37章
・血管内皮が損傷しコラーゲンがむき出し→血小板が粘着しCa放出→血小板のⅡbⅢa受容体を活性化→vWF、フィブリノーゲンと結合
・血管損傷あれば血小板10万/μl以下なら出血の可能性
・血管損傷なければ血小板5000/μl以下なら出血の可能性
・偽性血小板減少症:EDTAが試験管内で血小板を凝集させたことが原因。寒冷凝集素症があると起きやすい。クエン酸Naで採血した血液を用いればよい。
・血小板減少症の原因:①HIT、②感染症、③DIC、④TTP、⑤輸血、⑥HELLP症候群
①HIT(heparin-induced thrombocytopnea)
・血小板上のヘパリン受容体とヘパリンの複合体に対する抗体→抗体が血小板同士を凝集させ血栓形成→上下肢のDVT/四肢の動脈塞栓症/血栓性脳卒中/AMI/副腎血栓症
・低分子ヘパリンよりも未分画ヘパリンでおこしやすい、ヘパリンフラッシュでも生じる
・治療はレピルジン(腎代謝性)を0.15mg/kg/hr持注もしくはアルガトロバン(肝代謝性)を2μg/kg/min持注し、PTが正常の1.5-3倍になるようにする
・ワーファリンは血小板減少が改善した後に使わないと四肢壊死の危険性が高まる
②感染症:MΦによる血小板貪食による
③DIC:
・原因は敗血症、多発外傷、産科救急(羊水塞栓、胎盤早期剥離、子癇、不全流産)
・血管内皮障害→組織因子の放出→凝固カスケードと線溶系の亢進→血小板↓/凝固因子↓→微小血栓形成による肺/腎/肝の障害、消化管出血、電撃性紫斑病(左右対称の壊死、斑状出血)
・DICスコア:5点以上で確定診断、血小板10万以下なら1点、5万未満なら2点、Dダイマー1-5μg/mlなら2点、5μg/mlより大なら3点、フィブリノーゲン100以下なら1点、PT活性70%未満なら1点、40%未満なら2点
・治療は致死率80%、血小板/凝固因子を投与するが病態を悪化せることが多い、ヘパリン効果ないときはATⅢを補充するがevidenceなし
④TTP
・Moschoxitz5徴:発熱、腎不全、動揺性精神症状、紫斑(血小板減少症)、溶血性貧血→これらが全て揃えば確定診断
・発熱、意識レベルの低下から昏睡に至り、全身痙攣を伴う
・凝固因子の低下はない(DICとの鑑別点)
・微小血管内血栓症による破砕赤血球
・治療は血漿交換、血漿量(男40ml/kg,女36ml/kg)の1.5倍量を1日1回、1週間程度行う
・透析ができないときは大腿動脈から500ml脱血し、すぐに遠沈し、FFP1単位とともに戻し、全血漿量が交換されるまで行う
・血小板輸血は血栓症を悪化させるため禁忌(DICでは行う∵血栓傾向とともに出血傾向あるため)
⑤輸血:
・輸血後紫斑病は多産婦への輸血後1週間で発症、抗血小板抗体による
⑥HELLP症候群
・hemolysis elevated liver enzyme low platelet count
・TTPやDICと同様の血栓性微小血栓症
・妊娠末期や子癇前症に伴う
・HELLPの検査値と高血圧、心窩部痛、右季肋部痛を伴う
・血小板を5万以上に保ち、早期に出産させる
・血小板機能異常症の原因:①腎不全、②人工心肺、③薬物
①腎不全
・腎不全ではvWFの異常や粘着能の異常が見られる
・Crが6超えると出血時間が延長→透析で改善するのは半数以下
・治療はデスモプレシン(デアミノアルギニンバソプレッシン)0.3μg/kg ivまたは30μg/kg経鼻を1日3-4回投与し、内皮からvWF放出を促進させる、耐性が生じても3-4日中止すれば戻る、血管収縮作用や抗利尿作用はない
・他の治療として、機序は不明だが結合型エストロゲン0.6mg/kgを1日1回5日投与で数週間持続する
②人工心肺
・機序不明だが酸素化回路を通過すると血小板粘着能が障害する
・人工心肺終了後、数時間で改善するが縦隔出血の原因にもなる
③薬物
・アスピリン、ヘパリン+ケトロラク(NSAID)、HES(ヒドロキシエチルデンプン)を1日1.5L以上使用時