・認知機能低下
・BPSD(周辺症状)
・自律神経障害
・パーキンソンニズム
☆自律神経障害
①循環器系:血圧変動
・起立性低血圧:立ちくらみ、頭重感、失神(→転倒の危険性)
治療:急に立ち上がらないように、降圧剤を中止する、下肢に弾性ストッキング、交感神経系刺激薬(塩酸ミトドリン、ドロキシドパ、メシル酸アメジニウム)、血管拡張抑制薬(塩酸プロプラノロール)、血漿増量薬(フルドロコルチソン)
・食後性低血圧:食事を食べているとき、食後にぼーっとしてくる、眠くなる→そのときに血圧測定を、誤嚥、窒息の危険性
治療:少量頻回の食事にする、たくさん一度に食べない、ゆっくりよく噛んで。食前に短時間作用型の昇圧剤(塩酸ミトドリン)
・臥位高血圧:起立性低血圧の人が寝ると血圧が急上昇する(立ち上がると60台、寝ると180台など)
低血圧を起こしやすい要因(脱水、便秘、いきみ、高温環境)を避ける
治療:頭部の挙上20-30度
②泌尿器系:排尿障害
・畜尿機能障害(DLBに多い)
→頻尿、尿意切迫、尿失禁
夜間頻尿は高齢者では2回を超える場合→睡眠不足~認知機能低下
・排出機能障害 カテーテルを入れてどれくらい残っているか
→排尿困難、残尿、尿閉
治療
畜尿障害:
抗コリン薬(プロピベリン、トルテロジン、イミダフェナシン、ソリフェナシン)、Ca拮抗薬(フラボキサート)、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)
排出障害:
α1遮断薬(タムスロシン、ウラピジル、ナフトピジル)、抗ChE薬(ジスチグミン)
③消化器系
・便秘、麻痺性イレウス、胃排出機能低下(DLBでレボドパの効果減弱)、糞便性の閉塞性イレウス
治療:食物繊維と水分をよくとる、消化管運動障害をきたしうる薬剤を控える、便秘薬(酸化マグネシウム、センノシド)、消化管運動促進薬(ドンペリドン、モサプリド、大建中湯)
不溶性食物繊維は便の量を多くして消化管刺激→とりすぎると閉塞の原因なので不溶性食物繊維:水溶性食物繊維が2:1になるように摂取する
④発汗障害:過多、減少
・下半身の発汗が低下し、その代わりに上半身の発汗が過多になる
治療:発汗過多による脱水、うつ熱になりやすい→冷やすこと、適宜下着のとりかえ、水分摂取を心がける、湿疹対策
→交感神経系の障害の証拠。他の自律神経障害がないかチェックする。
⑤呼吸器系:高炭酸換気応答障害
DLBに多い、高炭酸換気応答検査で調べる。CO2ナルコーシスの可能性もあり。呼吸抑制作用のある薬物の使用に注意する。
☆錐体外路症状
・認知症患者のQOLを低下させる原因として錐体外路症状がある。
・DLB、PSP、皮質基底核変性症、アルツハイマー病(しばしば見かける)、脳血管性認知症、正常圧水頭症、慢性硬膜外血種で生じうる。
・震える、うまく歩けない、転びやすくなる等。
・錐体路:皮質脊髄路、皮質延髄路
錐体外路:基底核と視床、脳幹の神経核を結ぶ経路(錐体路以外)
・認知症(脳萎縮)が原因のParkinsonism:筋固縮、振戦、無動、姿勢反射障害
①歩きづらさ
PD:前かがみ、歩幅狭い、小刻み
PSP:バランスが悪い、後ろに倒れる
すくみ足;PD、PSP、脳血管性Parkinsonism、正常圧水頭症
いったん止まるとなかなか1歩が出ない
診察が終わって、立ち上がるが、なかなか動き出せないのはすくみ足の症状
抗パーキンソン病薬
すくみ足にはドロキシドパ有効
歩くスペースを確保
障害物をなくす
手すり
段差をなくすor段差に目印
椅子やベッドの硬さや高さを調節
感覚刺激を利用する
音楽や掛け声が一歩を踏み出しやすくなる
トイレなどの狭いところでの方向転換が難しい→床に米のマークのテープをつけると方向転換しやすい
歩くときは歩くことに集中する
杖を使うことに気を取られて、転びやすくなることもある
②飲み込みづらさ
反復唾液嚥下テスト
のどぼとけ(喉頭隆起)に指をあてる
から嚥下を30秒間に3回以上できればOK
抗パーキンソン病薬
嚥下訓練:鼻から域を大きく吸って止める→から嚥下した後に勢いよく息を吐きだす
首を前に倒す
飲み物を飲むときはストロー使うとよい
首を少し回すと頸椎による咽頭、食道の圧迫解除
水分にとろみをつけると通過速度を遅くして嚥下反射が遅れている人の誤嚥を防ぐ
喉頭蓋に食物がたまる場合は水分と食事を交互に摂取する
食べやすい食器
スプーンやフォークを使う
③ウェアリングオフ現象
薬の効いているときと効いていないことがある
なまけているのではない
④仮面様顔貌
感情がないのではない
・薬剤性Parkinsonismを除外する
両側性、姿勢反射障害やすくみ足など歩行障害が目立つ、月単位でPDより亜急性に進行、Lドーパの効果が乏しい
抗精神病薬(リスパダールなど)、抗うつ薬、制吐剤の他にバルプロ酸、ラニチジン、Ca拮抗薬、アミオダロン、レセルピン、アンホテリシンBでも生じ得る
原因薬剤開始から1-3か月で生じ、原因薬物の中止で数か月かかることがある
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