臓器移植
・1997年臓器移植法、1998年生体肝移植の保険適応、2004年保険適応拡大
・拒絶反応:第6染色体中のMHC遺伝子からできるHLAが違うと起きる。HLAクラスⅠは全細胞、HLAクラスⅡはB、Mφ、血管内皮に発現
①超急性:24時間以内、もとからある抗体がグラフトを攻撃
②急性:3ヶ月以内、細胞性免疫→ステロイドパルス
③慢性:3ヶ月以降→再移植
・レシピエントが免疫抑制の場合は逆にグラフト内リンパ球がレシピエントを攻撃する→GVHD
・基本はHLA、ABO適合。腎移植はABO非適合でも可。小腸移植はABO適合(HLA適合は不必要)
・免疫抑制薬:シクロスポリンorタクロリムス、アザチオプリンorミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾロン。
シクロスポリン、タクロリムス:IL-2の転写合成を抑制。臓器移植成功率を飛躍的に向上させた。
アザチオプリン:リンパ球のプリンヌクレオチド合成抑制
ミコフェノール酸モフェチル:リンパ球のDNA合成抑制
・肺移植では気管支吻合を促進するためプレドニゾロンは術後2週間後に開始
・ドナー:生体(肝、腎)、心臓死(腎、角膜)、脳死
・臓器の保存法:Univercity of Wisconsin液(UW液)は10℃以下、細胞内液組成、高浸透圧(lactobionate)、心臓は最短4時間、腎臓で最長48時間
・脳死の術前管理:低血圧、水電解質バランス異常(∵尿崩症)に注意
・虚血再灌流障害:虚血で抑えられていた細胞障害性酵素が再灌流で活性化
・肝移植
適応:"CBA"→C型肝炎、B型肝炎、アルコール、LCC、Budd-Chiari、CBA(先天性胆道閉鎖)
手技:脳死肝移植:肝臓、下大静脈、門脈、総胆管、肝動脈を丸ごと摘出し、それぞれ吻合する。生体肝移植:左葉を摘出し、左中肝静脈、門脈、肝動脈、総胆管を吻合。
ミラノ基準:肝細胞癌に対する適応。遠隔転移と血管侵襲なし、単発5cm以下、3cm3個以下。これで5生率75%(基準策定前は5生率36%ほど)
・膵移植
適応は腎不全を合併した1型糖尿病
手技:膵十二指腸腎同時移植。グラフト門脈を総腸骨静脈、グラフト脾動脈を総腸骨動脈につなぐ。十二指腸は膀胱や腸管につないで膵液を流す。もとの膵臓腎臓は残しておく。
膵島細胞移植:ラ島細胞を取り出して、経皮経肝的に門脈末端に流しこみ生着させる。成績はよくない。
・腎移植
ABO非適合でも可能
グラフト腎動脈は総腸骨動脈、グラフト腎静脈は総腸骨静脈に吻合
・小腸移植
適応:クローン病、腸間膜動脈閉塞症、新生児壊死性腸炎、小腸閉鎖など
ドナーはレシピエントよりも約30%体重が少ないほうが良い。
ABO適合は必要だが、HLA適合は必要ない
人工肛門を造設して、グラフトの観察をする
・心移植
適応:拡張型心筋症、肥大型心筋症の拡張相、心筋梗塞
除外:肝不全、腎不全、肺高血圧、感染症、薬物依存、癌、HIV
レシピエント条件:①NYHAⅢ以上で内科治療抵抗②60才未満③本人、家族の協力がある
ドナー条件:PaO2>60mmHg(FiO2=0.4)、血中ドパミン<10μg/kg/min、平均血圧>90mmHg、収縮期血圧>100mmHg、Cr<1.5、体重差25%以内
急性拒絶反応:診断に毎週心内膜生検、治療はステロイドパルス
慢性拒絶反応:診断は3ヶ月毎にIVUS、冠動脈硬化が起こる→胸痛は感じないので症状がなくても検査する
感染症:1ヶ月以内は細菌感染、1ヶ月以降は真菌、嫌気性菌、ウィルス感染。特にサイトメガロウィルスが慢性拒絶反応の原因にもなり重篤。
0 件のコメント:
コメントを投稿