:子宮傍組織浸潤、しかし骨盤壁浸潤はない
Ⅲb:子宮傍組織浸潤、骨盤壁浸潤もある
Ⅳa:膀胱直腸浸潤
Ⅳb:肺転移など小骨盤腔を越えたもの
⑤Ⅰaは準広汎子宮全摘、Ⅰa1は挙児希望なら円錐切除、Ⅰb/Ⅱは広汎子宮全摘、Ⅲ/Ⅳは外照射+内腔照射
・頚癌ワクチン:HPV16,18(頚癌の60%の原因)に対するワクチン、45,56型には効果がない→HPVワクチンで全ての頚癌が予防できるわけではない
・子宮体癌:50~60才の未産婦、閉経後の不正性器出血とくればこれ、閉経なのに肥満でE↑→内膜増殖→癌化
子宮内腔の細胞診→ヒステロスコープ→内膜掻爬(体部と頚部の両方を掻爬)
治療:
0期:複雑型子宮内膜異型増殖症
Ⅰ期:内子宮口にとどまる→単純子宮全摘
Ⅱ期:子宮頚部に及ぶ→広汎子宮全摘
ⅢⅣ期:子宮外→放+プロゲステロン大量投与
・子宮内膜増殖症:内膜の増殖、子宮体癌との鑑別が難しい
単純性子宮内膜増殖症:E>Pによる過剰な内膜増殖→破綻出血、細胞異形成なし、原因は思春期、閉経期、E産生腫瘍、E投与、治療はP(+E)
子宮内膜異型増殖症:異形成あり、子宮体癌の前癌病変(上皮内癌)
・腫瘍マーカー
CA125:内膜増殖で↑、子宮内膜症、子宮腺筋症、頚部腺癌、卵巣漿液性嚢胞腺癌
CA19-9:成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫、類皮嚢腫、デルモイド)卵巣ムチン性嚢胞腺癌
CEA:Kruckenberg腫瘍
・卵巣腫瘍:高齢者は上皮性、若年者は胚細胞由来→悪性でも片側卵巣切除に留める、嚢胞性は95%が良性、充実性は80%が悪性、「癌,肉腫,未分化,芽,未熟」がつけば悪性、例外は顆粒膜細胞腫は境界悪性、卵黄嚢腫瘍は悪性
・卵巣腫瘍の治療:腹水中癌細胞陽性でも開腹除去する、卵巣腫瘍は腹水や腫瘤でイレウスになり死ぬため抗癌剤で小さくして腫瘍を除去するを繰り返す(second look operation)
・良性~境界悪性卵巣腫瘍
漿液性嚢胞腺腫:単房性、中は水、最多
粘液性嚢胞腺腫:多房性、中はムチン、巨大化しやすい
ブレンナー腫瘍:コーヒー豆様細胞
莢膜細胞腫:E産生
顆粒膜細胞腫:E産生、若年者と高齢者、境界悪性
Leydig細胞腫:A産生
Sertoli間質細胞腫:A産生、若年者
線維腫:良性だが胸水、腹水を伴い重症に見える(Meigs症候群)
成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫、類皮嚢腫、デルモイド):毛髪塊など3胚葉成分あり、脂肪が多くてつるつるして茎捻転起こしやすい(妊娠で特に起きやすい)、若年者、稀に皮膚成分が悪性化して扁平上皮癌になる→SCC↑
・悪性卵巣腫瘍
漿液性嚢胞腺癌:CA125>CA19-9
粘液性嚢胞腺癌:CA19-9>CA125
胎児性癌:AFP、若年者
未熟奇形腫:AFP
未分化胚細胞腫:LDH、若年者、精巣セミノーマと同じ病理組織
絨毛癌:hCG
卵黄嚢腫瘍:AFP
明細胞腺癌:明るい細胞、核は真ん中
Krukenberg腫瘍:明るい細胞、核は偏在(印鑑細胞癌)、胃癌や乳癌の転移、DIC起こしやすい、CEA
・腫瘍と間違えやすいもの(若年者)
卵胞嚢胞:PCOSの卵巣
ルテイン嚢胞:妊娠黄体がhCGに過剰反応、妊娠12週以降には消える
チョコレート嚢胞:卵巣にできた子宮内膜症、40才/4cm以上なら稀に類内膜癌や明細胞癌が発生する
・絨毛疾患:妊娠反応+なのにGSなし、つわりが強い、hCG高値、AFP低値、snow storm pattern
部分胞状奇胎:一部の絨毛が嚢胞化したもの
全胞状奇胎:全部の絨毛が嚢胞化したもの、23Xの精子が2倍体になって生じる(雄核発生)
侵入奇胎:胞状奇胎が筋層内に入り込んだもの→メタする
絨毛癌:絨毛構造がない、出血壊死+、妊娠性絨毛癌(雄核発生)、非妊娠性絨毛癌(胚細胞由来で卵巣、精巣、松果体部腫瘍)
治療は、胞状奇胎は内膜掻爬して血中β-hCGを測定する→1週後に再掻爬、5週後に1000mIU/ml以下、8週後に100mIU/ml以下、12週後にLHレベル(20mIU/ml)以下なら治癒(LHとhCGのα鎖共通なのでβ鎖を測定する)
掻爬しても血中hCG↑のまま→存続胞状奇胎→肺、脳、肝腎、膣転移
侵入奇胎は単独化学療法、絨毛癌は多剤併用療法(MTX、アクチノマイシンD、エトポシド)
・外陰癌の上皮内癌:外陰Paget病(表皮内腺癌)、Bowen病(表皮内扁平上皮癌)
・乳腺腫瘍の診察:両手を挙上/下垂で視診、頭の後ろで手を組んで触診、つまんでえくぼ徴候ないか、腋窩リンパ節は上肢を下垂させて触診
・乳腺症:ホルモンバランスの異常、両側性の乳腺疼痛、境界不明瞭な硬結、月経開始前に増悪
・線維腺腫:これだけ20才台、腺腫成分+線維成分、境界明瞭、無痛性、乳輪直下にできやすい
・乳管内乳頭腫:腺管上皮の腫瘍で、早期から腺管内発育→乳頭出血、腫瘤は触知しない(乳癌なら乳頭出血ある頃には腫瘤触知するはず)、治療は乳腺部分切除
・乳癌:90%は腺管由来、10%は小葉由来、外上1/4に好発→腋窩リンパ節転移、原因は未産婦、高脂肪食、肺、骨、脳に転移
症状は無痛性、境界不鮮明、移動性少ない、えくぼ徴候(Cooper靭帯への浸潤)、ポードオレンジ(皮膚浸潤)、上肢浮腫(腋窩リンパ節転移)
スクリーニングはマンモと超音波でspiculaや微細石灰化
病期分類
0期:腺管、小葉内に留まる
Ⅰ期:2cm以下
Ⅱ期:2-5cm、または同側腋窩リンパ節転移あり
Ⅲa期:
Ⅲb期:
Ⅳ期:遠隔臓器への転移
・乳癌の治療:
Ⅰ期:腫瘍切除、乳房切除などの乳房温存術、非定型乳房切除、腋窩リンパ節郭清は術中にセンチネルリンパ節転移があれば行う
Ⅱ期:定型乳房切除術(大胸筋、小胸筋切除)
Ⅲa期:
Ⅲb期:
Ⅳ期:放射線、内分泌療法、分子標的療法
・乳癌の内分泌療法
E受容体+で閉経前→LHRHアゴニスト、タモキシフェン(抗E薬)(卵巣由来のEを抑制)
E受容体+で閉経後→アロマターゼ阻害薬、タモキシフェン(アロマターゼ阻害薬で副腎由来のE合成を抑制)
・乳癌の分子標的療法:トラスツズマブ(ハーセプチン)、HER2受容体+の時、骨転移があっても治る、副作用は心臓障害

2011年11月1日火曜日

Q1:左眼球の外転、右上下肢のDTR亢進、Babinski徴候陽性。診断は?

A1:Weber症候群(中脳一側大脳脚病変)

Q2:胎児エコーで脳室拡大と腰仙部腫瘤。診断は?

A2:アーノルドキアリ奇形Ⅱ型、脊髄髄膜瘤の合併

Q3:突然発症した一側の眼瞼下垂と散瞳。診断は?

A3:IC-PC脳動脈瘤、BA-SCA脳動脈瘤

Q4:ふらつき、めまい、左顔面のしびれ、右半身のしびれ。水を飲むとむせる。診断は?

A4:Wallenberg症候群(延髄外側病変)

Q5:5歳男児、激しく泣くと右や左の片麻痺。麻痺は10分程度で改善。上下肢のBabinski陽性。診断は?

A5:もやもや病

Q6:左眼の結膜浮腫、上強膜静脈怒張、拍動性眼球突出、眼球運動障害。診断は?

A6:CCF

Q7:3日前から頭痛と倦怠感、本日意味不明のことを言い、その後、全身痙攣を起こし搬入。意識は傾眠傾向。体温38.6度。白血球6800、髄液は単核球優位、糖70mg/dl。診断は?

A7:ヘルペス脳炎(脳炎→巣症状→髄膜炎)

Q8:5日前から頭痛と倦怠感、本日意識障害のため搬入。体温38.6度。白血球6800、髄液は単核球優位、糖25mg/dl。診断は?

A8:結核性髄膜炎(髄膜炎→脳炎)

Q9:頭痛と嘔吐で来院。体温38度台。副鼻腔炎の既往。右半身の運動感覚障害、失算、失書。

A9:脳炎(左頭頂葉各回=Gerstamann)

Q10:10歳の男児。2ヶ月前から授業についていけなくなり、ささいなことで怒る。体温正常。右上肢に律動的で素早い不随運動。四肢DTR亢進。診断は?

A10:SSPE

Q11::65歳の女性。5ヶ月前から歩行時のふらつき、4ヶ月前から物忘れ。体温正常。右上肢に律動的で素早い不随運動。四肢DTR亢進。診断は?

A11:CJD

Q12:70歳男性。1年前から物忘れが目立つようになり家族に伴われて来院。半年前から死別した妻が現れると言う。暗算をさせると右手がふるえる。診断は?

A12:Lewy小体型認知症

Q13:60歳男性。1年前から気力がなくなり、ぼーっとしている。最近は自己中心的な言動が目立つ。診断は?

A13:前頭葉型認知症(Pick病)

Q14:62歳男性。2年ほど前から歩行時ふらつき、ろれつの回りにくさ、排尿困難が見られ、徐々に増悪。頚部四肢に筋強直。四肢筋力は正常。MRIで第4脳室が拡大。診断は?

A14:OPCA(第4脳室拡大は小脳萎縮)

Q15:68歳女性。2年前から左手の動かしにくさ、ついでうつ気分、意欲の低下。血圧は仰臥位で150/86、立位で112/60。左上下肢に固縮、両上肢に企図振戦、開脚性歩行。MRIで側脳室前角の開大。診断は?

A15:SND(線条体黒質変性症)(側脳室前角開大は尾状核、被殻の萎縮)

Q15:67歳男性。両側上肢に力が入りにくいことを主訴に来院。下肢のDTRの亢進。舌の萎縮があるが、感覚障害、排尿障害はない。診断は?

A15:ALS(上肢はLMN、下肢はUMN、上肢でも遠位はLMN、近位はUMNのことが多い)

Q16:10日前に微熱と咽頭痛。3日前に手先、足先のしびれ感、翌朝には両下肢の脱力、午後には両上肢の脱力。本日、四肢の脱力で搬入された。軽度の感覚障害もある。髄液は細胞数2、蛋白80。診断は?

A16:GBS(蛋白細胞解離)

Q17::10日前に微熱と咽頭痛。本日、ものが二重に見え、歩行時にふらつくので来院。四肢のDTR消失。髄液は細胞数2、蛋白80。診断は?

A17:Fisher(GBSの亜型、外眼筋麻痺+小脳失調+四肢DTR消失)

Q18:45歳女性。右視力低下と排尿困難を主訴に来院。3ヶ月前にものが二重に見えたが1週間で軽快、1ヶ月前から右目が閉じにくくなり、その後右顔面の感覚低下、5日前から排尿困難、昨日から急に右視力が低下。両側上下肢でBabinski陽性。髄液は細胞6、蛋白56。診断は?

A18:Devic(MSの亜型、急速進行性の視神経炎+横断性脊髄炎)

Q19:46歳男性。32歳頃から両足趾にピリピリ感、便秘と下痢を繰り返す。39歳頃に湯たんぽに気付かず両足の熱傷、40歳頃から歩行困難、立つと失神し、暑い日でも汗をかかない。母と兄に同様の症状。

A19:アミロイドーシス(AD、家族性、肝臓が異常トランスサイレチン産生→神経周囲に沈着、自律神経+温痛覚障害で発症し、心不全腎不全で死亡)