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2012年10月1日月曜日

ICUブックまとめ(28章)

28章
・[H+]=24×(PaCO2/HCO3)、正常値は40±5(nEq/L)→nEqはmEqの100万分の1
・呼吸性の代償は総頸動脈分岐部の頚動脈体のchemoreceptorを介して換気応答の変化が瞬時に起こる
・代謝性の代償は近位尿細管によるHCO3の再吸収の促進抑制が6hr以降に開始し、数日で完成する
・代償反応によりpHが正常化することはない。正常化していれば混合性障害の可能性が高い。
・正常アニオンギャップはほとんどがアルブミン由来の陰性電荷による。アルブミン濃度が60%
低下するとAGも50%低下する。
・Alb予測値(mEq/l)=2×Alb(g/dl)+0.5×P(mg/dl)、低Alb時はAlb予測値と実測値の差で判断する。
・AG正常アシドーシス:RTAと下痢
 高AG性アシドーシス:乳酸アシドーシス、ケトアシドーシス、末期腎不全、メタノール、エチレングリコール、サリチル酸中毒

ICUブックまとめ(29章)

29章
・嫌気性代謝でできる乳酸は心筋や神経細胞でのエネルギー源になる
・1モルのブドウ糖から2モルの乳酸が生じ、乳酸が酸化されると好気性代謝より多くのエネルギーが得られる
・単なる貧血やO2供給↓では乳酸は上昇しない。ミトコンドリアによるピルビン酸の酸化ができないときに上昇する(敗血症やhypovolmic shockなど)
・アシドーシスは心筋収縮障害も起こすが、副腎からのカテコラミン分泌を亢進させ、健常人では心拍出量は増加する
・アシドーシスは細胞死を防ぐ作用があり、積極的に補正する必要はない。むしろアシドーシスの原因になっている病態の改善を考える。
・アシドーシスに重炭酸を投与しても無効であり、有害でもある
理由① 重炭酸Naが重炭酸イオンに電離するのはpH6.1のときである(pKが6.1)。通常のアシドーシスでは電離しない。
理由② HCO3が大量のCO2(200mmHg相当)になり、CO2が膜を通過して、細胞内や脳脊髄液のpHを下げる。

ICUブックまとめ(5章)

5章
・一般外科手術における静脈血栓予防法
Ⅰ 低リスク(小手術+40歳未満)→早期離床
Ⅱ 中リスク(大手術+40歳未満)→未分画ヘパリン5000単位を1日2回皮下注
Ⅲ 高リスク(大手術+40歳以上or他リスク)→未分画ヘパリン5000単位を1日3回皮下注
Ⅳ 最高リスク(大手術+40歳以上+他リスク)→未分画ヘパリン5000単位を1日3回皮下注+下肢圧迫法
(小手術とは30分未満or腰麻、大手術とは30分以上or全麻、他リスクとは、がん、肥満、血栓塞栓症の既往、エストロゲン投与中、凝固亢進状態)
・Dダイマー上昇や頻脈は感度が低いため、診断には使えない。Dダイマー正常、正常脈である場合はDVTを否定できる。
・ICUの患者の80%はDダイマーが上昇している。
・Dダイマーは敗血症、がん、妊娠、心不全、腎不全、高齢でもDダイマーが上昇する。
・エコーで大腿静脈(SFV)を圧迫しても閉塞しないときは近位のDVTが疑われる。
・腓腹部のDVTはエコーでも2/3が見落とされる。
・肺塞栓(PE)の30%は下肢静脈血栓が明らかではない。
・息こらえ30秒が可能ならヘリカルCTが肺塞栓の診断に有用である。
・Wellsスコア
下肢腫脹or下肢把握痛 3点
肺塞栓以外に考えられない 3点
心拍数が100以上 1.5点
過去4週以内の不動or手術 1.5点
DVT/PEの既往 1.5点
血痰 1.0点
過去半年以内のがん 1.0点
6点より大きいとDVT/PEの可能性が高い



ICUブックまとめ(2章)

2章
・酸素摂取率(O2ER)=(SaO2-SvO2)/SaO2が30%を超えると嫌気性代謝が亢進する
・SaO2が低下するとO2ERが上昇し、SvO2を上昇させないようにする
(少ないO2を有効に使おうとする)
・CaO2(動脈血酸素含有量)=1.34×Hb×SaO2+0.003PaO2
この式よりPaO2は肺のガス交換効率を表しているだけでPaO2が正常でもHbが低下していればCaO2が急激に低下する。
(CaO2はPaO2よりもHb、SaO2に大きく左右される)
・CO2は赤血球内に取り込まれHCO3-になっていくことでCO2の緩衝作用となる。CO2の緩衝作用としては血漿中のCO2+H2O→HCO3+Hよりも効果が大きい
・赤血球内のO2が低下すると、CO2は赤血球内にどんどん取り込まれる(ホールデン効果)

ICUブックまとめ(12章)

・出血時には
①毛細血管透過性亢進によって間質液が血管内に流入(transcapillary refill)
②RAA系が亢進しNaと水が貯留し、血管内と間質に均等に分布する。
これらで15%以内の出血は補える
・15%以上の出血時には
交感神経興奮により重要臓器血流は維持されるが、腸管血流は低下し、腸管粘膜が損傷し、bacterial translocationによりsepsisになっていく
・出血性ショックを判断するのに、頻脈、低血圧の感度は50%、起立性低血圧の感度は90%(仰臥位から立位で1分待って脈拍が30以上↑、収縮期圧が20以上↓)
・急性出血ではHtは変化しない。血球も血漿も同時に失われるから。
(8hr以上たつとRAA系亢進により希釈されてHtが下がる)
・循環血漿量減少時は交感神経興奮により心臓コンプライアンスが低下し、CVP、PAWPが高めになるため、CVPやPAWPから推測されるよりも、もっと循環血漿量減少が進んでいる可能性がある。
・BEは1Lの血液をpH7.4に戻すために必要な塩基のmmol数を表す。-2~+2が正常で、-15以下が持続するとMOFへと進展する
・動脈血乳酸が2以上なら死亡率と相関する。

ICUブックまとめ(10章)

・CVPはPEEPがかかると不正確になる(高い胸腔内圧でSVCが圧迫されるため)
→PEEPがかかっているときにCVPを輸液過剰の指標にすることはできない
・PAWP(PCWP)は上肺野で肺毛細血管が虚脱している場合は正確にLVEDPを反映しない
(連続空間でなくなってパスカルの原理が成り立たなくなるため。低O2、エンドトキシン、ARDSでも同様。)
・CVP、PAWPは血行動態評価には使えない。