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2012年12月26日水曜日

ICUブックまとめ(37章)


37章
・血管内皮が損傷しコラーゲンがむき出し→血小板が粘着しCa放出→血小板のⅡbⅢa受容体を活性化→vWF、フィブリノーゲンと結合
・血管損傷あれば血小板10万/μl以下なら出血の可能性
・血管損傷なければ血小板5000/μl以下なら出血の可能性
・偽性血小板減少症:EDTAが試験管内で血小板を凝集させたことが原因。寒冷凝集素症があると起きやすい。クエン酸Naで採血した血液を用いればよい。
・血小板減少症の原因:①HIT、②感染症、③DIC、④TTP、⑤輸血、⑥HELLP症候群
①HIT(heparin-induced thrombocytopnea)
 ・血小板上のヘパリン受容体とヘパリンの複合体に対する抗体→抗体が血小板同士を凝集させ血栓形成→上下肢のDVT/四肢の動脈塞栓症/血栓性脳卒中/AMI/副腎血栓症
 ・低分子ヘパリンよりも未分画ヘパリンでおこしやすい、ヘパリンフラッシュでも生じる
 ・治療はレピルジン(腎代謝性)を0.15mg/kg/hr持注もしくはアルガトロバン(肝代謝性)を2μg/kg/min持注し、PTが正常の1.5-3倍になるようにする
 ・ワーファリンは血小板減少が改善した後に使わないと四肢壊死の危険性が高まる
②感染症:MΦによる血小板貪食による
③DIC:
 ・原因は敗血症、多発外傷、産科救急(羊水塞栓、胎盤早期剥離、子癇、不全流産)
 ・血管内皮障害→組織因子の放出→凝固カスケードと線溶系の亢進→血小板↓/凝固因子↓→微小血栓形成による肺/腎/肝の障害、消化管出血、電撃性紫斑病(左右対称の壊死、斑状出血)
 ・DICスコア:5点以上で確定診断、血小板10万以下なら1点、5万未満なら2点、Dダイマー1-5μg/mlなら2点、5μg/mlより大なら3点、フィブリノーゲン100以下なら1点、PT活性70%未満なら1点、40%未満なら2点
 ・治療は致死率80%、血小板/凝固因子を投与するが病態を悪化せることが多い、ヘパリン効果ないときはATⅢを補充するがevidenceなし
④TTP
 ・Moschoxitz5徴:発熱、腎不全、動揺性精神症状、紫斑(血小板減少症)、溶血性貧血→これらが全て揃えば確定診断
 ・発熱、意識レベルの低下から昏睡に至り、全身痙攣を伴う
 ・凝固因子の低下はない(DICとの鑑別点)
 ・微小血管内血栓症による破砕赤血球
 ・治療は血漿交換、血漿量(男40ml/kg,女36ml/kg)の1.5倍量を1日1回、1週間程度行う
 ・透析ができないときは大腿動脈から500ml脱血し、すぐに遠沈し、FFP1単位とともに戻し、全血漿量が交換されるまで行う
 ・血小板輸血は血栓症を悪化させるため禁忌(DICでは行う∵血栓傾向とともに出血傾向あるため)
⑤輸血:
 ・輸血後紫斑病は多産婦への輸血後1週間で発症、抗血小板抗体による
⑥HELLP症候群
 ・hemolysis elevated liver enzyme low platelet count
 ・TTPやDICと同様の血栓性微小血栓症
 ・妊娠末期や子癇前症に伴う
 ・HELLPの検査値と高血圧、心窩部痛、右季肋部痛を伴う
 ・血小板を5万以上に保ち、早期に出産させる
・血小板機能異常症の原因:①腎不全、②人工心肺、③薬物
①腎不全
 ・腎不全ではvWFの異常や粘着能の異常が見られる
 ・Crが6超えると出血時間が延長→透析で改善するのは半数以下
 ・治療はデスモプレシン(デアミノアルギニンバソプレッシン)0.3μg/kg ivまたは30μg/kg経鼻を1日3-4回投与し、内皮からvWF放出を促進させる、耐性が生じても3-4日中止すれば戻る、血管収縮作用や抗利尿作用はない
 ・他の治療として、機序は不明だが結合型エストロゲン0.6mg/kgを1日1回5日投与で数週間持続する
②人工心肺
 ・機序不明だが酸素化回路を通過すると血小板粘着能が障害する
 ・人工心肺終了後、数時間で改善するが縦隔出血の原因にもなる
③薬物
 ・アスピリン、ヘパリン+ケトロラク(NSAID)、HES(ヒドロキシエチルデンプン)を1日1.5L以上使用時

ICUブックまとめ(30章)


30章
・代謝性アルカローシスとはPaCO2低下を伴わないHCO3の上昇
・HCO3の調節は、①近位尿細管でのH+HCO3→CO2+H2OでCO2が膜を通して再吸収されて代わりにClが再分泌、②遠位尿細管でAld支配下にClとHCO3の交換
・代アルの原因
 ①胃液喪失:Clを失うためHCO3再吸収促進
 ②利尿薬:NaがClを引き連れて失うためHCO3再吸収促進
 ③循環血漿量不足:Aldポンプ上によりCl喪失HCO3再吸収促進
 ④低K血症:Kが細胞外に移動し、Hが細胞内に移動する
 ⑤有機陰イオン:乳酸Na、酢酸Na、クエン酸Na
 ⑥慢性CO2貯留:HCO3再吸収を促進する→高CO2血症を急激に補正すると代アシになる
・代アルの臨床症状
 ①神経症状:意識レベル低下、全身痙攣、手足の攣縮→代アルよりも呼アルで起こりやすい(呼アルの方が中枢神経の酸塩基平衡に影響しやすい)
 ②低換気:代アシはすぐに呼吸刺激、しかし代アルはすぐには呼吸抑制は起きない、代アル時のPaCO2予測値=0.7×[HCO3]+21±2によると、PaCO2予測値が46mmHgになるにはHCO3が34-38になる必要があり、代アルがかなり進行しないと呼吸抑制が起きないことがわかる
 ③全身の酸素化の低下:アルカローシスではAlb-+H→AlbHが左に進み、できたAlb-がCa2+と結合するため遊離Caが低下し広範囲な血管収縮が起きる、アルカローシスはHb酸素解離曲線を左に移動させるためHbからO2が遊離しない、細胞内のアルカローシスは解糖系を亢進させるため酸素需要は増やす→酸素供給を減らし酸素需要を増やす
・塩素反応性代アル(HCO3↑でCl↓):尿中Clが15mEq/L未満、原因は胃酸消失、利尿薬投与、循環血漿量不足、高CO2血症に対する腎性代償
・塩素抵抗性代アル(HCO3↑だがCl↓しない):尿中Clが25mEq/L以上、原因はミネラルコルチコイド過剰、重症K欠乏
・塩素反応性代アルには生食補充が良い(Cl欠乏と循環血漿量両方を改善する)
 補充量は、Cl不足量[mEq/L]=体重×0.2×(100-[Cl])、生食投与量[L]=塩素不足量[mEq]÷154mEq1/L(生食のCl濃度)

2012年12月12日水曜日


・飯塚病院 画像診療科(放射線科) ティーチングファイル
http://aih-net.com/medical/depart/housya/tf/index.htm
頭頸部、胸腹部、骨盤部などのCTの読影演習ができます。解答付き。

2012年10月1日月曜日

ICUブックまとめ(28章)

28章
・[H+]=24×(PaCO2/HCO3)、正常値は40±5(nEq/L)→nEqはmEqの100万分の1
・呼吸性の代償は総頸動脈分岐部の頚動脈体のchemoreceptorを介して換気応答の変化が瞬時に起こる
・代謝性の代償は近位尿細管によるHCO3の再吸収の促進抑制が6hr以降に開始し、数日で完成する
・代償反応によりpHが正常化することはない。正常化していれば混合性障害の可能性が高い。
・正常アニオンギャップはほとんどがアルブミン由来の陰性電荷による。アルブミン濃度が60%
低下するとAGも50%低下する。
・Alb予測値(mEq/l)=2×Alb(g/dl)+0.5×P(mg/dl)、低Alb時はAlb予測値と実測値の差で判断する。
・AG正常アシドーシス:RTAと下痢
 高AG性アシドーシス:乳酸アシドーシス、ケトアシドーシス、末期腎不全、メタノール、エチレングリコール、サリチル酸中毒

ICUブックまとめ(29章)

29章
・嫌気性代謝でできる乳酸は心筋や神経細胞でのエネルギー源になる
・1モルのブドウ糖から2モルの乳酸が生じ、乳酸が酸化されると好気性代謝より多くのエネルギーが得られる
・単なる貧血やO2供給↓では乳酸は上昇しない。ミトコンドリアによるピルビン酸の酸化ができないときに上昇する(敗血症やhypovolmic shockなど)
・アシドーシスは心筋収縮障害も起こすが、副腎からのカテコラミン分泌を亢進させ、健常人では心拍出量は増加する
・アシドーシスは細胞死を防ぐ作用があり、積極的に補正する必要はない。むしろアシドーシスの原因になっている病態の改善を考える。
・アシドーシスに重炭酸を投与しても無効であり、有害でもある
理由① 重炭酸Naが重炭酸イオンに電離するのはpH6.1のときである(pKが6.1)。通常のアシドーシスでは電離しない。
理由② HCO3が大量のCO2(200mmHg相当)になり、CO2が膜を通過して、細胞内や脳脊髄液のpHを下げる。

ICUブックまとめ(5章)

5章
・一般外科手術における静脈血栓予防法
Ⅰ 低リスク(小手術+40歳未満)→早期離床
Ⅱ 中リスク(大手術+40歳未満)→未分画ヘパリン5000単位を1日2回皮下注
Ⅲ 高リスク(大手術+40歳以上or他リスク)→未分画ヘパリン5000単位を1日3回皮下注
Ⅳ 最高リスク(大手術+40歳以上+他リスク)→未分画ヘパリン5000単位を1日3回皮下注+下肢圧迫法
(小手術とは30分未満or腰麻、大手術とは30分以上or全麻、他リスクとは、がん、肥満、血栓塞栓症の既往、エストロゲン投与中、凝固亢進状態)
・Dダイマー上昇や頻脈は感度が低いため、診断には使えない。Dダイマー正常、正常脈である場合はDVTを否定できる。
・ICUの患者の80%はDダイマーが上昇している。
・Dダイマーは敗血症、がん、妊娠、心不全、腎不全、高齢でもDダイマーが上昇する。
・エコーで大腿静脈(SFV)を圧迫しても閉塞しないときは近位のDVTが疑われる。
・腓腹部のDVTはエコーでも2/3が見落とされる。
・肺塞栓(PE)の30%は下肢静脈血栓が明らかではない。
・息こらえ30秒が可能ならヘリカルCTが肺塞栓の診断に有用である。
・Wellsスコア
下肢腫脹or下肢把握痛 3点
肺塞栓以外に考えられない 3点
心拍数が100以上 1.5点
過去4週以内の不動or手術 1.5点
DVT/PEの既往 1.5点
血痰 1.0点
過去半年以内のがん 1.0点
6点より大きいとDVT/PEの可能性が高い



ICUブックまとめ(2章)

2章
・酸素摂取率(O2ER)=(SaO2-SvO2)/SaO2が30%を超えると嫌気性代謝が亢進する
・SaO2が低下するとO2ERが上昇し、SvO2を上昇させないようにする
(少ないO2を有効に使おうとする)
・CaO2(動脈血酸素含有量)=1.34×Hb×SaO2+0.003PaO2
この式よりPaO2は肺のガス交換効率を表しているだけでPaO2が正常でもHbが低下していればCaO2が急激に低下する。
(CaO2はPaO2よりもHb、SaO2に大きく左右される)
・CO2は赤血球内に取り込まれHCO3-になっていくことでCO2の緩衝作用となる。CO2の緩衝作用としては血漿中のCO2+H2O→HCO3+Hよりも効果が大きい
・赤血球内のO2が低下すると、CO2は赤血球内にどんどん取り込まれる(ホールデン効果)

ICUブックまとめ(12章)

・出血時には
①毛細血管透過性亢進によって間質液が血管内に流入(transcapillary refill)
②RAA系が亢進しNaと水が貯留し、血管内と間質に均等に分布する。
これらで15%以内の出血は補える
・15%以上の出血時には
交感神経興奮により重要臓器血流は維持されるが、腸管血流は低下し、腸管粘膜が損傷し、bacterial translocationによりsepsisになっていく
・出血性ショックを判断するのに、頻脈、低血圧の感度は50%、起立性低血圧の感度は90%(仰臥位から立位で1分待って脈拍が30以上↑、収縮期圧が20以上↓)
・急性出血ではHtは変化しない。血球も血漿も同時に失われるから。
(8hr以上たつとRAA系亢進により希釈されてHtが下がる)
・循環血漿量減少時は交感神経興奮により心臓コンプライアンスが低下し、CVP、PAWPが高めになるため、CVPやPAWPから推測されるよりも、もっと循環血漿量減少が進んでいる可能性がある。
・BEは1Lの血液をpH7.4に戻すために必要な塩基のmmol数を表す。-2~+2が正常で、-15以下が持続するとMOFへと進展する
・動脈血乳酸が2以上なら死亡率と相関する。

ICUブックまとめ(10章)

・CVPはPEEPがかかると不正確になる(高い胸腔内圧でSVCが圧迫されるため)
→PEEPがかかっているときにCVPを輸液過剰の指標にすることはできない
・PAWP(PCWP)は上肺野で肺毛細血管が虚脱している場合は正確にLVEDPを反映しない
(連続空間でなくなってパスカルの原理が成り立たなくなるため。低O2、エンドトキシン、ARDSでも同様。)
・CVP、PAWPは血行動態評価には使えない。

2012年8月27日月曜日

Q:心室細動患者に除細動を行い、胸骨圧迫を開始するまでに、洞調律な波形が見られた場合、胸骨圧迫を中止するべきである。

A:×(波形確認は2分毎で胸骨圧迫を中断するかは波形確認の時に行う、除細動後には波形確認をせず、すぐに胸骨圧迫を行う)


Q:CPAにおいてアドレナリンを投与してから、アミオダロン投与までは3-5分の間隔を空けなければならない。

A:×(アドレナリンの投与間隔は3-5分だが、作用機序の異なる別の薬剤の投与間隔については規定されていない)


Q:胸骨圧迫中、体動が見られても、次の波形確認まで2分間ないし5サイクル胸骨圧迫を続けるべきである。

A:×(体動見られたときは胸骨圧迫を中断し、意識/バイタル/脈の確認を行う)

2012年8月22日水曜日

Q:STEMI患者に関して、PCIの実施を決定するために、心筋マーカーの上昇を確認する必要はない。

A:○(UA,NSTEMIでは確認する必要がある)


Q:胸痛を訴える患者で、白血球分画の上昇が見られれば、アスピリンの投与を考慮する。

A:○(最近の消化管出血やアスピリンアレルギーの既往がなければ、初期診療として、160-325mgのアスピリンを噛み砕いて飲んでもらう。)



Q:アスピリンアレルギーのあるSTEMI患者には他のNSAIDやCOX2阻害薬の投与を行う。

A:×(アスピリン以外は禁忌)


Q:STEMIのうち、下壁梗塞でなければニトログリセリンの投与を行なっても良い。

A:×(低血圧、徐脈、右室梗塞、EDの薬、PDE阻害薬がなければニトログリセリンの投与を行なっても良い。下壁梗塞の場合は、右室梗塞を合併することが多いので注意する。)


Q:不安定狭心症、NSTEMIでモルヒネ投与を行うと死亡率が上昇する。

A:○

Q:成人の心停止のうち心静止、PEAにはアトロピン投与を行うべきである。○か×か。

A:×(ACLS2010の心停止アルゴリズムではアトロピンの投与はなくなりました。)


Q:ラリンゲアルチューブ使用時は胸骨圧迫30回ごとに人工呼吸を2回行う。

A:×(高度な気道確保時には6-8秒ごとに1回の人工呼吸を行う。胸骨圧迫に同期させなくて良い。)


Q:鼻咽頭エアウェイは咳反射、咽頭反射がある場合も使用出来る。

A:○(口咽頭エアウェイは禁忌。)


Q:水たまりの上に横たわっている場合、患者を移動させてからAEDを行う。

A:×(胸腹部が濡れていなければそのまま通電してよい)


Q:ACLSで使用される薬剤のうち、予後改善につながるのはアミオダロンのみである。

A:○


Q:静脈路が確保できない場合は、気管チューブに直接薬剤を投与する。

A:×(骨髄針で骨髄路を確保する)


Q:ACLSによる心拍再開後は低体温を避け、保温に努める。

A:×(32-34℃で24時間保つようにする。)


Q:ACLSによる心拍再開後に低体温が生じている場合、PCIを行うことはできない。

A:×(低体温にすべきだし、PCIと低体温を同時に実施しても良い。)


Q:急性冠症候群による心停止の場合、CPR中から血栓溶解療法を行うべきである。

A:×(ACLS2010では推奨されない。)

2012年8月6日月曜日

・西神戸麻酔科レクチャー
http://www.ne.jp/asahi/nishi-kobe/masui/lecture.html
人工呼吸器のモードの解説など
★内科レジデントマニュアル第7版
 肺炎の点滴の出し方から緩和ケアの疼痛管理まで状況別の対応の仕方が具体的に。

・問題解決型 救急初期診療
 症候別に鑑別疾患のフローチャートが役に立つかも。

★レジデント初期研修用資料 内科診療ヒントブック
 診断がつかないときにどういう検査をするかが役に立つ。

・今日の治療指針2012
 知らない薬の処方の仕方。

・循環器治療薬ファイル第2版
 循環器に関してはこれ1冊でとりあえずはいいのでは。

・ICU/CCUの薬の考え方,使い方
 ICUに限らず、内科一般の治療、栄養、鎮痛等の方法が詳しい。

・ハリソン内科学17版 日本語訳
 とりあえず受け持ちの患者の疾患について一通り読んでおくと良い。

・見ためで探す皮膚疾患アトラス

・感染症レジデントマニュアル

・輸液のコツとポイント
 輸液の基本知識と疾患別の具体的な処方例が載っている。

初期研修はこれらとupdate,NMO,m3などで最低限はまかなえると思う。

2012年6月26日火曜日

2012年5月4日金曜日

★急性腹症のCT演習問題
http://www.qqct.jp/
腹部CTの読影の練習ができます。急性腹症はCTが読影できると怖くなくなります(と思いたい)。

2012年4月22日日曜日

・ライフサイエンス辞書オンラインサービス
http://lsd.pharm.kyoto-u.ac.jp/ja/service/weblsd/index.html
英語の論文を読むときに役に立ちます

2012年3月26日月曜日

医師免許申請の手順と注意点

医師免許申請の手順と注意点

①最寄の保健所(区役所内にあることが多い)に行って、『医師免許申請用紙を下さい』と言う。
②申請用紙とともに、診断書用紙、登録済み証明書はがき、をくれる。
③診断書用紙を持って、最寄の診療所に行き、『医師免許申請に必要な診断書をお願いします』と言って、診断書用紙を受付の人に渡す。(あくまで形式的なもの。健康診断なので実費で2000円くらい。「おめでとうございます」「これからがんばってね」、と言われる。)
④法務局に行って、『収入印紙60000円と、登記されていないことの証明書を下さい』と言うと、収入印紙300円も買って、○階へ行くように言われる。
⑤指示された階へ行って、登記されていないことの証明書に必要事項を書いて、「成年被後見人、被保佐人とする記録がない」にチェックを入れ、一緒に買った300円の収入印紙を貼って提出する。身分証明書と印鑑が必要。登記されていないことの証明書に書く住所は、身分証明書のものと一致していないといけない。
⑥法務局は12時になるとお昼休憩に入るので要注意。
⑦収入印紙60000円は、家に持って帰って申請用紙に貼る。消印は押さないこと。
⑧登録済み証明書はがきの表に名前を住所を書き、裏面は名前だけを書く。
⑨申請用紙、登録済み証明書はがきに書く住所は実際に住民票があるところでなくても、自分宛の郵便物がきちんと届くところであればどこでもよい。
⑩申請用紙の受験地、本籍、住所のコード番号は保健所で書いても良い。
⑪国家試験の受験申し込み時に使った戸籍抄本と申請用紙、診断書、登記されていないことの証明書、登録済みはがきを、申請用紙の裏の説明書きに記載されている順番で、ホッチキスで止める。順番は大切。
⑫申請用紙に書いた住所の区内にある保健所に提出する。
⑬戸籍抄本は発行から6ヶ月以内のものなので、国家試験申し込み時直前あたりに発行してもらった方が二度手間にならずに済む。
⑭書き間違いを訂正するのに印鑑が必要なので、常に、身分証明書と印鑑と書類一式は持って、手続きに行く方が良い。

初期研修病院探しについて

☆初期研修病院探しについて
・マッチングでいろいろ見て回って、面接や試験を受けて、決まるのが普通です。
・国家試験を終えてから探しても十分間に合いますが、人気病院は埋まっています。(ただし、人気病院が自分にあっているとは限らない)
・合格発表を受けて、二次募集している病院にあたっていけば、どこかには必ず採用されます。
(マッチングのHPを見れば二次募集をしている病院の一覧表があります)
・人気病院でマッチング枠が埋まっていたとしても、稀に国家試験不合格となって枠が空くことがあります。
・合格発表後に探すのであれば、一つ一つ条件を見てから連絡するより、メールや電話を方々にして、空きがあるかを確かめてから、そこの病院の実習内容や条件を見て、とりあえず面接を受けて、採用してくれるか聞きましょう。
・研修医に仕事を任せる病院は大変なので、空きがあるが力はつく(と思う)。
・同期がたくさんいる病院も良し悪しと思う(手技があまりできないかも)。
・大学での初期研修は知識はつくが、手技があまりできないと思う(大学では病棟での末梢ルートとりは研修医の仕事だが、CVなどの手技は麻酔科がする大学が多い)。
・モチベーションと体力が高い初期研修の間にフォローされながらたくさんの救急や当直に入るのが手っ取り早く独り立ちできる近道(その後もバイトがしやすいかも)。

合格基準

合格基準

第106回医師国家試験の合格基準は、一般問題を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、(1)~(4)のすべての合格基準を満たした者を合格とする。

(1)必修問題 160点以上/200点
(2)必修問題を除いた一般問題 134点以上/200点
(3)必修問題を除いた臨床実地問題 427点以上/600点
(4)禁忌肢問題選択数 3問以下

削除問題はI問題29番のみでした

2012年2月28日火曜日

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) I問題

<間違い>
・I7
辺縁不整、ringed enhancement、腺腔構造→転移性脳腫瘍
・I14
動揺性の痴呆→脳血管性かレビー
レビーに抗D薬投与するとParkinsonismが悪化するという意味で感受性が亢進する
・I19
外陰ヘルペスは掻痒感ではなく疼痛
(痛痒いということはないのだろうか)
・I29
髄膜炎菌は非常に稀。むしろインフルエンザ桿菌の方が多いらしい。
・I39
産道による介達外力→鎖骨骨折→腕神経叢麻痺モロー反射の左右差
頚部を伸ばされて神経根障害→横隔神経麻痺
・I42
IEでvegetationができた→抗菌薬
人工弁にできたもの、重症心不全なら手術
・I45
老人性紫斑(血管壁が脆くなる→ちょっとの打撲で紫斑、点滴が漏れる)なので経過観察
BSSや血小板無力症ならもっと若年で発症しているはず
・I58
抗Sm抗体や抗dsDNA抗体は感度30%くらい。感度が高いのはこれらを全てまとめた抗核抗体
(診断の感度という言葉がよくわからない。診断には特異度の高い検査を行うはず・・・)
・I60
DKAには生食と速攻型インスリン静注
この場合はBSもそんなに高くないし、意識障害もない。脱水による低Naを改善すべきだから生食。急速大量静注するほどの緊急性ではない。
(遅効型でゆっくりBSを下げても脱水が改善されるのではと思ったが、水を入れない限り改善されない。)
・I68
動脈が露出してそこから出血している→クリッピング
(静脈からの出血なら食道静脈瘤の硬化療法でも良いのだろうが、ブールハーベで深い裂創だから動脈が破綻したということなのだろうか?)
・I76
低出生体重児で新生児仮死、無呼吸、痙攣→脳内出血を疑う→新生児期は頭蓋骨縫合が癒合していないのでエコーで脳内の様子が見れる
・I79
AMI後の新たな雑音、呼吸困難→乳頭筋断裂によるMRか心室中隔穿孔によるVSD
(血圧低下があったので心タンポナーデを選らびたかった。しかし突然発症したMR,VSDならAMIで心収縮力も低下してるから血圧は維持できなくなる。乳頭筋断裂、中隔穿孔、心タンポこれらは全て血圧低下がくる。)

<結果>
・一般35/40問、臨床33/40問

<採点>
A一般16/20問、臨床31/40問
B一般31/40問、臨床20/22問
D一般16/20問、臨床36/40問
E一般31/40問、臨床26/29問
G一般30/40問、臨床23/29問
Ⅰ一般35/40問、臨床33/40問
(合計)一般159/200(79.5%)、臨床169/200(84.5%)
C一般12/15問、臨床16/16問
F一般15/15問、臨床12/16問
H一般16/20問、臨床15/18問
(合計)一般43/50、臨床43/50(172点)

2012年2月27日月曜日

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) H問題(必修)

<間違い>
・H1
吸気時の呼吸困難→上気道、胸腔外の閉塞
・H6
直腸肛門診察は砕石位か側臥位(Sims体位)
(標準外科には胸膝位もあったのだが・・・)
・H9
老人は姿勢反射も低下し失調様→失調歩行のwide based gaitを考えるとガニマタになる
(つま先を挙上する高さが下がるので、ちょっとした段差で転びやすくなる)
・H14
人を対象とする医学研究の原則はヘルシンキ宣言
・H23
24h以上たってる腸重責では穿孔してる可能性があるので浣腸や注腸造影はせず、エコーで診断して手術。その前に輸液で脱水による意識障害を改善する。
・H26
言い訳→合理化
・H36
オピオイドを使ってるので、NSAID増量では疼痛を抑えられない。放射線で癌細胞を抑制して骨破壊を止めることが疼痛緩和になる。

<結果>
・一般16/20問、臨床15/18問

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) G問題

<間違い>
・G3
卵白は蛋白質が多く抗原になりやすいので卵黄からする
初期は舌で潰せる硬さ→歯茎で潰せる硬さ
・G9
実効線量限度は内部被曝線量も含む
・G10
肝障害のある抗菌薬:テトラサイクリン、RFP、INH、サルファ剤
腎障害のある抗菌薬:アミノ配糖体、バンコマイシン、ペニシリン系、セフェム系、アンホテリシンB
・G12
国民医療費に介護保険による費用は含まない
(過去問にあったのだが)
・G21
GHはストレスで上昇するホルモン
・G24
医療計画=医療資源の有効活用:病床と医療従事者の確保→2,3次医療圏の整備
・G30
国民健康栄養調査:健康増進法に基づいて身体状況、栄養摂取量、生活習慣を調査、無作為300地区から5000世帯、保健所が実施、毎年11月
・G32
災害初期は感染防御が大切(インフルエンザ、レジオネラ、破傷風)
・G33
小腸はNa-インスリン共輸送体
・G47
過度の運動、小児のうつ病、アノレキの鑑別に食欲の聴取が必要。体重減少があれば無月経や月経不順があるのは当然なので、鑑別に使えない。
(アノレキの人に食欲ありますかと聞いても、ないですと答えるんじゃないかと考えて不正解)
・G48
ノロウィルスは出席停止基準に入っていない→手洗い励行
・G55
休職させる権限は産業医にはない(「休職を勧める」なら○)
・G57
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度):1人で外出できる(自立)>介助なしでは外出しない(準寝たきり)>ベットの上で座位>寝たきり
・G64
%VCなので年齢を加味しているので正常
(同じ高齢者でも喫煙あるなしで変わってくると思うけど・・・)
・G66
気胸なので鼓音。緊張性気胸で静脈還流が阻害されて静脈うっ滞があってもすぐに浮腫にならない。
・G69
8.9×0.84×1.34=10.01=10

<結果>
・一般30/40問、臨床23/29問

2012年2月26日日曜日

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) F問題(必修)

・F16
飲酒歴があるので、入院して断酒したときに、断酒後数日だとアルコール離脱症候群を起こして暴れたりして危険だから、最終飲酒日を聴取する必要がある
(安全管理とは患者、医療従事者双方の安全という意味)
・F17
統合失調症の社会復帰はまずデイケア
(親が高齢で、自分たちが死んだ後のことを心配していると思うので、共同生活をさせるのもよいかと思ってしまった。しかし、グループホームは家がない人が入所するところ。)
・F29
喫煙歴、3ヶ月前からの体重減少、無気肺→肺癌を疑う→胸部造影CT
(乏尿があったので造影剤はしたくないと思って胸部MRIを選んだ。しかし、心不全もないので輸液をしながらであればwash outされるはずだからしてもよいらしい。Crも正常だし。)
・F31
収縮期166→102で30以上↓なのでショック。ただし、HR↓なので迷走神経反射による副交感神経刺激性ショック。治療は側臥位で安静、アトロピン。

<結果>
一般15/15問、臨床12/16問

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) E問題

<間違い>
・E1
生理的黄疸:2日~2週、原因はHbF→HbAの溶血、グルクロン酸抱合酵素の未熟性
・E6
TBLBなどは透視下に行う
・E11
要介護の申請→主治医意見書→介護認定審査会の判定
・E14
眼圧を測定しているらしい
・E15
ケアプランをもとにデイサービスを受ける(デイサービスではケアプランを作ってない)
・E27
上行と下行のちょうど間の病変→左反回神経の圧迫や浸潤
・E28
新生児の成熟度判定(Dubowitz score):成熟児の特徴は皮膚は皮革様でしわあり、体毛は大部分が無毛、足底全体にしわ、乳輪が完全、耳介軟骨が厚い、精巣下降、大陰唇が陰核と小陰唇を覆う→大泉門の大きさは入っていない、児の出産時妊娠週数の判定にも使うらしい
・E36
自記式(質問紙法)はSTATとMMPI
・E47
羊水過多による切迫早産では、まずリトドリン投与しないと産まれてしまう。羊水除去はその後に必要ならば行う。
・E48
週1の1hrウォーキングは少なすぎる
・E51
3DCTで複数の肋骨が2箇所で骨折→フレイルチェストなので陽圧換気による内固定
気胸はないと明記、CTで心嚢液貯留があるが血圧正常で頚静脈怒張もないから心タンポナーデは否定できるので、陽圧換気をしてよい
・E67
透析導入の原因:1位 DM、2位 慢性糸球体腎炎、3位 腎硬化症

<結果>
・一般31/40問、臨床26/29問

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) D問題

<間違い>
・D12
全般性不安障害:理由なく過剰な不安で常に緊張、不眠、疲労
社会不安障害:対人恐怖
・D14
声音振盪:アーと言ってもらって背中にあてた手に伝わる振動の強さを見る。airが増えると振動が伝わりにくく、固形化すると伝わりやすい。肺気腫、気胸、無気肺で↓、肺癌浸潤、胸膜癒着で↑
・D16
乳頭癌:中年女性、サイログロブリン作るがホルモンは作れない→123I甲状腺シンチはcold、微細石灰化や砂粒状石灰化
髄様癌:カルシトニン、CEA産生→アミロイドーシス、カルシトニン↑だがCaは正常
(砂粒状じゃなく微細だったはず、なんて考えて不正解)
・D17
過活動性膀胱:膀胱が充満してないのに収縮→頻尿、切迫性尿失禁(排尿時痛はない)、治療は抗コリン薬、Caブロッカー
・D25
高血圧があり塩分制限なのでaかd
ネフローゼなので高カロリー低蛋白にするはずだし、標準体重50kg×30=1500kcal、女性なので1100kcalが基礎代謝、体重60kgは肥満というより浮腫によるものなので、カロリー制限はしなくてよい。1200kcalに対して蛋白は10%で120kcal=30gなのに40gでは低蛋白になっていないからaは否定的。よってd。
・D44
転移のない腺癌→手術
左肋骨の石灰化は転移ではない
(左肋骨に転移、腺癌なので放射線効かないと思い抗癌化学療法にした)
・D45
SFDなのでできるだけ妊娠継続させたい。PIHは血圧で経過を見る。1500gあれば生まれても大丈夫そうだし胎児体重は否定的。
(HELLPで最初にAST,ALTが↑するからこれが上がれば重症化とみていいんじゃないかと思った)
・D49
頚部のう胞は胸鎖乳突筋のあたりにできるし、もっと黒い
耳下腺にできているし、筋肉と同じ黒さ、良性なのでⅦ浸潤はない
(Ⅶ麻痺なしでいきなり耳下腺腫瘍を外してしまった)

<結果>
・一般16/20問、臨床36/40問

2012年2月25日土曜日

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) C問題(必修)

<間違い>
・C1
声門癌は浸潤して癒着すれば呼吸困難来たしうる、肉芽腫は癒着しないので呼吸困難おこさない。
・C2
ACLS2010によると、静脈内投与→骨髄内投与→気管内投与
・C7
睡眠薬の飲みすぎで転倒ということを考えると服薬指導も転倒予防に入るが、弾性包帯は深部静脈血栓症の予防なので転倒予防にはならない。

<結果>
・一般12/15問、臨床16/16問

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) B問題

<間違い>
・B3
食物アレルギーの診断にもっとも有用なのは食物負荷試験。ただし、入院させて行う。
(食物負荷は怖いのでプリックテストにしてしまった)
・B4
関節軟骨は血流がないので再生しない→加齢で変形性関節症になる
(靭帯と迷って靭帯にしてしまった)
・B7
訪問診療に届出はいらない。薬剤師は服薬指導できる。
(服薬指導は看護師や医師の役目かと思っていた)
・B19
3cm3個以内はマイクロ波かPEIT。TAEはPEIT無効例でも行える。
・B22
IL-4はIgE産生に関与
・B23
閉塞性黄疸では血中chol、胆汁酸、直ビ↑
(なぜか急性化膿性胆管炎をイメージして白血球を選んでしまった)
・B35
末梢神経上の中枢から末梢にかけてA,B,Cとする。末梢神経伝達速度=AB間の長さ÷(Aを刺激してCに伝わる時間-Bを刺激してCに伝わる時間)
・B38
脳死判定に使われる脳幹反射→対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射(「鷹も目の前の隕石に反応」)
(睫毛反射(しょうもうはんしゃ)も三叉神経→脳幹→顔面神経で脳幹反射を見ていると思うのだが、脳死判定には入らない)
脳死判定基準→深昏睡、瞳孔4mm以上で固定、脳幹反射消失、平坦脳波、自発呼吸消失、6h経過で変化がなし(「新婚旅行の幹事は大変、ムコはろくでもない」)
・B49
アステレキシスとは羽ばたき振戦のこと
(肝硬変→Alb低下→膠質浸透圧低下→血管内脱水→頚静脈虚脱は起こらないのか・・・)
・B54
Still病で肝障害もあるしステロイド。Still病はNSAIDだが、成人Still病はステロイドメイン
・B61
腹痛があると腹部診察で号泣してしまい聴診ができなくなるので、聴診が先。口腔内の診察で号泣させるので頭頚部が最後。

<結果>
・一般31/40問、臨床20/22問

106回医師国家試験間違い直し (実際に受験してみて) A問題

<間違い>
・A9
潰瘍性大腸炎でCMVが感染すると重症化する→ステロイド無効ならCMV検索を行う
・A11
羊水塞栓症→肺塞栓とDIC(羊水中の組織トロンボプラスチンによる)
(PIHで胎盤血管が破綻してそこから羊水が母体血に入り羊水塞栓を起こすことはないか・・・)
・A16,33
DPB、気管支拡張症、肺気腫、間質性肺炎のCT像の鑑別
間質の炎症→繊維化→瘢痕化→肺胞の拡大
・A19
断酒後1-3日に、アルコール離脱症候群=振戦せん妄(意識障害、興奮、不安、振戦、痙攣、小動物幻視、職業せん妄)
作話は慢性の副作用(コルサコフ症候群)
・A25
脱水による熱虚脱
意識障害は低Naによるもの→見かけ上Na正常だがNa絶対量は↓なのでNaを補いたい→1/2生食が理想、選択肢にないので乳酸リンゲル
(そもそもリンゲル液は生食にKとCaを加えてより細胞外液に近づけたものであり、Kが入っているので、Kが5.0で尿量も少ない症例ではやりたくないはずだが・・・。しかしブドウ糖液では低Naが改善しない。)
・A30
便秘+左下腹部通痛+高齢者→虚血性大腸炎
虚血性大腸炎ならとにかく保存的療法(輸液、抗菌薬)
虚血性大腸炎は単純Xpでも診断できる
(麻痺性イレウスがあるので、イレウス管による減圧を選んでしまった)
・A41
腰痛+黒色便→腰痛治療に使うNSAIDによるAGML
(腰痛を忘れて普通にピロリにしてしまった)
・A46
肛門縁10cm口側の大腸癌
上部直腸(Ra)と下部直腸(Rb)の境目は腹膜翻転部で肛門縁から約11cm→肛門縁から10cm→Rb癌→低位前方切除術
(Rb癌だとはわかったものの5cmのマージンをとると歯状線にかかるのではと思ってしまいマイルズにしてしまった)
・A47
子宮体癌→頚部に浸潤あるので広汎子宮全摘
(なんとなく直腸に浸潤があると思い、Ⅳ期でP大量投与に賭けた)
・A54
CMTの治療→リハビリ中心(短下肢装具、関節可動域訓練)
(電気刺激をすれば神経障害遅延もありえるかと思ってしまったが、不可逆の末梢神経障害なので無駄というか、そんな治療あるのか?)
・A57
上顎骨骨折
(眼窩、側頭骨が骨折してるかどうかわからなかった)
・A60
HUSに抗菌薬が有効かどうかは意見が分かれる。菌体崩壊↑でさらにベロ毒素↑で悪化するという意見もある。

<結果>
・一般16問/20問、臨床31/40問

タブレットを勉強に使う②~外出先でのインターネット

・ドコモスマートフォンなら+315円で公衆無線LANオプション(Mzone)がつく
・基本料金780円+spモード315円+公衆無線LANオプション315円でMzoneエリアなら接続可能
・設定が煩雑だが、一度設定すると無線LAN機能がある機器ならどんなものでも接続できる
・spモードの公衆無線LANオプションの設定方法
 ①ドコモスマートフォンからFOMA回線経由で「Dメニュー」もしくは直接https://spmode.ne.jp/setting/にアクセス
 ②公衆無線LAN→確認→spモードパスワード(初期設定は0000)→IDとパスワードを確認
 ③ドコモのカスタマーセンター(0120-818-360)で公衆無線LANのSSID、WEPキーを聞く
 ④公衆無線LANにつなぎたい機器のWifi設定でSSID、WEPキーを入力しLANに接続
 ⑤機器のブラウザを開いてhttps://wlan.m-zone.jp/wlan/portal.jspにアクセス
 ⑤(スマートフォンで確認した)IDとパスワードを入力すればインターネットにアクセスできる
 (SSIDとWEPキーで公衆無線LANに入って、個人毎のIDとパスワードでインターネットに接続)
・IDとパスワードはFOMA回線経由でないと確認できないので一度だけアクセスする必要があるが、パケット料金はかからない
・Mzoneは大抵のファストフード店で使えるので、外での勉強中に使うだけなら月額利用料がイーモバイルやWiMaxの12分の1で済む
・ドコモのスマートフォンを契約してSIMを通常の携帯に移せば、知らない間にパケット料金がかかることが防げる(スマートフォンを契約→spモード契約→iモード利用に移す→SIMを今までの携帯に移す)

タブレットを勉強に使う①~電子書籍

・レノボのIdeaPadTabletA1(2万円切るので安い)を使用中
・PDFリーダーは最初から入っているもので問題ないが、しおり機能がない
・マイクロSD(16GB)に電子書籍を入れて使用
・医学書(1500ページ前後)を電子書籍化して閲覧しているが表示や動作に問題なし
・mp3再生とPDF閲覧の同時実行はできない
・標準シリーズの教科書のサイズならページ全体を表示しても少し小さめだが十分読める
・ページの移動、ズームアウト/インは円滑
・A1付属の変換辞書は粗末なので電子書籍閲覧用と割り切る
・電子書籍化はhttp://snapbook.jp/で行った(350ページまで100円、250ページ毎に+100円)
・通読するつもりならOCRスキャン(単語検索)は必要ないが、辞書的に使うなら必要かもしれない

2012年2月24日金曜日

統合失調様障害:発症半年未満の統合失調症
妄想型統合失調症:妄想を中心とした統合失調症(陰性症状や幻聴など他の症状もある)
妄想性障害:奇異でない妄想のみの障害が1ヶ月以上持続

統合失調症のMRI所見
大脳皮質(特に側頭葉)、辺縁系の減少、基底核の増加

2012年2月17日金曜日

脳神経外科学ポイント

脳神経外科学ポイント

<意識障害>
■意識清明とは1.意識内容が正常で、2.刺激に対する反応があり、3.覚醒している状態である。
これらの3つの要素のうち、生命に関わるのは覚醒の度合いである。
意識に関係するのは上行性網様体賦活系ascending reticular activating systemと視床下部調節系hypothalamic controlling systemで、上行性網様体賦活系は延髄、橋、中脳、視床下部、視床にまたがる網様体で、大脳半球の新皮質に広く投射し調節している。視床下部調節系は大脳半球の辺縁皮質に投射して調節している。
■JCS(Japan Coma Scale)
意識清明は0点で、最も意識レベルが悪いと300点となる。
 覚醒している               刺激すると覚醒する       刺激しても覚醒しない    
1大体意識清明だが今ひとつはっきりしない 10普通の呼びかけで開眼する   100痛み刺激をはらいのける
2見当識障害がある            20大きな声やゆさぶりで開眼する 200痛み刺激に手足を動かしたり、顔をしかめる
3名前、生年月日が言えない         30痛み刺激で開眼する      300痛み刺激に反応しない
■GCS(Glasgow Coma Scale)
意識清明は15点で、最も意識レベルが悪いと3点となる。E,V,Mの各領域の点数を加えたもので判定する。
 E(eye opening)     V(best verbal response)      M(best motor response)    
4spontaneous      5orientated           6obeys commands
3to speech       4confused conversation      5localize
2to pain        3inappropriate words       4withdraws
1none          2incomprehensible sounds     3abnormal flexion
            1none              2extends
                             1none
■特殊な意識障害
特殊とは疾患の急性期を脱してさしせまった生命の危機はないが、意識が回復しない、または意識がないように見える状態である。
1)無動性無言akinetic mutism
病名通り動かず、話さずの状態だが、時には目が開いて意識がはっきりしているようにも見えるが、非常に強い刺激以外はほとんど反応しない。覚醒・睡眠サイクルは見られる。末梢の感覚神経、運動神経の異常はない。
2)失外套症候群apallic syndrome
大脳半球pallicの全体的破壊が原因である。本症は器質的障害部位により命名されており、無動性無言と症状は同じ。
3)植物症患者vegitative patients
自律神経系は正常で覚醒・睡眠サイクルが見られる。だが、これ以外の運動神経、感覚神経、大脳の精神活動は機能していない。
本症と無動性無言、失外套症候群は症状からはほとんど区別できないが、本症は症状が進行していなく、無動性無言、失外套症候群は症状が進行中に見られる意識障害の時に使われる。
4)閉じ込め症候群locked-in syndrome
意識障害はないが、意思疎通の手段がほとんどなく、意識がないように見るだけである。脳底動脈閉塞による橋梗塞例に多い。四肢麻痺、無言をきたし、意思表示の手段は目の開閉、眼球の上下運動のみである。
5)通過症候群transit syndrome
大脳の器質的損傷をうけた意識障害患者が意識清明になる途中で自発性喪失、感情不安定、健忘などの症状を示す。
■脳死判定
<前提条件>
1.器質的脳損傷によってJCSで300点、GCSで3点であること。
2.原疾患の診断が確実で、どんなに治療しても回復しないこと。
<除外例>
1.6才未満の場合。(改訂によりなくなった)
2.薬物中毒、低体温、代謝内分泌疾患などによって脳死と間違われやすい状態にあるとき。
<判定基準>
1.JCS300点、GCS3点の深昏睡である。
2.人工呼吸器をはずすと自分で呼吸ができない自発呼吸喪失の状態。
3.瞳孔が左右とも4mm以上。
4.対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射の脳幹反射の消失。
5.最低4導出で30分間の脳波平坦。
6.以上の5項目が満たされた後、6時間たっても変化がない。

<脳血管障害>
Ⅰ.脳動脈瘤cerebral aneurysm
■破裂する脳動脈瘤は、ほとんどが先天性で嚢状をしている。その他の原因は動脈硬化、細菌、梅毒で、紡錘状に拡大しているが、これは滅多に破裂しない。いずれの型も動脈瘤の壁は中膜が欠損している。
嚢状のものは頚部neckと体部fundusに分かれ、体部には一部飛び出た鶏冠blebが見られ、多くはこの部分が破裂する。好発部位はWillis動脈輪のIC-PC分岐部、ACom、MCA最初の分岐部である。
■症状
急性期は破裂によって起きたクモ膜下出血によって髄膜刺激症状、つまり、頭痛、嘔吐、項部硬直をきたす。項部硬直は出血後24時間たって見られることが多い。
症状は出血の程度(漏出から周囲脳を圧排する程の大量出血まで)によって異なり、重症例ではすぐに意識障害をきたして死亡したり、頭蓋内圧の上昇によって網膜静脈が圧迫されて硝子体下出血が見られるものもある。また重症例で早期に重篤な意識障害をきたすと、最後まで項部硬直が見られないこともある。
脳動脈瘤の位置によっては脳内出血を起こし、神経脱落症状を示すものある。
IC-PC分岐部の動脈瘤では、動眼神経の周辺部を走る副交感神経、上眼瞼挙筋支配神経が圧迫され、散瞳、眼瞼下垂きたすこともある。
亜急性期には破裂部位の近位や遠位の血管が一過性に血管れん縮vasospasmをきたすことがある。
vasospasmには破裂直後に起こり、すぐに寛解するearly vasospasmと、急性期を過ぎて症状が安定したときに起こるdelayed vasospasmがある。delayed vasospasmはSAH後、2週間以内に起き、2週間続く。
これにより脳虚血が広範に起こり、意識障害、片麻痺等の神経学的症状を示したものをsymptomatic vasospasmという。
■検査
腰椎穿刺では出血後3週間で赤血球の破壊産物であるキサントクロミーの黄色が消えて水様透明になる。
CTでは出血の量によって脳槽の全体または一部が高吸収域として、白く写る。
確定診断は脳血管撮影によって行い、一側の内頚動脈撮影で動脈瘤が見つかっても、それが破裂したという確信がない限りは4-vessel studyを行うべきである。
■治療方針
初回破裂での死亡率は15%である。
破裂後の再出血は出血後1日後がピークで2週間以内に50%におこり、再出血での死亡率は50%である。さらに破裂動脈瘤を放置した場合、1ヶ月で50%が死ぬ。また年間の破裂率は3%である。
Hunt&Hessの重症度分類のGrade1,2では早期手術が有効だが、Grade3,4では早期手術よりも意図的晩期手術の方が明らかに成績がよかった。
早期手術の利点はvasospasmの最大の要因であるクモ膜下血腫を除去できることで、欠点は出血によって腫脹した脳には侵襲が大きく、またクモ膜下血腫を除去してもvasospasmを完全には防げないことである。
意図的晩期手術の利点は症状が安定するのを待って行うために術後の脳浮腫、vasospasmの危険性が少なく、侵襲も少なくて済む。しかし、待機している間に再出血、vasospasmで死亡することがある点である。
再出血を防ぐために抗線維素融解酵素を用いても、今度はvasospasmが起きやすくなってしまうというジレンマがある。
■治療
直視下に動脈瘤頚部クリッピングneck clippingを行うが、動脈瘤全体を露出できなかったり、動脈硬化があってクリッピングするとparent arteryが狭窄してしまう場合は合成樹脂接着剤、筋肉片で動脈瘤全体をコーティングする。
最近はSeldinger法にて大腿動脈経由でX腺透視下にカテーテルを動脈瘤部位まで進めて、金属コイル等で塞栓する血管内手術が行われることもある。

Ⅱ.脳動静脈奇形arteriovenous malformation(AVM)
胎生期3週の毛細血管形成期の異常で、動脈が毛細血管を経ずに直接静脈に注ぐ。動静脈の吻合部は肉眼でミミズが塊となって群がったように見え、nidusという。また流入動脈をfeeder、導出静脈はdrainerという。
導出静脈には動脈血が流れるので拍動がありred veinともいう。
AVMの周辺には陳旧性出血巣も見られ、過去にsilent captureがあったことを示唆している。
AVMは脳表に存在することが多いが、一部は脳内部に埋没している。血管抵抗の高い毛細血管を欠くため、導出静脈に大きな圧がかかるので、AVMは腫瘍のように徐々に大きくなっていく。
さらに毛細血管がないために効率が悪く、盗血現象steel phenomenoneによってAVM周辺脳には萎縮が見られる。
好発部位は80%以上がテント上に発生し、発症年齢は30才代にピークがある。
■症状
症状は1出血で発症するのが60%で、2けいれん発作や神経脱落症状で発症するのが40%である。
1.限局性のSAHによって髄膜刺激症状をきたすが、脳動脈瘤破裂と違ってvasospasmは起きない。
AVMの一部は脳内に埋没していることが多いので脳内出血をきたすこともある。一般に小さいAVMの方が破裂しやすい。
2.けいれん発作はJackson型や局所型となることが多く、若年者で抗てんかん薬が効かない場合は本症を考える。
精神症状、早発痴呆、TIA、頭痛、片麻痺などの神経脱落症状で発症することもある。
中脳水道にできたAVMでは脳脊髄液の循環障害で閉塞性水頭症きたすこともある。
■重症度分類
Spetzler分類
大きさ 
<3cm  1点  
3-6cm 2点
6cm   3点
周辺脳の機能的重要性
non-eloquent 0点
eloquent   1点
導出静脈の場所
superficial 0点
deep        1点
■検査
脳血管撮影を行うと、feeder,nidus,drainerの全てがそろったAVMばかりとは限らず、feederのみやdrainerだけの像が見られることもあり、これをangiographycally occult AVMまたはcryptic AVM(潜在性AVM)という。
破裂したAVMでも脳動脈瘤と異なり大量のクモ膜下出血像になることはまれである。
AVMは腫瘍のように徐々に大きくなっていくが、腫瘍のような周辺への圧排像は見られない。
■治療
Gradeが低くく、摘出しても神経脱落症状きたさない場合は、出血の有無に関わらず開頭nidus塞栓術を行う。
Gradeが高く、深部にあって摘出が難しい場合などはγ-knife、開頭下にfeeder clipping、血管内手術によるnidus塞栓術等を行う。γ-knifeの適応はnidusが3cmまでの症例となっている。

Ⅲ.高血圧性脳出血hypertensive intracerebral hemorrhage
■脳出血の原因疾患は高血圧の他、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、脳腫瘍、出血性素因、頭部外傷や原因の不明な特発性脳出血がある。
■原因は長期間の高血圧によって脳深部を潅流する穿通枝が類線維素変性fibrinoid degenerationをきたし、続いて血管壊死が起こり、これに基づいてできた微小動脈瘤が破裂して出血する。
出血はMCAのM1部から分枝するレンズ核線条体動脈が潅流する被核が50%、PCAから分枝する視床膝状動脈が潅流する視床が30%、皮質下が10%、橋、小脳等である。
■検査
・plainCT(単純CT)では直後は高吸収域high、2週たつと周囲から等吸収域isoになっていき、中心部の高吸収域は小さくなっていく。
3週後には、全て等吸収域になり、脳実質と区別ができない。1ヶ月をこえると低吸収域になっていく。
・enhancedCT(増強CT)では1週から6週の間に血腫周囲の肉芽組織内の血管新生によるring enhancementが見られるが、血腫周囲にグリオーシスができると消失する。
・MRIでは出血直後はT1で等信号、T2で等信号だが、それから1週間以内ではT1で等信号、T2で低信号、1ヶ月たつまでにT1で高信号、T2で高信号に移行していく。1ヶ月以降はT1で低信号、T2で低信号。
■治療
外科治療として開頭血腫除去術、定位的穿頭血腫吸引術が行われる。しかし、橋、視床の出血では原則、行わない。
JCS30点以下やCT分類Ⅲb以下、血腫量が30ml以下の軽症例では定位的穿頭血腫吸引術の方が成績がよい。

Ⅳ.閉塞性脳血管障害
■原因のほとんどは、総頚動脈起始部、分岐部から2cm以内の内頚動脈、眼動脈起始部、起始部から頚椎横突起孔に入るまでの椎骨動脈、脳底動脈、Willis動脈輪、MCA等にできた粥状硬化atherosclerosis(動脈硬化の一つ)による血管狭窄やそこに生じた潰瘍によって血栓が誘発・形成され閉塞する脳血栓症である。
その他の原因はこれらの動脈や心臓内にできた血栓が飛んできて詰まらせる脳塞栓症、高血圧や糖尿病による穿通枝の細動脈硬化(動脈硬化の一つ)、モヤモヤ病、大動脈炎症候群による閉塞である。
■症状の発症様式は3つに分類される。
・切迫卒中とは多くは数分、長くても1日以内に一過性に脳局所脱落症状をきたすものを指す。TIAともいう。
・進行卒中とは突然発症した神経脱落症状が数分から3日の間に進行するものを指す。切迫卒中や完成卒中に落ち着く。
・完成卒中とは突然発症した神経脱落症状が、すでに完成しているものを指す。このうち症状が1日以上3週間以内に消失するものを可逆性虚血性神経脱落RINDという。
■症状
閉塞した動脈が潅流する部位によって異なるが、例えば一側の内頚動脈が閉塞の場合、Wilis動脈輪が正常に機能していれば循環障害はおきないし、さらに末梢の狭窄でも側副血行が発達していれば、神経脱落症状は軽度ないし示さない場合もある。
一側の内頚動脈閉塞に特異的な症状として一過性黒内障がある。これは数分間、片眼が一過性に失明するものである。
■検査
・plainCTでは6時間以内では異常所見は見られない。これを過ぎると梗塞部位は徐々にlowになっていき、3日目にはっきりとlowになり、浮腫による圧迫もはっきりしてくる。1ヶ月たつと浮腫が消えて梗塞巣がはっきりしてくる。1年たつと梗塞巣はグリア組織に置き換えられて永続的な梗塞域となる。脳室は発症前と比べて拡大する。
2週から3週にかけていったん生じたlowが消えて、一見正常化してくることがあり、fogging effectという。
血流再開で出血性梗塞をきたすとlowとhighが混在してくる。
・enhancedCTでは梗塞巣の血管はBBBが破壊され、自動調節能が障害されているので透過性が亢進し造影剤が漏出するため増強されるが、陳旧性梗塞巣は増強されない。
・MRIでは梗塞巣の水分量を反映してT1でlow、T2でhighになる。MRIによって無症候性脳梗塞が見つけられるようになり、このうち、脳深部の穿通枝閉塞が原因の2mmから2cmのものをラクナ梗塞という。3mm以下のものは血管周囲腔の拡大であることもある。
・脳血管撮影は侵襲的な検査で、現在は造影剤を用いない非侵襲のMRAが先に行われることが多い。
・頚動脈硬化と虚血性脳血管障害/冠動脈疾患が相関するので、頚部の超音波検査はスクリーニング検査として有効である。
■治療
内科治療:
血栓症の場合は血栓溶解療法としてウロキナーゼ、tPA、血液希釈療法として低分子デキストラン、抗血小板療法としてトロンボキサン合成阻害薬を、塞栓症の場合は抗凝固療法としてワーファリン、ヘパリンを静脈内全身投与する。
6時間以内の超急性期ではカテーテルによる局所動注投与する場合もある。
血圧は上昇しているが、梗塞巣の拡大、側副血行の減少が起きるのを防ぐ意味で、全身状態が危険な場合以外は降圧しない。
頭蓋内圧亢進に対してはマンニトール、グリセロール、副腎皮質ステロイドを投与する。
外科治療:
・頚動脈内膜切除術は有症状の頭蓋外内頚動脈70%以上の狭窄例に有効である。
・EC-ICバイパス術はTIA,RINDを繰り返す、頭蓋内の内頚動脈やMCA起始部の狭窄例に有効である。
・梗塞周囲の浮腫が頭蓋内圧上昇の原因となり、内科治療が効かず、脳ヘルニアが切迫している例では減圧開頭術を行う。

Ⅴモヤモヤ病moyamoya disease
■原因不明でウィリス動脈輪、内頚動脈の閉塞、狭窄がおこり、二次的に脳底部を中心としたモヤモヤ血管を形成し、側副血行の発達が見られる。10才と30才にピークがあり、その比率は2:3である。
■症状
小児では側副血行の発達不全や機能不全のために脳虚血をきたし、一過性、反復性の運動麻痺では本症を考える。
成人では加齢による側副血管の脆弱化で出血と虚血が半々でおきる。
閉塞例の症状は閉塞性障害と同じく、切迫卒中、進行卒中、完成卒中の発症様式が見られる。
■治療
急性期:脳内出血は出血量が少なく、また出血部位が深部であることが多いので、血腫吸引術は行わないが、脳室内出血は多いので出血量が多い場合や水頭症をきたした場合は脳室ドレナージを行う。
亜急性期、慢性期:
血流改善を目的として、浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術、脳表-側頭筋付着術、脳表-浅側頭動脈付着術などのEC-ICバイパス術を行う。
頚部交感神経切断術が行なわれることもあるが少ない。

<脳腫瘍>
腫瘍総論
■好発年齢
           小児              成人(中年)            
  1位 星状細胞腫 astrocytoma     1位 髄膜腫 meningioma
  2位 髄芽腫 medulloblastoma     2位 下垂体腺腫 pituitary adenoma
  3位 頭蓋咽頭腫 craniopharyngioma  3位 髄芽腫 medulloblastoma
  4位 胚芽腫 germinoma          4位 聴神経腫瘍 acoustic neurinoma
  5位 上衣腫 ependymoma        5位 星状細胞腫 astrocytoma
■好発部位
2歳から6歳まではテント下に多いが、この年齢以外(新生児期から2歳までと学童期以降の成人)ではテント上に多い。
小児でトルコ鞍上部の腫瘍は頭蓋咽頭腫、胚芽腫を、成人では下垂体腫瘍をまず考えるが、頭蓋咽頭腫、髄膜腫も考えられる。
小脳腫瘍の場合、小児ではまず小脳半球なら星状細胞腫を、小脳虫部なら髄芽腫を考える。成人では血管芽腫を考え、網膜にも病変がないか検索する。
astrocytomaは小児では小脳、橋に好発し、成人では後頭葉以外の大脳半球に好発する。
胚芽腫以外の胚細胞腫germ cell tumorは松果体に好発する。
■増殖形式
・伸展性増殖は周囲脳を機械的に圧排しながら大きくなる。髄膜腫、下垂体腺腫、聴神経腫瘍に見られる。
・浸潤性増殖は周囲脳に浸潤しながら大きくなる。乏突起膠細胞腫oligodendroglioma、星状細胞腫、胚芽腫に見られる。海綿芽腫、胚芽腫の境界部は浸潤性だが、腫瘍自身の増殖は伸展性である。
・破壊性増殖は浸潤性増殖の一つであるが、周囲脳組織を破壊しながら増殖する。症状の進行も速い。膠芽腫glioblastoma、転移性脳腫瘍に見られる。
■予後に関係する因子
1)増殖のスピード
腫瘍の発生から手術までの期間の短いものは手術による延命期間も短く、発生から手術までの期間が長いものは延命期間も長い。
2)術後に再発するかどうか
一般的に伸展性増殖するものは、肉眼的に全摘できれば、再発しない。だが、浸潤性増殖するものは肉眼的に全摘し、さらに術後の放射線療法、化学療法を行っても再発してくるのが現状である。
3)脳腫瘍の転移
脳腫瘍は普通は転移しない。それは頭蓋内にリンパ系が存在しない、BBBによって腫瘍細胞が血中に入りにくい、脳静脈の構造が特殊なために、腫瘍の増殖によって容易に圧迫、閉塞されてしまう、中枢神経系以外では増殖しにくい上に、腫瘍に対する宿主側の免疫反応により、転移しても増殖できない、等の理由が考えられる。
このように脳腫瘍は一般に、転移しにくいが、くも膜下腔、脳室内に顔を出した腫瘍が髄液腔に広がる、つまり播種されることがある。また髄膜に浸潤し頭皮のリンパ系を介して、患側の頚部リンパ節に転移することもありうる。さらにiatrogenicなケースとして、シャントチューブを介しての転移や、術中に腫瘍細胞で帽状腱膜や皮下組織を誤って汚染し、転移することもありうる。
4)多発性かどうか
一般に多発性脳腫瘍は転移性脳腫瘍、悪性リンパ腫に見られ、高齢者に好発し、予後も厳しい。
少ないが胚芽腫、上衣腫でも多発性に見られることもある。
5)さらに組織学的悪性度、腫瘍の発生部位、患者の年齢、等がある。
■検査
・単純CT(plainCT):
悪性度が低いほど、やや低吸収域lowで、悪性度が高いほど、細胞や間質の密度が高いことを反映して、やや高吸収域highになる。
さらに浸潤性増殖、悪性なら境界が不鮮明である。また、悪性度が高いほど周囲の浮腫も強く、腫瘍周辺は低吸収域となる。腫瘍像の中にはっきりとした高吸収域(high)が見られた場合、腫瘍内出血や石灰化が考えられ、はっきりとした低吸収域(low)では、壊死巣、嚢胞が考えられる。
・増強CT(enhancedCT):
悪性度が高い程、BBBが破壊され、血管内皮細胞の自動調節能が低下しているので増強される。
・MRI:T1で低信号low、T2で高信号highとなる。悪性腫瘍では多彩な組織成分を反映して、信号は不均一となる。
・脳血管撮影:
悪性では新生血管が豊富に分布するbrushing stainが毛細血管相で認められる。浸潤性増殖では主幹脳血管の偏位は著明ではない。
■治療
・外科手術
良性腫瘍で、全摘によって全治が約束される場合は、許容しうる後遺症の範囲内で全摘を目指す。
悪性腫瘍に対する外科手術の目的は
1.症状を改善すること。つまり全摘をめざすよりも、できるかぎりさらなる神経脱落症状が加わらないようにする。
2.腫瘍容量の減少、これは取れば取るほど、後の放射線・化学療法の効果が上がる。
3.病理組織像によって診断を確定し、薬剤感受性を調べ、抗癌剤の選定をし、治療計画を立てること、である。
・放射線治療
放射線に対する感受性は腫瘍の種類によって異なり、膠芽腫、髄芽腫、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍に対しては、かなり効果がある。また胚芽腫は浸潤性増殖し悪性だが、極めて感受性が高く、悪性の臨床経過をとらない。
放射線による腫瘍の縮小効果は腫瘍内の栄養血管の閉塞や狭窄によるものと考えられおり、腫瘍に対する直接作用はない。
放射線はG2期、M期にある腫瘍細胞(5%)にしか効果がないので、腫瘍細胞を一斉にG2期、M期に同調させるビンクリスチン、ACNU等を併用する細胞周期同期化学放射線療法を行うこともある。
悪性腫瘍に対しては全量で60Gyを照射するが、正常脳組織は70Gy以上の照射で遅発性放射線壊死をきたすので、全脳照射は行われず、局所照射が行われる。γ-knifeはドーム状に内蔵された201個の60Co微小線源から定位的にガンマ線を数ミリから3cmまでの目標に集束させて鋭く照射する。
全脳腫瘍の5年生存率は70%程である。最も予後が悪い膠芽腫は7%、次が悪性星状細胞腫で20%である。
■症状
脳腫瘍による症状は徐々に発症し、より詳しく分析してみると常に進行性である。
一見、間欠的なてんかん発作であってもよく見ると間欠期が短くなっていたり、抗てんかん薬が効きにくくなる等、進行性である。
ただし、悪性腫瘍や下垂体腺腫では腫瘍内出血をきたし、あたかも脳卒中のように急激に発症することもある。
さらに、症状は器質的・機能的損傷や機能的刺激による巣症状と腫瘍自体の大きさや、周囲の浮腫による頭蓋内圧亢進症状からなる。
悪性の場合はそれほど大きくないのに周囲の浮腫により、頭蓋内圧亢進症状が巣症状よりも先行し、進行は月単位で進む。視力障害がある場合は、うっ血乳頭は軽度である。
良性の場合、かなり大きくなっても症状をしめさないが、腫瘍による圧排に対する周囲脳の適応限界を超えると急に症状を示す事がある。通常、症状の進行は年単位で進む。視力障害がある場合、眼底所見は重篤なうっ血乳頭が見られる事が多い。

神経膠腫
中枢神経系実質である神経上皮細胞(astrocyte、oligodendrocyte、ependymal cell)由来の脳腫瘍が神経膠腫gliomaである。
Ⅰ.膠芽腫glioblastoma
■astrocyte由来の極めて悪性のものである。5年生存率は7%しかない。50才にピークがある。
astrocytoma,malignant astrocytoma,glioblastomaと次第に悪性化するものと、最初からglioblastomaとして発生するものがある。
好発部位は前頭葉、側頭葉、頭頂葉で、後頭葉は稀である。基底核、視床部も稀だが、他部位からの浸潤はある。
発育が急速、浸潤性でしかも破壊性なので、腫瘍周囲の浮腫も強い。
脳梁を介して対側の大脳半球に浸潤するbutterfly typeも見られる。
脳室壁に進展すると播種することもあるが、術前の転移は稀である。
初発症状は頭痛が最も多い。眼底所見では、うっ血乳頭は軽いが、視力障害は強い。
■膠芽腫では単純CTで境界不鮮明なぼんやりとした低吸収域像の中にはっきりとしたhigh,はっきりとしたlowが混在する。
増強CTでは、不均一に増強され、周囲に多房性の壊死巣を取り囲む腫瘍実質がgarland-like ringenhancement(花輪状)を呈する。

Ⅱ.星状細胞腫astrocytoma
1)大脳星状細胞腫cerebral astrocytoma
■神経膠腫の中でも比較的、良性腫瘍だが、浸潤性増殖する。大脳半球に好発する。
中年に多いが膠芽腫よりも若く、30才にピークが見られる。
発育が緩徐で、頭蓋内圧亢進症状の前に、巣症状が出やすい。
■CT、MRIは原則通りだが、脳血管撮影は、腫瘍に新生血管が少ないので無血管野を示す。
2)小脳星状細胞腫cerebellar astrocytoma
神経膠腫の中で最も良性である。小児に多くみられ、一側の小脳半球に好発する。
大きな嚢胞を形成する事が多く、中には髄液とは異なるタンパク質を多く含んだ黄色の液体が含まれる。
嚢胞壁に付着した壁在結節があり、これが腫瘍本体である。多くは、嚢胞壁には腫瘍細胞はなく、増強CTで増強されない。もし増強された場合は嚢胞壁に腫瘍があると考えられる。
■単純CTでは嚢胞はlowで、増強CTで壁在結節が均一に増強される。壁在結節を全摘すれば治癒する。
3)脳幹膠腫brainstem glioma
橋に多く見られ、小児に好発する。組織型はastrocytomaが最も多いが、一部はglioblastomaも見られる。
組織学的に良性であるが、発生部位が生命中枢なので、手術療法は行われず、放射線治療を行うが、1年以内に死亡する。つまり臨床的には悪性である。嚢胞を形成している場合は嚢胞シャント術を行うこともある。
4)視神経膠腫optic glioma
小児に多いが成人にも見られる。NF1に付随して発生することがある。
頭蓋単純写真で視神経管が4.6mm以上、あるいは左右差が2mm以上なら拡大している。
腫瘍が頭蓋内で大きくなると、トルコ鞍底部が平坦化してくる。これは頭蓋咽頭腫でも見られる。
Ⅲ.乏突起膠細胞腫oligodendroglioma
■大脳皮質に好発し、40才にピークがある。比較的良性だが、腫瘍内出血をきたし、突然に発症することもある。また、両側性、深部に発育する傾向があるので、臨床的には良性とは言いきれない。
大脳皮質の中でも、約半数は前頭葉に好発してんかん発作をきたす事が多い。
■検査
単純CTで、境界が鮮明な低吸収域を示すが、中には大きな結節性の石灰化像による高吸収域が見られる事がある。増強CTでは増強されない。
Ⅳ上衣腫ependymoma
■脳室壁を構成する上衣細胞ependymal cellから発生する。小児に多いが、成人にも見られる。
発生部位は小児では第4脳室が多く、成人では側脳室、第3脳室、中脳水道、脊髄が多い。
第4脳室に発生した場合、中脳水道や上部頚椎管の髄液腔に沿って広がるが、付着部は第4脳室にある。
一方で、側脳室に発生した場合は大脳皮質へ進展する。ただし、浸潤性ではなく被膜を伴っている。上部頚椎管に進展した場合は、項部硬直、肩こり、頚部運動制限等の症状をきたす。
■検査
単純CTで等吸収域isoを呈する。約半数に石灰化による小さい円形の高吸収域を認める。
増強CTでは、均一または不均一に増強される。
Ⅴ.髄芽腫medulloblastoma
■小児に多く見られ、小脳虫部に好発するので正中部腫瘍と言われる。第4脳室、両側小脳半球に急速に浸潤していき、症状の進行が極めて速い。
■単純CTで小脳虫部に境界が鮮明な高吸収域が見られる。増強CTでは均一に増強される。

髄膜腫・下垂体腺腫
Ⅰ.髄膜腫meningioma
■40才台にピークがあり、女性に多い(1:1.7)、良性腫瘍である。以下、好発部位順に述べる。
・傍矢状部髄膜腫parasagittal meningioma
70%が中央3分の1にでき、下肢の痙性麻痺、またはJackson型痙攣をきたす。前3分の1にできると巣症状きたすことなく、相当大きくなって、頭蓋内圧亢進症状をきたす場合が多いが、記憶・知能障害、性格変化で発症する事もある。
・大脳鎌髄膜腫falx meningioma
前、中央3分の1が多く、下肢の痙性麻痺の程度が強く、排尿障害もきたす。しばしば反対側にも進展する。
・円蓋部髄膜腫convexity meningioma
大脳半球円蓋部に発生する。前頭葉に好発し、てんかん発作、巣症状をきたす。
・蝶形骨縁髄膜腫sphenoid-ridge meningioma
外3分の1では局所症状をきたさないが、内3分の1に生じると脳神経のⅡ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴの圧迫による症状をきたす。
・嗅溝髄膜腫olfactory groove meningioma
頭蓋底篩板部に発生する。頭痛、嗅覚消失、Foster-Kennedy症候群、痴呆・多幸症・性格変化などの精神症状をきたす。Foster-Kennedy症候群は、腫瘍の圧迫よって1次的に視神経萎縮、嗅覚消失をきたし、次に、腫瘍や周囲の浮腫による頭蓋内圧亢進で反対側の眼底にうっ血乳頭をきたすというものである。有名だが稀である。
後ろ3分の1に生じると鞍上部髄膜腫や下垂体腺腫と同じ機序で視障害をきたす。
・側脳室髄膜腫lateral ventricular meningioma
脳室脈絡叢に随伴する髄膜組織から発生する。栄養血管は前/後脈絡叢動脈である。側脳室三角部、側脳角に好発する。
・小脳橋角部髄膜腫cerebellopontine angle meningioma
頭痛・めまい・眼振・失調や脳神経障害をきたす。この部位の病変による眼振をBruns眼振(一側注視で振幅大、頻度小、他側注視で振幅小、頻度大の眼振)という。
■検査
単純CT:髄膜腫は血管に富み、境界の鮮明な、やや高吸収域を示す。良性腫瘍を反映して周囲の浮腫は少ない。
造影CT:均一に増強される。中心部に壊死巣が低吸収域として認められることもある。
MRI:T1で低信号、T2で高信号を示す。Gd-T1で付着部硬膜が増強されるdural tail signが見られるが、腫瘍が硬膜へ浸潤していることは少ない。
脳血管撮影:髄膜腫は外頚動脈の枝である中硬膜動脈由来のfeederに栄養されているので、選択的外頚動脈撮影によってfeederの1点から小さい血管が腫瘍に放散しているsun burst appearance像が見られる。
■治療
できる限り全摘を目指すが、頭蓋底など難しい部位にあるときは部分摘除にとどめ、術後に放射線療法を行う。
また全摘できた場合でも、組織学的検索で悪性成分が認められたときも同様に放射線治療を行う。
手術前に血管内手術でfeederを塞栓してから手術を行うと、出血も少なく、摘出しやすい。
■再発率
髄膜腫の再発率は、どの程度、徹底的に手術したか、すなわちSimpsonのgradingによって決まってくる。
GradeⅠ:腫瘍の肉眼的全摘の後、硬膜付着部および異常骨の除去を加える。  再発率9%
GradeⅡ:腫瘍の肉眼的全摘の後、硬膜付着部に電気凝固を加える。再発率19%
GradeⅢ:腫瘍の肉眼的全摘の後、硬膜付着部の電気凝固、骨除去をしない。 再発率29%
GradeⅣ:腫瘍の部分摘出のみ。再発率39%
GradeⅤ:生検の有無に関わらず、単に減圧術のみを行ったもの。
Ⅱ.下垂体腺腫pituitary adenoma
■30、40才台にピークがある。ほとんどは良性だが、稀に悪性型がある。
■症状
他の脳腫瘍と同様に徐々に発症するが、腫瘍内出血をきたす事が多く、あたかも脳卒中のように急激に発症する(下垂体卒中)。
症状は腺腫による圧迫による症状の他、機能性下垂体腺腫の場合は腫瘍が産生するホルモンによる症状がある。
<圧迫による症状>
下垂体前葉の圧迫により、ホルモンの産生・分泌を阻害する。GH、FSH/LH(ゴナドトロピン)、ACTH、TSHの順に阻害される。
視交叉optic chiasmaが前下方から押し上げられ、視力障害や典型的には両耳側半盲をきたす。
三叉神経第1枝が豊富に分布する鞍隔膜が圧迫され、眼の奥から眼底上部にかけての頭痛をきたす。
視床下部や下垂体茎の圧迫によって、視床下部から分泌されるPIF(prolactin inhibitory factor:ドパミン)が遮断され、高プロラクチン症状をきたす。
<ホルモン産生による症状>
一番多いのはプロラクチン産生腫瘍で、全体の30%である。女性では無月経、乳汁分泌過多をきたし、男性では性欲低下、勃起不能、乳汁分泌などで、異常と気づきにくく、視障害をきたしてはじめて来院する場合、腫瘍はかなり大きくなっていることが多い。
次がGH産生腫瘍で、長骨骨端が閉じる前なら巨人症を、閉じた後なら末端肥大症をきたす。
他に高血圧、全身倦怠感、関節痛、糖尿、発汗過多などが見られる。
ACTH産生腫瘍はクッシング病と言われ、クッシング症候群の一つである。
■検査
頭蓋単純写真:
正常トルコ鞍は最大の横幅が17mm、鞍結節と後床突起を結ぶ線から鞍底部までの高さが最大13mmである。
腺腫の進展で、トルコ鞍が拡大するとballooning像を呈し、鞍底部が破壊され見えなくなるとghost sella像を呈する。腫瘍が左右いずれかに深く進展するとdouble floor像を呈するようになる。
HardyのX線学的分類:
  Grade   ⅠⅡⅢⅣ   
トルコ鞍拡大 -+-+
鞍底部の破壊 --++
単純CT:低吸収域を示す。
増強CT:やや高吸収域に増強される。
MRI:正常下垂体前葉は腺下垂体ともいい、T1、T2で高信号で灰白質と同じ信号を呈する。後葉は神経下垂体ともいい、脂肪組織に富むのでT1で高信号、T2で等信号を呈する。腺腫は他の脳腫瘍と同じくT1で低信号、T2で高信号を呈する。Gd-T1では増強される。
脳血管写真:腫瘍の上部への進展により、ACAのA1-elevation、内頚動脈のsiphonの開大が見られる。
■治療
手術療法はsubfrontal,transsphenoidal(Hardy法)の二つのapproachがある。プロラクチン産生腫瘍の場合、ブロモクリプチン(ドパミン作動薬)を投与すると血中のプロラクチン濃度が低下し、腫瘍自体も縮小するので術前に投与される。腫瘍が小さい場合はブロモクリプチン投与のみで治療することもある。

頭蓋咽頭腫・松果体部腫瘍・聴神経鞘腫・血管芽腫
Ⅰ.頭蓋咽頭腫craniopharyngioma
■胎生期の頭蓋咽頭管(トルコ鞍と咽頭を結ぶ蝶形骨内の管)の遺残であるRathke嚢から発生する良性腫瘍で、ほとんどが石灰化を伴った嚢胞を作る。
小児の鞍上部腫瘍suprasellar tumorといえば頭蓋咽頭腫であり、次は胚芽腫を考える。
■症状
鞍上部に発生して上方に伸展すれば、第3脳室やモンロー孔を閉塞して非交通性水頭症をきたしたり、尿崩症・性早熟・低体温・発作性の意識障害などの視床下部症状をきたす。
下方に伸展すれば、視交叉を後上方から圧迫し下方から始まる、左右非対称の両耳側半盲をきたす。また、下垂体を圧迫すれば非機能性下垂体腺腫と同様の症状をきたす。
■検査
頭蓋単純写真:上からの圧迫でトルコ鞍が平坦化したsaucer-like sellaが見られ、鞍上部には石灰化化が認められる。
単純CT:やや低吸収な嚢胞と、嚢胞壁に沿った石灰化による高吸収域が認められる。
増強CT:嚢胞が不規則に増強され、嚢胞壁の石灰化はさらに高吸収域に増強される。
MRI:脳実質と同じ信号でT1・T2でisoとなる。嚢胞内にモーターオイル様の黄褐色の液体を含むことがあり、コレステロールを多く含むので、T1・T2で高吸収域を示す。
Ⅱ.松果体部腫瘍
■70%が胚細胞由来の胚細胞腫瘍germ cell tumorで精巣・卵巣といった生殖器細胞類似のきわめて多彩な組織像を呈する。胚細胞腫瘍は体の正中線上の生殖器、脳、縦隔、後腹膜に好発する。男児に多い。残りは、松果体細胞腫、松果体細胞芽腫である。
■分類
1)胚芽腫germinoma
胚芽腫のみは松果体部よりも鞍上部に発生することが多く、性差はない。一方、松果体部に発生するのは男児に多い。精巣のseminoma、卵巣のdysgerminomaと同じ組織像を示す。PLAP胎盤性アルカリフォスファターゼを産生する。
浸潤性増殖するが、放射線感受性が強い。悪性の臨床経過をとらないが、脳室内播種、脳室壁に浸潤することがある。
2)奇形腫teratoma
成熟奇形腫とは骨・軟骨・粘液腺・上皮・筋などのみからなる。
未熟奇形腫はこの他に神経外胚葉、内胚葉、中胚葉の要素を含み、悪性である。
3)卵黄嚢腫瘍yolk sac tumor
卵黄嚢の組織構築に類似し、AFP(αフェトプロテイン)を産生する。
4)絨毛癌choriocarcinoma
胎盤の栄養膜細胞由来の腫瘍でHCGを産生する。
5)胎児性癌embryonal carcinoma
胎児成分、胎盤や卵黄嚢などの胎児外成分への分化能を示す、未熟な腫瘍であり、AFP、HCGを産生する。
■症状(松果体部に発生する腫瘤による症状)
中脳水道を圧迫し、非交通性水頭症による頭蓋内圧亢進症状を呈する。
中脳の上丘を圧迫し、Parinaud sign、Argylle-Robertson pupilを示す。
Parinaud signは上下の眼球共同運動が障害され、多くは動眼神経核後方の輻輳中枢も圧迫され、輻輳麻痺も伴う。
Argylle-Robertson pupilは縮瞳、対光反射消失、輻輳反射消失の3徴候をしめし、梅毒でよく見られるが、中脳圧迫でも生じる。
また小脳脚を圧迫し小脳症状を呈することもある。
一方、胚芽腫などのように鞍上部に発生した場合は頭蓋咽頭腫と同じような症状を呈する。
■検査
頭蓋単純写真:正常では、成人の3人に1人に松果体部の石灰化を見るが、小児では稀で、石灰化があれば、松果体部腫瘍を考える。
Ⅲ.聴神経鞘腫acoustic neurinoma
■小脳橋角部腫瘍の90%が第8脳神経(聴神経)に発生するSchwann細胞由来の神経鞘腫(Schwannoma)である。
聴神経のうち前庭神経から発生することが多い。40才にピークがある良性腫瘍である。
■症状
高音域を中心とした聴力障害から始まる。耳鳴りを伴うこともある。前庭神経から発生するわりにはめまいを初発症状とすることはない。これはゆっくりと増殖するため、中枢性代償機能が働くためである。
腫瘍が発育するに従って三叉神経、顔面神経症状が出現し、さらに小脳症状や、中脳水道圧迫による頭蓋内圧亢進症状もきたす。最終的には舌咽神経(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ)、副神経(ⅩⅠ)症状も出現する。
■検査
・各種聴力検査、ABR、前庭機能検査を行う。
・頭蓋単純写真:タウンview、ステンバースviewで撮影し、内耳道の異常を見る。
・CT:単純CTではisoからlowを示す。増強CTで均一に増強される。(MRIは他の脳腫瘍一般と同じ)
■治療
park bench position、坐位で後頭下開頭術により摘出する。
手術により顔面神経を切断した場合は、舌下神経、副神経、横隔膜神経などと吻合術anastomosisを行う。
Ⅳ.血管芽腫hemangioblastoma
■遺伝性のものは20才台に、非遺伝性では30才台にピークがある。小脳半球に好発し、Lindau病とも言う。
網膜にも血管腫や血管芽腫が生じた場合はvon Hippel Lindau病という。しばしば、頭蓋内、全身に血管腫が多発する。一部の症例で多血症をきたすことがある。
70%は嚢胞を形成し、腫瘍自体は嚢胞壁に壁在結節となって付着しているcystic typeで、残りは充実性のsolid typeである。
■検査
・単純CTではどのタイプでも腫瘍部分はisoを示す。嚢胞部分はlowとなる。増強CTで腫瘍部分は増強される。
・MRIでは嚢胞がT1でlow、T2でhighとなり、多くの脳腫瘍と同じである。
・脳血管写真では腫瘍部位にtumor stainが見られ、小さく、多発性でも腫瘍の個数分だけ、造影される。

2012年2月16日木曜日

熱中症
①熱痙攣(Ⅰ度熱中症):汗(=1/2生食)喪失+水だけの補給→低Na→悪心嘔吐意識障害、治療は1/2生食輸液
②熱虚脱(Ⅱ度熱中症):脱水→血圧↓→末梢循環不全で乏尿、粘稠度↑で脳梗塞、治療は1/2生食輸液
③熱射病(Ⅲ度熱中症):発汗過多→脱水→発汗不能→体温↑→視床下部体温中枢×でもっと体温↑↑→体蛋白崩壊、治療は1/2生食輸液+腋窩鼠径部の冷却(ぬるま湯蒸散)

2012年2月14日火曜日

国試全般について

国試全般について

・一般65-70%、臨床65-70%、必修80%、禁忌肢3問以下が合格基準
・全500問(うち必修100問)を3日間に分けて実施。
・適切or不適切、1つ選びor2つ選びor3つ選び→確認の時間を取る
「初期対応」「まず行うこと」と言えば、
侵襲の少ないもの→不正性器出血にはまず綿棒で細胞診、外鼠径ヘルニアにはまず用手還納etc
今の状況をしのぐ→出血性ショックは塞栓術よりまず輸液etc
・聞いたことのない選択肢は選ばない(「そんなこと知らないなあ」は×の選択肢)
・メジャー疾患で聞いたことがない選択肢は間違いの可能性大(正しいなら知ってるはず)
・間違いの可能性は、メジャー疾患で知らない選択肢>マイナー疾患で知らない選択肢
・「肝庇護薬」はいつも×
・「止血薬」はいつも×
・「昇圧薬」はいつも×
・「安楽死」はいつも×
・「妊娠可能年齢の子宮全摘」はいつも×
・「説得」「非難」「指摘」「叱責」はいつも×
必修では「唐突」「断定」「極端」「他力本願」な選択肢は間違いの選択肢
・注釈付き選択肢は正しい可能性大(妊娠悪阻でなく重症妊娠悪阻となっているetc)
・「○○○は△△△である」という間違い選択肢は○○○を入れ替えると正解になることが多い(正解かどうか分からなくても、別の疾患についてその選択肢が当てはまる場合はその選択肢は不正解のことが多い)
迷ったら主訴に立ち戻る
「健診で発見」はまず癌を疑う
無症状にいきなりradicalな検査はNG
問題文を読んでいつもと違う記述があれば、そこがポイント
・自信がないときは出題者の意図がつかめていない
・新傾向問題は大抵の場合、消去法で解ける
問題文のどこを根拠にその選択肢を選ばないかを明確にする
・他の人が選びそうな無難な選択肢を選ぶ
・試験場で思いついた考えに飛びつくのは危険
・計算問題は2~3題必ず出る(LDL、SaO2、補正Ca、AaDO2、AG、Posm、FENa、Ccr、BMI)
・1日目に出たところが2日目、3日目にもう一度出ることあり
・合格通知先の住所確認にボールペンが必要
・膝掛け、座布団はOKだが、試験問題配布時に毎回チェックされる
・ミスが発生しやすい状況
①知らない問題でボーっとしてしまい、ありがちな選択肢を選ぶ時
②「これ知ってる」とちょっと興奮して、問題文読み違え
③上記の症候出現時の次の問題
一般、臨床で85%以上取れない実力では必修勝負になる可能性あり(90%以上の実力をめざすよりも必修強化しないと危険)
不合格の6割は必修が原因、4割は必修のみが原因
・必修(C,F,H)は200点中160点以上必要→臨床は1問3点、一般は1点なので、一般、臨床それぞれ最大10問ずつまでしか間違えられない→必修の臨床で11問以上間違うとかなり不利。(必修の臨床を11問間違うと必修の一般は7問までしか間違えられない、必修の臨床を12問間違うと必修の一般は4問までしか間違えられない)→国試の合否は必修で決まる→国試の合否は必修の臨床問題(50問)で決まる
・合格者と不合格者の正解率の差が最も大きいのは公衆衛生
・臨床講義が始まる前にどこでもいいので予備校の直前まとめ講座を録音して聞きこむと全体像が掴めて授業に興味が持てるかもしれない

2012年2月10日金曜日

気管支呼吸音は呼気時に中枢気道でよく聴取→側胸部では聴取しにくい
GDMでもいきなりインスリンはしない。まずは食事療法から。
98回必修
E17,18,29,32,44
F32,33,38

2012年2月8日水曜日

精祖細胞から精母細胞は体細胞分裂
原始卵胞の第1減数分裂は排卵直前に完了→第1極体放出は排卵前
原始卵胞の第2減数分裂は受精時に完了→第2極体放出は受精後
母体血と接するのはラングハンス細胞層(合胞体層)
内側はシンチジウム細胞層(細胞層)
胎盤剥離すると子宮底は児娩出直後より上昇する(∵血腫)
妊娠中の高血圧は28週以降ならCaブロッカー
妊娠中の低血圧はエフェドリン
胎児奇形があっても胎児仮死がない限り急遂分娩はしない
PIHの治療は軽症(140/90以上)なら安静と食事療法、重症(160/110以上)ならヒドララジンで降圧
乳房腫瘍の診察は月経終了7日以内
放射線照射は月経開始10日以内

2012年2月7日火曜日

チアノーゼは眼瞼結膜より口唇
高血圧の定義
120/80未満:至適血圧
120/80以上:高血圧前症
130/85以上:高値正常
140/90以上:Ⅰ度高血圧
160/100以上:Ⅱ度高血圧
180/110以上:Ⅲ度高血圧
自立歩行可能はトリアージタッグ青(緑)
苛性カリ法は真菌と疥癬の検出
扁平苔癬はかゆい
メラノーマは谷が白い、放射線無効
壊死性筋膜炎はCK上がる、MB尿
掌蹠膿疱症は胸肋鎖骨異常骨化で胸痛あり
Sweet病は好中球浸潤、白血病やMDS、HLAB54+(DPBも)
XPは末梢神経障害もあり(中枢神経障害も)
結核による尋常性狼瘡も有棘細胞癌の原因になる
HSV,VZVにはバラシクロビルも
ムンプスの難聴は片側性、耳硬化症は両側性
騒音性難聴は4000Hzの骨導気導↓(C5dip)
耳硬化症は2000Hzの骨導↓(カルハルトのノッチ)
滲出性中耳炎は痛みなし→幼児で気付かれずに言語発達遅延
上咽頭癌は場所的に手術無理
過活動性膀胱は回数多い、尿量少ない、痛みあり、Caブロッカーと抗コリン薬使う、女
腎不全でED
CMLで持続勃起
転移のある前立腺がんは抗アンドロゲン療法(抗癌剤じゃない)
急性膀胱炎は血尿あり、膿尿あり、しかし発熱なし
急性前立腺炎に前立腺マッサージは禁忌
季節性情動障害は過眠と過食
急速交代型は年4回以上の躁鬱
統合失調症は知能正常→WAIS、MMSE必要なし、性格テストはする
ナルコレプシーに伴うのはカタプレキシーであって、カタレプシーではない
ADHDは知能障害はないが学習障害はある、右の前頭前野のNA,ドパミン↓
ナルコレプシーはHLADR2+、視床下部外側野のオレキシン↓、メチルフェニデートと三環系抗うつ薬
REM睡眠行動異常は思い出せる、パーキンソンやLewy認知症、クロナゼパム使う
むずむず脚症候群にプラミペキソール
PTSDは思い出せないのに、突然思い出す(コントロールできない)、重症例は幻覚もあり
中心暗点、変視症→老人なら加齢黄斑変性、光干渉断層計で診断、レーザー、光線力学、ラニビズマブ。中年男性なら中心性漿液性網膜脈絡膜症でストレス回避とレーザー
輪状暗転=求心性視野狭窄は緑内障末期、網膜色素変性症、水俣病
閉塞隅角緑内障にレーザーする
緑内障の急性発作はマンニトールの点滴、角膜浮腫あり→慢性はマンニトールしないし、角膜浮腫なし
急性緑内障は眼圧、慢性は眼底と視野そして細隙灯で隅角見る
白内障手術後の再発は後嚢混濁→レーザー
原田病の髄液所見は蛋白も細胞も↑、夕焼け様眼底、両側性(自己免疫で)
溶接作業は電気性眼炎とじん肺
眼窩吹き抜け骨折はWaters法で撮影
CT値=通りにくさ、水基準、筋は少し上、脂肪は少し下(50HU)
MRI→Ca金属は常にlow、脂肪は常にhigh、FLAIRはT2水抑制、脂肪抑制はT1
Gyは照射量で治療、Svは被曝量で防護、Bqは核分裂能
自然被曝は年2.4mSv,PET1回分
α線はヘリウム原子核
β線は電子
γ線は電磁波
強度変調放射線治療はX線使う、ノバリス、隣接臓器への障害少ない
膠芽腫は芽なのに放射線感受性低い
Ewing肉腫は肉腫なのに放射線感受性高い
胚腫瘍で放射線高いのはセミノーマのみ
放射線で味覚障害はくるが(上皮だから)、嗅覚障害来ない(ニューロンだから)
晩期障害は白内障と発がん
確率的影響は遺伝と発がん(閾値なし、少しの被曝でも生じる可能性ある)
放射線障害で宿酔忘れるな
止血困難な喀血は気管支動脈塞栓
変形性膝関節症では大腿四頭筋訓練=膝関節伸筋





2012年2月6日月曜日

パラシュート、Landauは寝返り以降ずっと見られる
Apgar0点は「なし」3つと全身チアノーゼとフロッピー
XRにFabry忘れるな
ダウンに白内障忘れるな
トキソプラズマの先天異常は耳症状なし
母乳栄養とけいれん→K不足→母乳<牛乳はKと蛋白とCa
RSウィルス予防にパリビズマブ
出席停止
1、2類は治癒するまで、3類は感染力なくなるまで
百日咳は咳の消失、咽頭結膜熱は症状消退後2日
クレチンでは低血糖なし
出生時は正常だが幼児期に低身長→クレチンかGH不足
Turnerは思春期にGrowthSpurtなし→低身長主訴より原発性無月経で来る
十二指腸閉鎖は生後数日
肥厚性幽門狭窄は2~3週
腸重積は3M~2才
メッケル憩室は3才~
MASは生直後
TTN一過性多呼吸は出生1hr以内
RDSは生後数時間
WilsonMikityは生後2~3週


100回必修
D5,16,32,47
E14
105回必修
C20,25,31
H12
卵巣動静脈は骨盤漏斗靭帯を通過
妊娠と炎症の鑑別はCRP
OHSSもPIHも血管透過性
TTTSは吻合血管レーザー焼灼、羊水除去
2卵性は2絨毛膜
1卵生は1絨毛膜か2絨毛膜
1500未満を極、1000未満は超
PIHは妊娠20週~分娩後12週のHT
GDMの診断は分娩後1,4週
GDMといったん診断したらOGTT不要
GDMでは週数十分でも臓器未熟でRDSあり
胎児仮死では頭部、心臓、副腎の血流増加(MCA-RI↓、臍帯動脈RI↑)
腹圧かけるのは分娩第2期と第3期の終わり
産瘤=頭皮の浮腫、先進部、恥骨結合側
頭血腫=骨膜下血腫、仙骨側、骨膜下なので骨縫合は超えない
帽状腱膜下血腫=皮下出血
子宮復古:臍下3横指(直後)→臍(12h)→恥骨(10日)
人工授精は精子を子宮に入れる
IVF-ETは卵子を取り出して受精させて子宮に入れる
代理母は受精卵を他人の子宮に入れる
不育症=習慣性流産の原因は初期は染色体異常、中期はAPSか無力症
早発閉経は43才未満
更年期障害にめまいはない!!!
アクチビン、インヒビンはFSHLHの合成を促進、抑制
子宮頸癌は浸潤3mmまでなら円錐切除可能(Ⅰa1)
子宮体癌は内子宮口に留まるなら単純子宮全摘可能(Ⅰ)
乳癌は2cm以下なら乳房温存手術可能(Ⅰ)
卵黄嚢腫瘍は悪性の卵巣腫瘍!!
チョコから明細胞癌
成熟嚢胞奇形腫から扁平上皮癌


2012年2月5日日曜日

Peutz-Jeghers症候群は過誤腫性のポリポーシス、小腸にポリ-プが多発、腸重積も起こす
肝内結石で最も多いのはビリルビン結石
樟脳誤嚥は塩類下剤
無効造血では血清鉄が上がる
Alportはまず無症候性血尿で発見、次第に蛋白尿へ
Alportの電顕像は細梨、網目、層状
98回
H1,11,14,17,33,37,39,43,45,47,75,80
アノマロスコープが色盲の確定診断、仮性同色表はスクリーニング
ヘスの赤緑試験は眼球運動検査
100回
F11,31,44
家族性アミロイドポリニューロパチーに血漿交換はしない
メチルフェニデート(リタリン)の適応:ADHD、ナルコレプシー、幼児自閉症
ハロペリドールの適応:舞踏病、ジルドラトゥラレット、振戦せん妄
・IEによる雑音は弁破壊によるR雑音
・粘液腫による雑音は弁狭窄によるS雑音

救急医学ポイント

救急医学ポイント

§1 BLS
☆BLSとは
・BLS=basic life support
・心停止で倒れた人に対してバイスタンダー(その場に居あわせた人)が行う、心肺蘇生、AEDによる徐細動、気道異物除去のこと。
☆BLSの流れ
意識の確認(よびかけ、ゆさぶり)

119番通報、人を呼ぶ

呼吸停止の確認(患者の口に頬や耳を近づけて息がない)

下顎挙上で気道確保(舌根沈下による窒息を防ぐ)

人工呼吸2回と胸骨圧迫30回を5サイクル
(AEDの準備ができるまで)

VfならAEDが自動的に除細動
☆CPRの変更点(2010)
・呼気中にO2は15%→ABCではなくCAB(胸骨圧迫で肺胞内にある15%O2を脳へ送るため)
☆救命の連鎖
・脳虚血から5分を過ぎると、不可逆的な脳障害を起こす。
・救急車かけつけるのは通報から平均7分
 →救急救命士が心肺蘇生を行うまでの間はBLSが命綱になる
・迅速な通報、迅速な心肺蘇生、迅速な徐細動、二次救命処置の流れを救急の連鎖といい、これがスムーズに行くと蘇生率が上がる。
・心肺停止患者の復帰率
 欧米は20%、日本は2%
☆ドリンカーの生存曲線
心肺停止から心肺蘇生までの時間が1分遅れると、蘇生率が10%下がる。
☆呼吸停止の判断
・顔を患者の口に近づけて、頬で息を感じ、耳で息の音を聞く
・胸の上下があるか
・心停止ではあえぎ呼吸(死戦期呼吸)が見られるが、呼吸ありと間違えないこと。
・小児の呼吸数10回/分未満は呼吸停止とみなす。
☆心停止の判断
・総頚動脈が触知困難であれば60mmHg以下、脳虚血
 とう骨動脈(-)→80mmHg以下
 大腿動脈(-)→70mmHg以下
・一般人は意識なし、呼吸なしで心肺蘇生を開始してよい
☆人工呼吸の方法
・1回1秒間息を吹き込む×2
・胸郭が軽く膨らむくらい
・脈があるときは人工呼吸のみでよい
 成人10回/分、小児20回/分の人工呼吸、2分ごとに脈を確認
☆胸骨圧迫の方法
・両乳頭の真ん中を圧迫(乳児以下は少し足より)
・成人は胸が約5cm沈むくらい、小児以下は胸の3分の1が沈むくらい
・成人は両腕で、小児は片腕、乳児以下は指2本
・たやさず、手をはなさず、力いっぱい、速く(100回/分)
☆気道異物除去の方法
・気道異物の判断はチョークサイン
・ハイムリック法(後ろにまわって横隔膜のところで両腕を組み、上に持ち上げる)
・乳幼児はお腹を手のひらに乗せて背中を叩く(背部叩打法)
☆AEDの方法
・電源オン→電極パッドをはる→いったん離れて解析ボタン→Vfなら自動音声→ショックボタンを押す
・AEDは1回が原則
・AEDの後、すぐに胸骨圧迫を開始。意識の確認は必要なし。
・新生児、乳児にはしない。
・濡れていればふく
・胸毛が多ければ剃る
・目の前で心停止になったときはまずAED→Shock First
(心停止から5分過ぎているとき、目撃者がないときは心肺蘇生から→CPR First)
§2 ALS
☆ALSとは
・advanced life support
・医療機関で行う救命処置
・心肺蘇生(CPR)、電気的除細動、確実な気道確保、静脈路確保と薬剤投与、心停止の原因検索(4H&4T)
☆ICLSとは
・immediate cardiac life support
・突然の心停止に対して最初の10分にチームで行う心肺蘇生法を学ぶトレーニングコースのこと
☆心停止
・心停止には心静止(asystole)、無脈性電気活動(PEA)、心室細動(Vf)、無脈性心室頻拍(pulselessVT)の4種類がある。
・心静止(asystole)では技術的なミスがないか確認すること。
例:誘導のリードが外れていないか、誘導の位置、電源が入っているか
☆気道確保の種類
・下顎挙上
・バッグバルブマスク:口にマスクをする
・ラリンゲアルマスク:喉頭にマスクをする
・気管挿管:気管支内にマスクをする
・輪状甲状靭帯切開術、輪状甲状靭帯穿刺
☆気管挿管の確認方法
・空気を送り込んで心窩部でボコボコ音を聴診する
・空気を送り胸郭が挙上するか
・チューブ内の曇り
・酸素投与によるSpO2
・呼気CO2モニター(カプノメーター)
・食道挿管検知器
☆電気的除細動の方法
・200J→300J→360J
・右鎖骨直下と左乳頭部外側にパッド
☆心肺蘇生の薬
・エピネフリン
 α作用:大動脈収縮→冠動脈圧↑
 β作用:心収縮力↑、刺激伝達系の自動能↑
 1mgを3分ごと、0.2mg/kgまで
・バソプレッシン
 血管平滑筋のV1レセプターを介して強い昇圧作用
 40単位を1回
☆難治性Vf,難治性pulselessVTへの薬
・電気的除細動が効かないときに使う
・アミオダロン
 3群抗不整脈薬
 すべてのイオンチャネル、α、β遮断
 初回300mg、追加150mg
・リドカイン
 1b群抗不整脈薬 
 Naチャネル阻害→心室性不整脈に使う
 1mg/kgを3分ごと、3mg/kgまで
・ニフェカラント
 3群抗不整脈薬
 K電流の抑制→不応期延長
 0.3mg/kgを5分かけて
☆心静止、無脈性電気活動への薬
・アトロピン
 副交感神経遮断
 エピネフリンの後に投与
 1mgを3分ごと、3回まで
☆炭酸水素ナトリウム(メイロン)の使い方
・慢性腎不全、三環系抗うつ薬、アスピリン中毒などでpH7.2以下のひどいアシドーシスのとき
・平衡移動で二酸化炭素が発生するので、呼吸性アシドーシスには使わない。
☆心停止の原因
・4H=hypovolmia,hypoxia,hypothermia,hyper/hypoK
・4T=toxin,tamponade,tension pneumothorax,thrombosis(肺,冠)
☆ALSの流れ
・Vf,pulselessVTのとき
CPR、酸素投与

心電図装着

Vf,pulselessVTなら電気的除細動

すぐにCPR再開

まだVf,pVT

気管挿管、静脈路確保→エピネフリン

電気的除細動

すぐにCPR再開

リドカイン、ニフェカラント、硫酸Mg

電気的除細動

すぐにCPR再開
・Asystole、PEAのとき
CPR、酸素投与

心電図装着

Asystole、PEAなら気管挿管、静脈路確保→エピネフリン、バソプレッシン、アトロピン
§3 外傷
☆JATEC
・JATEC=Japan Advanced Trauma Evaluation&Care
・初期診療が適切なら助かった例が外傷死の40%近くある
→初期診療の教育が必要で、そのためのガイドラインがJATEC
・致命的になりうる病態を確認しつつ死なせないための蘇生、検査をPrimarySurvey(PS)
・PrimarySurveyで死の危険を回避した後にゆっくりと全身検査、治療を行うのがSecondarySurvey(SS)
☆PrimarySurveyの流れ
・救急隊の連絡がきたらMISTを聞くこと。
 M=Mechanism(受傷機転)
 I=InjurySite(受傷部位)
 S=Sign(バイタルサイン)
 T=Treatment(どのような処置をしたか)
・受け入れ準備をする。
 人集め、輸液を暖める、薬/モニター/酸素の準備、XpやFASTの準備、感染防御
・ABCDE
☆A=Airway(気道)
・しゃべれればAはOK
・Aの異常があれば、気道確保、100%酸素を10L/分、首の損傷時はカラー固定
・気道確保は下顎挙上、吸引、気管挿管、輪状甲状靭帯切開/穿刺
☆B=Breathing(呼吸)
・Bの異常をきたすものを見逃さない。
・フレイルチェスト
3本以上の肋骨が2か所以上で骨折
奇異呼吸(吸気で胸が陥凹する)
治療は、鎮痛薬、硬膜外麻酔、陽圧人工呼吸による内固定
・緊張性気胸
患側胸郭の著明な膨隆、頚静脈怒張、呼吸音左右差、皮下気腫、鼓音、チアノーゼ、頻脈、血圧低下
症状からすぐに判断する。Xp撮っている間に死ぬ。
治療は、とりあえず胸膜穿刺、落ち着いたら胸腔ドレナージ
・開放性気胸
落ち着いて胸腔ドレナージ。
応急処置はサランラップを使った3辺テーピング
(肺内の空気を出すが入れないようにする)
・大量血胸
胸腔ドレナージ
ドレナージ時に1L以上出血した場合、1時間あたり200mLの出血が2~4時間続く場合は開胸手術
・ドレナージの穿刺部位
気胸→第2肋間鎖骨中線上
胸水→第5、6肋間後腋窩線上
血気胸→第5、6肋間前腋窩線上(常に陰圧で)
穿刺部位は肋骨上縁(肋間動脈損傷を防ぐため)
☆C=Circulation
・90%は出血性ショック、残りは閉塞性ショック(緊張性気胸、心タンポナーデ)
・初期輸液
 静脈路を2本確保(上腕正中肘静脈2か所)して、リンゲル液を2L/20分→TR,NRなら輸血
・初期輸液の結果
Responder:輸液後に血圧が90以上。SSで原因検索。
TR(TransientResponder):一時的に90以上になるが、輸液を中止すると90以下になる。
NR(Nonresponder):輸液してに血圧上がらず→すぐに気管挿管
・輸血
Hbが7以下、Htが30%以下なら加温濃厚赤血球(RC-MAP)を投与。クロスマッチする暇がないときはO型赤血球を輸血
・出血源を探す
胸、骨盤はXp、腹はFAST
・FAST=fast assesment with sonography for trauma
心窩部:心タンポナーデを見る
左右の胸腔:血胸を見る
左右の季肋部:腹腔内出血を見る。右はモリソン窩、左は脾腎間
ダグラス窩:骨盤内出血を見る。
・心タンポナーデ
診断:Beckの3徴候(血圧低下、静脈圧上昇、心音減弱)、頚静脈怒張、奇脈(吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上下がる)、FASTで心臓周囲のecho free space、Xpで心臓陰影拡大
治療:心嚢穿刺(左45度、上45度の方向で剣状突起下穿刺)
☆D=disfunction of CNS
・まずPSで呼吸循環を安定させてからSSで神経系の治療に入る。
・「切迫するD」のときはSSでまず頭部CTを行う。
・切迫するD
 GCSが8以下
 急激にGCSが2以上低下
 瞳孔不同
 クッシング現象
・GCM
 E:4自発 3呼びかけ 2痛み 1なし
 V:5OK 4混乱文 3混乱発声 2音声 1なし
 M:6命令従う 5痛み部位 4痛み逃避 3除皮質硬直 2除脳硬直 1なし
§4 熱傷
☆直後の応急処置
・冷却30分以上
(代謝抑制、浮腫や疼痛の軽減、熱傷深度の進行抑制)
☆熱傷深度分類
・1度(EB=epidermal burn)→表皮までの熱傷
 2度(SDB=superficial dermal burn)→真皮の上層まで
 2度(DDB=deep dermal burn)→真皮の下層まで
 3度(DB=deep burn)→皮下組織まで
・1度:発赤、疼痛あり
 2度SDB:水泡底の真皮が発赤、疼痛あり
 2度DDB:水泡底の真皮が白色、疼痛なし
 3度:蒼白、羊皮紙様、または炭化、無痛
☆熱傷面積
・手=1%
・成人は9の法則、小児は5の法則
・9の法則:頭=9、腕=9、胴体=9×2、足=9×2
・5の法則:頭=20、腕=10、胴体=10×2、足=10
☆重傷度
・%BSA=2度+3度→輸液量
・BurnIndex=(1/2)×2度+3度→植皮術面積
・Artz基準の重症:2度>30%、3度>10%、顔面熱傷(気道熱傷)、手足熱傷、骨折合併
☆病態変化
・ショック期(2日まで)
 血管透過性亢進→循環血漿量減少性ショック(8時間ピーク)
(ヒスタミン、フリーラジカル、キサンチンオキシダーゼ)
・利尿期(2~5日)
 血漿成分が血管内へ戻る→心不全、肺水腫
・感染期(5日~)
 敗血症
☆治療
・顔面熱傷では気道熱傷があるので気管挿管

・成人20%以上、小児10%以上、顔面熱傷(気道熱傷)では、静脈路2本確保、尿道バルーンカテーテル、麻痺性イレウスに備えて胃チューブ

・破傷風対策、しかし初期では抗菌薬不要、抗潰瘍薬(Curling潰瘍)

・細胞外液補充液輸液(乳酸リンゲル)
 侵襲により高血糖なのでブドウ糖は不要
 輸液量はBaxterの式で計算する
 24時間の輸液量=4×%BSA×体重kg
 (半分を8時間で投与する)
・コロイド輸液(アルブミン製剤)
 血管透過性がピークになる8時間以降
 血清蛋白<4、血清アルブミン<2で適応
(やがて来る心不全、肺水腫を予防するため)
・栄養管理(Curreriの式)
 成人:25×体重+40×%BSA
 小児:60×体重+35×%BSA

局所管理
・水泡はつぶさない。
中に創傷治癒を促進するサイトカインが多い。創傷被膜になり疼痛を減らすから。ただし、感染があれば除去する。
・軟膏
SDBまで:ステロイド軟膏、アズノール軟膏、抗生剤軟膏、ワセリン
3度:ゲーベンクリーム
ゲーベンクリームは細胞障害を起こすことがあり、白血球減少により創傷治癒を遅らせることがある。
・3度
デブリードマン:壊死組織をスライス状に切除、感染創が成立する48時間以内に
植皮:
自家移植が基本
同種移植は一時的だが、表皮カバーにより救命率を上げる
全層移植:顔、関節、中心静脈(シート状植皮)
分層植皮:広い範囲を覆うためにパッチグラフト、メッシュグラフトにする。
減張切開:
コンパートメント症候群に行う。
(コンパートメント症候群:NSAIDs無効の激痛。しかし、足背動脈は触れる→TAO,ASOとの鑑別)
§5 急性中毒
☆死亡率
・自殺   年間30000人
 交通事故 年間10000人
 急性中毒 年間 5000人
・急性中毒の80%は農薬とガスによる。
・全体として急性中毒で死ぬ率は200人に1人(199人は死なない)
☆急性中毒は疑いを持つことが第一
・原因不明の意識障害
 激しい嘔吐、下痢
 説明不能の臨床症状
 精神科疾患
 集団発生
・いつ、どこで、どれくらい、どこから摂取したか
☆血中濃度
・血中濃度の変化は、αカーブ(血管かた組織への移行)→βカーブ(組織内での代謝と排泄)
・分布容量(Vd)
 Vd=2なら全体の1/2が血中にある
 Vdが大きいほど全身への広がりが大きい
・血液浄化の効果
分布容量が大きいほど、蛋白結合率が高いほど、脂溶性が高いほど、血液浄化の効果が小さい。
→フェノチアジン系、バルビツレート系、ベンゾジアゼピン系、三環系抗うつ薬には血液浄化は無効。
cf)
フェノチアジン系(抗D2):クロルプロマジン、フルフェナジン→活性炭
ブチロフェノン系(抗D2):ハロペリドール、ドロペリドール
バルビツレート系(GABA刺激):フェノバルビタール→活性炭
ベンゾジアゼピン系(GABA刺激):ジアゼパム、クロナゼパム→フルマゼニル
☆胃洗浄
・臨床機転を変えるというエビデンスはない。
・原則服用1時間以内
(炭酸リチウムでは10時間でも胃洗浄)
・石油系(ガソリン、灯油)、強酸、強アルカリでは逆流時に障害を起こすので禁忌
・意識障害時には気管挿管下で行う。
・左側臥位、低頭位、1回200mLを10回以上行う
・胃洗浄vs輸液:軽症ならこれ以上悪化させないため胃洗浄を優先
☆活性炭
・有効性が証明された。
・強酸、強アルカリ、エタノール、ヒ素、フッ化物、臭化物は吸着しない。
・温水300mLに100gを溶かして投与。その後は6時間ごとに半分ずつ投与する。
・アスピリン、アセトアミノフェン、バルビツレート系、フェニトイン、石油系。
☆腸洗浄
・パラコートによく使う。
・右側臥位で、胃管挿入して行う。
☆強制利尿
・尿細管での再吸収を減らす
・乳酸リンゲル+1/2生食を2L/時間
・バルビツレート系、サリチル酸のみに有効
☆血液透析
・メタノール、エタノール、イソプロパノロール、エチレングリコール、炭酸リチウムに有効
☆血液吸着
・テオフィリンに有効
☆中毒物質と拮抗薬
・CO→高圧酸素(3気圧酸素ならHbがなくても生きていける!)
・青酸化合物→亜硝酸薬、チオ硫酸
・有機リン→PAM、アトロピン
・サリン→アトロピン
・麻薬→ナロキサン
・アセトアミノフェン→Nアセチルシステイン
・ヨード→バレイショデンプン、チオ硫酸ナトリウム
・メトヘモグロビン血症(アニリン)→メチレンブルー
・ベンゾジアゼピン系→フルマゼニル
・ジゴキシン、ジギトキシン→ジゴキシン特異抗体、フェニトイン
・クマリン→ビタミンK
・メタノール→エタノール
・ヒ素、水銀→ジメルカプロール
・鉛→エデト酸ナトリウム
・銅→ペニシラミン
・鉄→デスフェラール
・アスピリン、三環系抗うつ薬→メイロン(炭酸水素ナトリウム)
☆一酸化炭素中毒
・COのHb親和性は酸素の250倍
→O2が100mmHg、COが0.4mmHgでもCO-Hbは50%
・CO-Hbが50%以上になると低酸素血症により意識障害
・パルスオキシメーターはHbO2とHbCOを区別できないのでCO中毒
を検出できない。
 パルスオキシメーターが役に立たない時→血圧低下、重篤な不整脈、マニキュア、CO中毒
・治療は酸素を10L/分(COを追い出す)
・チアノーゼはない。
 チアノーゼは酸素と結合していないHb(還元型Hb)が多いときに見られるから。
・逆に皮膚が紅潮する。
(赤く見えるため一酸化炭素マグロなるものがあるらしい)
☆タバコ
・小児では1本、成人では3本が致死量。
・しかし実際には催吐作用により吐き出すので重篤にはならない(吐いてないときはそれほど食べていない)。
☆有機リン(殺虫剤)中毒
・マラチオン、フェニトロチオン
・AchEを阻害する
→ニコチン作用阻害:筋攣縮、筋力低下(呼吸筋麻痺)
 ムスカリン作用阻害:副交感神経系亢進(縮瞳、発汗)
 中枢作用:錯乱、意識障害
・甘酸っぱい、頭が痛くなるような匂い、白い吐物
・pin point pupilを見たら、橋出血、有機リン、麻薬
・治療
 PAM(プラリドキシム)→有機リンを直接阻害
 アトロピン→Ach受容体を阻害
・PAMが効くのは服用24時間以内(有機リンのPAM結合部位が時間とともに変化していくから→agingという)
☆パラコート(除草剤)中毒
・青緑色、コバルトブルーの吐物、手や服に緑色の付着物。
・NADPHにより還元されてパラコートラジカルになり、それが酸素をスーパーオキサイドにして、細胞障害。
・大量摂取時の経過
 1日目 悪心嘔吐があるが一見元気
 2日目 肝不全、腎不全
 3日目 ARDS~呼吸不全~死亡
・できるだけ早い胃洗浄、腸洗浄
・イオン交換樹脂によく吸着されるので併用する。
・念のための酸素投与は禁忌。肺線維症への進行を速めるから。ただし低酸素血症なら躊躇しないこと。
・肝不全や腎不全を乗り越えても、肺線維症が進行し数カ月後に死亡する例をいかに救命するかが大切。
☆塩素ガス中毒
・酸性洗浄剤+塩素系漂白剤で生じる。
☆硫化水素ガス
・酸性洗浄剤+硫黄含有入浴剤で生じる。
§6 ショック
☆ショックとは
・急性、全身性の循環不全による細胞臓器障害
☆ショックの分類
 血液分布異常性ショック:血管が拡張して血液が別のところへ行ってしまう
  ①感染性:エンドトキシン→NOsyntase活性化→NO↑→血管拡張
  ②アナフィラキシー:1型アレルギー→ヒスタミン→血管拡張
  ③神経原性:交感神経遮断→血管拡張
 循環血液減少性ショック
  ①出血性
  ②体液喪失
 心原性ショック
  ①心筋性
  ②機械性:ASなど
  ③不整脈性:有効な収縮がない
 閉塞性ショック:血液が心臓に戻れない
  ①心タンポナーデ
  ②肺塞栓
  ③緊張性気胸
☆循環血漿減少性ショックの病態
・血液量低下→前負荷低下→心拍出量低下→交感神経亢進→頻脈、血管抵抗上昇
・血管抵抗上昇は皮膚、筋、腎臓で著明
→血流を脳、心臓、肺へ再分布する
・症状は、血圧低下、脈圧低下、心拍数上昇、末梢静脈虚脱、爪床refillimg遅延(2秒以上)、頚静脈怒張、肝うっ血、皮膚の蒼白、冷感など
・出血性ショック:外傷、大動脈破裂、消化管出血、産科出血、手術後の出血
・体液喪失性ショック:広範囲熱傷、汎発性腹膜炎、腸閉塞、重症下痢、熱中症
☆心原性ショックの病態
・心臓ポンプ機能の低下→前負荷上昇(CVP上昇、PAWP上昇)
・原因:心筋梗塞、DCM、MR、AS、心室瘤、ASD、不整脈
☆心外閉塞性ショック
・心タンポナーデ、収縮性心膜炎、重症肺塞栓症、緊張性気胸
・緊張性気胸では胸腔内圧上昇による静脈還流低下→心拍出量低下
☆感染性ショックの病態
・原因:敗血症、脳炎、髄膜炎、肺炎、血管内カテーテルなど
・TNF、IL-1、PGE2、プロスタサイクリン、NOなどが上昇し、血管が拡張
・初期は心拍出量を増加させて血管拡張に対応するので皮膚温が高く、紅潮するwarm shockとなる。
・発熱とともに血圧が低下してくる。
☆SIRS
・感染などの侵襲→サイトカイン分泌→発熱、頻脈、白血球増多、呼吸数増多
・感染によるSIRSを敗血症という。敗血症による循環不全が感染性ショック。
・診断基準:
 1.体温 36度以下または38度異常
 2.心拍数 90以上
 3.呼吸数 20以上またはPaCO2が32mmHg以下
 4.白血球 4000以下または12000以上
 のうち2項目以上を満たす場合
☆アナフィラキシーショックの病態
・特異的IgEが肥満細胞、好塩基球に結合→ヒスタミン、ロイコトリエン放出→血管透過性亢進→気道浮腫、血圧低下→吸気性呼吸困難、循環不全(1型アレルギー)
・薬剤投与後、速く発症するほど重症化しやすい。
・治療は0.1%エピネフリン(ボスミン)
☆神経原性ショックの病態
・脊損かVVRが原因
・血圧が低下するが交感神経が機能せず徐脈
・徐脈なショックは神経原性ショックと完全AVブロック(右室梗塞)によるショック
・感染性ショックと神経原性ショックはノルアドレナリンを積極的に使う(∵血管拡張による血流分布異常がある)
☆ショックの応急処置
・気道確保
・10L/分の酸素投与
・静脈路確保(末梢で2本)
・pH7.15以下以下の時はアシドーシスの補正にメイロン(炭酸水素ナトリウム)
§7 救急の特徴と災害救急
☆救急の特徴
・診断と治療を同時に行わなければならない。
・十分な診断をする前に、とりあえず蘇生する場合がある。
☆救急の歴史
1947 マッカーサーの命令で消防が警察から独立
1963 救急搬送が消防業務になる(交通戦争による外傷者中心)
1964 「救急告示病院制度」
1967 大阪大学に特殊救急部が開設(高次医療の草分け)
1976 「当面とるべき救急医療対策について」
   初期救急医療 開業医が輪番で担当
   2次救急医療 総合病院が輪番で担当
   3次救急医療 救命救急センター設置
1987 高齢化により外傷者<病人→病人搬送が消防業務になる
1991 欧米に比べCPA生存率が低い→救急救命士制度
   医師の指示のもとに、
   1.AED、
   2.ラリンゲアルマスクによる気道確保
   3.静脈路確保と乳酸リンゲル投与
1998 救急告示病院が初期、2次、3次救急に統合
以降、救急救命士のできることが広がる
2003 医師の指示がなくても除細動ができる
2004 気管挿管
2006 エピネフリン投与
☆災害医療=3T
・triage,treatment,transport
☆災害医療の特徴
・限られた資源(医者、看護師、薬)を有効活用するために、死にそうになっている人で助けられる人をトリアージ(選別)する必要がある。
・高度医療が必要な人をトリアージし搬送する。
(適切な患者を、適切な時期に、適切な手段で、適切な医療機関に移動させる)
・求められる医療が時間とともに変化する。
 救出、救助→救急医療→慢性疾患、精神サポート
☆災害医療体制
問題点
・被害状況の情報収集が困難
・ライフラインの低下により診療機能が低下
・初動期に、被災地外からの医療支援が遅れる
・防災訓練が不十分
・メンタルヘルス対策が不十分
対策
・応援協定の締結(他府県からの協力)
・広域搬送システムと緊急消防援助隊の導入
・災害拠点病院
 要件:重症患者の救命、医療チームの派遣、機材の提供、ヘリポートと搭乗医師、24時間体制
 (救命救急センターでなくてもよい)
・DMATの設置
 急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム
 任務
 1情報収集
 2トリアージ、治療、搬送
 3医療機関(特に災害拠点病院)での支援
 4広域搬送拠点での支援
・トリアージ
 黒:死亡、救命不可能
 青:自立歩行可能
 黄:赤青でないもの
 赤:呼吸数30回/分以上、CRT(爪床還流)2秒以上、指示に従えない
・トリアージはくりかえし行う。
§8 熱中症と低体温
☆熱中症の分類
・日射病、熱けいれん、熱疲労、熱射病
☆日射病(最も軽症)
・直射日光→皮膚血管拡張、筋血流増加→循環血漿量低下
・38度以下の場合に使う。
☆熱けいれん
・激しい運動→発汗過多→水だけを補充→Na濃度低下→強直性痙攣(痛い)
・筋痙攣が激しい時はミオグロビン尿(Mb尿)を伴う。
・治療は生理食塩水2本の補給、Mb尿時は急性腎不全対策
☆熱疲労
・熱射病の前段階。臓器障害には至っていない。体温は39度~40度、皮膚は蒼白だが発汗はある。
・水だけが失われる高張性脱水(小児や高齢者)や水の補給だけを行った場合には低張性脱水になる。
☆熱射病
・体温の上昇で視床下部の体温中枢が障害→41度以上でミトコンドリア障害→42度以上で細胞内のタンパク変性→細胞障害→多臓器不全
・著しい脱水と発汗停止、脳圧亢進による意識障害、循環不全による腎不全、肝不全、ST上昇とT波陰性化、肺鬱血によるPaCO2上昇
・深部体温は直腸温、膀胱温、食道温、鼓膜温の2つ以上で測定する。
・治療は、冷却(頚部、鼠径部、腋窩)、冷却輸液、冷水胃洗浄、冷却体外循環。ただし、冷却は38度になったら止めること。
・解熱薬は無効。
☆偶発性低体温
・深部体温が35度以下 
・低血圧なのに徐脈(→低体温、VVR、神経原性ショック、下壁梗塞)
・軽度(32-35度):交感神経亢進(→血圧↑、頻脈、高血糖)
 中度(28-32度):心筋抑制、血管透過性↑、ADH分泌低下(→心拍出力↓、徐脈、血圧↓、代謝性アシドーシス)
 重度(28度未満):意識障害、心室細動
☆偶発性低体温の治療
・酸素投与、輸液、循環管理(心マ、除細動、ドパミン、ドブタミン)
・高度低体温にはPCPSを考慮。リドカイン、アトロピンなど薬剤効果は少ない。
・復温
 34度以上→Passive external Rewarming=室温、毛布
 30度以上→Active external Rewarming=体幹中心の電気毛布、ストーブ
 30度以下→Active internal Rewarming=加温輸液、加温加湿酸素、加温PCPS、温水膀胱洗浄、胃胸腔への温水注入
・Rewarmingショック
 external rewarmingによって皮膚血管が拡張
→心臓の復温が遅れて心拍出量が上がらず、末梢需要に追いつかない、冷却血液が心臓へ還流
→血圧低下(ショック)、心室細動
 ∴internal rewarmingとともに輸液を忘れないこと。

麻酔科ポイント

麻酔科ポイント

☆吸入麻酔
・MAC:最小肺胞内濃度、50%の患者が麻酔にかかる濃度
・血液/ガス分配係数:大きいと導入に時間がかかる
・油/ガス分配係数:大きいと作用強い
・二次ガス効果:吸入麻酔は相加効果がある
・拡散性無酸素症:笑気は高濃度使用→麻酔中止時に肺胞内充満→肺胞内低酸素
・循環なし→NLA、笑気(他は大抵循環抑制あり)
☆吸入麻酔:セボフルラン+笑気+酸素
・セボフルラン:中枢抑制強い、ハロセンと違って肝障害はない、鎮痛効果小さい
・笑気:亜酸化窒素、効きにくい(MAC105)が鎮痛効果が大きいので併用する、気胸、イレウス、肺嚢胞、脳圧亢進には禁忌
☆静脈麻酔
・チオペンタール:GABAa作働薬、脂溶性→BBB通過しやすいが作用時間短い(∵脂肪組織への移行)、鎮痛効果はないので笑気を併用、喘息やポルフィリン症には使えない
・プロポフォール:GABAa作働薬、持続点滴可能、喘息にも使えるが循環抑制、血管痛あり
・ケタミン:筋注可能、圧(血圧、脳圧、眼圧)は全て↑、解離性麻酔薬(皮質↓、辺縁系↑)→悪夢
・NLA:メジャートランキライザー(ドロペリドール)+麻薬性鎮痛薬(フェンタニル、ペンタゾシン)、循環抑制なし→心臓手術、除痛が強力→頭頚部手術、意識あり→定位脳手術
☆局所麻酔:温→痛→触→圧の順にブロック、C線維は温痛覚、B線維は血管運動、あとはA線維(α~δ)
・エステル型:コカイン、プロカイン→腎排泄、アナフィラキシー、ChEで分解
・アミド型:リドカイン、ジブカイン、プピバカイン→肝排泄、中毒
・局麻中毒:注射3分後に興奮、多弁→頻脈、過呼吸→全身痙攣→意識消失、治療は100%酸素、ジアゼパム、予防は血管内注入避ける、エピネフリン添加(指と陰茎には禁忌)
・脊椎麻酔:ヤコビー線(L4棘突起上)から注入→下半身の麻酔、脳圧亢進には禁忌、副作用は低血圧、腸蠕動↑、頭痛、複視、喚起障害(∵下半身を挙上→肋間神経ブロック)
・硬膜外麻酔:分節麻酔が可能→全身麻酔の補助、疼痛管理、ペインクリニック、外から注入→効きにくい→大量投与→中毒起こしやすい
☆ペインクリニック
・腕神経叢ブロック:合併症は気胸(鎖骨上窩穿刺→胸痛、呼吸困難)
・星状神経節ブロック:C7両側の交感N節、頭頚部上肢の痛みに、合併症はホルネル、反回N麻痺
・腹部神経叢ブロック:膵癌など腹部腫瘍
・腰部交感神経節ブロック:TAO
・半月神経節ブロック:三叉神経痛
☆筋弛緩薬
・挿管時にレスピレーターとバッティングするのを防ぐため
・脱分極性:サクシニルコリン(スキサメトニウム)→AchRに結合しブロック→短時間作用、K↑、線維束れん縮、悪性高熱(非脱分極型にはない)
・非脱分極性:ベクロニウム→Achと競合→長時間作用、テタヌス刺激で減衰(MGのwaningと同じ)、抗ChE(ネオスチグミン→MGの治療薬)で拮抗
・悪性高熱:家族性、平時でCK↑、高熱と筋強直→Mb尿→腎不全、治療はダントロレン(筋に直接作用する筋弛緩薬)
☆特殊な麻酔
・小児:最狭部は声門下部、カフは使わない
・肥満:FRCがclosing volume以下
・高齢者:術後無気肺
・妊婦:食物排出時間遅延→誤嚥性肺炎(Mendelson症候群)
☆人工呼吸管理:Bは自発呼吸+、Vは自発呼吸-
・IPPV(CMV):間欠的陽圧換気、自発呼吸なし、一定時間ごとに人工換気
・NIPPV:非侵襲的陽圧換気、マスクをして在宅で行う
・CPPV:持続的陽圧換気、自発呼吸なし、PEEPで呼気終末の虚脱を防ぐ
・SIMV:同期式間欠的強制換気 自発呼吸に同期する(不定期)、自発呼吸がよくなると人工換気も減る、人工呼吸器の離脱時に使う
・CPAP:自発呼吸にPEEPをかけること、睡眠時無呼吸に使う
・PSV:自発呼吸の吸気時にあわせてairを送り込む、自発呼吸+
・PEEPの欠点:胸腔内圧↑→静脈環流↓→尿量↓、気道損傷、気胸、肺気腫

泌尿器ポイント

泌尿器ポイント

・腎門部はL1、前からVAU(静脈、動脈、腎盂)
・左腎静脈には左副腎v、左精巣v、左卵巣vが入る
・(内)線維被膜→脂肪被膜→腎筋膜(Gerota筋膜)(外)
・副腎は腎筋膜の内側、横隔膜内側脚に接する
・腎皮質は中胚葉、髄質は外胚葉由来
・尿管の生理的狭窄部位:腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、膀胱尿管移行部
・尿管は大腰筋前面、総腸骨AV前面を通過
・女性では尿管は膀胱子宮靱帯を貫く
・膀胱三角部:内尿道口と2つの尿管口から成る三角、Wolff管由来、中胚葉、腫瘍結核の好発部位
・膀胱の筋層:3層(内縦、中輪、外縦)
・尿道は前立腺部→膜様部→海綿体部→舟状窩、前立腺部は移行上皮、膜様部と海綿体部は円柱上皮、舟状窩以降は扁平上皮、膜様部が最も狭い
・勃起中枢はS2-4(副交)、射精は交感支配
・精巣細胞(精細管内)→16日で精祖細胞→16日で精母細胞→16日で4個の精娘細胞→16日で4個の精子
・精粗細胞→精母細胞は体細胞分裂、以降は減数分裂
・Sertoli細胞:精細管内、精子形成補助、FSHで↑
・Leydig細胞:精細管外、テストステロン分泌、LH↑、間質細胞とも言う
・前立腺液:プロスタータ(前立腺)に含まれるグランド(分泌物)→PGを含む(血中に入らないので精液には子宮収縮作用なし)
・Y染色体上のSRY遺伝子により5週に精巣形成、アンドロゲン産生→8週に外性器の分化開始→3Mに外性器完成、精巣下降開始
・正中臍索:膀胱と臍をつなぐ管が退化したもの、尿膜管癌が発生(膀胱腺癌)
・腎疝痛→結石、急性腎盂腎炎
・精巣疝痛→精巣捻転症
・膀胱刺激症状:残尿感、排尿痛、頻尿。膀胱炎、膀胱癌、前立腺肥大
・背部叩打痛(CVA-t):尿管結石、急性腎盂腎炎(腎石灰化では痛みなし)
・膀胱炎、尿道炎は発熱なし
・急性前立腺炎は係留熱、急性腎盂腎炎は間欠熱
・尿閉の原因:前立腺肥大、神経因性膀胱、骨盤内の癌再発(子宮頚癌、直腸癌、胃癌)、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬
・尿濃縮力障害→夜間頻尿、原因は低K、高Ca、慢性腎盂腎炎、間質性腎炎
・尿失禁
①真性:尿管異所性開口(奇形、TUR後)→尿路形成
②奇異性:尿閉(前立腺肥大、神経因性膀胱)→間欠的自己導尿
③切迫性:膀胱炎、脳血管障害、パーキンソン病、OAB→抗コリン薬
④緊張性:女性、腹圧負荷→排尿訓練
・過活動性膀胱OAB(over active bladder):膀胱の不随意の収縮→切迫性尿失禁、疼痛あり、治療は抗コリン薬、Caブロッカー
・肉眼的血尿:尿1L中に1ml以上の血液(0.1%)
・顕微鏡的血尿:400倍検鏡で赤血球5個以上(沈査は1500回転/分×5分)
・無症候性血尿:腎細胞癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌(泌尿器癌)
・Thompsonの2分杯法:第1,2尿ともに混濁なら膀胱より上、他は尿道
・ED:腎不全で起こることあり!、夜間陰茎勃起試験で勃起ありなら心因性
・EDの治療:①クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)→cGMP分解抑制で血管拡張、ニトロとの併用は禁忌②PGE1海綿体注射
・陰嚢透光性あり→陰嚢水腫
・新生児の側腹部腫瘤→水腎症(腎盂尿管移行部狭窄)
・幼児の腹部腫瘤→神経芽腫、Wilms腫瘍
・尿沈査:白血球円柱→腎実質の炎症、赤血球円柱→糸球体の炎症、尿酸→4角形、シスチン結晶→6角形、シュウ酸結晶→8面体
・腎細胞癌:腎嚢胞、腎動静脈奇形との鑑別→選択的腎動脈造影
・KUB:腎、尿管、膀胱の単純Xp
・IVP:静脈性腎盂造影→ヨードアレルギー、糖尿病性腎症、MM、アミロイドーシス、脱水、腎不全では禁忌
・レノグラム:血流相(腎a狭窄で↓)→分泌相(水腎症で↓)→排泄相(結石で↓)、糸球体濾過は99mTc-DTPA、尿細管は99m-MAG/DMSAを使用
・副腎シンチ:皮質は128Iアルドステロール、髄質はMIBG
・尿流曲線(排尿速度-排尿時間)では残尿量不明(スパイロで残気量不明と同じ)
・TUR-P→前立腺肥大、TUR-Bt→膀胱腫瘍
・TUR症候群:水中毒で低Na→悪心、嘔吐、意識障害、肺水腫、治療は3%NaCl+フロセミド、予防は生理食塩水で還流する(電気メス使用時は付加)
・尿路変向:皮膚ろう、回腸導管、尿管S状結腸吻合(尿の再吸収で高Cl性アシドーシス、結腸内に結石多発)
・尿閉:ネラトンカテーテルで導尿、無理ならエコーで膀胱内尿を確認後、恥骨上部から垂直に穿刺
・馬蹄腎:尿管が峡部前方を通過→尿停留→水腎症、尿路感染、結石、Turnerに合併多い、症状あれば腎盂形成術
・海綿腎:両側の腎乳頭部に嚢胞→嚢胞内に尿停留→結石、感染。先天性だが壮年期に発見される
・Potter症候群:両側腎無発生→耳介低位、羊水過少→関節拘縮、肺形成不全、致死性
・孤立性腎嚢胞:片側性、遺伝性なし、無症状
・ARPKD:胎児期に羊水過少→肺低形成→呼吸不全。または小児期に腎不全→腹部腫瘤。門脈周囲の線維化→門脈圧亢進
・ADPKD(成人型多発性嚢胞腎):両側性に多数の嚢胞→両側腹部腫瘤、高血圧、蛋白尿、血尿。中年で発症、10年くらいでCRF。肺、肝、膵にも嚢胞、脳動脈瘤合併
・先天性水腎症:新生児期の側腹部腫瘤で最多、腎盂尿管移行部狭窄が原因、無症状、腎機能正常なら経過観察で自然治癒!
・重複腎盂尿管:Weigert-Meyerの法則
腎の上から出た尿管は膀胱の下へ→尿管瘤(cobra head)で閉塞起こしやすい
腎の下から出た尿管は膀胱の上へ→VURで逆流起こしやすい
・下大静脈後尿管(PLIVC):IVCの発生異常でIVCが尿管の前に来る→右の水尿管閉塞→水腎症、尿路感染、結石
・VUR(膀胱尿路逆流現象):尿管膀胱移行部の発生異常(小児)、前立腺肥大、神経因性膀胱、重複腎盂尿管→反復性の腎盂腎炎、水腎症、検査は排尿時膀胱造影で尿管や腎杯の拡張程度を見る、生後数ヶ月で自然治癒、治癒しないなら外科的再建
・尿管異所性開口:男は外括約筋より近位に開口し尿失禁はない、女は外括約筋より遠位に開口し尿失禁あり
・尿管瘤:尿停滞→尿管拡張→水腎症、結石、腎不全
・尿管狭窄:尿管腎盂移行部に多い
・膀胱瘤:高齢女性、立位で膣口から膣前壁に覆われた球形腫瘤が突出、腹圧性尿失禁、二段排尿、排尿痛はなし
・POP(pelvic organ prolapse):骨盤臓器脱、子宮脱、膀胱脱、直腸脱の総称、進行性、再発性、手術かペッサリー
・尿道裂
下裂:女は膣に開口、男は陰茎前彎で勃起障害
上裂:膀胱外反を伴う、男児に多い
・後部尿道弁:前立腺部に弁→微弱、滴下するような尿線→両側水腎症
・腎盂腎炎の原因→①VUR+尿路感染②血行性
・STDは尿道炎→前立腺炎→精巣上体炎
・尿路感染:成人は女に多い(∵尿道が短い)、老人は男に多い(∵前立腺肥大)、乳児は性差なし、尿培養は中間尿で10の5乗/ml以上、基礎疾患のない単純性と基礎疾患のある複雑性、ともに起炎菌は大腸菌
・クラミジア尿道炎:2週間前に性交渉、治療はテトラサイクリン、エリスロマイシン(マクロライド系)、NQ。細胞内寄生→好中球集まらず→非化膿性分泌物のみ、排尿痛なし、発熱なし。産道感染で新生児結膜炎、新生児肺炎、女性は卵管炎、骨盤炎、腹膜炎、Fitz-Hugh-Curtis(AST↑,ALT↑)
・淋菌性尿道炎:3日前に性交渉、G-桿菌、膿汁漏出、排尿痛あり、発熱なし、慢性化すると尿道狭窄起こす
・急性膀胱炎:性的活動期の女性、膀胱刺激症状(頻尿、排尿痛、残尿感、血尿)、発熱なし、治療は水分摂取と尿排泄性抗菌薬
・間質性膀胱炎:自己免疫、膀胱刺激症状、過活動性膀胱
・出血性膀胱炎:アデノ11、シクロホスファミド、放射線(頚癌の内照射etc)
・急性腎盂腎炎:発熱、CVAt+、造影CTで楔形の低吸収域
幼児(女児)→VUR、移行部狭窄
青壮年期男→尿路結石
老年期男→前立腺肥大、神経因性膀胱
・慢性腎盂腎炎:発熱なし、腎萎縮、高血圧、尿濃縮力障害、尿細菌培養陰性のことあり
・急性前立腺炎:悪寒戦慄を伴う発熱、会陰部不快感、排尿痛、頻尿、尿混濁、治療は脂溶性抗菌薬(テトラサイクリン、アミノ配糖体、NQ)、前立腺マッサージは禁忌
・慢性前立腺炎:発熱なし、排尿痛、排尿困難、頻尿、Xpで前立腺の石灰化、プロスタトディニア(圧痛のみで炎症-、細菌-)
・精巣上体炎(副睾丸炎):これだけ淋菌(急性)、結核(慢性)、ベーチェット(他は全て大腸菌)、発熱、疼痛、陰嚢腫脹、硬結(ムンプスは精細管炎)
・尿路結核:肺結核から血行性、大部分は自然治癒、米のとぎ汁様無菌性膿尿、膀胱鏡で結核結節、結核性潰瘍、Xpで漆喰腎(石灰化)、尿路狭窄から膀胱萎縮へと進行
・尿路結石:側腹部痛と血尿とくれば石!CVAt+
95%は上部(腎、尿管)、夏、30代男性、30%は再発性、15%は両側性
分類:
80%はシュウ酸Ca結石、リン酸Ca結石
10%はMAP結石(リン酸Mgアンモニア結石)→尿路感染が原因
5%は尿酸結石、1%はシスチン結石→Xp陰性結石、CTには写る
原因:
70%は特発性(高Ca尿症伴うことが多い)
30%は続発性(原発性副甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒、紅茶/日本茶/ほうれん草/柑橘類はシュウ酸が多い、RTA、アセタゾラミド(緑内障治療薬)、シスチン尿症、高尿酸血症、プロテウスやクレブシエラ等の尿路感染(→MAP結石→腎盂にサンゴ状結石))
誘因:神経因性膀胱、腎盂尿管移行部狭窄、尿道カテーテル、長期臥床
予防:重曹で尿のアルカリ化(ただしMAP結石はアルカリ化禁忌)
治療:10mm以下はwash out、ブスコパン、NSAID。内視鏡的経尿道尿管破石術TUL、水腎症には尿管ステント、ESWL(炎症+、妊婦は禁忌、結石嵌頓挫に注意)。Ca結石はサイアザイド、尿酸結石にはアロプリノール、シスチン結石にはDペニシラミン
・膀胱結石:痛みなし、ESWL、内視鏡的膀胱破砕術、EDTAで溶かす、神経因性膀胱、前立腺肥大、尿道留置カテーテルによる
・腫瘍マーカー
前立腺癌→PSA(スクリーニングに使う、唯一早期診断可能)、γ-Sm
卵黄嚢腫瘍、胎児性癌、奇形癌→AFP
絨毛癌→hCG
・腎細胞癌:腺癌、50代男、古典3徴(無症候性血尿、側腹部腫瘤、腎部疼痛)、随伴症状(発熱、倦怠感、多血症(EPO↑)、高Ca(PYHrP↑))、合併症は腫瘍塞栓による左精索静脈瘤、腺癌なので放、化は効かない、肺転移があっても根治手術する!、転移例にもIFN有効
・腎芽腫(Wilms腫瘍):乳児期の腹部腫瘤、アクチノマイシンDが著効、合併症としてWAGR(無虹彩、尿路奇形、精神遅滞)、Beckwith-Widermann(臍帯ヘルニア、巨舌、巨体)
・腎盂尿管腫瘍:移行上皮癌、多発再発性、無症候性血尿、側腹部鈍痛、片側水腎症、再発防止のため腎も含めて尿管摘出
・膀胱腫瘍:移行上皮癌、しかし頂部は尿膜管由来で腺癌、原因はタバコ、染料(ナフチルアミン、ベンチジン、4-アミノジフェニル、オーラミン、マゼンダ)、膀胱三角部に多い、無症候性血尿、再発性膀胱炎、排尿障害、水腎症、リンパ行性肺転移、診断は尿細胞診、膀胱鏡、浸潤度判定にMRI、治療は表在癌にはTUR-Bt,BCG!,抗癌剤注入、浸潤癌には膀胱、前立腺、精嚢全摘と尿路変向
・前立腺肥大:内腺の肥大→尿道圧迫強い、弾性硬、表面平滑、経直腸的エコーで癌と鑑別、尿流測定で残尿程度を知る、国際前立腺症状スコア(8-19が中等症)
病期1期:夜間頻尿→αブロッカー
病期2期:残尿→αブロッカーかTUR-P
病期3期:尿閉、奇異性尿失禁→TUR-P
・前立腺癌:外腺由来、骨転移→骨形成性、石様硬、凹凸不整、経直腸的針生検で確診
ステージA:前立腺肥大のTUR-Pで癌が偶然全部とれた→経過観察
ステージB:前立腺内に限局→全摘か密封小線源
ステージC:被膜外に進展→密封小線源
ステージD:転移例→抗アンドロゲン療法(LHRHアナログ、エストラムチン-フォスフェイト療法=E+抗癌剤)
・精巣腫瘍:無痛性陰嚢腫大、発赤や透光性なし、生検禁忌→とりあえず高位精巣摘除術、90%が胚細胞由来、卵黄嚢腫瘍は0~10才、セミノーマは20~40才、悪性リンパ腫は50才~
セミノーマ:最多、放射線感受性大、治療は高位摘+シスプラチン+放
胎児性癌、卵黄嚢腫瘍、奇形腫:AFP↑、治療は高位摘+シスプラチン
絨毛癌:hCG、初期から血行性転移で予後不良、治療は高位摘+シスプラチン
悪性リンパ腫:治療はCHOP療法?
・神経因性膀胱:排尿困難→肉柱形成、結石、VUR、水腎症。排尿中枢はS2-4、排尿中枢より下の障害→残尿→奇異性尿失禁、尿意は知覚神経障害ならなし、治療は間欠的自己導尿(1日5,6回)
・精索静脈瘤:90%が左、腎細胞癌による腫瘍塞栓が原因、両側性では不妊
・精索捻転症:幼少、思春期、6h以内にope、Prehn徴候(精巣を手で持ち上げると疼痛↑)、精巣上体炎はPrehn徴候なし(持ち上げると疼痛↓)、対側睾丸も予防的に精巣固定術を行う
・精巣外傷:白膜の縫合か対側精巣への自己免疫予防のため精巣摘出術

整形外科ポイント

整形外科ポイント

・皮質骨:緻密骨、同心円柱層状(=オステオン)
 海綿骨:骨梁、多孔性、中に骨髄
・オステオン:縦方向→ハーバース管、横方向→フォルクマン管
・皮質骨基質:1型コラーゲン、ハイドロキシアパタイト(Ca,P)
 軟骨基質:2型コラーゲン、プロテオグリカン、椎間板や半月体も同じ
・関節や気管の軟骨は硝子軟骨、椎間板や半月板は線維軟骨、耳介は弾性軟骨
・骨芽細胞:アルカリフォスファターゼ活性大、10%が骨細胞になる
 骨細胞:力学的負荷を感知→骨芽細胞を活性化?
 破骨細胞:酸フォスファターゼ活性大→前立腺癌の骨転移で↑
・閉経→E↓→骨吸収↑↑>骨形成→高代謝型骨粗鬆症
 老化→骨吸収>骨形成↓↓→低代謝型骨粗鬆症
・骨粗鬆症の治療:
骨形成促進:ビタミンD,K
骨吸収抑制:ビスフォスホネート(食事30分以上前に服用)、カルシトニン、ラロキシフェン(選択的E受容体モジュレーター、血液凝固亢進)
・肩関節外転→C5(腋窩N)、三角筋
 肘関節屈曲→C5,6(筋皮N)、上腕二頭筋
 肘関節伸展→C7,8(撓骨N)、上腕三頭筋
 膝関節屈曲→
 膝関節伸展、股関節屈曲→L2,3,4(大腿N)、大腿四頭筋
 アキレス腱反射→S1
 足関節背屈(伸展)→L5(総腓骨N)、前頸骨筋
 足関節底屈(屈曲)→腓腹筋、ヒラメ筋、長腓骨筋
・関節拘縮→関節の外、関節強直→関節の中の異常
・Thomas試験:関節拘縮を見る、健側大腿を腹部に近づけると患肢が持ち上がる
 Spurling徴候:頸椎ヘルニア、変形性頸椎症を見る、頭部を横に傾けると痛み
 Lasegue試験:下肢挙上で痛み、坐骨神経の圧迫を見る
 Trendelenburg徴候:足を上げた方の骨盤が下がる、先股脱、大腿骨頚部骨折、中臀筋や小臀筋の麻痺
 Hoffmann反射:中指を上から弾くと母指が屈曲
 Chadock反射:中指を下から弾くと母指が屈曲
・間欠性跛行:ASO/TAO(足背動脈拍動なし)、腰部脊柱管狭窄(しゃがみこむと改善)
・骨膜反応:onion peel(Ewing肉腫)、snnray spicula,Codman三角(骨肉腫)
・myeloCT→水溶性非イオン性造影剤を使うこと!
・早期診断は骨シンチかMRI
・シンチ
99mTc-MDP:リモデリング部位に集積(骨折部位など)(P=リン酸化合物)
67Ga:腫瘍、炎症、サルコイドーシス
・関節鏡→膝、肘、肩、足関節に使用
・関節液:正常は白血球数200以下、感染があると10万越える
・人工関節:感染性関節炎があれば治癒しても人工関節はしない、チタンなのでMRI可、骨セメント硬化時にショックで血圧低下
・車椅子:C6がOKのとき(親指が動かせる)
・褥瘡→デブリードメント、湿潤にする(乾燥はだめ)
・MMT:0<収縮<1<屈曲<2<重力<3<外力<4<全力<5
・大理石病:破骨細胞↓→チョークボーン→頭蓋骨過剰骨化→脳神経圧迫
・骨Paget病:破骨細胞↑→易骨折性→骨肉腫のベース(老人で)、頭蓋骨過剰骨化で脳神経圧迫
・骨壊死の原因→潜函病、Gucher病を忘れるな
・Sudeck骨萎縮:骨折の後に疼痛を伴った急激な骨萎縮(∵自律神経反射)
・Dupuytren拘縮:環指、小指のMP、男、両側性、遺伝性あり
・Volkman拘縮:上腕骨顆上骨折→ギプス固定→コンパートメント症候群、阻血6-8h以内に筋膜切開で徐圧、コンパートメント症候群はギプス、熱傷、家屋倒壊による圧迫で起こる
・軟骨無形成:AD、FGFR3の異常、骨端軟骨の成長障害、四肢短縮型低身長、知能正常、思春期以降に脊柱管狭窄、治療はGH投与、イリザノフ法
・骨形成不全(van der Hoeve):AD、Ⅰ型コラーゲンの異常→膜性骨化の異常、易骨折性、青色強膜、伝音性難聴(耳小骨異常)
・モルキオ症候群:AR、ムコ多糖代謝異常、椎体扁平化→躯幹短縮型低身長、角膜混濁、尿トルイジンブルー染色+
・急性骨髄炎:男児、下肢、骨幹端、黄ブ菌、血行性、早期診断は骨シンチかMRI
・骨髄炎の慢性化:抗菌薬で24h以内に改善しないなら切開排膿減圧
Brodie:膿→限局性に周囲が骨化
Garre:Xpで広範な骨幹部の骨肥厚
・脊椎カリエス:冷膿瘍、Pott麻痺、亀背
・股関節結核:随意跛行
・化膿性脊椎炎:老人、DM、肝硬変、黄ブ菌、椎間板狭細化
・化膿性関節炎:関節注射が原因、関節の持続洗浄、関節液えい糸性低下
・乳児化膿性股関節炎:黄ブ菌、大腿骨頚部の骨髄炎から波及、おむつの交換時に激しく泣く
・Charcot関節:DM→感覚障害→過運動→関節破壊、人工関節の適応にはならないことが多い
・変形骨関節症のXp所見:関節裂隙の狭小化、骨硬化、骨棘、嚢胞
・変形性股関節症:先股脱に続発、CE角、Trendelenburg跛行、大腿骨/臼蓋/骨盤骨切り術(Salter,Chiari)、人工関節
・変形性膝関節症:肥満、関節内遊離体あり、治療は減量、NSAID、膝サポーター、膝伸展筋訓練(大腿四頭筋訓練)、ヒアルロン酸注射、脛骨高位骨切り術、人工関節
・変形性頚椎症:頸椎症状、疼痛、運動障害、神経根症状、上肢のしびれ、筋力低下、線維束れん縮、治療は頸椎カラー、前方/後方除圧術
・OPLL:脊柱管狭窄、アジア、DM、家族性、治療は安静、除圧
・脊柱管狭窄症:軟骨無形成、変形性脊椎症、脊椎すべり症、ヘルニア、OPLL、黄色靱帯肥厚、椎間関節肥厚
・肩関節周囲炎:五十肩、痛くて肩が水平までしか上がらない、原因は石灰性腱炎、変形性関節症、腱板炎
・頸椎椎間板ヘルニア:30-50代、C5,6(C5の前後)、Spurling試験
・腰椎椎間板ヘルニア:20-40代、L4,5(L5の前後)、Lasegue試験、S1→足背外側知覚低下/母趾伸展筋筋力低下/Lasegue徴候/アキレス腱反射低下/、治療はPLDD法(レーザー減圧)、PD法(レーザーの代わりに鉗子使用)、MED(内視鏡)、LOVE法(手術)、手術適応は排尿障害、進行性の下肢麻痺
・筋膜性腰痛症:ぎっくり腰の大部分、腰部筋膜の炎症
・腰椎分離症:上下関節突起が分離、L5、スポーツによる疲労骨折、成人になって分離すべり症を起こすと脊柱管狭窄
・大腿骨頭すべり症:10代、肥満男児、骨頭が股関節から離れると骨頭壊死起こす
・脊柱側彎症:特発性は思春期、女子、右側、続発性は脳性麻痺、Duchenne、vonReckringhausen、Marfan、前屈時の肋骨隆起や肩甲骨隆起に左右差、治療はMilwaukee装具、側彎角50°以上は手術
・骨端症:治療は安静、免荷
Perthes:サッカー少年、大腿骨頭
Kohler:幼児、足の舟状骨
Freiberg:女、中足骨頭
Kienbock:男、手の月状骨
Scheuermann:青年、亀背
離断性骨軟骨炎:肘、膝、関節ねずみ(関節鏡で摘出)、野球少年
Osgood-Schlatter:膝、膝蓋腱付着部損傷、陸上少年
・大腿骨頭壊死:前上部、帯状硬化が初発、Xpで異常のないStageⅠの早期診断はMRI、骨シンチはcold in hot、治療は骨切り術(壊死骨の除去)、人工骨頭
・骨腫瘍:骨端部はEwing肉腫と骨巨細胞腫のみ
骨軟骨腫:10代、長幹骨骨幹端、成長すると腫瘍の発育も止まる、無痛性
内軟骨腫:10代、手や足の指の骨幹端
骨巨細胞腫:20,30代、膝の骨端部、soap bubble appearance
類骨骨腫:10,20代、長幹骨の骨幹部、夜間痛とアスピリンによる改善、MRIで黒の中に白
骨肉腫:10,20代、膝の骨幹端、Codmann三角、spicula、結節性肺転移が多い、放射線無効、治療は広範囲切除+メトトレキセート
Ewing肉腫:10才前後、骨盤、長幹骨の骨端部、onion peel、全身炎症所見が強い→骨髄炎と間違えやすい、治療は広範囲切除、放射線感受性高い
転移性:乳癌、肺癌は骨破壊性、前立腺癌は骨硬化性(酸フォスファターゼ↑)
・脊髄腫瘍
髄内:神経膠腫、上衣腫
硬膜内髄外:神経鞘腫、髄膜腫
硬膜外:転移性腫瘍(肺癌、乳癌、前立腺癌)
・先天性股関節脱臼(LCC):開排制限、ひだの左右差、Ortolani(開排位で大腿骨頭を動かすと音)、Barlowテスト、Allisサイン(乳児期以降、膝を立てると高さに左右差)、XpでRoserNelaton線より大転子が上、治療はリーメンビューゲル装具、臼蓋形成不全には骨盤骨切り術(Salter,Chiari)
・先天性内反足:両側性、男児が多い、内転、内反、尖足、凹足、治療はデニスブラウン装具、診断にXp無効
・先天性筋性斜頚:出生1週以降に胸鎖乳突筋に腫瘤、90%は半年以内に自然治癒
・外傷性脱臼:症状は疼痛、変形、異常肢位、ばね様固定、診断はX線2方向(cf.頚椎損傷はX線4方向)、治療は直ちに整復→固定(3週間)→リハビリ
・環軸椎亜脱臼:RAの死因、延髄圧迫で呼吸困難
・肩関節脱臼:前方脱臼、Kocher法、Hippocrates法
・肘関節脱臼:後方脱臼、Huter三角の乱れ、尺骨神経麻痺、Volkmann拘縮
・股関節脱臼:後方脱臼、股関節は屈曲、内転、内旋位をとる
・アキレス腱断裂:底屈可能、つま先立ち不能、下腿三頭筋把握テスト(下腿三頭筋把握で底屈しない)、治療はギプス固定が主、無理ならアキレス腱縫合術
・一次性骨癒合→化骨形成‐、二次性骨癒合→化骨形成+
・転移のある骨折→観血的治療をしないと、変形癒合、遷延癒合、偽関節
・小児の骨折:骨折より脱臼が多い、若木骨折、自家矯正(15度までの屈曲転位短縮変形は自然矯正)、骨癒合が速い、骨端成長板損傷で成長障害
・Malgaigneの圧痛点:骨折部位を押さえると痛い
・骨折による脂肪塞栓は1,2日たってから
・鎖骨骨折:介達外力による、内側1/3、腕神経叢損傷を伴うことあり、分娩時外傷で多い
・上腕骨外科頚骨折:骨粗鬆症、転倒時に手をついて
・上腕骨骨幹部骨折:投球、腕相撲、撓骨神経麻痺合併
・上腕骨顆上骨折:小児が転倒時に手をついて、Huter三角正常、正中神経麻痺、Volkmann拘縮、内反肘
・上腕骨外顆骨折:転位が著明→小児骨折だが観血的治療(Kirschner鋼線)、外反肘→遅発性尺骨神経麻痺
・Colles骨折:撓骨下端骨折、骨粗鬆症、転倒時に手をついて、フォーク状変形、正中神経麻痺、長母指伸筋腱断裂
・Duvarney骨折:骨盤腸骨の亀裂骨折、安静でOK
・Malgaigne骨折:骨盤輪骨折(閉鎖孔骨折+腸骨分離骨折)、出血性ショック、尿路損傷、重篤、治療はカテーテル塞栓
・大腿骨頚部内側骨折:骨粗鬆症、転倒時、直後からの起立不能、治療は老人だが観血的整復、または人工骨頭置換術で寝たきり防ぐ
・大腿骨骨幹部骨折:転位著明→治療は観血的整復(小児は牽引)
・半月板損傷:膝屈曲+回旋で生じる、外側半月板は単独、内側半月板は前十字靭帯損傷も合併、内側が多い、症状は膝の疼痛、関節血腫、引っ掛かり、伸展不能、膝くずれ、クリック音、診断にMaMurry法、Apley法、治療は縦断裂には関節鏡下縫合術
・踵骨骨折(しょうこつ):高所から着地、Bohler角減少(30度以下)、治療困難、機能予後不良
・Jefferson骨折:首吊りによる環椎骨折
・Hangman骨折:外傷性軸椎すべり(Hangmanなのに首吊りではない!)
・胸郭出口症候群:首が長く、なで肩の女性、鎖骨下AVや腕神経叢が胸郭出口で圧迫、Adsonテスト(頭を患部に回旋し顎をあげると撓骨動脈拍動停止)、Wrightテスト(両上肢の挙上外旋外転で撓骨動脈拍動停止)
・膝靭帯損傷:激痛、関節血腫、膝くずれ、膝動揺性、外側側副靭帯損傷の診断は関節鏡では難しい、前十字靭帯損傷と外側側副靭帯損傷は手術、後十字靭帯損傷と内側側副靭帯損傷は保存的療法(手術できない)
・UnhappyTriad:内側側副靭帯損傷+内側半月体損傷+前十字靭帯損傷→難治性

精神科ポイント

精神科ポイント

・全体像
内因性:統合失調症(皮質のドパミン過剰)、気分障害(皮質のセロトニン、NA欠乏)
外因性:脳疾患、全身疾患(症状精神病)、薬物
心因性:転換性障害、解離性障害、恐怖障害、不安障害、強迫性障害、身体表現性障害、心気症性障害
・気質:人格の基礎をなす先天性の特性
分裂気質:統合失調症、細長型、非社交的、過敏性と鈍感の共存
循環気質:躁うつ病、肥満型、社交的、爽快だが抑うつ
執着気質:躁うつ病、
粘着気質:てんかん、闘士型、粘着、爆発
メランコリー:うつ病
ヒステリー性格:誇張的、自己顕示欲、虚栄心、未熟、依存性
・ライフサイクルと発達心理
乳児期:分離不安(1才ピーク、2才消失)
青年期:自我同一性障害(自分とはなにか、自分探しの旅)
成人期:空の巣症候群(離別をきっかけ)
・意識の異常
見当識障害:軽度の意識障害、時、場所、人
せん妄:軽度の意識障害+興奮(妄想、幻覚)、振戦せん妄(アル中の禁断症状)、夜間せん妄(脳血管性痴呆)、術後せん妄(術後数時間後にICUで)
アメンチア:思考散乱+困惑
もうろう状態:意識混濁は軽度だが追想不能
・知覚の異常
錯覚:存在するものを誤って知覚、幻覚:存在しないものを知覚
paleidoria:壁のシミが顔に見える錯覚
真性幻覚:5感で知覚できる幻覚
偽性幻覚:5感で知覚できない幻覚、統合失調症「宇宙から電波がやってきて子宮にかかる」
幻視:アル中に伴う小動物幻視、Lewy小体性認知症
幻聴:統合失調症(言語性)、アル中、覚せい剤
幻臭:側頭葉てんかん
体感幻覚:セネストパチー「腹の上で虫が浴衣を着て踊っている」
・記億の異常
記銘の異常:海馬、コルサコフ症候群(ウェルニッケ脳症に合併、失見当識、健忘、作話)
保持の異常:側頭葉
想起の異常:頭頂葉、前向性健忘は事故後の記憶消失、逆行性健忘は事故前の記憶消失
・思考の異常
保持:痴呆、同じ考えが繰り返し出てくる
迂遠:てんかん、思考速度が緩慢
制止:うつ病、頭に思い浮かばない
途絶:統合失調症、思考が消えた、取られた
観念奔逸:躁病、概念が不完全なまま進行するが、連合は保持
思考滅裂:統合失調症、概念の連合が失われ(連合弛緩)、言葉のサラダ(思路異常)を生じる
・思考体験の異常(思考に関する自我体験異常)
強迫観念
作為体験(させられ体験):統合失調症の自我意識の異常、思考吹入(すいにゅう)、思考干渉、思考伝播、思考察知、思考奪取(だっしゅ)
・思考内容の異常
妄想:訂正不能な誤った考え
一次妄想:了解不能な妄想、統合失調症の妄想気分(何か異様なことが起きつつある)、妄想知覚(家の前の車に監視されている)、妄想着想(私はキリストの生まれ変わりである)
二次妄想:了解可能な妄想、躁病の誇大妄想、うつ病の微小妄想、統合失調症や神経症の関係妄想(他人の何気ない仕草が自分に関係した何かの意味であると確信)と被害妄想、アルコール依存症の嫉妬妄想、妄想性障害、てんかんでも見られる
・敏感関係妄想:敏感性格者が長期の性的、社会的、対人的葛藤状態→関係妄想、恋愛妄想、被害妄想
・妄想性障害:高齢者、1ヶ月以上持続、被害妄想(物盗られ妄想)、嫉妬妄想、誇大妄想、色情妄想、妄想のみの症状、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、予後良好
・感情の異常
情動麻痺:心因反応、驚愕後の何も感じない状態
情動失禁(感情失禁):理由もなく突然泣き出したり笑い出す、脳血管性痴呆
感情鈍麻:統合失調症末期
両価性:相反する感情が同時存在、統合失調症
恍惚:意識の狭窄+生命感情の異常興奮、統合失調症、ヒステリー、麻薬中毒、宗教儀式、性交
自閉:自我意識が障害され、周囲との接触を絶った状態、統合失調症
児戯的爽快:感情の深みがなくなる、統合失調症末期
・マスローの人間の欲求:生理的欲求<安全の欲求<所属と愛の欲求<承認の欲求<自己実現の欲求
・睡眠
nonREM(体は動いて頭は休み)→REM(頭は動いて体は休む→夢を見る)を4,5回繰り返す
REM睡眠時は自律神経の不安定化→喘息や異型狭心症を起こしやすい、抗重力筋のトーヌス低下
・ナルコレプシー
日中に突然強い睡魔、30分程寝ると爽快、HLA-DR2が陽性、15才前後に発症、視床下部のオレキシンが欠乏、症状はREMアタックと情動脱力発作(カタプレキシー)、治療はメチルフェニデート(リタリン)、三環系抗うつ薬(REMを抑制)
・Kline-Levin症候群:思春期男児、周期的傾眠、過食、成人とともに自然治癒
・言語の異常
構語障害:発音に関する神経筋の異常(球麻痺、仮性球麻痺)
失語:言語中枢の異常
・失語
Wernicke失語:発語可能、理解不能、復唱不能
Broca失語:発語不能、理解可能、復唱不能
伝音失語:復唱のみ障害
健忘性失語:想起のみ障害
超皮質性感覚性失語:復唱可能、理解不能(より上位の概念中枢へのinputが悪い)
超皮質性運動性失語:復唱可能、発語不能(より上位の概念中枢からのoutputが悪い)
・カタレプシー(強硬症):緊張型統合失調症、抗精神病薬の副作用、受動的に与えられた姿勢を保持し続ける
・知能テスト:田中Binet、WAIS(成人)、WISC(児童)、WPPSI(幼児)
・性格テスト:質問紙法:MMPI(ミネソタ多面人格テスト)、矢田部Guilford、CMI(Cornel Medical Index)は神経症のスクリーニング検査、エゴグラム
・性格テスト:投影法:ロールシャッハ、文章完成法SCT、絵画統覚検査TAT、バウムツリーテスト
・作業能力テスト:Kreepelin内田連続加算テスト
・認知症テスト:長谷川式簡易知能評価スケール(20/30以下で痴呆)、MMSE(Mini-Mental State Examination)(20/25以下で痴呆)
・うつ病テスト:自己評価:SRQ-D、Zung、Beck、医師診断:Hamilton
・精神症状の評価:状態特性不安検査(不安を測定する質問紙法)、BPRS(簡易精神評価尺度→全ての精神疾患)
・抗精神病薬:抗ドパミン作用、妄想、幻覚、せん妄に適応
クロルプロマジン:D1,2ブロッカー
ハロペリドール:D1ブロッカー
リスペリドン(リスパダール):SDA、非定型抗精神病薬、陰性症状にも有効、錐体外路症状が少ない、うつ病、L-dopaの幻覚にも有効
オランザピン(ジプレキサ):MARTA(ほとんどの神経伝達物質を遮断)、非定型抗精神病薬、副作用は糖尿病と肥満、他はリスペリドンと同じ
スルピリド(ドグマチール):抗潰瘍薬、抗うつ薬、抗精神病薬(大量投与で)
・抗精神病薬の副作用
錐体外路症状:最も多い副作用
悪性症候群:抗精神病薬、L-dopaの突然の中断で起きる、高熱と筋破壊による急性腎不全、治療はダントロレン、ブロモクリプチン、ARFに生食輸液や透析
遅発性ジスキネジー:口をモグモグさせる動き
アカシジア:下肢のムズムズ感
高PRL血症による乳汁漏出症候群、SIADHと多飲多尿、QT延長症候群による心毒性
・抗不安薬:GABA-A受容体のアロステリック作用でCl透過性亢進、不安障害、てんかん重積に適応
ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ニトラゼパム、メプロバメート)
・抗不安薬の副作用
睡眠作用、呼吸抑制、健忘、反跳性不安、常用量依存→身体依存→中断で不安不眠、禁忌は重症筋無力症と急性緑内障発作
・抗うつ薬
三環系抗うつ薬:モノアミン再取り込み阻害(モノアミン=NA、ドパミン、セロトニン)、全てのモノアミンを増やすので効くことが多い、イミプラミン、アミトリプチリン、適応はうつ病、抑うつ状態、ナルコレプシー、副作用は抗コリン作用(口渇、SIADH、眼圧上昇、排尿障害、起立性低血圧)、QT延長症候群
四環系抗うつ薬:心毒性少ない
SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害、セロトニンだけを増やすので効かないことあり、プロザック、フルボキサミン(デプロメール)、副作用はセロトニン症候群(錯乱、軽躁、興奮、ミオクローヌス、下痢、発汗)→投与中止で24時間以内に消失
SNRI:セロトニン-ノルアドレナリンとり込み阻害、三環系に匹敵する効果、副作用は少ない、効果発現は早い
MAOI:モノアミン酸化酵素阻害、全てのモノアミンを増やすので難治性うつ病に適応、副作用は起立性低血圧、浮腫、交感神経興奮、チラミンを含む食品(赤ワイン、チョコレート、チーズは避ける)
・抗躁病薬:気分安定薬、適応は双極性障害、躁病
炭酸リチウム:有効血中濃度と中毒濃度が近い→血中濃度測定が必要、副作用はけいれん、意識障害
カルバマゼピン、バルプロ酸
・精神賦活化薬:ドパミン分泌促進
メチルフェニデート:適応はナルコレプシー、ADHD、副作用は交感神経興奮
・精神依存と身体依存があるもの:モルヒネ、アルコール、ベンゾジアゼピン系、バルビツレート系
・抗精神病薬は依存性がない
・覚醒剤依存:アンフェタミン、メタアンフェタミン、気分爽快、疲労感消失、幻覚妄想、交感神経興奮で散瞳、精神依存は強いが身体依存は弱い、薬物中止後しばらくしても幻覚妄想が出現(フラッシュバック)、長期摂取後も少量でも症状発現(逆耐性現象)
・支持的精神療法:患者の人格や適応の仕方を根本的に変えるのではなく現実への再適応に導く
・精神分析療法:自由連想で患者の基礎心理を把握する、ヒステリー
・森田療法:あるがままの自己を受け入れる訓練、強迫性障害、パニック障害
・自律訓練療法:催眠による自己暗示で心身の緊張を解く、自律神経失調症、心身症、神経症
・行動療法:誤った行動を条件付けで修正、強迫性障害
・認知行動療法:認知の誤りを是正、うつ病、強迫性障害、パニック障害、PTSD、恐怖症、摂食障害
・集団精神療法:断酒会などの自助グループ
・遊戯療法:広汎性発達障害、不登校
・箱庭療法:箱の中に人形を並べて自己を表現することで解放、神経症、心身症、摂食障害、不登校
・生活療法:統合失調症の社会復帰のための治療、生活療法、レクリエーション療法、作業療法、芸術療法、生活技能訓練(SST:social skill training、コミュニケーション訓練)
・精神保健福祉センター:都道府県に1つ、保健所の相談助言、疫学,調査,研究(社会復帰施設ではない、訪問指導は行わない)、精神障害者手帳の審査(交付は市町村)
・精神保健指定医:精神保健福祉法、厚労大臣指定
・入院形態:任意入院66%>医療法保護入院31%>措置入院1%
措置入院:自傷他害のある人を強制入院、2人の精神保健指定医が判断し知事が決定、治療は公費負担
医療保護入院:自傷他害の恐れはないが、保護者と精神保健指定医が判断、10日以内に知事へ届出
緊急措置入院:1人の精神保健指定医が決定、72時間以内
応急入院:直ちに入院しなければ死の危険性がある場合、72時間以内、直ちに知事へ届出
・生活訓練施設:援護寮、生活訓練を2年限定で行う
・福祉ホーム:住まいの提供
・グループホーム:共同生活
・授産施設:労働訓練をして就職を目指す、工賃がもらえる
・福祉工場:労働訓練を終えた人に雇用と与える、授産施設よりも一般就労に近い、最低賃金、雇用保険、労働基本法の適応
・デイケア:外来通院施設、病院不足で保健所や精神保健福祉センターでも行う
・ナイトホスピタル(ナイトケア):日中就労している精神障害者を夜に相談、指導、夜間介護が必要な認知症患者のショートステイ
・統合失調症:有病率1%、皮質のモノアミン(特にドパミン、セロトニン)過剰、破瓜型は思春期発症/緩徐/陰性症状強く/予後不良、緊張型は20才前後発症/急性/陽性症状強い/予後良好、妄想型は30才以降発症/慢性/妄想幻聴中心/予後良好
・パラノイア(妄想性障害):統失の亜型、体系化された妄想のみ、人格障害はない
・緊張病症候群:統失の亜型、脳血管障害や変性疾患でも見られる、興奮、混迷、カタレプシー、反響言語、反響動作、命令自動、拒絶症、常同症
・非定型精神病:躁鬱病+統失、周期性、多彩な症状、予後良好
・統失の症状:
陽性症状:妄想、思考障害、緊張病症状、奇異な行動
陰性症状:感情鈍麻、意欲欠如、寡動、引きこもり
対話形式の批判性幻聴、一次妄想(妄想知覚→知覚解釈に妄想、替え玉妄想、変装妄想→拉致しにきた、世界没落体験、妄想着想、誇大妄想、心気妄想)、自我障害(作為体験、考想伝播)、思路異常(連合弛緩、思考滅裂)、感情障害(感情鈍麻、ラポールの障害→プレコックス感)、独語、空笑、強迫性飲水
・統失の治療:発症初期からの薬物療法(クロルプロマジン、ハロペリドール、リスペリドン、オランザピン)、寛解後も少量持続投与、支持的精神療法、生活療法、薬物治療無効/緊張病性昏迷に電気痙攣療法、社会生活技能訓練SST
・気分障害(躁鬱病):有病率1%、成人女性に多い
うつ病:うつのみ
双極性障害Ⅰ型:そう+うつ、若年発症、遺伝性、急速交代型(年4回以上そううつを反復)
双極性障害Ⅱ型:軽そう+うつ
気分変調:軽うつ
気分循環:軽うつ+軽そう
仮面うつ病:身体症状が前面に立つ
季節性情動障害(冬季うつ病):過眠、過食、治療は高照度光療法
退行期うつ病(更年期うつ病):初老期発症、長引き予後不良→抗うつ薬と共に非定型精神病薬、ECT
高齢者うつ病:心気傾向、焦燥、貧困妄想
若年のうつ:自己愛、漠然とした自信、倦怠感、周囲への批判
産後うつ病:出産1ヶ月発症
薬物惹起性うつ病:インターフェロン、レセルピン、ステロイド
複雑性悲嘆:近親者の離別で発症、抗うつ薬無効(ドパミン作働性の側坐核の障害)
・うつ病の病前性格:循環気質、執着気質、メランコリー性格(秩序尊重、責任感強い)
・うつ病の症状:転職、昇進、引越しをきっかけに、意欲低下(しなければならないができない)、体重減少、思考制止(考えが浮かばない)、仮性認知症、二次妄想(微小妄想、罪業妄想、貧困妄想)、希死念慮、自殺企図、早朝覚醒、事故傾性、日内変動(午前が重篤)
・うつ病の診断:SRQ-D、Zung、Hamilton(医師がベッドサイドで行う)
・双極性障害の治療(そう病期を含む場合):リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン(そう病に抗うつ薬は使わない→そう状態を誘発)
・抗うつ薬:1st choiceは休養
三環系(第1世代):大抵効くが、効果発現遅く、副作用多い(抗コリン薬、QT延長)
四環系(第2世代):三環系の心毒性を少なくした
SSRI(第3世代):効かないことがあるが、副作用が少ない、効果発現遅い
SNRI(第4世代):効果は三環系並み、副作用が少ない、効果発現速い
MAOI:難治性うつ病、チラミンを含む食物は避ける
ECT(電気けいれん療法):重症の自殺企図
支持的精神療法:必ず回復することを保証する
・自殺3万人の1/3がうつ病による、自殺企図者は自殺者の10倍、うつ病の生涯自殺率2%、入院歴あると2倍、自殺企図歴があるとさらに2倍
・1年で半数が自然寛解、しかし半数が再発、治療しても3ヶ月持続、そう病の再発は10%
・神経症:性格を基礎として、ストレスに対する反応で生じる、治療は全て認知行動療法が1st choice、森田療法、抗不安薬、うつ病合併なら抗うつ薬
・強迫性障害:馬鹿な事だとわかっていてもやめられない、強い病識あり、強迫観念は了解可能、1/3にうつ病合併、確認強迫、質問癖、疑惑癖、計算癖
・パニック障害:20才前後の女性、突然の激しい発作(過呼吸、動悸、発汗、振戦、死への恐怖、意識障害)→病院での検査異常なし→予期不安(いつまた発作が起きるかもしれない)→広場恐怖(発作が起きたときに逃げ場がない)→引きこもり、うつ
・パニック障害の検査:性格検査、状態特性不安検査STAI(不安状態を把握、質問紙法)
・全般性不安障害GAD(不安神経症、ノイローゼ):6ヶ月以上続く原因不明の不安や心配、コントロール不能→不眠やうつ
・社会不安障害SAD(社会不安、社交不安、対人恐怖):知らない人と交流、他人の注目を恐れる
・解離性障害、転換性障害(ヒステリー):意識障害を起こすものを解離性、運動知覚障害を起こすものを転換性
・解離性障害の症状:健忘、遁走、昏迷、トランス、離人症(自我意識の障害)、同一性障害(多重人格、性的虐待が原因)
・転換性障害の症状:失立、失歩、心因性失声、けいれん、後弓反張、らせん状視野、機能性難聴、拘禁反応(Ganser症候群)
・心気症(ヒポコンドリー):些細な身体の不調を重篤な病気だと思い込む、6ヶ月以上持続
・身体化障害:30才前後に発症、検査異常がないのに、数年にわたって、ズキズキするような痛み、うずくような痛み、吐き気
・身体表現性障害:心気症、身体化障害、転換性障害、疼痛障害、醜形恐怖
・適応障害:社会環境に適応できず、心身に異常をきたす、原因が解消されれば半年以内に治癒
・広汎性発達障害:小児自閉症、脆弱X症候群(MR+巨大睾丸、FMR遺伝子のCGGrepeat↑)、Rett症候群、Asperger症候群、高機能自閉症
・小児自閉症:男児、2才以前に発症、対人関係の障害(分離不安なし)、コミュニケーション障害(言語発達遅延、オウム返し、反響言語)、限定された反復的常同的行動、8割はMR(IQ70以下)、明確な遺伝性なし、同胞発症率は2倍、多動(ADHDとまではいかない)、偏食、てんかんを伴う、治療にメチルフェニデートが使われることがある
・Rett症候群:MeCP遺伝子異常、XD、6M以降の女児、6Mまでは正常発達→MR、自閉、手もみ動作、小脳失調、呼吸障害(過呼吸、無呼吸)、脳波徐波化
・Asperger症候群:男児、高機能広汎性発達障害、言語発達遅延やMRなし、対人関係の質的な異常、冗談が通じない、変化を嫌う、視線を合わせない、反復的行動、検査はBPRSで精神状態を把握
・ADHD(注意欠陥多動性障害):7才以前に発症、6M以上持続、学童の5%、男児に多い、女児は他動はない(不注意が主)、右前頭前野のドパミン、ノルアドレナリン低下、そわそわする、じっつぃていられない、順番が待てない、他人の邪魔をする、学習障害はあるが知能低下はない、学校と家庭両方で見られる、治療はメチルフェニデート、アトモキセチン(NA再取り込み阻害薬)
・Gille de la Tourett症候群:男児、1%、1年以上続く運動性言語性チック、思春期以降改善、治療はハロペリドール
・アルコールによる障害
①アルコール依存症:精神依存だけでなく、身体依存あり、依存度はCAGE(Cut down,Annoyed,Guilty,Eye opener)のうち2つ以上
②振戦せん妄:断酒1~3日後、手指振戦、発汗頻脈、不安、睡眠障害、せん妄、小動物幻視、治療は輸液、ビタミンB群、ジアゼパム、重症例はハロペリドール
③Wernicke脳症:ビタミンB1欠乏による上部脳幹出血、Korsakoff症候群(健忘、作話、失見当識)を伴う
④アルコール嫉妬妄想:配偶者の不貞を妄想、被害妄想
・境界性人格障害:不安定な母子関係、「裏切られた」がきっかけ、理想化とこき下ろし、不安定で激しい対人関係、怒りの制御困難、衝動性(浪費、性行動逸脱、薬物乱用)、自殺のそぶり、見捨てられることを避けようという涙ぐましい努力
・PTSD:心的外傷後6M以内に発症、小児に好発、記億想起の回避、しかし突然のフラッシュバック(→想起の制御ができない→思い出せないのに突然思い出す)、感情鈍麻、うつ、不眠、重症例は幻覚、治療は認知行動療法、グループ療法、精神力動的治療

皮膚科ポイント

皮膚科ポイント

1組織と機能
・皮膚は上から表皮(0.2mm)、真皮(2mm)、皮下組織
・表皮はほとんどが細胞成分からなり、基底細胞(基底層)→有棘細胞(有棘層)→顆粒細胞(顆粒層)→角質細胞(角層)の順に分化する角化細胞と、紫外線防御のためのメラノサイト、表皮の免疫担当のランゲルハンス細胞からなる。
・ランゲルハンス細胞=樹状細胞=組織球:CD1a+、バーベック顆粒、抗原提示細胞
・顆粒細胞:ケラトヒアリン顆粒
・メラニン細胞は基底細胞にメラニン顆粒を与える(核帽)→UVによるDNA損傷を防ぐ
・基底細胞は基底膜にヘミデスモゾームで結合し、他の角化細胞どうしはデスモゾームで互いに結合している。
・角質層になるとデスモゾームが壊れて、角質が脱落する。
・紫外線によりビタミンDを活性化し、消化管からのCa、Pの吸収を促進する
・UVの波長:UVA320~400nm,UVB280~320nm,UVC190~280nm
・PAS染色は基底膜を染める染色法
・真皮には血管、リンパ管、神経、基質(ムコ多糖類)、線維(膠原線維、弾性繊維)、細胞(組織球、線維芽細胞、肥満細胞)がある。
・真皮には神経があるので真皮病変は掻痒感、疼痛がある(表皮病変にはないので掻痒感、疼痛はなし)。
・エクリン腺:発汗、毛根のない部分にもある、交感N支配(しかしAch作動性∴有機リン→ChE阻害→Ach↑→発汗過多)
 アポクリン腺:フェロモン分泌、腋窩、鼠径部、アンドロゲン依存性
 皮脂腺:アンドロゲン依存性
2表皮の疾患
☆尋常性ざ瘡
・ざ瘡=にきび
・思春期のアンドロゲン↑→角層↑、皮脂腺分泌↑→毛根閉鎖→アクネ菌がTGを遊離脂肪酸に分解→酸による炎症
・アクネ菌は常在菌で通常は遊離脂肪酸による表皮の殺菌効果がある。
☆熱射病
・汗による脱水→汗がかけなくなり体温↑→視床下部の体温中枢障害→体温上昇
・汗=2分の1生食を補う+ぬるま湯の吹きかけと気化熱冷却(氷水では体表血管の収縮で中が冷却できない)
☆尋常性乾癬
・表皮のturn overが異常に短くなる(45日→5日)
・細胞回転が速いので高尿酸血症、SCC↑
・表皮内のデスモゾームが強固なままで角質が脱落しない→銀白色鱗屑を伴った限局性紅斑
・ケプネル現象陽性(健常皮膚を刺激すると病変が出現)
・アウシュビッツの血露現象(無理やりはがすと真皮まではがれて出血)
・ロウ片現象(表皮角質層が剥がれ落ちる)
・乳頭の延長、Munroの微小膿瘍(角質内に膿瘍)
・表皮疾患なので痒くない!
・治療はPUVA療法(ソラレン+UVA照射)、ステロイド、シクロスポリンで免疫抑制、メトトレキセートでDNA合成抑制、ビタミンD補充
☆乾癬性関節炎
・尋常性乾癬の5%
・DIP、爪の変形
・乾癬の消長に伴う
・RF-
☆尋常性白斑
・自己免疫によるメラノサイト破壊
・治療はPUVA療法、ステロイド、ビタミンD3外用、皮膚移植、narrow bandUVB
☆色素性乾皮症(XP)
・DNAの修復酵素の欠損(AR)→日光過敏、全ての皮膚癌、中枢神経障害(聴覚異常、構音障害)、末梢神経障害(誤嚥)
・MED(最小紅斑量)の低下
☆晩発性皮膚ポルフィリン症
・多飲酒歴のある中年男性
・露光部に破れやすい水泡
・治療は禁酒、遮光、瀉血
☆薬剤性光線過敏症
・サイアザイド、経口血糖降下薬、NSAID
☆尋常性天疱瘡
・角化細胞間を結合するデスモゾームへの自己抗体(抗デスモグレインIgG抗体)→表皮内に水がたまる=水泡→表皮内なのでこすれると破れるので弛緩性水泡
・抗デスモグレイン1抗体、抗デスモグレイン3抗体
・病変は口腔粘膜から始まり全身皮膚へ
・表皮内にとどまるので痒みはなし
・ニコルスキー現象陽性(さわるだけでベロリとはがれる)
・ツァンクテスト(自己抗体免疫染色で角化細胞間が染まる)
・治療はステロイド、効かないときは血漿交換、免疫抑制
☆落葉状天疱瘡
・皮膚病変のみで軽症(口腔粘膜病変なし)
・抗デスモグレイン1抗体
・治療はDDS、ステロイド、サラゾピリン
☆類天疱瘡
・基底膜と基底細胞を結合しているヘミデスモゾームへの自己抗体(抗BP180 IgG抗体)
・表皮下に水泡→やぶれにくので緊張性水泡
・真皮に近いので痒みあり
☆アトピー性皮膚炎
・湿疹=皮膚炎=表皮の炎症、数日かかる
cf)蕁麻疹=膨疹=真皮の浮腫、数hの経過
・表皮を中心としたⅠ型アレルギー→IgE↑、好酸球↑
・真皮乳頭に炎症が波及するので痒い
・屈曲面→刺激→掻痒感→掻破→苔癬化(ひじ、ひざ、顔)
・白色皮膚描記症(皮膚をひっかいても白色のまま)
・合併症:白内障、伝染性軟属腫(DNAウィルス)、伝染性膿痂疹(黄ブ菌)、カポジ水痘様発疹(HSV)
・治療はスキンケア、ステロイド、タクロリムス(免疫抑制剤→妊婦は禁忌)
☆貨幣状湿疹
・中年、四肢伸側、自家感染(冬に引っ掻いてできる)
☆単純疱疹
・疱疹=ヘルペス
・HSV1は口、HSV2は外陰部
・初感染は歯肉口内炎→ストレス時に口唇周囲の水泡(表皮内に水がたまる)
・ツァンクテストで核内封入体(HSVはDNAウィルスなので)
cf.RNAウィルスでは核周囲封入体
・治療はアシクロビル
☆帯状疱疹
・発感染は全身性の水疱瘡(水痘)→感覚神経内に潜む→ガンなど細胞性免疫低下→帯状疱疹(片側性)
・肋間神経などの走行に沿ってできる
・治療はアシクロビル
☆掌蹠膿胞症
・慢性扁桃炎→交叉抗体抗原反応→手のひら、足の裏に無菌性の膿疱
・膿疱内には細菌陰性、好中球がある
・胸肋鎖骨異常骨化による胸痛
・ステロイド、PUVA療法、扁桃摘出
☆Sweet病
・白血病、MDSに合併する多発性浮腫性紅斑(顔面がぼこぼこと盛り上がる→丹毒と似てるが丹毒は範囲が広い)
・発熱、好中球↑(∵G-CSF↑)
cf)悪性腫瘍合併の皮膚病変:PMDM(胃癌肺癌)、Sweet病(白血病、MDS)、黒色表皮腫(胃癌)、LaserTrelat(胃癌)、Bowen病(他のがん)
☆壊疽性膿皮症
・壊疽=黒色の壊死
・大動脈炎症候群、UC、クローン病、白血病に合併
☆SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
・乳幼児
・黄ブ菌の表皮剥奪毒素が原因→水泡内に菌はいない
・菌血症でなければ発熱なし
・ニコルスキー現象陽性(天疱瘡、TEN、SSSS)
☆TEN(中毒性表皮壊死型薬疹)
・全ての薬剤で起こりえる(特にピリン系、サルファ剤)
・熱傷様表皮剥奪→重症例は死亡する
・ニコルスキー現象陽性
☆Stevens-Johnson症候群
・薬剤や感染→全身に多形性滲出性紅斑
・死ぬことはないが角膜障害による失明が後遺症
☆扁平苔癬
・四肢屈側、体幹、外陰部
・口腔、爪に他の皮膚疾患を合併
・ケプネル現象陽性
・掻痒感あり
☆結節性紅斑
・結核、サルコイドーシス、Wegener、内臓悪性腫瘍、ベーチェット、Crohn病、UC(今朝は鍋食うかい?結構)
☆紅皮症
・アトピー、癌、薬疹、湿疹、乾癬
☆黒色表皮腫
・腋窩、鼠径部、首筋に色素沈着、角質増殖
・肥満、胃癌、2型DMに合併
☆尋常性疣贅
・HPV
・凍結療法
☆LaserTrelat徴候
・脂漏性角化症(老人性疣贅)が全身に多発
・胃癌の合併が多い
☆色素失調症
・XD、男児は流産、女児は水痘、苔癬、色素沈着、骨格異常、眼病変
3表皮細胞の腫瘍
・基底細胞腫、有棘細胞癌→浸潤癌
・Bowen病、Paget病、日光角化症→表皮内癌
・露光部にできる→基底細胞腫、日光角化症
・黒い→基底細胞腫、Bowen病
・湿疹様→Paget病
☆基底細胞腫
・老人の露光部
・一部は脂腺母斑由来(生まれつきのハゲ→思春期にザラザラしてきて癌化)
・基底細胞はメラノサイトからメラニンを受け取る→黒色腫瘍
☆有棘細胞癌
・有棘細胞癌=扁平上皮癌
・メラニンがないので黒くない
・原因:熱傷瘢痕、色素性乾皮症、日光角化症、放射線、尋常性狼瘡、Bowen病、
・SCC↑、SYFRA↑
☆Bowen病
・表皮内癌→基底膜を浸潤すれば扁平上皮癌
・黒っぽいかさぶた
・他の悪性腫瘍の合併が多い
・露光部は関係なし
・治療はope
☆Paget病
・「乳房と外陰部にできたステロイド無効の湿疹」とくればこれ。
・細胞診でPaget細胞(細胞質が大きくて白い)
・治療はope
☆日光角化症
・老人の露光部にできる
・扁平上皮癌の前癌病変
・治療は凍結療法、ope
☆母斑細胞性母斑
・母斑=ほくろ
cf)黒あざ=ほくろ=色素細胞性母斑、茶あざ=扁平苔癬、カフェオレ斑、青あざ=蒙古斑、太田母斑
・メラノサイトの良性腫瘍
・大きいものはメラノサイトへ進行
・真皮の深いところにできるので青い(深い海は青い)
・メラノサイトは表皮細胞なので真皮にできてもここに入れてます。
☆太田母斑
・目の周りにできた青い母斑
・本来表皮にあるはずのメラニンが真皮に分布
・生後すぐ、または思春期に出現
・自然消失はしない
☆ウンナ母斑
・新生児の後頭部
・サーモンパッチ様の赤色母斑
・自然消失あり
☆メラノーマ
・メラノサイトは神経堤から表皮に遊走するためデスモゾームがない→非常に転移しやすい→生検禁忌
・足の裏にできたしみ出しのあるほくろ
・母斑(ほくろ)との鑑別はダーモスコピー→メラノーマは山が黒い、谷が白い(ほくろは逆)
・白いメラノーマもある→黒色の強さは診断基準にならない
☆母斑症
・癌抑制遺伝子の異常
・von Recklinghausen病:AD、カフェオーレスポット、神経線維腫1、脳内石灰化
・結節性硬化症:AD、初発は木の葉状白斑→顔面の脂腺様皮疹(実は血管線維腫)、爪のケーネン腫瘍、脳室壁石灰化(candle guttering)、West症候群、LAM、腎血管筋脂肪腫、心横紋筋腫
・SturgeWeber症候群:遺伝性なし、顔面片側の血管腫+牛眼+脳内レール状石灰化(tramline calcification)→全て同側
4真皮の疾患
☆エーラースダンロス症候群
・膠原線維(コラーゲン)の異常
・やわらかく伸びやすい皮膚、柔らかすぎる関節、異常な瘢痕形成傾向
☆マルファン症候群
・膠原線維(コラーゲン)の異常、AD
・高身長、くも状指、漏斗胸、はと胸、高口蓋、水晶体亜脱臼
・大動脈解離、AR、MVP、肺のう胞の合併
☆弾性仮性黄色腫症(PXE)
・弾性線維(エラスチン)の変性
・首すじ、わきの下にザラザラデコボコの黄色腫様
・心臓血管系の異常(高血圧、眼底出血など)
☆ムコ多糖蓄積症
・ムコ多糖が真皮、角膜、軟骨、神経に蓄積→ガーゴイリズム、角膜混濁、骨格異常、精神発達遅滞
・ハーラー、ハンター、モルキオ
・代謝異常はAR。しかし、ハンターは例外でXR。
☆ヒスチオサイトーシスX(ヒスチオサイト=組織球)
・Lettere-Stiewe病:2歳まで。発熱、発疹、肝脾腫
・Hand-Schuller-Christian病:2歳~6歳。眼球突出、地図状頭蓋、尿崩症
・好酸球性肉芽腫症:6歳以降。上肺野の間質性肺炎、肉芽腫による気胸、尿崩症
☆肥満細胞腫
・色素性蕁麻疹(紅斑性隆起)
・蕁麻疹=真皮の浮腫→大きなもりあがり、神経があるので痒い!
・ダーリエ徴候:擦過するとヒスタミン脱顆粒で蕁麻疹
☆遺伝性血管神経性浮腫(HANE)
・Quincke浮腫
・C1inhibitor欠損→真皮深くにできる蕁麻疹→深すぎて痒くない、non-pitting edema(硬性浮腫)
・喉頭浮腫による窒息を防ぐために気道確保
・抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬
cf)硬性浮腫:HANE、甲状腺機能低下症、乳がん手術後のリンパ浮腫、川崎病
☆グロムス腫瘍
・爪の下、かなり痛い、青い
☆皮膚T細胞性リンパ腫
・皮疹、紅皮症
・菌状息肉症、セザリー症候群、ATLL
☆丹毒
・A群レンサ球菌の真皮感染→顔面全体が真っ赤にただれる、痛い
☆非定型抗酸菌
・水槽の手入れ→Mycobacterium mariumの経皮感染→半年くらいで皮疹
・抗酸菌なので増殖スピードが遅い
・抗酸菌なのでZiehl-Neelsen染色
☆伝染性膿痂疹
・黄ブ菌の真皮感染→有痛性、限局性
・アトピーでひっかいて感染する
5皮下の疾患
☆フレグモーネ
・皮下蜂巣炎、黄ブ菌
・拍動性の疼痛、腫脹、発赤
☆Weber-Christian病
・中年女性
・感染でもないのに発熱、四肢の有痛性紅斑→瘢痕化
・治療はステロイド
☆黄色腫
・高脂血症、糖尿病
☆ケロイド
・外傷範囲を超えて広がる、皮下の膠原線維の増殖、腫瘤
・切除しても創傷治癒過程の異常なので、また出てくる→切除は不可
・疼痛や掻痒感あり
6他の表皮感染症
☆ダニ、真菌
・ダニ、真菌:KOHで角質を溶かして検出する。ステロイド禁忌
・カンジダ:主婦は第3指間、爪周囲、乳幼児は陰股部
・皮脂が少なすぎるとカンジダ、白癬が増えてしまう。皮脂が多すぎると脂漏性皮膚炎(中年男性と乳児)
・白癬:第4趾間、爪。水疱内には白癬菌はいない。
・ケルスス:幼児の頭髪の白癬症→脱毛。ペットからの感染
・癜風(でんぷう):若年の男性の汗をあくところにできる。わずかに隆起した紅斑。痒みなし。マラセチアフルフール
・疥癬:ヒゼンダニ。細胞性免疫不全で重症化(ノルウェー疥癬)。硫黄風呂でよくなる。
☆フルンケルンとカルブンケルン
・「せつ」と「よう」
・フルンケルンはひとつの毛根(=表皮の落ち込み)の黄ブ菌感染
・カルブンケルンはフルンケルンの集まったもの
☆尋常性毛そう
・毛そう=ひげそり負け

耳鼻科ポイント

耳鼻科ポイント

☆耳科学
1解剖・生理
・聴覚は蝸牛神経、平衡覚は前庭神経、2つあわせて聴神経(第8脳神経)
・中耳=鼓室は乳突蜂巣、耳管を通して上咽頭につながる
・小児の耳管は水平、太い、短い→上咽頭からの感染をおこしやすい→急性中耳炎、滲出性中耳炎は小児の疾患
・耳管軟骨に付着するのは口蓋帆張筋(V3下顎神経支配)→咀嚼で収縮→耳管開口
・逆に大人の滲出性中耳炎は上咽頭癌を疑え
・鼓膜の振動は鼓室内の耳小骨(つち骨→きぬた骨→あぶみ骨)を介して前庭窓に伝わる
・大きな音→蝸牛N→オリーブ核→顔面N→あぶみ骨筋収縮→あぶみ骨を脱臼させて内耳を保護
・顔面神経麻痺ではあぶみ骨筋が収縮しない→聴覚過敏
・内耳は上から3半規官、前庭、蝸牛
・蝸牛の中は外リンパの中に内リンパが浮かぶ
・内リンパは蝸牛だけでなく、前庭や半規管にもある
・前庭窓から入った振動は外リンパを通って蝸牛窓に抜ける
・蝸牛管の外リンパの振動→内リンパのCorti器(有毛細胞)の振動→電気信号→蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→外側毛帯核→中脳下丘→内側膝状体→側頭葉の聴覚野
・外リンパはくも膜下腔と交通→髄膜炎の合併で難聴あり(細胞外液と同じ成分)
・内リンパは細胞内液と同じ。内耳の外交通してない→内リンパ水腫おこすことあり(メニエール病)
・前庭(卵形嚢、球形嚢)内には有毛細胞の上に耳石があり、頭の傾きを感知する
・耳石が剥がれ落ちると特定の頭位でめまい→良性発作性頭位めまい症(耳鳴り、難聴なし)
・卵形嚢は三半規管、球形嚢は蝸牛管に連絡
・三半規管の膨大部には有毛細胞からできたクプラがある。回転加速度の感知。
・外側(水平方向)、前(上垂直方向)、後(後垂直方向)の加速度を感知。
・内耳は椎骨-脳底動脈由来のAICA支配→椎骨脳底動脈の循環障害でめまい、耳鳴り
2症候
・耳痛とくれば、外耳炎、急性中耳炎、三叉神経痛
・滲出性中耳炎は痛くない→乳幼児で気づかず言語発達遅延の恐れ
・非回転性めまいは貧血など脳の問題
・世の中がぐるぐる回ってるように感じるのは回転性めまい
 反復性で頭位が決まっている→良性発作性頭位めまい症(難聴なし) 
 反復性で難聴を伴う→メニエール病
 めまいは1回だけでその後難聴→突発性難聴
 めまいだけ→前庭神経炎
 聴神経腫瘍、多発性硬化症、ワレンベルグ症候群、帯状疱疹など
・中枢性めまい(脳幹)→垂直性眼振
 末梢性めまい(内耳)→水平回旋性眼振
3検査
・難聴=20dB以上でないと聞こえない
・オージオグラムは難聴の検査。自覚的なので乳幼児、嘘つき、ヒステリーにはABR
・自記オージオメーター:Ⅰ正常、伝音性難聴Ⅱ迷路性難聴ⅢⅣ後迷路性難聴Ⅴ機能性難聴
・伝音性難聴:気導と骨導の差がある(Air-BoneGap+)→外耳、中耳の病気
・感音性難聴:気導と骨導の差がない(Air-BoneGap-)→神経の病気
・感音性難聴
 片側性→突発性難聴、メニエール病、流行性耳下腺炎
 両側性→アミノ配糖体(ストマイ・カナマイ)、騒音性難聴、老人性難聴
・オージオグラムで↓は無限dBでも聞こえない=聾(補聴器は無効)
・内耳の障害では少しの内圧の差にも気づく=補充現象(リクルートメント現象:検査音を少しでも大きくすると異常に大きく感じる)
 補充現象陽性は内耳の迷路障害→メニエール病、アミノ配糖体、騒音性難聴
・ティンパノメトリは鼓膜の動きやすさをみる
・鼓膜の外と内の圧較差がないときに最も動きやすい。正常では圧較差が0のときが最大(A型)
・耳硬化症はアブミ骨が前庭窓の固着するので鼓膜が動かない→As型
・耳小骨離断では鼓膜がやたら動く→Ad型
・滲出性中耳炎は耳管閉塞で鼓室内空気が血管に吸収されて鼓室内圧が陰圧なので鼓膜外圧をマイナスにすると動きやすくなる→B型、C1型
・B型は中耳に水がありピークなし、C1は陰圧側にピーク
・急性中耳炎は鼓室内に液体がたまり鼓室内圧は陽圧なので、鼓膜外圧がプラスで動きやすい→C2型
・ABRはクリック音で脳波の変化を見る。乳幼児、心因性難聴、詐聴、意識障害でも使える。
・ABR:Ⅰ波は蝸牛神経、Ⅱ~Ⅳ波は脳幹、Ⅴ波は聴覚野
・耳鏡ではつち骨柄が前上方にのびるのが見える→緊張部から弛緩部にのびる
・急性中耳炎は発赤、突出、穿孔
 滲出性中耳炎は黄金色、内陥、水あめ調
・カロリックテストは内耳の平衡機能を見る(外耳道に水or湯を入れると眼振が正常)
4治療
・補聴器(集音器)は両側性の伝音性難聴に適応
 耳硬化症、両側性外耳道閉鎖、耳小骨奇形(耳は奇形が多い)
 老人性難聴は感音性難聴の要素が強いので早期に使う
・伝音性難聴は人工中耳も適応
・補聴器の無効な感音性難聴には人工内耳
・鼓膜チューブは滲出性中耳炎(鼓室内圧陰圧で血管から水が滲出するため)
・鼓室形成術は慢性化膿性中耳炎や真珠腫性中耳炎で鼓室が破壊されたとき
・耳硬化症にはアブミ骨手術
5疾患
・指と耳は奇形が多い:耳小骨奇形→補聴器、遺伝性が多い
・悪性外耳道炎:DM、老人に緑膿菌感染→頭蓋底まで壊死→脳神経症状、予後不良
・急性化膿性中耳炎
 耳管が水平、太い、短い小児に多い→口腔内常在菌の肺炎球菌、インフルエンザ桿菌の上行性感染→血管透過性亢進→鼓室内滲出液貯留
 拍動性耳痛、炎症なので発熱、伝音性難聴、
 急性乳様突起炎→S状静脈洞血栓症、脳膿瘍
 内リンパ→髄膜炎
 耳鏡で鼓膜の発赤、腫張
 治療は鼓膜切開(髄膜炎、脳膿瘍対策)、ABPC(アモキシシリン)、軽症例は無治療でも3日で軽快
 めまいはなし
・慢性化膿性中耳炎
 急性化膿性中耳炎の慢性化したもの。稀。痛みなし。
 鼓膜穿孔を認めることあり
 乳突蜂巣は発育不全
 治療は顕微鏡下に吸引と洗浄、鼓室が破壊されていれば鼓室形成術。耳管通気は禁忌。
・滲出性中耳炎
 小児期にはワルダイエル輪リンパ節が腫張しやすい→耳管閉塞→鼓室内空気が血管に吸収→鼓室内が陰圧→滲出液貯留
 小児期の病気→大人の滲出性中耳炎は上咽頭癌を疑う
 痛みがないので、乳幼児期に見逃すと伝音性難聴による言語発達遅延(航空性中耳炎は急性で痛みあり)
 耳鏡では鼓膜陥凹
 咽頭Xpで耳管周囲リンパ節腫大
 治療は鼓膜チューブ、耳管通気、抗生物質、抗ヒスタミン薬
・真珠腫性中耳炎
 中耳炎が慢性化→鼓膜が陥凹し、鼓室内に入り込む→真珠腫になって鼓室破壊(特に上鼓室型)
 空気がないので嫌気性かん菌による悪臭のある耳漏
 最初は伝音性難聴→内耳が破壊されると感音性難聴が加わる(混合性難聴)→めまい、顔面神経麻痺(味覚障害など)
 治療は鼓室形成術
・耳硬化症
 両側のあぶみ骨が前庭窓に固着→両側の伝音性難聴
 ゆっくりと進行する
 2000Hzで骨道閾値が上昇→カルハルトのノッチ(なぜか骨道、本来は気道のはず…)
 治療はあぶみ骨手術
・突発性難聴
 突然のめまい→片側性の高度感音性難聴
 理由不明だが、ウィルス感染か。
 DMで起きやすい
 治療はビタミンB1,2,6,12、高圧酸素、ステロイド、亜硝酸製剤
 早期治療すれば8割がよくなるが、2週間たつと回復しにくい
 予後不良因子:発症2週以上、90dB以上の難聴、回転性めまい、高齢者
・先天難聴(内耳奇形)
 原因は遺伝性(劣性遺伝)、妊娠12週未満の風疹/CMV初感染、妊婦へのアミノ配糖体
・老人性難聴
 蝸牛神経の加齢変性→両側性の感音性難聴
 老人は悪口はよく聞こえる→高音が聞き取りにくい
 語音明瞭度が低下
・騒音性難聴
 長期の高周波騒音→有毛細胞の不可逆変性→両側性の感音性難聴
 4000Hzの聴力低下(C5-dip)から始まるので気づきにくい(会話は500~2000Hz)
 迷路性なので補充現象+
 職場騒音は6ヶ月に1回の定期聴力検査
・中毒性難聴
 アミノ配糖体(ストマイ・カナマイ・ゲンマイ)による有毛細胞の障害
 初期はめまい→高音中心の両側性の感音性難聴
 迷路性なので補充現象+
・機能性難聴
 学童期の女子、原因はストレス
 オージオグラムは高度の感音性難聴だがABRでは正常、ティンパノグラムはA型
 自記オージオメトリはJergerV型(断続音が継続音より低下)
・良性発作性頭位めまい症(BPPV)
 耳石がはがれて半規管内に落ちる→頭位変換による回転性めまいだけ
 治療は半規管内耳石置換術(Epley法)
・メニエール病
 外部と交通していない内リンパ内にリンパ液が溜まる(内リンパ水腫)
 反復する発作性回転性めまい→進行すると耳鳴り、片側性の感音性難聴(低音域中心)
 迷路性なので補充現象+
・外リンパろう
 いきんだ瞬間に前庭窓や蝸牛窓に穴→突然のぽんっという音→片側性の感音性難聴、めまい、耳鳴り
・前庭神経炎
 先行するウィルス性上気道感染→2週間の激しい回転性めまい→一過性で治癒
 難聴や顔面神経麻痺はなし
・聴神経腫瘍
 前庭神経のシュワン細胞由来の良性腫瘍
 ゆっくりと大きくなる→平衡障害は代償するので、初発は感音性難聴
 両側性のものは神経線維腫症2型(22qのMerlin遺伝子の異常、両側性聴神経腫瘍、多発性髄膜腫、神経膠腫、神経鞘腫、若年性白内障)
 腫瘍増大で三叉神経麻痺、顔面神経麻痺
・顔面神経麻痺
 顔面神経は耳下腺をくぐった後、目、耳、舌、顔に枝を出す
 目:膝神経節からの枝が涙腺→涙液分泌低下
 耳:アブミ骨筋神経→障害で聴覚過敏
 舌:鼓索神経が舌の前3分の2の味覚
 顔:顔面筋→障害で閉眼障害、口角下垂、鼻唇溝浅化、額のしわがない
・RamsayHunt症候群(Ⅶ、Ⅷ)
 水痘帯状疱疹ウィルスの再活性化
 膝神経節炎→涙液↓、聴覚過敏、味覚↓、表情筋麻痺
 内耳障害→めまい、感音性難聴
 外耳の耳痛を伴う水泡性発疹
 治療はアシクロビル
・Bell麻痺(Ⅶのみ)
 突然発症する末梢性顔面神経麻痺
 HSVの再活性化
 難聴やめまいはない
 治療はステロイド、ビタミンB群
 半数が自然治癒
・側頭骨骨折
 縦骨折は伝音性、横骨折は感音性難聴(Ⅷ)+Ⅶ
☆鼻科学
1解剖生理
・上鼻道:後部篩骨洞、蝶形骨洞が開口
 中鼻道:前頭洞、前部篩骨洞、上顎洞が開口
 下鼻道:鼻涙管が開口
cf)耳管は上咽頭に開口
・嗅部は鼻の上面にあり、切手1枚の大きさ
・鼻の血流は顎動脈(外頚動脈の枝)。鼻腔の上3分の1は篩骨動脈(内頚動脈の枝)支配。
2症候
・鼻音はm,n
・鼻漏
 漿液性→アレルギー性鼻炎
 粘液性→慢性副鼻腔炎
 出血性→上顎癌
 悪臭→上顎癌、鼻腔異物、進行性鼻壊疽
・いびき→睡眠時無呼吸症候群、小顎症、高齢者、肥満、アデノイド腫大、副鼻腔炎、飲酒後
3検査
・前鼻鏡では上鼻甲介、咽頭扁桃、耳管開口部、鼻茸は観察できない→後鼻鏡
・アレルギー性鼻炎→白色の下鼻甲介
・副鼻腔炎→赤色の下鼻甲介
4疾患
・鼻出血
 キーゼルバッハ部位からの出血がほとんど
 前は0.1%ボスミン綿球、後ろはBelloqタンポンを詰める
 鼻出血の原因に高血圧を忘れるな。他に出血傾向、上顎癌、Osler病、上咽頭血管線維腫、異物
・鞍鼻→Wegener肉芽腫症、ムコ多糖蓄積症、鼻骨骨折、梅毒、ダウン症
 cf)Wegener肉芽腫症→上気道、下気道、腎の障害
・アレルギー性鼻炎
 IgEが介する1型アレルギー
 アレルゲンは通年性はハウスダスト(ダニ)、季節性はスギ花粉
 通年性は幼児発症、季節性は成人発症
 くしゃみ、鼻水、鼻づまり
 鼻汁中好酸球増加、前鼻鏡検査で白色の下鼻甲介
 治療はH1ブロッカー、クロモグリク酸(DSCG,インタール)、ステロイド点鼻、抗ロイコトリエン薬
・急性副鼻腔炎
 かぜ、急性鼻炎に続発。上顎洞の好発、次が篩骨洞
・慢性副鼻腔炎
 蓄膿症。上顎洞の好発、次が篩骨洞
 鼻茸、味覚障害、嗅覚障害(アデノイド、上咽頭癌、術後性上顎嚢胞では嗅覚障害-)
 手術10年後に術後性上顎嚢胞→上にいくと眼球突出、下に行くと歯痛
 治療は抗菌薬、洗浄、手術
・歯性上顎洞炎
 上顎側第一大臼歯抜歯→瘻孔→成人の急性片側性副鼻腔炎
 治療は抗菌薬、洗浄、手術
・睡眠時無呼吸症候群
 肥満、アデノイド→上気道閉塞→睡眠時無呼吸→夜間の不眠→日中の眠気→交通事故
 5%はShyDrager症候群による中枢型睡眠時無呼吸症候群
 外来のアプノモニターでスクリーニング→入院でポリソムノグラム(呼吸停止→脳波覚醒→呼吸再開)
 治療は経鼻的持続性陽圧換気、不十分なら軟口蓋形成術
・上顎癌 
 扁平上皮癌
 上顎洞という骨に囲まれたところに発生するのでリンパ行性転移は少ない
 高齢男性に多い
 前下型は歯痛を起こして早期発見なので予後良好、後上型は脳に行くので予後不良
 悪臭のある血性鼻漏、鼻閉、歯痛、頬部腫張、眼球突出
 治療は集学的治療(放射線+手術+抗がん剤)→どれも扁平上皮癌に効く
・顔面外傷
 鼻骨骨折→鼻出血、鞍鼻、鼻閉
 前頭蓋底骨折→髄液鼻漏
 眼窩吹き抜け骨折→下直筋がトラップされて上転障害
 視神経管骨折→視力障害
 上顎骨骨折→両側横断骨折はLeFort1~3に分類(複視+)
 下顎骨骨折→咬合異常(複視-)
 側頭骨骨折→縦骨折は伝音性、横骨折は感音性難聴
☆咽喉頭
1解剖・生理・症候
・上から舌骨、甲状軟骨、輪状軟骨
・声帯は舌骨、披裂軟骨に付着する内喉頭内筋から成る
・ワルダイエル輪=咽頭扁桃(アデノイド)、耳管扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃、リンパ小節→口腔視診で見れるのは口蓋扁桃、舌扁桃
・唾液腺=小唾液腺(上顎と下顎)+大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺→左から漿液腺、混合腺、粘液腺)
・シェーグレンでは小唾液腺を生検する。
・上咽頭は鼻腔の後ろ、中咽頭は口腔の後ろ、下咽頭は喉頭の後ろ。上咽頭の後ろは延髄。
・下咽頭は喉頭を両サイドから包み込む→梨状陥凹
・味覚は味蕾で知覚する:前は甘味、両端は塩味、中央は酸味、後ろは苦味
・味蕾は舌だけでなく軟口蓋にも分布する。
・舌の前3分の2は味覚が顔面神経の枝の鼓索神経、温痛覚が三叉神経
 後3分の1の味覚も温痛覚も舌咽神経
・嚥下運動:舌が後上方に動き軟口蓋を上げ、食物を咽頭へ(口腔期・随意)→喉頭蓋閉鎖、咽頭筋収縮で食物を下咽頭へ(咽頭期・不随意)→食物は食道へ行き、喉頭蓋が開いて呼吸再開(食道期・不随意)
・軟口蓋麻痺(舌咽迷走神経支配)→ミルクを飲むと鼻から出る
・片側声帯麻痺(反回神経支配)→嗄声。健側が過剰運動をするので誤嚥は起きない。両側声帯麻痺なら窒息。
・嗄声の原因は声帯異常か一側反回神経麻痺。
 声帯異常→クループ(急性声門下喉頭炎)、甲状腺機能低下症、喉頭癌、声帯ポリープ、下咽頭癌
 一側反回神経麻痺→食道癌、肺癌、縦隔腫瘍、大動脈瘤、PDA、外傷、手術
・間接喉頭鏡では患者の前が上、後ろが舌
・声帯ポリープは片側声帯にできた結節、謡人結節は両側の声帯ポリープ、ポリープ様声帯は両側ポリープ全体の腫脹、急性喉頭蓋炎では腫れた喉頭蓋で声帯は見えない。
2疾患各論
・口唇裂、口蓋裂
 0.1%、家族内発生は20%、多因子遺伝
 口蓋裂の手術時期は早すぎると口蓋成長障害、遅すぎると言語獲得遅延→2~3才(口唇裂はいつでもよい→1~3ヶ月)
・急性扁桃炎
 学童の口蓋扁桃に多い。
 原因は溶連菌、アデノウィルス
 扁桃陰窩に一致した黄白色の膿栓→進行すると偽膜
 正中線を越えた肥大を第3度肥大
・病巣感染
 慢性扁桃炎→免疫複合体→交叉抗原反応→IgA腎症、掌蹠膿胞症、心炎
 扁桃マッサージでIC上昇、扁桃洗浄でIC低下
 治療は扁摘
 掌蹠膿胞症の膿胞からは病原菌(溶連菌、黄ブ菌)は検出されない
・アデノイド増殖症
 咽頭扁桃は3~7才で生理的に肥大→耳管、後鼻腔の閉塞
 耳管閉塞:急性中耳炎、滲出性中耳炎
 後鼻腔閉塞:閉鼻声、いびき、SAS(睡眠時無呼吸症候群)、アデノイド顔貌
 治療はアデノイド切除術
・扁桃周囲膿瘍
 成人(急性扁桃炎は学童)
 咽頭痛、嚥下痛、開口障害、高熱
 口蓋垂の健側への偏位、頚部リンパ節腫脹→縦隔膿瘍(危険)
 抗菌薬、切開排膿
・アフタ性口内炎
 多発の原因→Behcet、Crohn病、SLE
・唾石症
 顎下腺に好発(リン酸カルシウムだからネバネバ)
 ワルトン管の閉塞で、顎下部腫脹、摂食時に唾疝痛
 下顎皮膚から摘出
・ガマ腫
 舌下腺の導出管の閉塞で貯留性嚢胞
・正中頚嚢胞
 甲状舌管の遺残
 舌骨を含めて摘出
・舌癌
 扁平上皮癌
 不適合義歯による慢性刺激→白板症→舌縁、舌下に発癌
 転移は顎下リンパ節→頸部リンパ節
 密封小線源治療(扁平上皮癌は放射線、化学療法が効く)
 舌は血流、リンパ流、脂質が豊富なので転移しやすいが、表面なので早期発見できるし、舌を切除すると発語困難になるので保存的にしたい
・上咽頭癌
 EBウィルス
 低分化な扁平上皮癌→放射線治療
 耳管閉塞で滲出性中耳炎、鼻出血、脳神経浸潤による6、9、10、11(∵後ろに脳幹)
 早期より頚部リンパ節転移
 病期に関わらず放射線治療(opeできない)
・高齢者の滲出性中耳炎→上咽頭癌
 高齢者の抜歯でよくならな歯痛→上顎癌
・上咽頭血管線維腫
 思春期、男児に好発、生検すると大出血(生検禁忌)
 思春期男子の反復する鼻出血
 治療はカテーテル塞栓、ホルモン療法
・下咽頭癌
 酒、タバコ→食道癌合併が多い
 普通は発見が遅れるので予後が悪い→頭頚部癌中で予後不良
 梨状陥凹癌は早期発見(∵梨状陥凹に唾液が貯留し嗄声)
・急性喉頭蓋炎
 幼児のインフルエンザ桿菌感染、成人の喫煙者
 嚥下痛、高熱、吸気性喘鳴
 声門閉塞による窒息もある→直ちに気道確保(輪状甲状軟骨間膜切開)
・クループ(急性声門下喉頭炎)
 幼児、パラインフルエンザウィルス
 嗄声、犬吠様咳嗽、吸気性呼吸困難
 軽症なのでアドレナリン吸入
・嗄声を伴う声帯の病変
 声帯ポリープ:有茎性、前3分の1、片側、原因は声の酷使
 声帯結節(謡人結節):両側対称性の声帯ポリープ、前3分の1
 ポリープ様声帯:声帯全体の浮腫、原因は声の酷使
・喉頭乳頭腫
 パピローマウィルスが原因。喫煙と飲酒は無関係
 喉頭癌の前癌病変
 嗄声、喉頭異物感
・喉頭癌
 頭頚部癌の4分の1
 声門型が多い(70%)→嗄声、血痰により早期発見、残り30%は声門上部
 原因は喫煙(Brinkman指数400以上で発生率上昇) 
 舌癌、喉頭癌は早期発見なら放射線療法(普通は外科切除)←舌や喉頭をとると発生困難になるため
 喉頭全摘後は食道発声訓練(器具不必要、リハビリ必要)か人工喉頭(器具必要、リハビリ不必要)
・反回神経麻痺
 食道の両脇を走る迷走神経の枝
 左は大動脈弓、右は鎖骨下動脈を反回する
 片側麻痺で嗄声、両側麻痺で窒息
 原因:食道癌、肺癌、縦隔腫瘍、大動脈瘤、PDA、外傷、手術