乳腺疾患
・急性乳腺炎:非細菌性、乳汁うっ滞で起こる。
・急性化膿性乳腺炎:急性乳腺炎に乳管口から黄ブ菌、表皮ブ菌が感染。授乳は中止して抗菌薬投与。
・慢性乳腺炎:主乳管上皮が扁平上皮化生~脱落角化細胞が乳管を詰まらせる→黄ブ菌により膿瘍
・乳腺脂肪壊死:肥満+高齢+打撲→肉芽腫性炎症反応、乳癌との鑑別に生検が必要
・モンドール病:乳房の血栓性静脈炎、乳頭から腋窩にかけて索状物
・乳腺症:乳腺疾患で最多、30/40才、E>Pにより乳腺の増殖と退行のバランスが崩れたもの、乳房腫脹、疼痛、硬結腫瘤、乳頭異常分泌、乳癌との鑑別が必要、治療は不要
・乳腺線維腺腫:思春期~30才前半、乳管上皮と間質線維の良性腫瘍(表面平滑、可動性良、癒着浸潤なし)、マンモグラフィーで粗大石灰化(ポップコーン状)、病理は間質の増生で引き伸ばされた乳管上皮、経過観察
・乳管内乳頭腫:主乳管にできた乳管上皮の良性腫瘍、血性乳汁分泌、癌との鑑別難しい
・乳癌:
乳房のしこりは除外できるまで乳癌として扱う
家族性のものはBRCA遺伝子(癌抑制遺伝子)の変異
病理は浸潤性乳管癌が最多、中でも硬癌が多い(3割)
発生部位は、外上部>内上部>外下部>乳輪>内下部
悪性所見→表面不整、境界不鮮明、可動性不良、硬結、無痛性、圧痛なし
進行すると皮膚のひきつれ、皮膚を引き寄せるとえくぼ、衛生皮膚結節、橙皮様皮膚(浮腫+発赤)
マンモグラフィーは悪性所見、スピキュラ、微細石灰化、エコーでは辺縁不整な低エコー、内部モザイク、後方エコーは減衰
CEA,CA15-3,NCC-ST439,BCA225,TPAは根治手術可能例では15%程度で陽性(→再発、遠隔転移で上昇)
骨転移でALP,Ca上昇、肝転移でALP,LDH上昇、肺転移でLDH上昇
TMN分類:T2は2cm以上5cm以下、N1はレベルⅠ腋窩リンパ節転移、N2はレベルⅡ腋窩リンパ節転移、N3はレベルⅢ腋窩リンパ節転移
レベルⅠは小胸筋外側、Ⅱは小胸筋の裏面、Ⅲは小胸筋の内側、Ⅲの次は鎖骨下リンパ節=Halstedリンパ節、副経路は内胸動脈リンパ節(リンパ管は動脈に伴走、鎖骨下動脈は腋窩動脈に続く)
根治手術
乳房温存手術ができるのは癌の大きさが3cmまで
①乳房温存手術:乳腺の一部、レベルⅠⅡの腋窩リンパ節郭清
②胸筋温存乳房切除術:乳腺全部、レベルⅠⅡⅢの腋窩リンパ節郭清(オーチンクロスの手術)
③定型的乳房切除術:乳腺全部、大胸筋、小胸筋、腋窩リンパ節、鎖骨下リンパ節郭清(ハルステッドの手術)
センチネルリンパ節生検:術前に癌部位にRI注入し、手術時に最初に流れこむリンパ節を取り出し、術中迅速病理診断。転移がなければリンパ節郭清なし
乳房再建:腹直筋皮弁、広背筋皮弁
薬物療法
術前、術後に行う。術後は放射線と組み合わせて行う。
①ホルモン受容体陽性例
閉経前はタモキシフェン+LHRHアナログ
閉経後はタモキシフェン+アロマターゼ阻害剤
タモキシフェンはE受容体拮抗薬、LHRHアナログはLHRH分泌抑制、アロマターゼ阻害剤は副腎DHEAをEに変えるのを阻害
②HER2陽性例
トラスツズマブ
HER2はチロシンキナーゼ活性を持つ細胞膜貫通型増殖因子受容体蛋白をコードする
③抗癌剤
アントラサイクリン系(塩酸ドキソルビシン)、タキサン系(パクリタキセル)
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