ページビューの合計

2011年12月31日土曜日

整形外科ポイント

整形外科ポイント

・皮質骨:緻密骨、同心円柱層状(=オステオン)
 海綿骨:骨梁、多孔性、中に骨髄
・オステオン:縦方向→ハーバース管、横方向→フォルクマン管
・皮質骨基質:1型コラーゲン、ハイドロキシアパタイト(Ca,P)
 軟骨基質:2型コラーゲン、プロテオグリカン、椎間板や半月体も同じ
・骨芽細胞:アルカリフォスファターゼ活性大、10%が骨細胞になる
 骨細胞:力学的負荷を感知→骨芽細胞を活性化?
 破骨細胞:酸フォスファターゼ活性大→前立腺癌の骨転移で↑
・閉経→E↓→骨吸収↑↑>骨形成→高代謝型骨粗鬆症
 老化→骨吸収>骨形成↓↓→低代謝型骨粗鬆症
・骨粗鬆症の治療:
骨形成促進:ビタミンD,K
骨吸収抑制:ビスフォスホネート(食事30分以上前に服用)、カルシトニン、ラロキシフェン(選択的E受容体モジュレーター、血液凝固亢進)
・肩関節外転→C5(腋窩N)、三角筋
 肘関節屈曲→C5,6(筋皮N)、上腕二頭筋
 肘関節伸展→C7,8(撓骨N)、上腕三頭筋
 膝関節屈曲→
 膝関節伸展、股関節屈曲→L2,3,4(大腿N)、大腿四頭筋
 アキレス腱反射→S1
 足関節背屈(伸展)→L5(総腓骨N)、前頸骨筋
 足関節底屈(屈曲)→腓腹筋、ヒラメ筋、長腓骨筋
・関節拘縮→関節の外、関節強直→関節の中の異常
・Thomas試験:関節拘縮を見る、健側大腿を腹部に近づけると患肢が持ち上がる
 Spurling徴候:頸椎ヘルニア、変形性頸椎症を見る、頭部を横に傾けると痛み
 Lasegue試験:下肢挙上で痛み、坐骨神経の圧迫を見る
 Trendelenburg徴候:足を上げた方の骨盤が下がる、先股脱、大腿骨頚部骨折、中臀筋や小臀筋の麻痺
 Hoffmann反射:中指を上から弾くと母指が屈曲
 Chadock反射:中指を下から弾くと母指が屈曲
・間欠性跛行:ASO/TAO(足背動脈拍動なし)、腰部脊柱管狭窄(しゃがみこむと改善)
・骨膜反応:onion peel(Ewing肉腫)、snnray spicula,Codman三角(骨肉腫)
・myeloCT→水溶性非イオン性造影剤を使うこと!
・早期診断は骨シンチかMRI
・シンチ
99mTc-MDP:リモデリング部位に集積(骨折部位など)(P=リン酸化合物)
67Ga:腫瘍、炎症、サルコイドーシス
・関節鏡→膝、肘、肩、足関節に使用
・関節液:正常は白血球数200以下、感染があると10万越える
・人工関節:感染性関節炎があれば治癒しても人工関節はしない、チタンなのでMRI可、骨セメント硬化時にショックで血圧低下
・車椅子:C6がOKのとき(親指が動かせる)
・褥瘡→デブリードメント、湿潤にする(乾燥はだめ)
・MMT:0<収縮<1<屈曲<2<重力<3<外力<4<全力<5
・大理石病:破骨細胞↓→チョークボーン→頭蓋骨過剰骨化→脳神経圧迫
・骨Paget病:破骨細胞↑→易骨折性→骨肉腫のベース(老人で)、頭蓋骨過剰骨化で脳神経圧迫
・骨壊死の原因→潜函病、Gucher病を忘れるな
・Sudeck骨萎縮:骨折の後に疼痛を伴った急激な骨萎縮(∵自律神経反射)
・Dupuytren拘縮:環指、小指のMP、男、両側性、遺伝性あり
・Volkman拘縮:上腕骨顆上骨折→ギプス固定→コンパートメント症候群、阻血6-8h以内に筋膜切開で徐圧、コンパートメント症候群はギプス、熱傷、家屋倒壊による圧迫で起こる
・軟骨無形成:AD、FGFR3の異常、骨端軟骨の成長障害、四肢短縮型低身長、知能正常、思春期以降に脊柱管狭窄、治療はGH投与、イリザノフ法
・骨形成不全(van der Hoeve):AD、Ⅰ型コラーゲンの異常→膜性骨化の異常、易骨折性、青色強膜、伝音性難聴(耳小骨異常)
・モルキオ症候群:AR、ムコ多糖代謝異常、椎体扁平化→躯幹短縮型低身長、角膜混濁、尿トルイジンブルー染色+
・急性骨髄炎:男児、下肢、骨幹端、黄ブ菌、血行性、早期診断は骨シンチかMRI
・骨髄炎の慢性化:抗菌薬で24h以内に改善しないなら切開排膿減圧
Brodie:膿→限局性に周囲が骨化
Garre:Xpで広範な骨幹部の骨肥厚
・脊椎カリエス:冷膿瘍、Pott麻痺、亀背
・股関節結核:随意跛行
・化膿性脊椎炎:老人、DM、肝硬変、黄ブ菌、椎間板狭細化
・化膿性関節炎:関節注射が原因、関節の持続洗浄、関節液えい糸性低下
・乳児化膿性股関節炎:黄ブ菌、大腿骨頚部の骨髄炎から波及、おむつの交換時に激しく泣く
・Charcot関節:DM→感覚障害→過運動→関節破壊、人工関節の適応にはならないことが多い
・変形骨関節症のXp所見:関節裂隙の狭小化、骨硬化、骨棘、嚢胞
・変形性股関節症:先股脱に続発、CE角、Trendelenburg跛行、大腿骨/臼蓋/骨盤骨切り術(Salter,Chiari)、人工関節
・変形性膝関節症:肥満、関節内遊離体あり、治療は減量、NSAID、膝サポーター、膝伸展筋訓練(大腿四頭筋訓練)、ヒアルロン酸注射、脛骨高位骨切り術、人工関節
・変形性頚椎症:頸椎症状、疼痛、運動障害、神経根症状、上肢のしびれ、筋力低下、線維束れん縮、治療は頸椎カラー、前方/後方除圧術
・OPLL:脊柱管狭窄、アジア、DM、家族性、治療は安静、除圧
・脊柱管狭窄症:軟骨無形成、変形性脊椎症、脊椎すべり症、ヘルニア、OPLL、黄色靱帯肥厚、椎間関節肥厚
・肩関節周囲炎:五十肩、痛くて肩が水平までしか上がらない、原因は石灰性腱炎、変形性関節症、腱板炎
・頸椎椎間板ヘルニア:30-50代、C5,6(C5の前後)、Spurling試験
・腰椎椎間板ヘルニア:20-40代、L4,5(L5の前後)、Lasegue試験、S1→足背外側知覚低下/母趾伸展筋筋力低下/Lasegue徴候/アキレス腱反射低下/、治療はPLDD法(レーザー減圧)、PD法(レーザーの代わりに鉗子使用)、MED(内視鏡)、LOVE法(手術)、手術適応は排尿障害、進行性の下肢麻痺
・筋膜性腰痛症:ぎっくり腰の大部分、腰部筋膜の炎症
・腰椎分離症:上下関節突起が分離、L5、スポーツによる疲労骨折、成人になって分離すべり症を起こすと脊柱管狭窄
・大腿骨頭すべり症:10代、肥満男児、骨頭が股関節から離れると骨頭壊死起こす
・脊柱側彎症:特発性は思春期、女子、右側、続発性は脳性麻痺、Duchenne、vonReckringhausen、Marfan、前屈時の肋骨隆起や肩甲骨隆起に左右差、治療はMilwaukee装具、側彎角50°以上は手術
・骨端症:治療は安静、免荷
Perthes:サッカー少年、大腿骨頭
Kohler:幼児、足の舟状骨
Freiberg:女、中足骨頭
Kienbock:男、手の月状骨
Scheuermann:青年、亀背
離断性骨軟骨炎:肘、膝、関節ねずみ(関節鏡で摘出)、野球少年
Osgood-Schlatter:膝、膝蓋腱付着部損傷、陸上少年
・大腿骨頭壊死:前上部、帯状硬化が初発、Xpで異常のないStageⅠの早期診断はMRI、骨シンチはcold in hot、治療は骨切り術(壊死骨の除去)、人工骨頭
・骨腫瘍:骨端部はEwing肉腫と骨巨細胞腫のみ
骨軟骨腫:10代、長幹骨骨幹端、成長すると腫瘍の発育も止まる、無痛性
内軟骨腫:10代、手や足の指の骨幹端
骨巨細胞腫:20,30代、膝の骨端部、soap bubble appearance
類骨骨腫:10,20代、長幹骨の骨幹部、夜間痛とアスピリンによる改善、MRIで黒の中に白
骨肉腫:10,20代、膝の骨幹端、Codmann三角、spicula、結節性肺転移が多い、放射線無効、治療は広範囲切除+メトトレキセート
Ewing肉腫:10才前後、骨盤、長幹骨の骨端部、onion peel、全身炎症所見が強い→骨髄炎と間違えやすい、治療は広範囲切除、放射線感受性高い
転移性:乳癌、肺癌は骨破壊性、前立腺癌は骨硬化性(酸フォスファターゼ↑)
・脊髄腫瘍
髄内:神経膠腫、上衣腫
硬膜内髄外:神経鞘腫、髄膜腫
硬膜外:転移性腫瘍(肺癌、乳癌、前立腺癌)
・先天性股関節脱臼(LCC):開排制限、ひだの左右差、Ortolani(開排位で大腿骨頭を動かすと音)、Barlowテスト、Allisサイン(乳児期以降、膝を立てると高さに左右差)、XpでRoserNelaton線より大転子が上、治療はリーメンビューゲル装具、臼蓋形成不全には骨盤骨切り術(Salter,Chiari)
・先天性内反足:両側性、男児が多い、内転、内反、尖足、凹足、治療はデニスブラウン装具、診断にXp無効
・先天性筋性斜頚:出生1週以降に胸鎖乳突筋に腫瘤、90%は半年以内に自然治癒
・外傷性脱臼:症状は疼痛、変形、異常肢位、ばね様固定、診断はX線2方向(cf.頚椎損傷はX線4方向)、治療は直ちに整復→固定(3週間)→リハビリ
・環軸椎亜脱臼:RAの死因、延髄圧迫で呼吸困難
・肩関節脱臼:前方脱臼、Kocher法、Hippocrates法
・肘関節脱臼:後方脱臼、Huter三角の乱れ、尺骨神経麻痺、Volkmann拘縮
・股関節脱臼:後方脱臼、股関節は屈曲、内転、内旋位をとる
・アキレス腱断裂:底屈可能、つま先立ち不能、下腿三頭筋把握テスト(下腿三頭筋把握で底屈しない)、治療はギプス固定が主、無理ならアキレス腱縫合術
・一次性骨癒合→化骨形成‐、二次性骨癒合→化骨形成+
・転移のある骨折→観血的治療をしないと、変形癒合、遷延癒合、偽関節
・小児の骨折:骨折より脱臼が多い、若木骨折、自家矯正(15度までの屈曲転位短縮変形は自然矯正)、骨癒合が速い、骨端成長板損傷で成長障害
・Malgaigneの圧痛点:骨折部位を押さえると痛い
・骨折による脂肪塞栓は1,2日たってから
・鎖骨骨折:介達外力による、内側1/3、腕神経叢損傷を伴うことあり、分娩時外傷で多い
・上腕骨外科頚骨折:骨粗鬆症、転倒時に手をついて
・上腕骨骨幹部骨折:投球、腕相撲、撓骨神経麻痺合併
・上腕骨顆上骨折:小児が転倒時に手をついて、Huter三角正常、正中神経麻痺、Volkmann拘縮、内反肘
・上腕骨外顆骨折:転位が著明→小児骨折だが観血的治療(Kirschner鋼線)、外反肘→遅発性尺骨神経麻痺
・Colles骨折:撓骨下端骨折、骨粗鬆症、転倒時に手をついて、フォーク状変形、正中神経麻痺、長母指伸筋腱断裂
・Duvarney骨折:骨盤腸骨の亀裂骨折、安静でOK
・Malgaigne骨折:骨盤輪骨折(閉鎖孔骨折+腸骨分離骨折)、出血性ショック、尿路損傷、重篤、治療はカテーテル塞栓
・大腿骨頚部内側骨折:骨粗鬆症、転倒時、直後からの起立不能、治療は老人だが観血的整復、または人工骨頭置換術で寝たきり防ぐ
・大腿骨骨幹部骨折:転位著明→治療は観血的整復(小児は牽引)
・半月板損傷:膝屈曲+回旋で生じる、外側半月板は単独、内側半月板は前十字靭帯損傷も合併、内側が多い、症状は膝の疼痛、関節血腫、引っ掛かり、伸展不能、膝くずれ、クリック音、診断にMaMurry法、Apley法、治療は縦断裂には関節鏡下縫合術
・踵骨骨折(しょうこつ):高所から着地、Bohler角減少(30度以下)、治療困難、機能予後不良
・Jefferson骨折:首吊りによる環椎骨折
・Hangman骨折:外傷性軸椎すべり(Hangmanなのに首吊りではない!)
・胸郭出口症候群:首が長く、なで肩の女性、鎖骨下AVや腕神経叢が胸郭出口で圧迫、Adsonテスト(頭を患部に回旋し顎をあげると撓骨動脈拍動停止)、Wrightテスト(両上肢の挙上外旋外転で撓骨動脈拍動停止)
・膝靭帯損傷:激痛、関節血腫、膝くずれ、膝動揺性、外側側副靭帯損傷の診断は関節鏡では難しい、前十字靭帯損傷と外側側副靭帯損傷は手術、後十字靭帯損傷と内側側副靭帯損傷は保存的療法(手術できない)
・UnhappyTriad:内側側副靭帯損傷+内側半月体損傷+前十字靭帯損傷→難治性

救急医学ポイント

救急医学ポイント

§1 BLS
☆BLSとは
・BLS=basic life support
・心停止で倒れた人に対してバイスタンダー(その場に居あわせた人)が行う、心肺蘇生、AEDによる徐細動、気道異物除去のこと。
☆BLSの流れ
意識の確認(よびかけ、ゆさぶり)

119番通報、人を呼ぶ

呼吸停止の確認(患者の口に頬や耳を近づけて息がない)

下顎挙上で気道確保(舌根沈下による窒息を防ぐ)

人工呼吸2回と胸骨圧迫30回を5サイクル
(AEDの準備ができるまで)

VfならAEDが自動的に除細動
☆救命の連鎖
・脳虚血から5分を過ぎると、不可逆的な脳障害を起こす。
・救急車かけつけるのは通報から平均7分
 →救急救命士が心肺蘇生を行うまでの間はBLSが命綱になる
・迅速な通報、迅速な心肺蘇生、迅速な徐細動、二次救命処置の流れを救急の連鎖といい、これがスムーズに行くと蘇生率が上がる。
・心肺停止患者の復帰率
 欧米は20%、日本は2%
☆ドリンカーの生存曲線
心肺停止から心肺蘇生までの時間が1分遅れると、蘇生率が10%下がる。
☆呼吸停止の判断
・顔を患者の口に近づけて、頬で息を感じ、耳で息の音を聞く
・胸の上下があるか
・心停止ではあえぎ呼吸(死戦期呼吸)が見られるが、呼吸ありと間違えないこと。
・小児の呼吸数10回/分未満は呼吸停止とみなす。
☆心停止の判断
・総頚動脈が触知困難であれば60mmHg以下、脳虚血
 とう骨動脈(-)→80mmHg以下
 大腿動脈(-)→70mmHg以下
・一般人は意識なし、呼吸なしで心肺蘇生を開始してよい
☆人工呼吸の方法
・1回1秒間息を吹き込む×2
・胸郭が軽く膨らむくらい
・脈があるときは人工呼吸のみでよい
 成人10回/分、小児20回/分の人工呼吸、2分ごとに脈を確認
☆胸骨圧迫の方法
・両乳頭の真ん中を圧迫(乳児以下は少し足より)
・成人は胸が約5cm沈むくらい、小児以下は胸の3分の1が沈むくらい
・成人は両腕で、小児は片腕、乳児以下は指2本
・たやさず、手をはなさず、力いっぱい、速く(100回/分)
☆気道異物除去の方法
・気道異物の判断はチョークサイン
・ハイムリック法(後ろにまわって横隔膜のところで両腕を組み、上に持ち上げる)
・乳幼児はお腹を手のひらに乗せて背中を叩く(背部叩打法)
☆AEDの方法
・電源オン→電極パッドをはる→いったん離れて解析ボタン→Vfなら自動音声→ショックボタンを押す
・AEDは1回が原則
・AEDの後、すぐに胸骨圧迫を開始。意識の確認は必要なし。
・新生児、乳児にはしない。
・濡れていればふく
・胸毛が多ければ剃る
・目の前で心停止になったときはまずAED→Shock First
(心停止から5分過ぎているとき、目撃者がないときは心肺蘇生から→CPR First)
§2 ALS
☆ALSとは
・advanced life support
・医療機関で行う救命処置
・心肺蘇生(CPR)、電気的除細動、確実な気道確保、静脈路確保と薬剤投与、心停止の原因検索(4H&4T)
☆ICLSとは
・immediate cardiac life support
・突然の心停止に対して最初の10分にチームで行う心肺蘇生法を学ぶトレーニングコースのこと
☆心停止
・心停止には心静止(asystole)、無脈性電気活動(PEA)、心室細動(Vf)、無脈性心室頻拍(pulselessVT)の4種類がある。
・心静止(asystole)では技術的なミスがないか確認すること。
例:誘導のリードが外れていないか、誘導の位置、電源が入っているか
☆気道確保の種類
・下顎挙上
・バッグバルブマスク:口にマスクをする
・ラリンゲアルマスク:喉頭にマスクをする
・気管挿管:気管支内にマスクをする
・輪状甲状靭帯切開術、輪状甲状靭帯穿刺
☆気管挿管の確認方法
・空気を送り込んで心窩部でボコボコ音を聴診する
・空気を送り胸郭が挙上するか
・チューブ内の曇り
・酸素投与によるSpO2
・呼気CO2モニター(カプノメーター)
・食道挿管検知器
☆電気的除細動の方法
・200J→300J→360J
・右鎖骨直下と左乳頭部外側にパッド
☆心肺蘇生の薬
・エピネフリン
 α作用:大動脈収縮→冠動脈圧↑
 β作用:心収縮力↑、刺激伝達系の自動能↑
 1mgを3分ごと、0.2mg/kgまで
・バソプレッシン
 血管平滑筋のV1レセプターを介して強い昇圧作用
 40単位を1回
☆難治性Vf,難治性pulselessVTへの薬
・電気的除細動が効かないときに使う
・アミオダロン
 3群抗不整脈薬
 すべてのイオンチャネル、α、β遮断
 初回300mg、追加150mg
・リドカイン
 1b群抗不整脈薬 
 Naチャネル阻害→心室性不整脈に使う
 1mg/kgを3分ごと、3mg/kgまで
・ニフェカラント
 3群抗不整脈薬
 K電流の抑制→不応期延長
 0.3mg/kgを5分かけて
☆心静止、無脈性電気活動への薬
・アトロピン
 副交感神経遮断
 エピネフリンの後に投与
 1mgを3分ごと、3回まで
☆炭酸水素ナトリウム(メイロン)の使い方
・慢性腎不全、三環系抗うつ薬、アスピリン中毒などでpH7.2以下のひどいアシドーシスのとき
・平衡移動で二酸化炭素が発生するので、呼吸性アシドーシスには使わない。
☆心停止の原因
・4H=hypovolmia,hypoxia,hypothermia,hyper/hypoK
・4T=toxin,tamponade,tension pneumothorax,thrombosis(肺,冠)
☆ALSの流れ
・Vf,pulselessVTのとき
CPR、酸素投与

心電図装着

Vf,pulselessVTなら電気的除細動

すぐにCPR再開

まだVf,pVT

気管挿管、静脈路確保→エピネフリン

電気的除細動

すぐにCPR再開

リドカイン、ニフェカラント、硫酸Mg

電気的除細動

すぐにCPR再開
・Asystole、PEAのとき
CPR、酸素投与

心電図装着

Asystole、PEAなら気管挿管、静脈路確保→エピネフリン、バソプレッシン、アトロピン
§3 外傷
☆JATEC
・JATEC=Japan Advanced Trauma Evaluation&Care
・初期診療が適切なら助かった例が外傷死の40%近くある
→初期診療の教育が必要で、そのためのガイドラインがJATEC
・致命的になりうる病態を確認しつつ死なせないための蘇生、検査をPrimarySurvey(PS)
・PrimarySurveyで死の危険を回避した後にゆっくりと全身検査、治療を行うのがSecondarySurvey(SS)
☆PrimarySurveyの流れ
・救急隊の連絡がきたらMISTを聞くこと。
 M=Mechanism(受傷機転)
 I=InjurySite(受傷部位)
 S=Sign(バイタルサイン)
 T=Treatment(どのような処置をしたか)
・受け入れ準備をする。
 人集め、輸液を暖める、薬/モニター/酸素の準備、XpやFASTの準備、感染防御
・ABCDE
☆A=Airway(気道)
・しゃべれればAはOK
・Aの異常があれば、気道確保、100%酸素を10L/分、首の損傷時はカラー固定
・気道確保は下顎挙上、吸引、気管挿管、輪状甲状靭帯切開/穿刺
☆B=Breathing(呼吸)
・Bの異常をきたすものを見逃さない。
・フレイルチェスト
3本以上の肋骨が2か所以上で骨折
奇異呼吸(吸気で胸が陥凹する)
治療は、鎮痛薬、硬膜外麻酔、陽圧人工呼吸による内固定
・緊張性気胸
患側胸郭の著明な膨隆、頚静脈怒張、呼吸音左右差、皮下気腫、鼓音、チアノーゼ、頻脈、血圧低下
症状からすぐに判断する。Xp撮っている間に死ぬ。
治療は、とりあえず胸膜穿刺、落ち着いたら胸腔ドレナージ
・開放性気胸
落ち着いて胸腔ドレナージ。
応急処置はサランラップを使った3辺テーピング
(肺内の空気を出すが入れないようにする)
・大量血胸
胸腔ドレナージ
ドレナージ時に1L以上出血した場合、1時間あたり200mLの出血が2~4時間続く場合は開胸手術
・ドレナージの穿刺部位
気胸→第2肋間鎖骨中線上
胸水→第5、6肋間後腋窩線上
血気胸→第5、6肋間前腋窩線上(常に陰圧で)
穿刺部位は肋骨上縁(肋間動脈損傷を防ぐため)
☆C=Circulation
・90%は出血性ショック、残りは閉塞性ショック(緊張性気胸、心タンポナーデ)
・初期輸液
 静脈路を2本確保(上腕正中肘静脈2か所)して、リンゲル液を2L/20分→TR,NRなら輸血
・初期輸液の結果
Responder:輸液後に血圧が90以上。SSで原因検索。
TR(TransientResponder):一時的に90以上になるが、輸液を中止すると90以下になる。
NR(Nonresponder):輸液してに血圧上がらず→すぐに気管挿管
・輸血
Hbが7以下、Htが30%以下なら加温濃厚赤血球(RC-MAP)を投与。クロスマッチする暇がないときはO型赤血球を輸血
・出血源を探す
胸、骨盤はXp、腹はFAST
・FAST=fast assesment with sonography for trauma
心窩部:心タンポナーデを見る
左右の胸腔:血胸を見る
左右の季肋部:腹腔内出血を見る。右はモリソン窩、左は脾腎間
ダグラス窩:骨盤内出血を見る。
・心タンポナーデ
診断:Beckの3徴候(血圧低下、静脈圧上昇、心音減弱)、頚静脈怒張、奇脈(吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上下がる)、FASTで心臓周囲のecho free space、Xpで心臓陰影拡大
治療:心嚢穿刺(左45度、上45度の方向で剣状突起下穿刺)
☆D=disfunction of CNS
・まずPSで呼吸循環を安定させてからSSで神経系の治療に入る。
・「切迫するD」のときはSSでまず頭部CTを行う。
・切迫するD
 GCSが8以下
 急激にGCSが2以上低下
 瞳孔不同
 クッシング現象
・GCM
 E:4自発 3呼びかけ 2痛み 1なし
 V:5OK 4混乱文 3混乱発声 2音声 1なし
 M:6命令従う 5痛み部位 4痛み逃避 3除皮質硬直 2除脳硬直 1なし
§4 熱傷
☆直後の応急処置
・冷却30分以上
(代謝抑制、浮腫や疼痛の軽減、熱傷深度の進行抑制)
☆熱傷深度分類
・1度(EB=epidermal burn)→表皮までの熱傷
 2度(SDB=superficial dermal burn)→真皮の上層まで
 2度(DDB=deep dermal burn)→真皮の下層まで
 3度(DB=deep burn)→皮下組織まで
・1度:発赤、疼痛あり
 2度SDB:水泡底の真皮が発赤、疼痛あり
 2度DDB:水泡底の真皮が白色、疼痛なし
 3度:蒼白、羊皮紙様、または炭化、無痛
☆熱傷面積
・手=1%
・成人は9の法則、小児は5の法則
・9の法則:頭=9、腕=9、胴体=9×2、足=9×2
・5の法則:頭=20、腕=10、胴体=10×2、足=10
☆重傷度
・%BSA=2度+3度→輸液量
・BurnIndex=(1/2)×2度+3度→植皮術面積
・Artz基準の重症:2度>30%、3度>10%、顔面熱傷(気道熱傷)、手足熱傷、骨折合併
☆病態変化
・ショック期(2日まで)
 血管透過性亢進→循環血漿量減少性ショック(8時間ピーク)
(ヒスタミン、フリーラジカル、キサンチンオキシダーゼ)
・利尿期(2~5日)
 血漿成分が血管内へ戻る→心不全、肺水腫
・感染期(5日~)
 敗血症
☆治療
・顔面熱傷では気道熱傷があるので気管挿管

・成人20%以上、小児10%以上、顔面熱傷(気道熱傷)では、静脈路2本確保、尿道バルーンカテーテル、麻痺性イレウスに備えて胃チューブ

・破傷風対策、しかし初期では抗菌薬不要、抗潰瘍薬(Curling潰瘍)

・細胞外液補充液輸液(乳酸リンゲル)
 侵襲により高血糖なのでブドウ糖は不要
 輸液量はBaxterの式で計算する
 24時間の輸液量=4×%BSA×体重kg
 (半分を8時間で投与する)
・コロイド輸液(アルブミン製剤)
 血管透過性がピークになる8時間以降
 血清蛋白<4、血清アルブミン<2で適応
(やがて来る心不全、肺水腫を予防するため)
・栄養管理(Curreriの式)
 成人:25×体重+40×%BSA
 小児:60×体重+35×%BSA

局所管理
・水泡はつぶさない。
中に創傷治癒を促進するサイトカインが多い。創傷被膜になり疼痛を減らすから。ただし、感染があれば除去する。
・軟膏
SDBまで:ステロイド軟膏、アズノール軟膏、抗生剤軟膏、ワセリン
3度:ゲーベンクリーム
ゲーベンクリームは細胞障害を起こすことがあり、白血球減少により創傷治癒を遅らせることがある。
・3度
デブリードマン:壊死組織をスライス状に切除、感染創が成立する48時間以内に
植皮:
自家移植が基本
同種移植は一時的だが、表皮カバーにより救命率を上げる
全層移植:顔、関節、中心静脈(シート状植皮)
分層植皮:広い範囲を覆うためにパッチグラフト、メッシュグラフトにする。
減張切開:
コンパートメント症候群に行う。
(コンパートメント症候群:NSAIDs無効の激痛。しかし、足背動脈は触れる→TAO,ASOとの鑑別)
§5 急性中毒
☆死亡率
・自殺   年間30000人
 交通事故 年間10000人
 急性中毒 年間 5000人
・急性中毒の80%は農薬とガスによる。
・全体として急性中毒で死ぬ率は200人に1人(199人は死なない)
☆急性中毒は疑いを持つことが第一
・原因不明の意識障害
 激しい嘔吐、下痢
 説明不能の臨床症状
 精神科疾患
 集団発生
・いつ、どこで、どれくらい、どこから摂取したか
☆血中濃度
・血中濃度の変化は、αカーブ(血管かた組織への移行)→βカーブ(組織内での代謝と排泄)
・分布容量(Vd)
 Vd=2なら全体の1/2が血中にある
 Vdが大きいほど全身への広がりが大きい
・血液浄化の効果
分布容量が大きいほど、蛋白結合率が高いほど、脂溶性が高いほど、血液浄化の効果が小さい。
→フェノチアジン系、バルビツレート系、ベンゾジアゼピン系、三環系抗うつ薬には血液浄化は無効。
cf)
フェノチアジン系(抗D2):クロルプロマジン、フルフェナジン→活性炭
ブチロフェノン系(抗D2):ハロペリドール、ドロペリドール
バルビツレート系(GABA刺激):フェノバルビタール→活性炭
ベンゾジアゼピン系(GABA刺激):ジアゼパム、クロナゼパム→フルマゼニル
☆胃洗浄
・臨床機転を変えるというエビデンスはない。
・原則服用1時間以内
(炭酸リチウムでは10時間でも胃洗浄)
・石油系(ガソリン、灯油)、強酸、強アルカリでは逆流時に障害を起こすので禁忌
・意識障害時には気管挿管下で行う。
・左側臥位、低頭位、1回200mLを10回以上行う
☆活性炭
・有効性が証明された。
・強酸、強アルカリ、エタノール、ヒ素、フッ化物、臭化物は吸着しない。
・温水300mLに100gを溶かして投与。その後は6時間ごとに半分ずつ投与する。
・アスピリン、アセトアミノフェン、バルビツレート系、フェニトイン、石油系。
☆腸洗浄
・パラコートによく使う。
・右側臥位で、胃管挿入して行う。
☆強制利尿
・尿細管での再吸収を減らす
・乳酸リンゲル+1/2生食を2L/時間
・バルビツレート系、サリチル酸のみに有効
☆血液透析
・メタノール、エタノール、イソプロパノロール、エチレングリコール、炭酸リチウムに有効
☆血液吸着
・テオフィリンに有効
☆中毒物質と拮抗薬
・CO→酸素
・青酸化合物→亜硝酸薬、チオ硫酸
・有機リン→PAM、アトロピン
・サリン→アトロピン
・麻薬→ナロキサン
・アセトアミノフェン→Nアセチルシステイン
・ヨード→バレイショデンプン、チオ硫酸ナトリウム
・メトヘモグロビン血症(アニリン)→メチレンブルー
・ベンゾジアゼピン系→フルマゼニル
・ジゴキシン、ジギトキシン→ジゴキシン特異抗体、フェニトイン
・クマリン→ビタミンK
・メタノール→エタノール
・ヒ素、水銀→ジメルカプロール
・鉛→エデト酸ナトリウム
・銅→ペニシラミン
・鉄→デスフェラール
・アスピリン、三環系抗うつ薬→メイロン(炭酸水素ナトリウム)
☆一酸化炭素中毒
・COのHb親和性は酸素の250倍
→O2が100mmHg、COが0.4mmHgでもCO-Hbは50%
・CO-Hbが50%以上になると低酸素血症により意識障害
・パルスオキシメーターはHbO2とHbCOを区別できないのでCO中毒
を検出できない。
 パルスオキシメーターが役に立たない時→血圧低下、重篤な不整脈、マニキュア、CO中毒
・治療は酸素を10L/分(COを追い出す)
・チアノーゼはない。
 チアノーゼは酸素と結合していないHb(還元型Hb)が多いときに見られるから。
・逆に皮膚が紅潮する。
(赤く見えるため一酸化炭素マグロなるものがあるらしい)
☆タバコ
・小児では1本、成人では3本が致死量。
・しかし実際には催吐作用により吐き出すので重篤にはならない(吐いてないときはそれほど食べていない)。
☆有機リン(殺虫剤)中毒
・マラチオン、フェニトロチオン
・AchEを阻害する
→ニコチン作用阻害:筋攣縮、筋力低下(呼吸筋麻痺)
 ムスカリン作用阻害:副交感神経系亢進(縮瞳、発汗)
 中枢作用:錯乱、意識障害
・甘酸っぱい、頭が痛くなるような匂い、白い吐物
・pin point pupilを見たら、橋出血、有機リン、麻薬
・治療
 PAM(プラリドキシム)→有機リンを直接阻害
 アトロピン→Ach受容体を阻害
・PAMが効くのは服用24時間以内(有機リンのPAM結合部位が時間とともに変化していくから→agingという)
☆パラコート(除草剤)中毒
・青緑色、コバルトブルーの吐物、手や服に緑色の付着物。
・NADPHにより還元されてパラコートラジカルになり、それが酸素をスーパーオキサイドにして、細胞障害。
・大量摂取時の経過
 1日目 悪心嘔吐があるが一見元気
 2日目 肝不全、腎不全
 3日目 ARDS~呼吸不全~死亡
・できるだけ早い胃洗浄、腸洗浄
・イオン交換樹脂によく吸着されるので併用する。
・念のための酸素投与は禁忌。肺線維症への進行を速めるから。ただし低酸素血症なら躊躇しないこと。
・肝不全や腎不全を乗り越えても、肺線維症が進行し数カ月後に死亡する例をいかに救命するかが大切。
☆塩素ガス中毒
・酸性洗浄剤+塩素系漂白剤で生じる。
☆硫化水素ガス
・酸性洗浄剤+硫黄含有入浴剤で生じる。
§6 ショック
☆ショックとは
・急性、全身性の循環不全による細胞臓器障害
☆ショックの分類
・循環血漿減少性ショック(出血性、体液喪失性)
・心原性ショック
・心外閉塞性ショック
・血液分布異常性ショック(感染性、アナフィラキシー、神経原性)
☆循環血漿減少性ショックの病態
・血液量低下→前負荷低下→心拍出量低下→交感神経亢進→頻脈、血管抵抗上昇
・血管抵抗上昇は皮膚、筋、腎臓で著明
→血流を脳、心臓、肺へ再分布する
・症状は、血圧低下、脈圧低下、心拍数上昇、末梢静脈虚脱、爪床refillimg遅延(2秒以上)、頚静脈怒張、肝うっ血、皮膚の蒼白、冷感など
・出血性ショック:外傷、大動脈破裂、消化管出血、産科出血、手術後の出血
・体液喪失性ショック:広範囲熱傷、汎発性腹膜炎、腸閉塞、重症下痢、熱中症
☆心原性ショックの病態
・心臓ポンプ機能の低下→前負荷上昇(CVP上昇、PAWP上昇)
・原因:心筋梗塞、DCM、MR、AS、心室瘤、ASD、不整脈
☆心外閉塞性ショック
・心タンポナーデ、収縮性心膜炎、重症肺塞栓症、緊張性気胸
・緊張性気胸では胸腔内圧上昇による静脈還流低下→心拍出量低下
☆感染性ショックの病態
・原因:敗血症、脳炎、髄膜炎、肺炎、血管内カテーテルなど
・TNF、IL-1、PGE2、プロスタサイクリン、NOなどが上昇し、血管が拡張
・初期は心拍出量を増加させて血管拡張に対応するので皮膚温が高く、紅潮するwarm shockとなる。
・発熱とともに血圧が低下してくる。
☆SIRS
・感染などの侵襲→サイトカイン分泌→発熱、頻脈、白血球増多、呼吸数増多
・感染によるSIRSを敗血症という。敗血症による循環不全が感染性ショック。
・診断基準:
 1.体温 36度以下または38度異常
 2.心拍数 90以上
 3.呼吸数 20以上またはPaCO2が32mmHg以下
 4.白血球 4000以下または12000以上
 のうち2項目以上を満たす場合
☆アナフィラキシーショックの病態
・特異的IgEが肥満細胞、好塩基球に結合→ヒスタミン、ロイコトリエン放出→血管透過性亢進→気道浮腫、血圧低下→吸気性呼吸困難、循環不全(1型アレルギー)
・薬剤投与後、速く発症するほど重症化しやすい。
・治療は0.1%エピネフリン(ボスミン)
☆神経原性ショックの病態
・脊損かVVRが原因
・血圧が低下するが交感神経が機能せず徐脈
・徐脈なショックは神経原性ショックと完全AVブロック(右室梗塞)によるショック
・感染性ショックと神経原性ショックはノルアドレナリンを積極的に使う(∵血管拡張による血流分布異常がある)
☆ショックの応急処置
・気道確保
・10L/分の酸素投与
・静脈路確保(末梢で2本)
・pH7.15以下以下の時はアシドーシスの補正にメイロン(炭酸水素ナトリウム)
§7 救急の特徴と災害救急
☆救急の特徴
・診断と治療を同時に行わなければならない。
・十分な診断をする前に、とりあえず蘇生する場合がある。
☆救急の歴史
1947 マッカーサーの命令で消防が警察から独立
1963 救急搬送が消防業務になる(交通戦争による外傷者中心)
1964 「救急告示病院制度」
1967 大阪大学に特殊救急部が開設(高次医療の草分け)
1976 「当面とるべき救急医療対策について」
   初期救急医療 開業医が輪番で担当
   2次救急医療 総合病院が輪番で担当
   3次救急医療 救命救急センター設置
1987 高齢化により外傷者<病人→病人搬送が消防業務になる
1991 欧米に比べCPA生存率が低い→救急救命士制度
   医師の指示のもとに、
   1.AED、
   2.ラリンゲアルマスクによる気道確保
   3.静脈路確保と乳酸リンゲル投与
1998 救急告示病院が初期、2次、3次救急に統合
以降、救急救命士のできることが広がる
2003 医師の指示がなくても除細動ができる
2004 気管挿管
2006 エピネフリン投与
☆災害医療=3T
・triage,treatment,transport
☆災害医療の特徴
・限られた資源(医者、看護師、薬)を有効活用するために、死にそうになっている人で助けられる人をトリアージ(選別)する必要がある。
・高度医療が必要な人をトリアージし搬送する。
(適切な患者を、適切な時期に、適切な手段で、適切な医療機関に移動させる)
・求められる医療が時間とともに変化する。
 救出、救助→救急医療→慢性疾患、精神サポート
☆災害医療体制
問題点
・被害状況の情報収集が困難
・ライフラインの低下により診療機能が低下
・初動期に、被災地外からの医療支援が遅れる
・防災訓練が不十分
・メンタルヘルス対策が不十分
対策
・応援協定の締結(他府県からの協力)
・広域搬送システムと緊急消防援助隊の導入
・災害拠点病院
 要件:重症患者の救命、医療チームの派遣、機材の提供、ヘリポートと搭乗医師、24時間体制
 (救命救急センターでなくてもよい)
・DMATの設置
 急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム
 任務
 1情報収集
 2トリアージ、治療、搬送
 3医療機関(特に災害拠点病院)での支援
 4広域搬送拠点での支援
・トリアージ
 黒:死亡、救命不可能
 青:自立歩行可能
 黄:赤青でないもの
 赤:呼吸数30回/分以上、CRT(爪床還流)2秒以上、指示に従えない
・トリアージはくりかえし行う。
§8 熱中症と低体温
☆熱中症の分類
・日射病、熱けいれん、熱疲労、熱射病
☆日射病(最も軽症)
・直射日光→皮膚血管拡張、筋血流増加→循環血漿量低下
・38度以下の場合に使う。
☆熱けいれん
・激しい運動→発汗過多→水だけを補充→Na濃度低下→強直性痙攣(痛い)
・筋痙攣が激しい時はミオグロビン尿(Mb尿)を伴う。
・治療は生理食塩水2本の補給、Mb尿時は急性腎不全対策
☆熱疲労
・熱射病の前段階。臓器障害には至っていない。体温は39度~40度、皮膚は蒼白だが発汗はある。
・水だけが失われる高張性脱水(小児や高齢者)や水の補給だけを行った場合には低張性脱水になる。
☆熱射病
・体温の上昇で視床下部の体温中枢が障害→41度以上でミトコンドリア障害→42度以上で細胞内のタンパク変性→細胞障害→多臓器不全
・著しい脱水と発汗停止、脳圧亢進による意識障害、循環不全による腎不全、肝不全、ST上昇とT波陰性化、肺鬱血によるPaCO2上昇
・深部体温は直腸温、膀胱温、食道温、鼓膜温の2つ以上で測定する。
・治療は、冷却(頚部、鼠径部、腋窩)、冷却輸液、冷水胃洗浄、冷却体外循環。ただし、冷却は38度になったら止めること。
・解熱薬は無効。
☆偶発性低体温
・深部体温が35度以下 
・低血圧なのに徐脈(→低体温、VVR、神経原性ショック、下壁梗塞)
・軽度(32-35度):交感神経亢進(→血圧↑、頻脈、高血糖)
 中度(28-32度):心筋抑制、血管透過性↑、ADH分泌低下(→心拍出力↓、徐脈、血圧↓、代謝性アシドーシス)
 重度(28度未満):意識障害、心室細動
☆偶発性低体温の治療
・酸素投与、輸液、循環管理(心マ、除細動、ドパミン、ドブタミン)
・高度低体温にはPCPSを考慮。リドカイン、アトロピンなど薬剤効果は少ない。
・復温
 34度以上→Passive external Rewarming=室温、毛布
 30度以上→Active external Rewarming=体幹中心の電気毛布、ストーブ
 30度以下→Active internal Rewarming=加温輸液、加温加湿酸素、加温PCPS、温水膀胱洗浄、胃胸腔への温水注入
・Rewarmingショック
 external rewarmingによって皮膚血管が拡張
→心臓の復温が遅れて心拍出量が上がらず、末梢需要に追いつかない、冷却血液が心臓へ還流
→血圧低下(ショック)、心室細動
 ∴internal rewarmingとともに輸液を忘れないこと。

皮膚科ポイント

皮膚科ポイント

1組織と機能
・皮膚は上から表皮(0.2mm)、真皮(2mm)、皮下組織
・表皮はほとんどが細胞成分からなり、基底細胞(基底層)→有棘細胞(有棘層)→顆粒細胞(顆粒層)→角質細胞(角層)の順に分化する角化細胞と、紫外線防御のためのメラノサイト、表皮の免疫担当のランゲルハンス細胞からなる。
・基底細胞は基底膜にヘミデスモゾームで結合し、他の角化細胞どうしはデスモゾームで互いに結合している。
・角質層になるとデスモゾームが壊れて、角質が脱落する。
・紫外線によりビタミンDを活性化し、消化管からのCa、Pの吸収を促進する
・PAS染色は基底膜を染める染色法
・真皮には血管、リンパ管、神経、基質(ムコ多糖類)、線維(膠原線維、弾性繊維)、細胞(組織球、線維芽細胞、肥満細胞)がある。
・真皮には神経があるので真皮病変は掻痒感、疼痛がある(表皮病変にはないので掻痒感、疼痛はなし)。
2表皮の疾患
☆尋常性ざ瘡
・ざ瘡=にきび
・思春期のアンドロゲン↑→角層↑、皮脂腺分泌↑→毛根閉鎖→アクネ菌がTGを遊離脂肪酸に分解→酸による炎症
・アクネ菌は常在菌で通常は遊離脂肪酸による表皮の殺菌効果がある。
☆熱射病
・汗による脱水→汗がかけなくなり体温↑→視床下部の体温中枢障害→体温上昇
・汗=2分の1生食を補う+ぬるま湯の吹きかけと気化熱冷却(氷水では体表血管の収縮で中が冷却できない)
☆尋常性乾癬
・表皮のturn overが異常に短くなる(45日→5日)
・細胞回転が速いので高尿酸血症
・表皮内のデスモゾームが強固なままで角質が脱落しない→銀白色鱗屑を伴った限局性紅斑
・ケプネル現象陽性(健常皮膚を刺激すると病変が出現)
・アウシュビッツの血露現象(無理やりはがすと真皮まではがれて出血)
・表皮疾患なので痒くない!
・治療はPUVA療法(ソラレン+UVA照射)、ステロイド、シクロスポリンで免疫抑制、メトトレキセートでDNA合成抑制、ビタミンD補充
☆尋常性白斑
・自己免疫によるメラノサイト破壊
・治療はPUVA療法、ステロイド、ビタミンD3外用、皮膚移植
☆色素性乾皮症(XP)
・DNAの修復酵素の欠損(AR)→日光過敏、全ての皮膚癌、中枢神経障害(聴覚異常、構音障害)
☆晩発性皮膚ポルフィリン症
・多飲酒歴のある中年男性
・露光部に破れやすい水泡
☆薬剤性光線過敏症
・サイアザイド
☆尋常性天疱瘡
・角化細胞間を結合するデスモゾームへの自己抗体(抗デスモグレインIgG抗体)→表皮内に水がたまる=水泡→表皮内なのでこすれると破れるので弛緩性水泡
・病変は口腔粘膜から始まり全身皮膚へ
・表皮内にとどまるので痒みはなし
・ニコルスキー現象陽性(さわるだけでベロリとはがれる)
・ツァンクテスト(自己抗体免疫染色で角化細胞間が染まる)
・治療はステロイド、効かないときは血漿交換、免疫抑制
☆落葉状天疱瘡
・皮膚病変のみで軽症
☆類天疱瘡
・基底膜と基底細胞を結合しているヘミデスモゾームへの自己抗体(抗BP180 IgG抗体)
・表皮下に水泡→やぶれにくので緊張性水泡
・真皮に近いので痒みあり
☆アトピー性皮膚炎
・湿疹=皮膚炎
・表皮を中心としたⅠ型アレルギー→IgE↑、好酸球↑
・真皮乳頭に炎症が波及するので痒い
・屈曲面→刺激→掻痒感→掻破→苔癬化(ひじ、ひざ、顔)
・白色皮膚描記症(皮膚をひっかいても白色のまま)
・合併症:白内障、伝染性軟属腫(DNAウィルス)、伝染性膿痂疹(黄ブ菌)、カポジ水痘様発疹(HSV)
☆貨幣状湿疹
・中年、四肢伸側、自家感染
☆単純疱疹
・疱疹=ヘルペス
・HSV1は口、HSV2は外陰部
・初感染は歯肉口内炎→ストレス時に口唇周囲の水泡(表皮内に水がたまる)
・ツァンクテストで核内封入体(HSVはDNAウィルスなので)
cf.RNAウィルスでは核周囲封入体
☆帯状疱疹
・発感染は全身性の水疱瘡(水痘)→感覚神経内に潜む→ガンなど細胞性免疫低下→帯状疱疹(片側性)
・肋間神経などの走行に沿ってできる
☆掌蹠膿胞症
・慢性扁桃炎→交叉抗体抗原反応→手のひら、足の裏に無菌性の膿疱
・膿疱内には細菌陰性、好中球がある
・胸肋鎖骨異常骨化による胸痛
・ステロイド、PUVA療法、扁桃摘出
☆Sweet病
・白血病、MDSに合併する多発性浮腫性紅斑
・発熱、好中球↑(∵G-CSF↑)
☆壊疽性膿皮症
・壊疽=黒色の壊死
・大動脈炎症候群、UC、クローン病、白血病に合併
☆SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
・乳幼児
・黄ブ菌の表皮剥奪毒素が原因→水泡内に菌はいない
・ニコルスキー現象陽性
☆TEN(中毒性表皮壊死型薬疹)
・全ての薬剤で起こりえる
・熱傷様表皮剥奪→重症例は死亡する
・ニコルスキー現象陽性
☆Stevens-Johnson症候群
・薬剤や感染→全身に多形性滲出性紅斑
・死ぬことはないが失明が後遺症
☆扁平苔癬
・四肢屈側、体幹、外陰部
・口腔、爪に他の皮膚疾患を合併
・ケプネル現象陽性
☆黒色表皮腫
・腋窩、鼠径部、首筋に色素沈着、角質増殖
・肥満、胃癌、DMに合併
☆尋常性疣贅
・HPV
・凍結療法
3表皮細胞の腫瘍
・基底細胞腫、有棘細胞癌→浸潤癌
・Bowen病、Paget病、日光角化症→表皮内癌
・露光部にできる→基底細胞腫、日光角化症
・黒い→基底細胞腫、Bowen病
・湿疹様→Paget病
☆基底細胞腫
・老人の露光部
・一部は脂腺母斑由来(生まれつきのハゲ→ザラザラしてきて癌化)
・基底細胞はメラノサイトからメラニンを受け取る→黒色腫瘍
☆有棘細胞癌
・有棘細胞癌=扁平上皮癌
・メラニンがないので黒くない
・原因:熱傷瘢痕、色素性乾皮症、日光角化症、放射線、尋常性狼瘡、Bowen病、
・SCC↑、SYFRA↑
☆Bowen病
・黒っぽいかさぶた
・他の悪性腫瘍の合併が多い
・露光部は関係なし
☆Paget病
・「乳房と外陰部にできたステロイド無効の湿疹」とくればこれ。
・細胞診でPaget細胞(細胞質が大きくて白い)
☆日光角化症
・老人の露光部にできる
☆母斑細胞性母斑
・母斑=ほくろ
・メラノサイトの良性腫瘍
・大きいものはメラノサイトへ進行
・真皮の深いところにできるので青い(深い海は青い)
・メラノサイトは表皮細胞なので真皮にできてもここに入れてます。
☆太田母斑
・目の周りにできた青い母斑
・生後すぐ、または思春期に出現
☆メラノーマ
・メラノサイトは神経堤から表皮に遊走するためデスモゾームがない→非常に転移しやすい→生検禁忌
・足の裏にできたしみ出しのあるほくろ
☆母斑症
・癌抑制遺伝子の異常
・von Recklinghausen病:カフェオーレスポット、神経線維腫1、脳内石灰化
・結節性紅斑:初発は木の葉状白斑→顔面の脂腺様皮疹(実は血管線維腫)、爪のケーネン腫瘍、脳内石灰化、West症候群
・SturgeWeber症候群:顔面の血管腫+牛眼
4真皮の疾患
☆エーラースダンロス症候群
・やわらかく伸びやすい皮膚、柔らかすぎる関節、異常な瘢痕形成傾向
☆マルファン症候群
・膠原線維(コラーゲン)の異常、AD
・高身長、くも状指、漏斗胸、はと胸、高口蓋、水晶体亜脱臼
・大動脈解離、AR、MVP、肺のう胞の合併
☆弾性仮性黄色腫症(PXE)
・弾性線維(エラスチン)の変性
・首すじ、わきの下にザラザラデコボコの黄色腫様
・心臓血管系の異常(高血圧、眼底出血など)
☆ムコ多糖蓄積症
・ムコ多糖が真皮、角膜、軟骨、神経に蓄積→ガーゴイリズム、角膜混濁、骨格異常、精神発達遅滞
・ハーラー、ハンター、モルキオ
・代謝異常はAR。しかし、ハンターは例外でXR。
☆ヒスチオサイトーシスX
・Lettere-Stiewe病:2歳まで。発熱、発疹、肝脾腫
・Hand-Schuller-Christian病:2歳~6歳。眼球突出、地図状頭蓋、尿崩症
・好酸球性肉芽腫症:6歳以降。上肺野の間質性肺炎、肉芽腫による気胸、尿崩症
☆肥満細胞腫
・色素性蕁麻疹
・蕁麻疹=真皮の浮腫→大きなもりあがり、神経があるので痒い!
☆遺伝性血管神経性浮腫(HANE)
・C1inhibitor欠損→真皮深くにできる蕁麻疹→深すぎて痒くない、non-pitting edema
・喉頭浮腫による窒息を防ぐために気道確保
☆グロムス腫瘍
・爪の下、かなり痛い、青い
☆皮膚T細胞性リンパ腫
・皮疹、紅皮症
・菌状息肉症、セザリー症候群、ATLL
☆丹毒
・A群レンサ球菌の真皮感染→顔面全体が真っ赤にただれる、痛い
☆非定型抗酸菌
・水槽の手入れ→半年くらいで皮疹
・抗酸菌なので増殖スピードが遅い
・抗酸菌なのでZiehl-Neelsen染色
☆伝染性膿痂疹
・黄ブ菌の真皮感染→有痛性、限局性
・アトピーでひっかいて感染する
5皮下の疾患
☆フレグモーネ
・皮下蜂巣炎、黄ブ菌
☆Weber-Christian病
・中年女性
・感染でもないのに発熱、四肢の有痛性紅斑→瘢痕化
☆黄色腫
・高脂血症、糖尿病
☆ケロイド
・外傷範囲を超えて広がる、皮下の膠原線維の増殖、腫瘤
・切除しても創傷治癒過程の異常なので、また出てくる
6他の表皮感染症
☆ダニ、真菌
・ダニ、真菌:KOHで角質を溶かして検出する。ステロイド禁忌
・カンジダ:主婦は第3指間、爪周囲、乳幼児は陰股部
・皮脂が少なすぎるとカンジダ、白癬が増えてしまう。皮脂が多すぎると脂漏性皮膚炎(中年男性と乳児)
・白癬:第4趾間、爪。水疱内には白癬菌はいない。
・ケルスス:幼児の頭髪の白癬症→脱毛。ペットからの感染
・癜風(でんぷう):若年の男性の汗をあくところにできる。わずかに隆起した紅斑。痒みなし。
・疥癬:ヒゼンダニ。細胞性免疫不全で重症化(ノルウェー疥癬)。硫黄風呂でよくなる。
☆フルンケルンとカルブンケルン
・「せつ」と「よう」
・フルンケルンはひとつの毛根(=表皮の落ち込み)の黄ブ菌感染
・カルブンケルンはフルンケルンの集まったもの
☆尋常性毛そう
・毛そう=ひげそり負け

耳鼻科ポイント

耳鼻科ポイント

☆耳科学
1解剖・生理
・聴覚は蝸牛神経、平衡覚は前庭神経、2つあわせて聴神経(第8脳神経)
・中耳=鼓室は乳突蜂巣、耳管を通して上咽頭につながる
・小児の耳管は水平、太い、短い→上咽頭からの感染をおこしやすい→急性中耳炎、滲出性中耳炎は小児の疾患
・逆に大人の滲出性中耳炎は上咽頭癌を疑え
・鼓膜の振動は鼓室内の耳小骨(つち骨→きぬた骨→あぶみ骨)を介して前庭窓に伝わる
・大きな音→あぶみ骨筋収縮→あぶみ骨を脱臼させて内耳を保護
・顔面神経麻痺ではあぶみ骨筋が収縮しない→聴覚過敏
・内耳は上から3半規官、前庭、蝸牛
・蝸牛の中は外リンパの中に内リンパが浮かぶ
・内リンパは蝸牛だけでなく、前庭や半規管にもある
・前庭窓から入った振動は外リンパを通って蝸牛窓に抜ける
・外リンパの振動→内リンパのCorti器(有毛細胞)の振動→電気信号→蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→外側毛帯核→中脳下丘→内側膝状体→側頭葉の聴覚野
・外リンパはくも膜下腔と交通→髄膜炎の合併で難聴あり
・内リンパは細胞内液と同じ。内耳の外交通してない→内リンパ水腫おこすことあり(メニエール病)
・前庭内には耳石があり、頭の傾きを感知する
・耳石が剥がれ落ちると特定の頭位でめまい→良性発作性頭位めまい症(耳鳴り、難聴なし)
・3半規管の膨大部には有毛細胞からできたクプラがある。回転加速度の感知。
・内耳は椎骨-脳底動脈由来のAICA支配→椎骨脳底動脈の循環障害でめまい、耳鳴り
2症候
・耳痛とくれば、外耳炎、急性中耳炎、三叉神経痛
・滲出性中耳炎は痛くない→乳幼児で気づかず言語発達遅延の恐れ
・非回転性めまいは貧血など脳の問題
・世の中がぐるぐる回ってるように感じるのは回転性めまい
 反復性で頭位が決まっている→良性発作性頭位めまい症 
 反復性で難聴を伴う→メニエール病
 めまいは1回だけでその後難聴→突発性難聴
 めまいだけ→前庭神経炎
 聴神経腫瘍、多発性硬化症、ワレンベルグ症候群、帯状疱疹など
3検査
・難聴=20dB以上でないと聞こえない
・オージオグラムは難聴の検査。自覚的なので乳幼児、嘘つき、ヒステリーにはABR
・伝音性難聴:気導と骨導の差がある(Air-BoneGap+)→外耳、中耳の病気
・感音性難聴:気導と骨導の差がない(Air-BoneGap-)→神経の病気
・感音性難聴
 片側性→突発性難聴、メニエール病、流行性耳下腺炎
 両側性→アミノ配糖体(ストマイ・カナマイ)、騒音性難聴、老人性難聴
・オージオグラムで↓は無限dBでも聞こえない=聾(補聴器は無効)
・内耳の障害では少しの内圧の差にも気づく=補充現象
 補充現象陽性は内耳の迷路障害→メニエール病、アミノ配糖体、騒音性難聴
・ティンパノメトリは鼓膜の動きやすさをみる
・鼓膜の外と内の圧較差がないときに最も動きやすい。正常では圧較差が0のときが最大(A型)
・耳硬化症はアブミ骨が前庭窓の固着するので鼓膜が動かない→As型
・耳小骨離断では鼓膜がやたら動く→Ad型
・滲出性中耳炎は耳管閉塞で鼓室内空気が血管に吸収されて鼓室内圧が陰圧なので鼓膜外圧をマイナスにすると動きやすくなる→B型、C1型
・急性中耳炎は鼓室内に液体がたまり鼓室内圧は陽圧なので、鼓膜外圧がプラスで動きやすい→C2型
・ABRはクリック音で脳波の変化を見る。乳幼児、心因性難聴、詐聴、意識障害でも使える。
・耳鏡ではつち骨柄が前上方にのびるのが見える。
・カロリックテストは内耳の平衡機能を見る。
4治療
・補聴器(集音器)は両側性の伝音性難聴に適応
 耳硬化症、両側性外耳道閉鎖、耳小骨奇形(耳は奇形が多い)
 老人性難聴は感音性難聴の要素が強いので早期に使う
・伝音性難聴は人工中耳も適応
・補聴器の無効な感音性難聴には人工内耳
・鼓膜チューブは滲出性中耳炎(鼓室内圧陰圧で血管から水が滲出するため)
・鼓室形成術は慢性化膿性中耳炎や真珠腫性中耳炎で鼓室が破壊されたとき
・耳硬化症にはアブミ骨手術
5疾患
・指と耳は奇形が多い:耳小骨奇形→補聴器
・急性化膿性中耳炎
 耳管が水平、太い、短い小児に多い→口腔内常在菌の肺炎球菌、インフルエンザかん菌の上行性感染→血管透過性亢進→鼓室内滲出液貯留
 拍動性耳痛、炎症なので発熱、伝音性難聴、
 急性乳様突起炎→S状静脈洞血栓症、脳膿瘍
 内リンパ→髄膜炎
 耳鏡で鼓膜の発赤、腫張
 治療は鼓膜切開(髄膜炎、脳膿瘍対策)、抗生物質
 めまいはなし
・慢性化膿性中耳炎
 急性化膿性中耳炎の慢性化したもの。稀。
 鼓膜穿孔を認めることあり
 乳突蜂巣は発育不全
 治療は顕微鏡下に吸引と洗浄、鼓室が破壊されていれば鼓室形成術。耳管通気は禁忌。
・滲出性中耳炎
 小児期にはワルダイエル輪リンパ節が腫張しやすい→耳管閉塞→鼓室内空気が血管に吸収→鼓室内が陰圧→滲出液貯留
 小児期の病気→大人の滲出性中耳炎は上咽頭癌を疑う
 痛みがないので、乳幼児期に見逃すと伝音性難聴による言語発達遅延
 耳鏡では鼓膜陥凹
 治療は鼓膜チューブ、耳管通気、抗生物質、抗ヒスタミン薬
・真珠腫性中耳炎
 中耳炎が慢性化→鼓膜が陥凹し、鼓室内に入り込む→真珠腫になって鼓室破壊
 空気がないので嫌気性かん菌による悪臭のある耳漏
 最初は伝音性難聴→内耳が破壊されると感音性難聴が加わる(混合性難聴)→めまい、顔面神経麻痺
 治療は鼓室形成術
・耳硬化症
 両側のあぶみ骨が前庭窓に固着→両側の伝音性難聴
 ゆっくりと進行する
 2000Hzの音が特に聞こえない→カルハルトのノッチ
 治療はあぶみ骨手術
・突発性難聴
 突然のめまい→片側性の高度感音性難聴
 理由不明だが、ウィルス感染か。
 治療はビタミンB1,2,6,12、高圧酸素、ステロイド
 早期治療すれば8割がよくなるが、2週間たつと回復しにくい
・先天難聴(内耳奇形)
 原因は遺伝性(劣性遺伝)、妊娠12週未満の風疹初感染、妊婦へのアミノ配糖体
・老人性難聴
 蝸牛神経の加齢変性→両側性の感音性難聴
 老人は悪口はよく聞こえる→高音が聞き取りにくい
・騒音性難聴
 長期の騒音→有毛細胞の不可逆変性→両側性の感音性難聴
 4000Hzの聴力低下(C5-dip)から始まるので気づきにくい(会話は500~2000Hz)
 職場騒音は6ヶ月に1回の定期聴力検査
・中毒性難聴
 アミノ配糖体(ストマイ・カナマイ)による有毛細胞の障害
 初期はめまい→高音中心の両側性の感音性難聴
・機能性難聴
 学童期の女子、原因はストレス
 オージオグラムは高度の感音性難聴だがABRでは正常、ティンパノグラムはA型
 自記オージオメトリはJergerV型
・良性発作性頭位めまい症(BPPV)
 耳石がはがれて頭位変換による回転性めまいだけ
・メニエール病
 外部と交通していない内リンパ内にリンパ液が溜まる(内リンパ水腫)
 反復する発作性回転性めまい→進行すると耳鳴り、片側性の感音性難聴
・外リンパろう
 いきんだ瞬間に前庭窓や蝸牛窓に穴→突然のぽんっという音→片側性の感音性難聴、めまい、耳鳴り
・前庭神経炎
 先行するウィルス性上気道感染→2週間の激しい回転性めまい→一過性で治癒
 難聴や顔面神経麻痺はなし
・聴神経腫瘍
 前庭神経のシュワン細胞由来の良性腫瘍
 ゆっくりと大きくなる→平衡障害は代償するので、初発は感音性難聴
 両側性のものは神経線維腫症2型(22qのMerlin遺伝子の異常、両側性聴神経腫瘍、多発性髄膜腫、神経膠腫、神経鞘腫、若年性白内障)
 腫瘍増大で三叉神経麻痺、顔面神経麻痺
・顔面神経麻痺
 顔面神経は耳下腺をくぐった後、目、耳、舌、顔に枝を出す
 目:膝神経節からの枝が涙腺→涙液分泌低下
 耳:アブミ骨筋神経→障害で聴覚過敏
 舌:鼓索神経が舌の前3分の2の味覚
 顔:顔面筋→障害で閉眼障害、口角下垂、鼻唇溝浅化、額のしわがない
・RamsayHunt症候群
 水痘帯状疱疹ウィルスの膝神経節炎
 他に内耳障害(めまい、感音性難聴)、外耳の耳痛を伴う水泡性発疹
 治療はアシクロビル
・Bell麻痺
 突然発症する末梢性顔面神経麻痺
 HSVの再活性化
 難聴やめまいはない
 治療はステロイド、ビタミンB群
 半数が自然治癒
・側頭骨骨折
 縦骨折は伝音性、横骨折は感音性難聴
☆鼻科学
1解剖生理
・上鼻道:後部篩骨洞、蝶形骨洞が開口
 中鼻道:前頭洞、前部篩骨洞、上顎洞が開口
 下鼻道:鼻涙管が開口
・嗅部は鼻の上面にあり、切手1枚の大きさ
・鼻の血流は顎動脈(外頚動脈の枝)。鼻腔の上3分の1は篩骨動脈(内頚動脈の枝)支配。
2症候
・鼻漏
 漿液性→アレルギー性鼻炎
 粘液性→慢性副鼻腔炎
 出血性→上顎癌
 悪臭→上顎癌、鼻腔異物、進行性鼻壊疽
・いびき→睡眠時無呼吸症候群、小顎症、高齢者、肥満、アデノイド腫大、副鼻腔炎、飲酒後
3検査
・前鼻鏡では上鼻甲介は観察できない
・アレルギー性鼻炎→白色の下鼻甲介
・副鼻腔炎→赤色の下鼻甲介
4疾患
・鼻出血
 キーゼルバッハ部位からの出血がほとんど
 前は0.1%ボスミン綿球、後ろはBelloqタンポンを詰める
 鼻出血の原因に高血圧を忘れるな。他に出血傾向、上顎癌、Osler病、上咽頭血管線維腫、異物
・鞍鼻→Wegener肉芽腫症、ムコ多糖蓄積症、鼻骨骨折、梅毒、ダウン症
 cf)Wegener肉芽腫症→上気道、下気道、腎の障害
・アレルギー性鼻炎
 IgEが介する1型アレルギー
 アレルゲンは通年性はハウスダスト(ダニ)、季節性はスギ花粉
 通年性は幼児発症、季節性は成人発症
 くしゃみ、鼻水、鼻づまり
 鼻汁中好酸球増加、前鼻鏡検査で白色の下鼻甲介
 治療はH1ブロッカー、クロモグリク酸(DSCG,インタール)、ステロイド点鼻
・急性副鼻腔炎
 かぜ、急性鼻炎に続発。上顎洞の好発、次が篩骨洞
・慢性副鼻腔炎
 蓄膿症。上顎洞の好発、次が篩骨洞
 鼻茸や味覚障害も起こす
 手術10年後に術後性上顎嚢胞→上にいくと眼球突出、下に行くと歯痛
・睡眠時無呼吸症候群
 肥満、アデノイド→上気道閉塞→睡眠時無呼吸→夜間の不眠→日中の眠気→交通事故
 5%はShyDrager症候群による中枢型睡眠時無呼吸症候群
 外来のアプノモニターでスクリーニング→入院でポリソムノグラム(呼吸停止→脳波覚醒→呼吸再開)
 治療は経鼻的持続性陽圧換気、不十分なら軟口蓋形成術
・上顎癌 
 扁平上皮癌
 上顎洞という骨に囲まれたところに発生するのでリンパ行性転移は少ない
 高齢男性に多い
 前下型は歯痛を起こして早期発見なので予後良好、後上型は脳に行くので予後不良
 悪臭のある血性鼻漏、鼻閉、歯痛、頬部腫張、眼球突出
 治療は集学的治療(放射線+手術+抗がん剤)→どれも扁平上皮癌に効く
・顔面外傷
 鼻骨骨折→鼻出血、鞍鼻、鼻閉
 前頭蓋底骨折→髄液鼻漏
 眼窩吹き抜け骨折→下直筋がトラップされて上転障害
 視神経管骨折→視力障害
 上顎骨骨折→両側横断骨折はLeFort1~3に分類
 下顎骨骨折→咬合異常
 側頭骨骨折→縦骨折は伝音性、横骨折は感音性難聴
☆咽喉頭
1解剖・生理・症候
・ワルダイエル輪=咽頭扁桃(アデノイド)、耳管扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃、リンパ小節
・唾液腺=小唾液腺(上顎と下顎)+大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)
・シェーグレンでは小唾液腺を生検する。
・上咽頭は鼻腔の後ろ、中咽頭は口腔の後ろ、下咽頭は喉頭の後ろ。上咽頭の後ろは延髄。
・下咽頭は喉頭を両サイドから包み込む→梨状陥凹
・味覚は味蕾で知覚する:前は甘味、両端は塩味、中央は酸味、後ろは苦味
・味蕾は舌だけでなく軟口蓋にも分布する。
・舌の前3分の2は顔面神経の枝の鼓索神経、後3分の1は舌咽神経
・嚥下運動:舌が後上方に動き軟口蓋を上げ、食物を咽頭へ(口腔期・随意)→喉頭蓋閉鎖、咽頭筋収縮で食物を下咽頭へ(咽頭期・不随意)→食物は食道へ行き、喉頭蓋が開いて呼吸再開(食道期・不随意)
・軟口蓋麻痺(舌咽迷走神経支配)→ミルクを飲むと鼻から出る
・片側声帯麻痺(反回神経支配)→嗄声。健側が過剰運動をするので誤嚥は起きない。両側声帯麻痺なら窒息。
・嗄声の原因は声帯異常か一側反回神経麻痺。
 声帯異常→クループ、甲状腺機能異常症、喉頭癌、声帯ポリープ、下咽頭癌
 一側反回神経麻痺→食道癌、肺癌、縦隔腫瘍、大動脈瘤、PDA、外傷、手術
・間接喉頭鏡では患者の前が上、後ろが舌
・声帯ポリープは片側声帯にできた結節、ポリープ様声帯は両側ポリープ全体の腫脹、急性喉頭蓋炎では腫れた喉頭蓋で声帯は見えない。
2疾患各論
・口唇裂、口蓋裂
 0.1%、家族内発生は20%、多因子遺伝
 口蓋裂の手術時期は早すぎると口蓋成長障害、遅すぎると言語獲得遅延→2~3才(口唇裂はいつでもよい→1~3ヶ月)
・急性扁桃炎
 学童の口蓋扁桃に多い。
 原因は溶連菌、アデノウィルス
 扁桃陰窩に一致した黄白色の膿栓→進行すると偽膜
 正中線を越えた肥大を第3度肥大
・病巣感染
 慢性扁桃炎→免疫複合体→交叉抗原反応→IgA腎症、掌蹠膿胞症、心炎
 扁桃マッサージでIC上昇、扁桃洗浄でIC低下
 治療は扁摘
 掌蹠膿胞症の膿胞からは病原菌(溶連菌、黄ブ菌)は検出されない
・アデノイド増殖症
 咽頭扁桃は3~7才で生理的に肥大→耳管、後鼻腔の閉塞
 耳管閉塞:急性中耳炎、滲出性中耳炎
 後鼻腔閉塞:閉鼻声、いびき、SAS(睡眠時無呼吸症候群)、アデノイド顔貌
 治療はアデノイド切除術
・扁桃周囲膿瘍
 成人(急性扁桃炎は学童)
 咽頭痛、嚥下痛、開口障害、高熱
 口蓋垂の健側への偏位、頚部リンパ節腫脹
 抗菌薬、切開排膿
・アフタ性口内炎
 多発の原因→Behcet、Crohn病、SLE
・唾石症
 顎下腺に好発(リン酸カルシウムだからネバネバ)
 ワルトン管の閉塞で、顎下部腫脹、摂食時に唾疝痛
 下顎皮膚から摘出
・ガマ腫
 舌下腺の導出管の閉塞で貯留性嚢胞
・正中頚嚢胞
 甲状舌管の遺残
 舌骨を含めて摘出
・舌癌
 扁平上皮癌
 不適合義歯による慢性刺激→白板症→舌縁、舌下に発癌
 密封小線源治療(扁平上皮癌は放射線、化学療法が効く)
 舌は血流、リンパ流、脂質が豊富なので転移しやすいが、表面なので早期発見できるし、舌を切除すると発語困難になるので保存的にしたい
・上咽頭癌
 EBウィルス
 低分化な扁平上皮癌→放射線治療
 耳管閉塞で滲出性中耳炎、鼻出血、脳神経浸潤による6、9、10、11(∵後ろに脳幹)
 早期より頚部リンパ節転移
・上咽頭血管線維腫
 思春期、男児に好発、生検すると出血
 思春期男子の反復する鼻出血
・下咽頭癌
 普通は発見が遅れるので予後が悪い→頭頚部癌中で予後不良
 梨状陥凹癌は早期発見(∵梨状陥凹に唾液が貯留し嗄声)
・急性喉頭蓋炎
 幼児のインフルエンザ桿菌感染
 嚥下痛、高熱、吸気性喘鳴
 声門閉塞による窒息もある→直ちに気道確保
・嗄声を伴う声帯の病変
 声帯ポリープ:有茎性、前3分の1、片側、原因は声の酷使
 ポリープ様声帯:声帯全体の浮腫、原因は声の酷使
 声帯結節:両側対称性、前3分の1
・喉頭乳頭腫
 パピローマウィルスが原因。喫煙と飲酒は無関係
 嗄声、喉頭異物感
・喉頭癌
 頭頚部癌は4分の1
 声門型が多い→嗄声、血痰により早期発見
 原因は喫煙(Brinkman指数400以上で発生率上昇) 
 舌癌、喉頭癌は早期発見なら放射線療法(普通は外科切除)←舌や喉頭をとると発生困難になるため
 喉頭全摘後は食道発声訓練(器具不必要、リハビリ必要)か人工喉頭(器具必要、リハビリ不必要)
・反回神経麻痺
 食道の両脇を走る迷走神経の枝
 左は大動脈弓、右は鎖骨下動脈を反回する
 片側麻痺で嗄声、両側麻痺で窒息
 原因:食道癌、肺癌、縦隔腫瘍、大動脈瘤、PDA、外傷、手術

眼科ポイント

眼科ポイント

1解剖と生理
☆眼球の構造
・瞳孔2~4mm(虹彩の間)
・眼軸長24mm
・壁
 外膜:角膜→強膜
 中膜:虹彩→毛様体→脈絡膜(中膜=ぶどう膜)
 内膜:網膜(後部にしかない)
・中間透光体=角膜、房水、水晶体、硝子体→無血管野
・強膜は眼球結膜で覆われているので外からは見えない。眼瞼結膜と眼球結膜の折り返し部は円蓋という。
・眼球結膜と強膜の間の間質スペースを上強膜といい、悪性関節リウマチでは上強膜に炎症が起きる。
☆角膜
・外から上皮、実質、内皮
・上皮は重層扁平上皮で再生能あり。
・実質は皮膚の真皮と同じ→ムコ多糖あり→ムコ多糖症(ハーラー、ハンター、モルキオ)で角膜混濁。しかし、ハンターはXRで軽症なので角膜混濁なし
・内皮は房水と実質の間の物質交換をする。再生能がない。
・上皮と実質の境目はボーマン膜、内皮と実質の境目はデスメ膜。デスメ膜にはWillson病で銅蓄積(Kayser-Fleischer輪)
・角膜には40Dの屈折力があり、水晶体には20Dの屈折力がある
・角膜はV1支配の知覚あり→角膜疾患は全部疼痛あり
☆網膜
・10層構造
・10層目は網膜色素上皮層で1~9層と発生が違うのでここで剥離を起こしやすい。
・視細胞
 桿体細胞:明暗機能→網膜周辺に多い。光によりロドプシン→ビタミンAで活動電位↑
 錐体細胞:色覚(赤緑青)→黄斑部に多い
☆内眼筋
・瞳孔散大筋は交感神経支配、瞳孔括約筋は動眼神経支配
・眼輪筋は顔面神経支配で閉眼→麻痺で兎眼
 上眼瞼挙筋は動眼神経支配で開瞼→重症筋無力症で眼瞼下垂
 瞼板筋は交感神経支配で開瞼→ホルネル症候群で眼瞼下垂
☆外眼筋
・上を見る→上直筋、下斜筋
 下を見る→下直筋、上斜筋
 内側を見る→内転筋
 外側を見る→外転筋
・外転筋は外転神経、上斜筋は滑車神経、残りは動眼神経支配
・脳圧亢進で外転神経麻痺が起こりやすい(頭蓋内走行距離が長いため)
☆神経
・視神経管には視神経と眼動脈が通る
・上眼窩裂にはⅢ、Ⅳ、Ⅵ、Ⅴ1が通る
・下眼窩裂には
・海綿静脈洞の近くを通るのはⅢ、Ⅳ、Ⅵ、Ⅴ1、Ⅴ2
☆対光反射
・網膜→視神経→視交叉→EdingerWestphal核(Ⅲ副核)→毛様体神経節→瞳孔括約筋→縮瞳
☆視覚路
・網膜→視神経→視交叉→外側膝状体→Meyer's loop(頭頂葉or側頭葉)→後頭葉
・視交叉より前の障害:異名半盲
 視交叉より後の障害:同名半盲
 視交叉の障害:両耳側半盲
 頭頂葉の障害:対側の下4分の1半盲
 側頭葉の障害:対側の上4分の1半盲
 後頭葉の障害:黄斑回避の同名半盲
☆房水
・房水は毛様体中を流れる毛細血管からの滲出物。∴血管収縮で房水産生抑制。
・隅角にある線維柱帯というフィルタを通って、シュレム管から排出される。
☆涙腺
・眼の外上方にある
・涙腺で産生→涙点→涙嚢→鼻涙管→下鼻道
2角膜疾患
☆角膜移植
・死亡後48時間以内に移植
・全層移植が基本
・角膜移植だけは本人の同意書の必要なし
・HLA matchingの必要なし(∵無血管野だから)
☆HSV
・片眼性、疼痛あり、フルオレセイン染色で樹枝状角膜炎
・治療はIDU、アシクロビル
☆眼部帯状ヘルペス
・VZV、疼痛あり、角膜に水泡
・虹彩毛様体炎も起こす→続発性緑内障
☆乾燥性角膜炎
・dry eye、顔面神経麻痺による兎眼
・角膜乾燥→損傷→表面凹凸→乱反射による羞明
☆ふっ行性角膜潰瘍(つき目)
・稲の穂でつくことから。
・外傷→ブ菌感染→前房蓄膿
・前房蓄膿があれば、ベーチェット病かつき目
☆アメーバ角膜炎
・コンタクトで起こる
☆円錐角膜
・両側性、思春期に角膜が円錐状になる(30歳くらいで停止)
・治療はコンタクト、視力矯正が無理なら角膜移植
☆水疱性角膜症
・角膜内皮の障害→実質に水がたまる→浮腫により視力障害
・原因は、白内障手術ミス、外傷、HSV、遺伝
・内皮は再生能がないので、角膜移植しかない
☆角膜損傷
・酸、アルカリ→とにかく水で20分くらい洗い流すこと
・鉄片異物→単純Xp(Comberg法)で検査。鉄は磁性体なのでMRIは禁忌。
・雪目、電気性眼炎→スキーや溶接作業が原因。両側性。
3緑内障
☆開放隅角緑内障
・眼圧はトノグラフィーで測定する。
・隅角は開放されているが、シュレム管の調子が悪いのが開放性。
・高眼圧(21mmHg以上)→乳頭陥凹→傍中心暗点
 →乳頭陥凹から時計回りに網膜障害→ブエルム暗点(弓状暗点)
  乳頭陥凹から反時計回りに網膜障害→ザイデル暗点
 →最終的にはブエルムとザイデルがつながって輪状暗点
・自覚症状をほとんど伴わないまま視神経萎縮→失明
・高眼圧が数年続く間に、壁が圧迫されて正常眼圧になっていることもある(正常眼圧緑内障)
・治療:
 房水排出促進
  ピロカルピン点眼:Ach様物質。副交感刺激→縮瞳→隅角が広がる
  PGF2α点眼:PGは管の拡張が基本作用。シュレム管の拡張。
 房水産生抑制
  βブロッカー点眼(プロプラノロール):α優位になり血管収縮
  エピネフリン点眼:交感神経刺激で血管収縮
  脱炭酸酵素阻害薬(アセタゾラミド):
  マンニトール:血漿浸透圧を上げる
 線維柱帯切除術
☆急性緑内障発作
・急性発作を起こすのは閉塞隅角緑内障
・悪心嘔吐を伴った頭痛や眼痛と視力障害、房水圧上昇で角膜浮腫→プリズム効果で虹視症
・偏頭痛発作と似ていることに注意!
・消化管造影に使うブスコパンなど、抗コリン作用薬剤がきっかけ。
・治療はピロカルピン点眼、レーザー虹彩切除
☆先天性緑内障
・先天的高眼圧→牛眼
・Sturge-Weber症候群(V1,V2領域の顔面血管腫+牛眼)
4ブドウ膜疾患
・前は虹彩毛様体炎、後ろは網脈絡膜炎
・虹彩毛様体炎→毛様充血、温流、角膜後面沈殿物、前房蓄膿、虹彩癒着→白内障、緑内障
・ブドウ膜炎とくれば、ベーチェット、サルコー、原田!
・治療は散瞳薬のアトロピン(副交感遮断)、自己免疫にはステロイド→シクロスポリン
・検査時の散瞳薬は作用時間が短いトロピカミド(ミドリン)を使う。
☆ベーチェット病
・症状
 皮膚に有痛性再発性口腔内アフタ、結節性紅斑
 前房蓄膿を伴った虹彩毛様体炎
 外陰部潰瘍、精巣上体炎
 回盲部の易穿孔性潰瘍(腸管ベーチェット)
 大動脈瘤、髄膜炎
・検査:HLA-B15陽性、針反応陽性
・治療はNSAIDs、ステロイド、シクロスポリン
・腸管ベーチェットはクローン病との鑑別が必要。
・前房蓄膿→ベーチェットorつき目
☆サルコイドーシス
・全身に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫ができる
・症状
 検診時にBHLで発見→間質性肺炎
 豚脂様角膜後面沈着物を伴ったブドウ膜炎
 皮膚に結節性紅斑、サルコイド結節
 心ブロックによる突然死
 視床下部に肉芽腫ができて尿崩症
・検査:両側肺門部のBHL、血清ACE上昇、CD4優位のTリンパ球増加、ツ反陰転化とγ-G上昇、血清Ca上昇
・BHLのみなら経過観察で8割がよくなる。臓器病変があればステロイド
☆原田病
・メラノサイトへの自己免疫
・メラノサイトは皮膚、ブドウ膜、髄膜、内耳にある
 →白斑、白髪、両側性ブドウ膜炎、髄膜炎、感音性難聴
・蛍光眼底造影で造影剤が至る所で漏れる(サイトカインによる血管透過性亢進)
・進行すると夕焼け眼底
☆中心性漿液性網脈絡膜炎
・黄斑部の網膜と脈絡膜の間に水がたまる→網膜剥離→突然の遠視、変視
・ストレスの多い中年男性
・蛍光眼底造影で黄斑部で造影剤が漏れる
・2、3ヶ月で自然治癒(黄斑部以外をレーザー光凝固)
☆ブドウ膜腫瘍
・悪性黒色腫:網膜剥離を起こす
・転移癌:肺癌、乳癌
・von Hippel Lindau病:小脳と脈絡膜に血管芽腫
・Sturge Weber症候群:顔面皮膚と脈絡膜に血管腫(→牛眼)
5網膜疾患
☆網膜剥離
・眼底検査→倒像鏡やGoldman三角鏡、網膜機能→ERG
・裂孔原性と非裂孔原性がある。
☆裂孔原性網膜剥離
・老人:硝子体の液状化+首振りによる網膜の裂け目→裂け目に水が入り込む→徐々に剥離
 若年:眼軸が長すぎて剥がれる(強度の近視)。格子状変性を伴なう。
・裂け目から出血→ヘモグロビンがふらふらと動く→飛蚊症
・剥がれるときに視細胞を刺激→光視症
・治療は、レーザー光凝固、強膜バックリング
☆非裂孔原性網膜剥離
・続発性のこと。
・原因:糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、外傷、腫瘍、炎症
☆糖尿病性網膜症
・単純型(毛細血管瘤)→前増殖期(綿花様白斑)→増殖期(新生血管からの出血、剥離)
・綿花様白斑が見られたらレーザー光凝固(新生血管を防ぐ)
☆黄斑変性
・萎縮型と滲出型
・萎縮型は加齢に伴う変化
・滲出型:黄斑部の脈絡膜と網膜の間(Bruch膜)に新生血管→出血→変性
・中心暗点の拡大
・治療はレーザー光凝固、光線力学療法
☆網膜色素変性症
・AR
・桿体細胞の変性→夜盲症(暗順応低下:暗いところでいつまでたっても目が慣れない)
・骨小体様色素沈着
☆網膜芽細胞腫
・2万人に1人
・30%はADでRb遺伝子欠損→両側性
・病理:ロゼット形成、石灰化
・白色瞳孔→続発性緑内障
・治療は片眼摘出+片眼に放射線、化学療法
☆うっ血乳頭
・乳頭辺縁がはっきりしない+マリオット盲点の拡大
・頭蓋内圧亢進(脳腫瘍、悪性高血圧)
☆視神経乳頭萎縮
・乳頭陥凹+視力障害
・MSの球後性視神経炎、緑内障、うっ血乳頭の持続
6脈管疾患
・ICA→眼動脈→網膜中心動脈
・網膜中心動脈は視神経管を通った後視神経の中に入って、血管が神経の中を走行する
・上眼静脈は上眼窩裂、下眼静脈は下眼窩裂を通って海綿静脈洞に入る
・網膜の動脈、静脈は乳頭から上下左右に各4本ずつ計8本出る
☆網膜中心動脈閉塞症
・虚血後1~2時間で網膜は不可逆損傷
・血管透過性亢進により網膜全体に滲出物、虚血により蒼白+黄斑部は血流維持→cherry red spot
cf)cherry red spotはTaySacksでも見られる。
・原因は高脂血症、高血圧、糖尿病、大動脈炎症候群、側頭動脈炎(巨細胞性血管炎)
・治療は眼マッサージ、亜硝酸アミル
☆網膜動脈分枝閉塞症
・一部分の虚血
・蛍光眼底造影で閉塞動脈を見つける
☆網膜中心静脈閉塞症
・静脈閉塞→動脈からの血流により破綻→眼底出血(熟れたトマトを叩きつけたような)
・原因は高脂血症、高血圧、糖尿病、血流速度低下、血液粘稠度増加
・治療は出血部位にレーザー光凝固
☆高血圧性眼底
・高血圧の程度を眼底で見る
・眼底の動脈:静脈=2:3だが、高血圧になると、動脈が静脈の半分の太さになる
☆硝子体出血の原因
・糖尿病性網膜症、網膜中心静脈閉塞症、Eales病
7水晶体疾患
・x(m)の近さまで見える→屈折力は1/x(D:ジオプトリ)
・20代才で9D→60才台で1D
☆老視
・水晶体の弾性低下→Zinn氏帯弛緩でも水晶体が膨らまない→近くが見えない
☆白内障
・水晶体の濁り(濁りが少しでもあれば白内障)
・原因は老人性、先天性風疹症候群、ブドウ膜炎、糖尿病、ステロイド、アトピー、ガラクトース血症、低Ca血症、外傷、赤外線(ガラス工白内障)
・検査:細隙灯検査で白いライン(細隙灯検査は眼の浅いところを見るもの→眼底は見えない!)
・治療は超音波乳化吸引+IOL(眼内レンズ)
・IOLを入れる前には眼軸長や角膜屈折力を調べること
・IOLを入れると遠くは見えるようになるが近くはぼやける→手術が本当に必要か判断すること(例:運転が必須など)
☆水晶体亜脱臼
・マルファン症候群、ホモシスチン尿症
8眼窩疾患
☆眼球突出
・Hertel眼球突出計で2mm以上の左右差
・片側性→副鼻腔疾患、眼窩腫瘍(悪性リンパ腫、涙腺混合腫瘍、緑色腫、神経芽細胞腫)、CCF(内頸動脈-海綿静脈洞瘻)、炎症(蜂巣炎、眼窩炎症)、海綿静脈洞血栓症
・両側性→Crouzon病、Basedow病、Hand-Schller-Christian病
☆内頸動脈-海綿静脈洞瘻(CCF)
・拍動性眼球突出、結膜充血、血管雑音
☆眼窩吹き抜け骨折
・下直筋のトラッピング(上顎洞への下直筋の落ち込み)で上転障害(上を見たときに複視++)
☆涙腺腫瘍
・混合腺腫、悪性リンパ腫
・涙腺は眼の外上方にある→眼球の内下方への突出
☆ドライアイ
・Sjogren症候群、加齢、Stevens-Johnson症候群、読書、テレビ、パソコン、エアコン
・シルマー試験、ローズベンガル試験
☆外眼筋麻痺
・麻痺筋が作用する方向を見たときに複視が強くなる
☆斜視
・眼位のずれ+両眼視障害
☆斜位
・片眼を隠すと視線がずれる
☆中脳上丘障害
・上方注視麻痺+輻輳麻痺→松果体部腫瘍
9視機能疾患
・7.5mmのランドルト環に開いた1.5mmの穴を5m離れたところから判別できる→視力1.0
・幼児はリフラクトメーターで視力を測る
☆弱視
・器質的異常では説明できない視力障害。視性刺激遮断による視機能発達障害。メガネ、コンタクトで矯正不能
・先天性白内障、斜視、眼帯、遠視による調節性内斜視→視性刺激遮断
☆色弱
・赤緑色弱はXRで男児の5%(赤と緑が判断しづらいだけで分かることは分かる)
☆色盲
・AR、視力低下、羞明、眼振を伴なう
・スクリーニングは仮性同色表
・確定診断はアノマロスコープ
cf)Hessの赤緑試験は眼球運動検査
☆夜盲症
・網膜色素変性症、小口病、ビタミンA欠乏、LaurenceMoonBiedle症候群
☆視野異常
・輪状暗点→網膜色素変性症、緑内障末期
・弓状暗点→緑内障初期
・中心暗点→黄斑変性、中心性漿液性網脈絡膜症
・マリオット盲点の拡大→うっ血乳頭
・盲中心暗点→球後性視神経炎(マリオット盲点と中心暗点がつながる→ラケット型暗点ともいう)
・らせん状視野、トンネル視野→ヒステリー
10結膜疾患
・結膜充血→結膜自体の炎症(浅いところの炎症)
 毛様充血→角膜炎や虹彩毛様体炎など深いところの炎症
☆流行性角結膜炎
・アデノウィルス8型
・耳前リンパ節腫脹とくればこれ!
・伝染力が強いので学校や職場は休むこと
・結膜炎は治るが、続いて点状表層角膜炎を起こす
☆急性出血性結膜炎
・エンテロウィルス70
・結膜炎→結膜下出血→角膜びらん
・治癒後、数週間でGBS(GuillainBarre症候群)を起こすことあり。
☆咽頭結膜熱(プール熱)
・アデノウィルス3型
・夏、プールで感染する
・発熱、咽頭痛、結膜炎
・アデノチェック(アデノウィルス抗原免疫クロマト法)を使う。
☆トラコーマ
・Chlamydia trachomatisによる封入体性結膜炎
・Prowazek小体を伴った急性濾胞性結膜炎→パンヌス→瘢痕化
・治療はテトラサイクリン、エリスロマイシン
☆アレルギー性結膜炎
・ダニ、カビ、花粉による1型アレルギー
・結膜擦過物に好酸球
☆春季カタル
・アレルギー性結膜炎の1つ。春から夏に起こる。
・石垣状乳頭増殖
☆Stevens-Johnson症候群
・薬物、マイコプラズマによる急性の粘膜皮膚目症候群
・粘膜、皮膚に多形滲出性紅斑
・後遺症は失明

精神科ポイント

精神科ポイント

・全体像
内因性:統合失調症(皮質のドパミン過剰)、気分障害(皮質のセロトニン、NA欠乏)
外因性:脳疾患、全身疾患(症状精神病)、薬物
心因性:転換性障害、解離性障害、恐怖障害、不安障害、強迫性障害、身体表現性障害、心気症性障害
・気質:人格の基礎をなす先天性の特性
分裂気質:統合失調症、細長型、非社交的、過敏性と鈍感の共存
循環気質:躁うつ病、肥満型、社交的、爽快だが抑うつ
執着気質:躁うつ病、
粘着気質:てんかん、闘士型、粘着、爆発
メランコリー:うつ病
ヒステリー性格:誇張的、自己顕示欲、虚栄心、未熟、依存性
・ライフサイクルと発達心理
乳児期:分離不安(1才ピーク、2才消失)
青年期:自我同一性障害(自分とはなにか、自分探しの旅)
成人期:空の巣症候群(離別をきっかけ)
・意識の異常
見当識障害:軽度の意識障害、時、場所、人
せん妄:軽度の意識障害+興奮(妄想、幻覚)、振戦せん妄(アル中の禁断症状)、夜間せん妄(脳血管性痴呆)、術後せん妄(術後数時間後にICUで)
アメンチア:思考散乱+困惑
もうろう状態:意識混濁は軽度だが追想不能
・知覚の異常
錯覚:存在するものを誤って知覚、幻覚:存在しないものを知覚
paleidoria:壁のシミが顔に見える錯覚
真性幻覚:5感で知覚できる幻覚
偽性幻覚:5感で知覚できない幻覚、統合失調症「宇宙から電波がやってきて子宮にかかる」
幻視:アル中に伴う小動物幻視、Lewy小体性認知症
幻聴:統合失調症(言語性)、アル中、覚せい剤
幻臭:側頭葉てんかん
体感幻覚:セネストパチー「腹の上で虫が浴衣を着て踊っている」
・記億の異常
記銘の異常:海馬、コルサコフ症候群(ウェルニッケ脳症に合併、失見当識、健忘、作話)
保持の異常:側頭葉
想起の異常:頭頂葉、前向性健忘は事故後の記憶消失、逆行性健忘は事故前の記憶消失
・思考の異常
保持:痴呆、同じ考えが繰り返し出てくる
迂遠:てんかん、思考速度が緩慢
制止:うつ病、頭に思い浮かばない
途絶:統合失調症、思考が消えた、取られた
観念奔逸:躁病、概念が不完全なまま進行するが、連合は保持
思考滅裂:統合失調症、概念の連合が失われ(連合弛緩)、言葉のサラダ(思路異常)を生じる
・思考体験の異常(思考に関する自我体験異常)
強迫観念
作為体験(させられ体験):統合失調症の自我意識の異常、思考吹入(すいにゅう)、思考干渉、思考伝播、思考察知、思考奪取(だっしゅ)
・思考内容の異常
妄想:訂正不能な誤った考え
一次妄想:了解不能な妄想、統合失調症の妄想気分(何か異様なことが起きつつある)、妄想知覚(家の前の車に監視されている)、妄想着想(私はキリストの生まれ変わりである)
二次妄想:了解可能な妄想、躁病の誇大妄想、うつ病の微小妄想、統合失調症や神経症の関係妄想(他人の何気ない仕草が自分に関係した何かの意味であると確信)と被害妄想、アルコール依存症の嫉妬妄想、妄想性障害、てんかんでも見られる
・敏感関係妄想:敏感性格者が長期の性的、社会的、対人的葛藤状態→関係妄想、恋愛妄想、被害妄想
・妄想性障害:高齢者、1ヶ月以上持続、被害妄想(物盗られ妄想)、嫉妬妄想、誇大妄想、色情妄想、妄想のみの症状、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、予後良好
・感情の異常
情動麻痺:心因反応、驚愕後の何も感じない状態
情動失禁(感情失禁):理由もなく突然泣き出したり笑い出す、脳血管性痴呆
感情鈍麻:統合失調症末期
両価性:相反する感情が同時存在、統合失調症
恍惚:意識の狭窄+生命感情の異常興奮、統合失調症、ヒステリー、麻薬中毒、宗教儀式、性交
自閉:自我意識が障害され、周囲との接触を絶った状態、統合失調症
児戯的爽快:感情の深みがなくなる、統合失調症末期
・マスローの人間の欲求:生理的欲求<安全の欲求<所属と愛の欲求<承認の欲求<自己実現の欲求
・睡眠
nonREM(体は動いて頭は休み)→REM(頭は動いて体は休む→夢を見る)を4,5回繰り返す
REM睡眠時は自律神経の不安定化→喘息や異型狭心症を起こしやすい、抗重力筋のトーヌス低下
・ナルコレプシー
日中に突然強い睡魔、30分程寝ると爽快、HLA-DR2が陽性、15才前後に発症、視床下部のオレキシンが欠乏、症状はREMアタックと情動脱力発作(カタプレキシー)、治療はメチルフェニデート(リタリン)、三環系抗うつ薬(REMを抑制)
・Kline-Levin症候群:思春期男児、周期的傾眠、過食、成人とともに自然治癒
・言語の異常
構語障害:発音に関する神経筋の異常(球麻痺、仮性球麻痺)
失語:言語中枢の異常
・失語
Wernicke失語:発語可能、理解不能、復唱不能
Broca失語:発語不能、理解可能、復唱不能
伝音失語:復唱のみ障害
健忘性失語:想起のみ障害
超皮質性感覚性失語:復唱可能、理解不能(より上位の概念中枢へのinputが悪い)
超皮質性運動性失語:復唱可能、発語不能(より上位の概念中枢からのoutputが悪い)
・カタレプシー(強硬症):緊張型統合失調症、抗精神病薬の副作用、受動的に与えられた姿勢を保持し続ける
・知能テスト:田中Binet、WAIS(成人)、WISC(児童)、WPPSI(幼児)
・性格テスト:質問紙法:MMPI(ミネソタ多面人格テスト)、矢田部Guilford、CMI(Cornel Medical Index)は神経症のスクリーニング検査、エゴグラム
・性格テスト:投影法:ロールシャッハ、文章完成法SCT、絵画統覚検査TAT、バウムツリーテスト
・作業能力テスト:Kreepelin内田連続加算テスト
・認知症テスト:長谷川式簡易知能評価スケール(20/30以下で痴呆)、MMSE(Mini-Mental State Examination)(20/25以下で痴呆)
・うつ病テスト:自己評価:SRQ-D、Zung、Beck、医師診断:Hamilton
・精神症状の評価:状態特性不安検査(不安を測定する質問紙法)、BPRS(簡易精神評価尺度→全ての精神疾患)
・抗精神病薬:抗ドパミン作用、妄想、幻覚、せん妄に適応
クロルプロマジン:D1,2ブロッカー
ハロペリドール:D1ブロッカー
リスペリドン(リスパダール):SDA、非定型抗精神病薬、陰性症状にも有効、錐体外路症状が少ない、うつ病、L-dopaの幻覚にも有効
オランザピン(ジプレキサ):MARTA(ほとんどの神経伝達物質を遮断)、非定型抗精神病薬、副作用は糖尿病と肥満、他はリスペリドンと同じ
スルピリド(ドグマチール):抗潰瘍薬、抗うつ薬、抗精神病薬(大量投与で)
・抗精神病薬の副作用
錐体外路症状:最も多い副作用
悪性症候群:抗精神病薬、L-dopaの突然の中断で起きる、高熱と筋破壊による急性腎不全、治療はダントロレン、ブロモクリプチン、ARFに生食輸液や透析
遅発性ジスキネジー:口をモグモグさせる動き
アカシジア:下肢のムズムズ感
高PRL血症による乳汁漏出症候群、SIADHと多飲多尿、QT延長症候群による心毒性
・抗不安薬:GABA-A受容体のアロステリック作用でCl透過性亢進、不安障害、てんかん重積に適応
ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ニトラゼパム、メプロバメート)
・抗不安薬の副作用
睡眠作用、呼吸抑制、健忘、反跳性不安、常用量依存→身体依存→中断で不安不眠、禁忌は重症筋無力症と急性緑内障発作
・抗うつ薬
三環系抗うつ薬:モノアミン再取り込み阻害(モノアミン=NA、ドパミン、セロトニン)、全てのモノアミンを増やすので効くことが多い、イミプラミン、アミトリプチリン、適応はうつ病、抑うつ状態、ナルコレプシー、副作用は抗コリン作用(口渇、SIADH、眼圧上昇、排尿障害、起立性低血圧)、QT延長症候群
四環系抗うつ薬:心毒性少ない
SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害、セロトニンだけを増やすので効かないことあり、プロザック、フルボキサミン(デプロメール)、副作用はセロトニン症候群(錯乱、軽躁、興奮、ミオクローヌス、下痢、発汗)→投与中止で24時間以内に消失
SNRI:セロトニン-ノルアドレナリンとり込み阻害、三環系に匹敵する効果、副作用は少ない、効果発現は早い
MAOI:モノアミン酸化酵素阻害、全てのモノアミンを増やすので難治性うつ病に適応、副作用は起立性低血圧、浮腫、交感神経興奮、チラミンを含む食品(赤ワイン、チョコレート、チーズは避ける)
・抗躁病薬:気分安定薬、適応は双極性障害、躁病
炭酸リチウム:有効血中濃度と中毒濃度が近い→血中濃度測定が必要、副作用はけいれん、意識障害
カルバマゼピン、バルプロ酸
・精神賦活化薬:ドパミン分泌促進
メチルフェニデート:適応はナルコレプシー、ADHD、副作用は交感神経興奮
・精神依存と身体依存があるもの:モルヒネ、アルコール、ベンゾジアゼピン系、バルビツレート系
・抗精神病薬は依存性がない
・覚醒剤依存:アンフェタミン、メタアンフェタミン、気分爽快、疲労感消失、幻覚妄想、交感神経興奮で散瞳、精神依存は強いが身体依存は弱い、薬物中止後しばらくしても幻覚妄想が出現(フラッシュバック)、長期摂取後も少量でも症状発現(逆耐性現象)
・支持的精神療法:患者の人格や適応の仕方を根本的に変えるのではなく現実への再適応に導く
・精神分析療法:自由連想で患者の基礎心理を把握する、ヒステリー
・森田療法:あるがままの自己を受け入れる訓練、強迫性障害、パニック障害
・自律訓練療法:催眠による自己暗示で心身の緊張を解く、自律神経失調症、心身症、神経症
・行動療法:誤った行動を条件付けで修正、強迫性障害
・認知行動療法:認知の誤りを是正、うつ病、強迫性障害、パニック障害、PTSD、恐怖症、摂食障害
・集団精神療法:断酒会などの自助グループ
・遊戯療法:広汎性発達障害、不登校
・箱庭療法:箱の中に人形を並べて自己を表現することで解放、神経症、心身症、摂食障害、不登校
・生活療法:統合失調症の社会復帰のための治療、生活療法、レクリエーション療法、作業療法、芸術療法、生活技能訓練(SST:social skill training、コミュニケーション訓練)
・精神保健福祉センター:都道府県に1つ、保健所の相談助言、疫学(社会復帰施設ではない、訪問指導は行わない)
・精神保健指定医:精神保健福祉法、厚労大臣指定
・入院形態:任意入院66%>医療法保護入院31%>措置入院1%
措置入院:自傷他害のある人を強制入院、2人の精神保健指定医が判断し知事が決定、治療は公費負担
医療保護入院:自傷他害の恐れはないが、保護者と精神保健指定医が判断、10日以内に知事へ届出
応急入院:直ちに入院しなければ死の危険性がある場合、72時間以内
・生活訓練施設:援護寮、生活訓練を2年限定で行う
・福祉ホーム:住まいの提供
・グループホーム:共同生活
・授産施設:労働訓練をして就職を目指す、工賃がもらえる
・福祉工場:授産施設よりも一般就労に近い、最低賃金、雇用保険、労働基本法の適応
・デイケア:外来通院施設
・ナイトホスピタル(ナイトケア):日中就労している精神障害者を夜に相談、指導、夜間介護が必要な認知症患者のショートステイ
・統合失調症:有病率1%、皮質のモノアミン(特にドパミン、セロトニン)過剰、破瓜型は思春期発症/緩徐/陰性症状強く/予後不良、緊張型は20才前後発症/急性/陽性症状強い/予後良好、妄想型は30才以降発症/慢性/妄想幻聴中心/予後良好
・パラノイア(妄想性障害):統失の亜型、体系化された妄想のみ、人格障害はない
・緊張病症候群:統失の亜型、脳血管障害や変性疾患でも見られる、興奮、混迷、カタレプシー、反響言語、反響動作、命令自動、拒絶症、常同症
・非定型精神病:躁鬱病+統失、周期性、多彩な症状、予後良好
・統失の症状:
陽性症状:妄想、思考障害、緊張病症状、奇異な行動
陰性症状:感情鈍麻、意欲欠如、寡動、引きこもり
対話形式の批判性幻聴、一次妄想(妄想知覚→知覚解釈に妄想、替え玉妄想、変装妄想→拉致しにきた、世界没落体験、妄想着想、誇大妄想、心気妄想)、自我障害(作為体験、考想伝播)、思路異常(連合弛緩、思考滅裂)、感情障害(感情鈍麻、ラポールの障害→プレコックス感)、独語、空笑、強迫性飲水
・統失の治療:発症初期からの薬物療法(クロルプロマジン、ハロペリドール、リスペリドン、オランザピン)、寛解後も少量持続投与、支持的精神療法、生活療法、薬物治療無効/緊張病性昏迷に電気痙攣療法、社会生活技能訓練SST
・気分障害(躁鬱病):有病率1%、成人女性に多い
うつ病:うつのみ
双極性障害Ⅰ型:そう+うつ、若年発症、遺伝性、急速交代型(年4回以上そううつを反復)
双極性障害Ⅱ型:軽そう+うつ
気分変調:軽うつ
気分循環:軽うつ+軽そう
仮面うつ病:身体症状が前面に立つ
季節性情動障害(冬季うつ病):過眠、過食、治療は高照度光療法
退行期うつ病(更年期うつ病):初老期発症、長引き予後不良→抗うつ薬と共に非定型精神病薬、ECT
高齢者うつ病:心気傾向、焦燥、貧困妄想
若年のうつ:自己愛、漠然とした自信、倦怠感、周囲への批判
産後うつ病:出産1ヶ月発症
薬物惹起性うつ病:インターフェロン、レセルピン、ステロイド
複雑性悲嘆:近親者の離別で発症、抗うつ薬無効(ドパミン作働性の側坐核の障害)
・うつ病の病前性格:循環気質、執着気質、メランコリー性格(秩序尊重、責任感強い)
・うつ病の症状:転職、昇進、引越しをきっかけに、意欲低下(しなければならないができない)、体重減少、思考制止(考えが浮かばない)、仮性認知症、二次妄想(微小妄想、罪業妄想、貧困妄想)、希死念慮、自殺企図、早朝覚醒、事故傾性、日内変動(午前が重篤)
・うつ病の診断:SRQ-D、Zung、Hamilton(医師がベッドサイドで行う)
・双極性障害の治療(そう病期を含む場合):リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン(そう病に抗うつ薬は使わない→そう状態を誘発)
・抗うつ薬:1st choiceは休養
三環系(第1世代):大抵効くが、効果発現遅く、副作用多い(抗コリン薬、QT延長)
四環系(第2世代):三環系の心毒性を少なくした
SSRI(第3世代):効かないことがあるが、副作用が少ない、効果発現遅い
SNRI(第4世代):効果は三環系並み、副作用が少ない、効果発現速い
MAOI:難治性うつ病、チラミンを含む食物は避ける
ECT(電気けいれん療法):重症の自殺企図
支持的精神療法:必ず回復することを保証する
・自殺3万人の1/3がうつ病による、自殺企図者は自殺者の10倍、うつ病の生涯自殺率2%、入院歴あると2倍、自殺企図歴があるとさらに2倍
・1年で半数が自然寛解、しかし半数が再発、治療しても3ヶ月持続、そう病の再発は10%
・神経症:性格を基礎として、ストレスに対する反応で生じる、治療は全て認知行動療法が1st choice、森田療法、抗不安薬、うつ病合併なら抗うつ薬
・強迫性障害:馬鹿な事だとわかっていてもやめられない、強い病識あり、強迫観念は了解可能、1/3にうつ病合併、確認強迫、質問癖、疑惑癖、計算癖
・パニック障害:20才前後の女性、突然の激しい発作(過呼吸、動悸、発汗、振戦、死への恐怖、意識障害)→病院での検査異常なし→予期不安(いつまた発作が起きるかもしれない)→広場恐怖(発作が起きたときに逃げ場がない)→引きこもり、うつ
・パニック障害の検査:性格検査、状態特性不安検査STAI(不安状態を把握、質問紙法)
・全般性不安障害GAD(不安神経症、ノイローゼ):6ヶ月以上続く原因不明の不安や心配、コントロール不能→不眠やうつ
・社会不安障害SAD(社会不安、社交不安、対人恐怖):知らない人と交流、他人の注目を恐れる
・解離性障害、転換性障害(ヒステリー):意識障害を起こすものを解離性、運動知覚障害を起こすものを転換性
・解離性障害の症状:健忘、遁走、昏迷、トランス、離人症(自我意識の障害)、同一性障害(多重人格、性的虐待が原因)
・転換性障害の症状:失立、失歩、心因性失声、けいれん、後弓反張、らせん状視野、機能性難聴、拘禁反応(Ganser症候群)
・心気症(ヒポコンドリー):些細な身体の不調を重篤な病気だと思い込む、6ヶ月以上持続
・身体化障害:30才前後に発症、検査異常がないのに、数年にわたって、ズキズキするような痛み、うずくような痛み、吐き気
・身体表現性障害:心気症、身体化障害、転換性障害、疼痛障害、醜形恐怖
・適応障害:社会環境に適応できず、心身に異常をきたす、原因が解消されれば半年以内に治癒
・広汎性発達障害:小児自閉症、脆弱X症候群(MR+巨大睾丸、FMR遺伝子のCGGrepeat↑)、Rett症候群、Asperger症候群、高機能自閉症
・小児自閉症:男児、2才以前に発症、対人関係の障害(分離不安なし)、コミュニケーション障害(言語発達遅延、オウム返し、反響言語)、限定された反復的常同的行動、8割はMR(IQ70以下)、明確な遺伝性なし、同胞発症率は2倍、多動(ADHDとまではいかない)、偏食、てんかんを伴う、治療にメチルフェニデートが使われることがある
・Rett症候群:MeCP遺伝子異常、XD、6M以降の女児、6Mまでは正常発達→MR、自閉、手もみ動作、小脳失調、呼吸障害(過呼吸、無呼吸)、脳波徐波化
・Asperger症候群:男児、高機能広汎性発達障害、言語発達遅延やMRなし、対人関係の質的な異常、冗談が通じない、変化を嫌う、視線を合わせない、反復的行動、検査はBPRSで精神状態を把握
・ADHD(注意欠陥多動性障害):7才以前に発症、6M以上持続、学童の5%、男児に多い、女児は他動はない(不注意が主)、右前頭前野のドパミン、ノルアドレナリン低下、そわそわする、じっつぃていられない、順番が待てない、他人の邪魔をする、学習障害はあるが知能低下はない、学校と家庭両方で見られる、治療はメチルフェニデート、アトモキセチン(NA再取り込み阻害薬)
・Gille de la Tourett症候群:男児、1%、1年以上続く運動性言語性チック、思春期以降改善、治療はハロペリドール
・アルコールによる障害
①アルコール依存症:精神依存だけでなく、身体依存あり、依存度はCAGE(Cut down,Annoyed,Guilty,Eye opener)のうち2つ以上
②振戦せん妄:断酒1~3日後、手指振戦、発汗頻脈、不安、睡眠障害、せん妄、小動物幻視、治療は輸液、ビタミンB群、ジアゼパム、重症例はハロペリドール
③Wernicke脳症:ビタミンB1欠乏による上部脳幹出血、Korsakoff症候群(健忘、作話、失見当識)を伴う
④アルコール嫉妬妄想:配偶者の不貞を妄想、被害妄想
・境界性人格障害:不安定な母子関係、「裏切られた」がきっかけ、理想化とこき下ろし、不安定で激しい対人関係、怒りの制御困難、衝動性(浪費、性行動逸脱、薬物乱用)、自殺のそぶり、見捨てられることを避けようという涙ぐましい努力
・PTSD:心的外傷後6M以内に発症、小児に好発、記億想起の回避、しかし突然のフラッシュバック(→想起の制御ができない→思い出せないのに突然思い出す)、感情鈍麻、うつ、不眠、重症例は幻覚、治療は認知行動療法、グループ療法、精神力動的治療

麻酔科ポイント

麻酔科ポイント

☆吸入麻酔
・MAC:最小肺胞内濃度、50%の患者が麻酔にかかる濃度
・血液/ガス分配係数:大きいと導入に時間がかかる
・油/ガス分配係数:大きいと作用強い
・二次ガス効果:吸入麻酔は相加効果がある
・拡散性無酸素症:笑気は高濃度使用→麻酔中止時に肺胞内充満→肺胞内低酸素
・循環、呼吸抑制なし→NLA、笑気(他は大抵循環、呼吸抑制あり)
☆吸入麻酔:セボフルラン+笑気+酸素
・セボフルラン:中枢抑制強い、ハロセンと違って肝障害はない、鎮痛効果小さい
・笑気:亜酸化窒素、効きにくい(MAC105)が鎮痛効果が大きいので併用する、気胸、イレウス、肺嚢胞、脳圧亢進には禁忌
☆静脈麻酔
・チオペンタール:GABAa作働薬、脂溶性→BBB通過しやすいが作用時間短い(∵脂肪組織への移行)、鎮痛効果はないので笑気を併用、喘息やポルフィリン症には使えない
・プロポフォール:GABAa作働薬、持続点滴可能、喘息にも使えるが循環抑制、血管痛あり
・ケタミン:筋注可能、圧(血圧、脳圧、眼圧)は全て↑、解離性麻酔薬(皮質↓、辺縁系↑)→悪夢
・NLA:メジャートランキライザー(ドロペリドール)+麻薬性鎮痛薬(フェンタニル、ペンタゾシン)、循環抑制なし→心臓手術、除痛が強力→頭頚部手術、意識あり→定位脳手術
☆局所麻酔:温→痛→触→圧の順にブロック、C線維は温痛覚、B線維は血管運動、あとはA線維(α~δ)
・エステル型:コカイン、プロカイン→腎排泄、アナフィラキシー、ChEで分解
・アミド型:リドカイン、ジブカイン、プピバカイン→肝排泄、中毒
・局麻中毒:注射3分後に興奮、多弁→頻脈、過呼吸→全身痙攣→意識消失、治療は100%酸素、ジアゼパム、予防は血管内注入避ける、エピネフリン添加(指と陰茎には禁忌)
・脊椎麻酔:ヤコビー線(L4棘突起上)から注入→下半身の麻酔、脳圧亢進には禁忌、副作用は低血圧、腸蠕動↑、頭痛、複視、喚起障害(∵下半身を挙上→肋間神経ブロック)
・硬膜外麻酔:分節麻酔が可能→全身麻酔の補助、疼痛管理、ペインクリニック、外から注入→効きにくい→大量投与→中毒起こしやすい
☆ペインクリニック
・腕神経叢ブロック:合併症は気胸(鎖骨上窩穿刺→胸痛、呼吸困難)
・星状神経節ブロック:C7両側の交感N節、頭頚部上肢の痛みに、合併症はホルネル、反回N麻痺
・腹部神経叢ブロック:膵癌など腹部腫瘍
・腰部交感神経節ブロック:TAO
・半月神経節ブロック:三叉神経痛
☆筋弛緩薬
・脱分極性:サクシニルコリン(スキサメトニウム)→AchRに結合しブロック→短時間作用、K↑、線維束れん縮、悪性高熱(非脱分極型にはない)
・非脱分極性:ベクロニウム→Achと競合→長時間作用、テタヌス刺激で減衰(MGのwaningと同じ)、抗ChE(ネオスチグミン→MGの治療薬)で拮抗
・悪性高熱:家族性、平時でCK↑、高熱と筋強直→Mb尿→腎不全、治療はダントロレン(筋に直接作用する筋弛緩薬)
☆特殊な麻酔
・小児:最狭部は声門下部、カフは使わない
・肥満:FRCがclosing volume以下
・高齢者:術後無気肺
・妊婦:食物排出時間遅延→誤嚥性肺炎(Mendelson症候群)
☆人工呼吸管理:Bは自発呼吸+、Vは自発呼吸-
・IPPV(CMV):間欠的陽圧換気、自発呼吸なし、一定時間ごとに人工換気
・NIPPV:非侵襲的陽圧換気、マスクをして在宅で行う
・CPPV:持続的陽圧換気、自発呼吸なし、PEEPで呼気終末の虚脱を防ぐ
・SIMV:同期式間欠的強制換気 自発呼吸に同期する(不定期)、自発呼吸がよくなると人工換気も減る、人工呼吸器の離脱時に使う
・CPAP:自発呼吸にPEEPをかけること、睡眠時無呼吸に使う
・PSV:自発呼吸の吸気時にあわせてairを送り込む、自発呼吸+
・PEEPの欠点:胸腔内圧↑→静脈環流↓→尿量↓、気道損傷、気胸、肺気腫

2011年12月23日金曜日

小児科ポイント

小児科ポイント

(総論)
・生後数ヶ月で髄鞘化、シナプス形成→TaySacksの頭囲拡大、cherry red spotは生後数ヶ月以降(脂質代謝異常でGM2ガングリオシドが沈着、黄斑には沈着しない)、Westも同じ(6M以降)
・出生、1才、4才の身長→50,75,100cm
・出生、4ヶ月、1才の体重→3,6,9kg
・生理的体重減少:生後1週で10%減少
・Kaup=g/cm2×10、正常値は14~20、乳幼児(体表面積あたりの体重)
・Rohler=g/cm3、正常値は100~160、学童(密度)
・上節/下節比=1~1.3、下節は恥骨上縁から床まで、Marfanで低下、軟骨無形成で上昇
・手根骨の数=数え年(1~10才でしか使えない)
・乳歯の本数=月齢ー6(乳歯は6ヶ月以降、永久歯は6才以降、第1大臼歯から)
・大泉門閉鎖は1.5才、小泉門閉鎖は1.5ヶ月
・骨年齢遅い:甲状腺機能低下、GH↓、くる病、骨年齢速い:性早熟
・2次性徴は男は精巣腫大、女は(卵巣腫大→)乳房腫大からスタート
・性早熟:真性はGn↑、仮性はGn↓、真性性早熟=視床下部腫瘍(過誤腫、神経膠腫)、仮性性早熟=副腎性器症候群、MaCune-Albright(多発性線維異形成、カフェオレ斑、性早熟)、治療はGnRHアナログ(リュープロリン、ブセレリン)で骨端線閉鎖を遅らせる
・性腺機能低下:Turner,Klinefelter(Gn),LaurenceMoonBiedle,Frohlich,PraderWilli(Gn↓)
・Noonan症候群:男のTurner症候群、AD
・  出生 1才 2才
頭囲 33 45 48
胸囲 32 45 49
・乳児まで肋骨平行→胸式呼吸では不十分→腹式呼吸、肝脾2横指触れる
・ICF=40%,ECF=45→30→20(新生児、乳児、幼児以降),ECFの1/4が血漿
・新生児のECFは成人の2倍→尿濃縮力は成人の半分
・脱水:中等度は体重の5~15%減少、等張性脱水はNa濃度は130-150
・冬季乳児白色便下痢症:ロタウィルス、K低下、高張性脱水、治療は利尿がつくまでKなし、1/2生食+5%グルコース(Naは140×1/2+乳酸Na由来の20、ソリタT1)、輸液量は維持量100ml/kg/day+脱水量
・追視(2M)→定頚(3M)→寝返り(6M)→ひとり立ち(1才)→排泄(3才)
定頚時に把握、吸てつ、Moro反射(後頭部落とすと手足広げる)は消失(見えているため不必要)
寝返り開始時に受け身とるためパラシュート反射発現(児を落とすと手足広げる)
排泄可能でBabinski反射が消失(足の先まで髄鞘化が完成)
・3才は○、4才は□、5才は△
・正期産:37週~41週(皆良い)、流産は22週未満、早産は22週以降
・新生児:呼吸数50±5、脈拍130±10、血圧70/40
・新生児仮死:Apgarスコアが7点以下
         0    1    2
Appearance:青  四肢青  桃
Pulse:    なし 100以下  100以上
Grimace:  なし 顔しかめる 咳やくしゃみ
Activity:  弛緩 屈曲    活発
Respiration:なし 不規則  強泣
・新生児無呼吸:低O2、低血糖、低Ca、低体温、頭蓋内出血、敗血症、早期産児
・新生児痙攣:低O2、低血糖、低Ca、低Mg、低Na、B6依存性、頭蓋内出血、髄膜炎、新生児壊死
・低血糖:30(-72h),40(72h-),50(1y-),低出生は-10
・白血球は出生時18000→4才で成人レベル
・Hbは出生時18→3-6Mで11→1才で成人レベル
・生理的黄疸:HbF→HbAが原因、2日~2週、ピークは5日目
・母乳黄疸:抱合抑制による間ビ↑、2週以降、BBB完成してるので母乳継続で良い
・病的黄疸:Rh不適合→24時間以内に間ビ↑→BBBが未完成なので核黄疸、治療は総ビが1000g以下は10以上、1500g以上は15以上、2000g以上は20以上なら交換輸血(光線療法は間ビを水溶性に換える→水をたくさん飲むこと)
・核黄疸の筋トーヌス:↓↑↓↑、2週で病態完成(基底核に間ビ沈着→錐体外路症状)、1回目の↑で落陽現象(水頭症でも+)
・遷延性黄疸:2週以降、間ビ↑は母乳黄疸、Crigler-Najjar、直ビ↑は新生児肝炎、CBA
・マススクリーニング:1週間後に足の裏から採血
Guthrie法:フェニルケトン(フェニルアラニン↑)、メープルシロップ(ロイシン↑)、ホモシスチン(メチオニン↑)
Beutler法:ガラクトース血症(トランスフェラーゼ活性↓)、Paygen法は血中ガラクトース測定
17OHprog:先天性副腎過形成(17OHプロゲステロン↑)
TSH,T4:クレチン
・酵素欠損→AR 例外はvonWillebrand病(AD)
・病名に「家族性」→AD
・神経、筋、骨疾患→AD 例外はWerdnig-Hoffman,Kugelberg-Welandar(AR)
・癌抑制遺伝子→AD(FAP,vHL,vR)
・XR→Duchenne,LeschNyhan,Hunter,ALD,血友病AB,Brudon,Wiskott-Aldrich,G6P,CGD,Chediak-Higashi
・ダウン:21トリソミー、5%は転座型、眼裂斜上、内眼角贅皮、耳介低位、猿線、floppy infant(トーヌス↓)、ECD、ALL、十二指腸閉鎖、鎖肛
・エドワード:18トリソミー、手指の屈曲拘縮(トーヌス↑)、足踵後方突出(rocking chair heel)、何をしても1才までに死ぬ
・猫泣き症候群:5p-、子猫のように泣く、小頭、小顎、耳介低位、猿線
・  炭  脂 蛋    熱  水 蛋
小児50 30 20 乳児120 150 3
成人65 25 10 成人40  40  1
・母乳栄養児の便→緑色、軟便、下痢傾向、ビフィズス菌により酸性
・哺乳時間が20分以上なら母乳不足
・母乳で不足するもの→ビタミンK(生後1ヶ月後に最低)
・母乳>牛乳:「とうあふどうDANCE」→乳糖、亜鉛、アルブミン、不飽和脂肪酸、銅、ビタミンD,A,C,E,ナイアシン
・母乳=牛乳:カロリー、鉄、脂肪
・母乳>初乳:糖、脂質(初乳球=初乳中脂質)
・初乳:10日で成乳へ、免疫目的なので蛋白(IgA、リゾチーム)が多い
・離乳開始:5M/7kgが目安、完了は1才、離乳せず母乳を続けるとビタミンK欠乏(頭蓋内出血)、鉄欠乏(鉄欠乏性貧血)
・乳児死亡原因の第3位はSIDS、3大RFはうつぶせ寝、親のたばこ、人工栄養、他に児の暖めすぎ、未熟児、第2,3子

(各論)
・痙攣→まず気道確保、ジアゼパム(one shotで入れるな)
・West:6M~2才、点頭てんかん、シリーズ形成、結節性硬化症、ヒプスアリスミア、治療はB6>ACTH(ステロイド直接投与は成長抑制)
・Lenox:2~6才、非定型欠伸発作、2~3Hzのspike&wave、治療はケトン食、バルプロ酸
・小発作:5才の女児、定型欠伸発作、3Hzのspike&wave、動作会話の突然の中断→1点を凝視、治療はバルプロ酸、大発作の薬(フェニトイン、フェノバール)は小発作には使わないこと、過呼吸で発作誘発
・脳性麻痺:受胎~新生児期の停止性脳障害
痙直型:新生児仮死、知能障害/てんかんあり
アテトーゼ型:核黄疸、知能障害/てんかんなし
・急性小脳失調:水痘、麻疹、手足口病→一過性に小脳性運動失調、髄液正常、6M以内に治癒
・単純性熱性痙攣:HHV6、解熱とともに発疹、1,2分の全身性強直性間代性痙攣、てんかんとの鑑別は①20分以下②年5回以下③後麻痺なし④左右対称⑤脳波異常なし⑥てんかんの家族歴なし⑦38.5℃以上で発現
・幼児自閉症:3才以前に発症、視線合わない、人見知りなし、オウム返し、固執
・Rett:6Mの女児、XD(男児は胎児期死亡)、MeCPの異常、進行性で予後不良、手もみ→小頭症→車椅子
・ADHD(注意欠陥多動性障害):7才以前に発症、6M以上持続する不注意、多動性、衝動性、治療はメチルフェニデート
・Reye:小児のB型インフルエンザウィルス、水痘にアスピリン→肝脳の脂肪変性(肝不全、急性非炎症性脳症~嘔吐、意識障害)、黄疸なし(黄疸出る前に死ぬか軽快する)、髄液は正常、診断は肝生検
・脳腫瘍→占拠性病変あるので腰椎穿刺は禁忌
 橋膠腫:場所が場所だけにopeできないので予後不良、交代性片麻痺
 髄芽腫:小脳虫部が中脳水道圧迫→水頭症、激しい嘔吐
 星状細胞腫:小脳半球、嚢胞形成、小脳性運動失調、最多
 松果体部腫瘍(中脳の後ろ):80%が胚芽腫、20%は奇形腫→Parinaud徴候(上方注視麻痺)、Argyll-Robertson瞳孔(対光-,輻輳+)
 頭蓋咽頭腫:トルコ鞍部、両耳側半盲、GH低下、尿崩症、学童と中年の二峰性
・生理的肺高血圧:新生児は右心系圧>左心系圧(本当?)
・IRDS:34週未満、Ⅱ型サーファクタントが不十分(L/S=2未満)、生後数時間以内に多呼吸、伸吟、チアノーゼ、サーファクタントの気道内投与、網状粒状陰影、気管支透亮像、サーファクタントは28週から作られ33週に十分量
・Wilson-Mikity:未熟児、生後2~3週に発症、IRDSがいったんよくなって続発することあり、soap bubble appearance、血清IgM↑(∵子宮内感染)、泡沫状陰影
・MAS:過期産児(42週以降)→胎盤機能↓→腹圧↑→胎便排泄→出生時に吸い込む、索状斑状陰影
・新生児一過性多呼吸(TTN):帝切などで出産時の胎児胸郭圧迫が不十分で肺液が除去できてないのが原因、出生1hr以内に発症、120回/分を越える、数日でよくなる
・気管支肺異形成:IRDS,Willson-Mikityで長期の人工呼吸→損傷→Mφ遊走→線維化、最終的に呼吸障害は改善する!
・肺炎:新生児はクラミジア、GBS、乳児は黄ブ菌
・クループ:吸気性呼吸困難、犬吠様咳漱、嗄声、パラインフルエンザウィルス(乳児、冬、微熱、緩徐、声門下部)、インフルエンザ桿菌(幼児、夏、高熱、突発、声門上部)、治療はエピネフリン吸入
・急性細気管支炎:乳児、冬、RSウィルス、下気道なので呼気性呼吸困難→肺が気腫状、細気管支には平滑筋がないので気管支拡張薬は無効、酸素テント、ネブライザー、抗RSウィルスヒトモノクローナル抗体
・急性扁桃炎:A群β溶連菌、EBV、アデノウィルス
・卵円孔の閉鎖→機能的には生後すぐ、器質的には閉じないことがあり
・Bottalo管:生後3日までに器質的に閉じる
・V1T:生後1週~高1まで陰性化、出生直後は陽性→1週を越えても陽性なら右室肥大
・乳児期まではCTRは65%まで正常
・新生児は頻脈で心不全になる、心不全でもチアノーゼなし(哺乳力低下、体重増加不良)
・ASD、TOFは心不全なし
・TOF:治療はVSDを閉じて、PSを解除、PA伴うTOFはCATCH22()
・ECD:ダウン症に多い、ASD+VSD+MS、右右左(右脚ブロック、右室肥大、左軸偏位)、左室造影でgoose neck sign
・ASD:右右右、RV拡大→M弁ゆがむ→MS(Lutembacher)
・PDA:インドメタシン→PG↓→閉鎖
・小児は右軸偏異→左軸偏位ならECDかTA→チアノーゼありならTA,なしならECD
・非チアノーゼ性心疾患:「D+狭窄」→ASD,VSD,ECD,PDA,PS,AS,CoA
・肺血流↓の先天性心疾患:「えびとうふ3個でパタっと下がる」→Ebstein,TOF,TGA3,PA,TA
・新生児の心ope適応→血管のopeなら適応、根治手術は6kg,6Mが目安
・新生児期にPGE1点滴静注→チアノーゼ性心疾患+CoA
・小児の狭心症→川崎病、BWG(PAからLCAが出る→静脈血なので低O2)
・造血の場:胎芽期は卵黄嚢、胎児期前半は肝脾、後半は骨髄
・白血球18000→4才で成人レベル
・4週~4才はリンパ球>顆粒球
・HUS:腎不全に透析、ベロ毒素に血漿交換、出血にバソプレッシン
・ALL:小児ガンの約半数、L1(B前駆細胞型,CD10+)、L2(T細胞型,CD3+)、L3(B細胞型,t(8;14),Burkitt type)、standard riskはVP療法、high riskは①1才以下10才以上②白血球数20000以上③縦隔腫瘍④中枢神経症状⑤TorB細胞のマーカー陽性⑥Ph1陽性。再発は髄膜、睾丸(→MTX髄注で予防)
・小児ネフローゼ:0.1g/kg/日or早朝第1尿300mg/dl以上
・AGN:学童、A群β溶連菌→扁桃炎→Ⅲ型アレルギー→血尿乏尿→眼瞼浮腫。ASO↑、C3↓C4↓CH50↓、治療は水、塩分制限、ペニシリン、降圧薬。ステロイドは無効(すでにできたICはなくならないため)
・MC:幼児、幼児ネフローゼの8割、アルブミン中心の蛋白尿、ステロイド効くが再発多い。
・Schonlein-Henoch紫斑病:学童男児、上気道感染→腹痛/膝など大関節痛/下肢紫斑。メサンギウムにIgA沈着、治療はステロイドと第13因子補充
・糸球体基底膜ひ薄化症候群:良性家族性血尿、血尿のみ
・膀胱尿管逆流:反復性尿路感染
・Alport:AD、男児は重症化、難聴と腎炎
・6Mまで母体由来のIgGで守られる
・M→G→Aの順に作れるようになる。IgMは胎児期に作られる。臍帯血IgM↑は子宮内感染
・免疫不全の治療→造血幹細胞移植
・DiGeorge:Tのみ↓、胸腺発生異常、副甲状腺発生異常→低Ca→テタニー、心臓発生異常→TGA
・無γ-G血症:Brudon型、Bのみ↓、XR、母体免疫が切れる3M以降に発症、中耳炎、副鼻腔炎、肺炎を反復
・SCID:T↓B↓、AR、アデノシンデアミナーゼ欠損には遺伝子治療、生後すぐにカンジダがひどくなる
・Louis-Barr:T↓B↓、AR、眼球結膜の毛細血管拡張、小脳性運動失調
・Wiscott-Aldrich:T↓B↓、XR、血小板減少による出血傾向、難治性湿疹
・慢性肉芽腫:XR、好中球殺菌能の異常、ブ菌反復感染、NBT還元能陰性、他に大腸菌、緑膿菌、クレブシエラにも反復感染
・Chediak-東:AR、好中球遊走能の異常、赤毛、部分的白子症、好中球PO巨大顆粒
・川崎病:4才以下、5日以上の発熱、手足の硬性浮腫と回復期の膜様落屑、不定形発疹(融合ある?水疱ある?)、眼球結膜充血、イチゴ舌、非化膿性頚部リンパ節腫張、0.1%にAMI、治療は急性期はγ-G大量投与、慢性期はアスピリンでAMI予防
・JRA(Still病):弛張熱(上がったり下がったり)、発熱とともにピンク色の発疹(リウマトイド疹)、RF-、フェリチン著増、虹彩毛様体炎、肝脾腫、リンパ節腫脹、心膜炎、NSAIDが1st choice
・リウマチ熱:A群β溶連菌、心内膜炎→MS、小舞踏病、移動性大関節炎、輪状紅斑、皮下結節、PR延長(AVblock)、治療はペニシリンG、心炎にはステロイド、小舞踏病にはハロペリドール
・生後3hでガスが直腸に到達
・胎便は24h以内に始まり、3日目まで続く(暗緑色、無臭、粘調)
・食道閉鎖:出生直後からの蟹泡、ネラトンカテーテルのcoil up→胃泡なしならGrossA(15%)、胃泡ありならGrossC(85%)、ダウン症に合併、羊水過多
・十二指腸閉鎖:80%が乳頭部より末梢→生後24h以内の胆汁性嘔吐、羊水過多、肺成熟不全、ダウン症に合併、double bubble sign、根治は十二指腸十二指腸側側吻合
・先天性肥厚性幽門狭窄:生後2~3週に発症、無胆汁性噴出性嘔吐→低Cl性低K性代謝性アルカローシス、まず乳酸Naなしの輸液、右上腹部のオリーブ様腫瘤、造影でストリング、パラソルサイン、single bubble sign、根治は粘膜外幽門切開術(Ramstedt)、十二指腸にミルクがこない→CCK↓→胆汁分泌↓→高Bil
・腸重責:生後3M以降、先行感染に続く間欠的涕泣、右上腹部にソーセージ様腫瘤、右下腹部は空虚(ダンス徴候)、注腸で蟹爪を確認して高圧浣腸
・ヒルシュ:アウエルバッハ神経叢の先天的欠如→胎便排泄遅延、便秘、注腸でcaliber change、narrow segment、megacolon、直腸肛門反射陰性、直腸粘膜内のChE上昇、新生児期にブジーや人工肛門、根治は腸管肛門吻合で3M6kg以降、ヒルシュは単独奇形!
・壊死性腸炎:生後1週以内の低出生に多い
・鎖肛:生後12h以降にWangensteenRiceの倒立像、他に心/消化管/泌尿器合併奇形あり
・ボコ:横隔膜ヘルニア、左に多い、左肺を消化管が圧迫→呼吸障害→生後緊急手術
・新生児肝炎:脂溶性ビタミン投与で保存療法すれば数ヶ月で軽快
・先天性胆道閉鎖:直ビ↑、60日以内に肝管空腸吻合(肝外型)、肝移植(肝内型)、日本では肝門部閉鎖が多い
・先天性胆道拡張症:2才~50才の女性、trias(腹痛、黄疸、腹部腫瘤)はめったにそろわない
・糖尿病母体からの児→細胞は大、臓器は未熟→巨大児、BS↓(膵島過形成)、Ca↓(副甲未熟)、Bil↑(肝未熟)、奇形
・クレチン
TSH↑:甲ホルモン合成障害(甲状腺腫+)、甲状腺欠損(甲状腺腫-)
TSH↓:下垂体性
不活発なので、過期産、胎便遅延、小泉門閉鎖遅延、嗄声、遷延性黄疸、便秘
・GH分泌不全性成長障害:原因は骨盤位分娩、新生児仮死、頭蓋咽頭腫、視床下部胚芽腫。出生時は正常、しかし2~3才頃から低身長
・先天性副腎過形成
17欠損→cortisol,DHEA低下
21欠損→cortisol,DOC,Ald低下→ACTH↑→DHEA↑
11欠損→cortisol,Ald低下→ACTH↑→DHEA↑
DHEA↑→男は仮性性早熟、女は半陰陽
・アセトン血性嘔吐症:男児、ストレス→耐糖能↓→ケトーシス→嘔吐、学童期に自然治癒
・ケトン性低血糖:男児、未熟児→肝グリコーゲン予備能↓→低血糖、学童期に自然治癒
・ロイシン過敏性低血糖:ロイシン→インスリン↑↑、治療はソマトスタチン
・vonGierke:肝型糖原病、G6Pase欠損、肝腫大、治療は肝移植、近位尿細管にグリコーゲンが沈着しRTA(Fanconi症候群)、高脂血症で人形様顔貌,黄色腫、高尿酸血症で痛風、ATP不足で鼻出血
・ムコ多糖類症
ハーラー:角膜混濁、知能障害、骨格変形、ガーゴイリズム
ハンター:角膜混濁なし、軽症、XR
モルキオ:扁平椎体で低身長、知能障害なし
・くる病:成長障害、O脚、肋骨念珠、亀背
①Ca↓P↓:ビタミンD不足(脂肪吸収障害、紫外線不足、フェニトイン)、Fanconi、RTA
②P↓:家族性低リン血症性くる病(近位でPのみ再吸収障害)
③ALP↓
・突発性発疹:HHV6、発熱時に熱性けいれん、解熱時に発疹
・麻疹:2峰性の発熱、初回の発熱時にカタル症状やKoplic斑、2回目の発熱時に色沈、融合を伴った発疹。出席停止は解熱後3日、合併症は中耳炎、巨細胞性肺炎、脳炎、10才でSSPE
・風疹:熱は38.6℃超えない、耳介リンパ節腫脹、合併症はITP
・手足口病:夏、コクサッキーA16、エンテロ71、頬粘膜の潰瘍性発疹→手足に有痛性水泡、合併症は髄膜炎
・ヘルパンギーナ:コクサッキーA群、軟口蓋に有痛性水泡
・伝染性紅斑:学童、ヒトパルボウィルスB19、顔面の蝶形紅斑、四肢の網目状皮疹(レース状)、溶血患者には無形成性クリーゼ、妊婦では胎児水腫
・流行性耳下腺炎:冬、ムンプスウィルス、両側or片側の有痛性耳下腺腫大、合併症は髄膜炎、精巣炎、膵炎、出席停止は耳下腺消失まで
・アデノ3型:咽頭結膜熱(プール熱)
・アデノ8型:流行性角結膜炎(はやり目)、耳前リンパ節腫脹
・アデノ11型:出血性膀胱炎
・SSSS:ブ菌は乳児と糖尿病、ニコルスキー+、菌は水泡にはいない、周辺にいる
・百日咳:Bordet-Gengou培地(暴言100回)、細菌感染なのにリンパ球数上昇、赤沈亢進なし、CRP上昇なし、飛沫感染→1~2週で毒素産生(カタル期)→咳発作、スタッカート&レプリーゼ、無呼吸発作、百日咳様顔貌(痙咳期)、毒素なので母体由来のIgGで防げない→新生児期に感染する→3M以降新生児期にDPTワクチン(3M以降にするのは免疫不全でないことを確認するため)、感染力があるのはカタル期
・定期1類予防接種:DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)、MR(麻疹、風疹)、BCG、ポリオ、日本脳炎(定期2類はインフルエンザワクチン)
・ムンプス、水痘予防接種は任意
・子宮頚癌ワクチンは既感染者には無効
・腹部腫瘤→母がおむつを変えているときに見つける(乳児期)
・神経芽細胞腫:副腎髄質由来が多い、尿中VMA,HVA+、NSE↑、N-myc↑のものは予後不良、1才未満は自然消退あり(∴マススクリーニング中止)、骨、骨髄、眼窩に転移する!、白血病に次いで多い
・肝芽腫:1才と3才にピーク、AFP↑、外科切除かTAE
・腎芽腫(Wilms腫瘍):無虹彩症とくればこれ、まれに血尿や高血圧(→腎癌との鑑別点)、アクチノマイシンDが著効、AFPやVMAは正常、原因は11p欠失(WAGR症候群:Wilms tumor,Aniridia,Genitourinary malformation,Retardation)
・仙骨部奇形腫:女児に多い、羊水過多、AFP上昇

2011年12月21日水曜日

泌尿器ポイント

泌尿器ポイント

・腎門部はL1、前からVAU(静脈、動脈、腎盂)
・左腎静脈には左副腎v、左精巣v、左卵巣vが入る
・(内)線維被膜→脂肪被膜→腎筋膜(Gerota筋膜)(外)
・副腎は腎筋膜の内側、横隔膜内側脚に接する
・腎皮質は中胚葉、髄質は外胚葉由来
・尿管の生理的狭窄部位:腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、膀胱尿管移行部
・尿管は大腰筋前面、総腸骨AV前面を通過
・女性では尿管は膀胱子宮靱帯を貫く
・膀胱三角部:内尿道口と2つの尿管口から成る三角、Wolff管由来、中胚葉、腫瘍結核の好発部位
・膀胱の筋層:3層(内縦、中輪、外縦)
・尿道は前立腺部→膜様部→海綿体部→舟状窩、前立腺部は移行上皮、膜様部と海綿体部は円柱上皮、舟状窩以降は扁平上皮、膜様部が最も狭い
・勃起中枢はS2-4(副交)、射精は交感支配
・精巣細胞(精細管内)→16日で精祖細胞→16日で精母細胞→16日で4個の精娘細胞→16日で4個の精子
・精粗細胞→精母細胞は体細胞分裂、以降は減数分裂
・Sertoli細胞:精細管内、精子形成補助、FSHで↑
・Leydig細胞:精細管外、テストステロン分泌、LH↑、間質細胞とも言う
・前立腺液:プロスタータ(前立腺)に含まれるグランド(分泌物)→PGを含む(血中に入らないので精液には子宮収縮作用なし)
・Y染色体上のSRY遺伝子により5週に精巣形成、アンドロゲン産生→8週に外性器の分化開始→3Mに外性器完成、精巣下降開始
・正中臍索:膀胱と臍をつなぐ管が退化したもの、尿膜管癌が発生(膀胱腺癌)
・腎疝痛→結石、急性腎盂腎炎
・精巣疝痛→精巣捻転症
・膀胱刺激症状:残尿感、排尿痛、頻尿。膀胱炎、膀胱癌、前立腺肥大
・背部叩打痛(CVA-t):尿管結石、急性腎盂腎炎(腎石灰化では痛みなし)
・膀胱炎、尿道炎は発熱なし
・急性前立腺炎は係留熱、急性腎盂腎炎は間欠熱
・尿閉の原因:前立腺肥大、神経因性膀胱、骨盤内の癌再発(子宮頚癌、直腸癌、胃癌)、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬
・尿濃縮力障害→夜間頻尿、原因は低K、高Ca、慢性腎盂腎炎、間質性腎炎
・尿失禁
①真性:尿管異所性開口(奇形、TUR後)→尿路形成
②奇異性:尿閉(前立腺肥大、神経因性膀胱)→間欠的自己導尿
③切迫性:膀胱炎、脳血管障害、パーキンソン病、OAB→抗コリン薬
④緊張性:女性、腹圧負荷→排尿訓練
・過活動性膀胱OAB(over active bladder):膀胱の不随意の収縮→切迫性尿失禁、疼痛あり、治療は抗コリン薬、Caブロッカー
・肉眼的血尿:尿1L中に1ml以上の血液(0.1%)
・顕微鏡的血尿:400倍検鏡で赤血球5個以上(沈査は1500回転/分×5分)
・無症候性血尿:腎細胞癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌(泌尿器癌)
・Thompsonの2分杯法:第1,2尿ともに混濁なら膀胱より上、他は尿道
・ED:腎不全で起こることあり!、夜間陰茎勃起試験で勃起ありなら心因性
・EDの治療:①クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)→cGMP分解抑制で血管拡張、ニトロとの併用は禁忌②PGE1海綿体注射
・陰嚢透光性あり→陰嚢水腫
・新生児の側腹部腫瘤→水腎症(腎盂尿管移行部狭窄)
・幼児の腹部腫瘤→神経芽腫、Wilms腫瘍
・尿沈査:白血球円柱→腎実質の炎症、赤血球円柱→糸球体の炎症、尿酸→4角形、シスチン結晶→6角形、シュウ酸結晶→8面体
・腎細胞癌:腎嚢胞、腎動静脈奇形との鑑別→選択的腎動脈造影
・KUB:腎、尿管、膀胱の単純Xp
・IVP:静脈性腎盂造影→ヨードアレルギー、糖尿病性腎症、MM、アミロイドーシス、脱水、腎不全では禁忌
・レノグラム:血流相(腎a狭窄で↓)→分泌相(水腎症で↓)→排泄相(結石で↓)、糸球体濾過は99mTc-DTPA、尿細管は99m-MAG/DMSAを使用
・副腎シンチ:皮質は128Iアルドステロール、髄質はMIBG
・尿流曲線(排尿速度-排尿時間)では残尿量不明(スパイロで残気量不明と同じ)
・TUR-P→前立腺肥大、TUR-Bt→膀胱腫瘍
・TUR症候群:水中毒で低Na→悪心、嘔吐、意識障害、肺水腫、治療は3%NaCl+フロセミド、予防は生理食塩水で還流する(電気メス使用時は付加)
・尿路変向:皮膚ろう、回腸導管、尿管S状結腸吻合(尿の再吸収で高Cl性アシドーシス、結腸内に結石多発)
・尿閉:ネラトンカテーテルで導尿、無理ならエコーで膀胱内尿を確認後、恥骨上部から垂直に穿刺
・馬蹄腎:尿管が峡部前方を通過→尿停留→水腎症、尿路感染、結石、Turnerに合併多い、症状あれば腎盂形成術
・海綿腎:両側の腎乳頭部に嚢胞→嚢胞内に尿停留→結石、感染。先天性だが壮年期に発見される
・Potter症候群:両側腎無発生→耳介低位、羊水過少→関節拘縮、肺形成不全、致死性
・孤立性腎嚢胞:片側性、遺伝性なし、無症状
・ARPKD:胎児期に羊水過少→肺低形成→呼吸不全。または小児期に腎不全→腹部腫瘤。門脈周囲の線維化→門脈圧亢進
・ADPKD(成人型多発性嚢胞腎):両側性に多数の嚢胞→両側腹部腫瘤、高血圧、蛋白尿、血尿。中年で発症、10年くらいでCRF。肺、肝、膵にも嚢胞、脳動脈瘤合併
・先天性水腎症:新生児期の側腹部腫瘤で最多、腎盂尿管移行部狭窄が原因
・重複腎盂尿管:Weigert-Meyerの法則
腎の上から出た尿管は膀胱の下へ→尿管瘤(cobra head)で閉塞起こしやすい
腎の下から出た尿管は膀胱の上へ→VURで逆流起こしやすい
・下大静脈後尿管(PLIVC):IVCの発生異常でIVCが尿管の前に来る→右の水尿管閉塞→水腎症、尿路感染、結石
・VUR(膀胱尿路逆流現象):尿管膀胱移行部の発生異常(小児)、前立腺肥大、神経因性膀胱、重複腎盂尿管→反復性の腎盂腎炎、水腎症、検査は排尿時膀胱造影で尿管や腎杯の拡張程度を見る、生後数ヶ月で自然治癒、治癒しないなら外科的再建
・尿管異所性開口:男は外括約筋より近位に開口し尿失禁はない、女は外括約筋より遠位に開口し尿失禁あり
・尿管瘤:尿停滞→尿管拡張→水腎症、結石、腎不全
・尿管狭窄:尿管腎盂移行部に多い
・膀胱瘤:高齢女性、立位で膣口から膣前壁に覆われた球形腫瘤が突出、腹圧性尿失禁、二段排尿、排尿痛はなし
・POP(pelvic organ prolapse):骨盤臓器脱、子宮脱、膀胱脱、直腸脱の総称、進行性、再発性、手術かペッサリー
・尿道裂
下裂:女は膣に開口、男は陰茎前彎で勃起障害
上裂:膀胱外反を伴う、男児に多い
・後部尿道弁:前立腺部に弁→微弱、滴下するような尿線→両側水腎症
・腎盂腎炎の原因→①VUR+尿路感染②血行性
・STDは尿道炎→前立腺炎→精巣上体炎
・尿路感染:成人は女に多い(∵尿道が短い)、老人は男に多い(∵前立腺肥大)、乳児は性差なし、尿培養は中間尿で10の5乗/ml以上、基礎疾患のない単純性と基礎疾患のある複雑性、ともに起炎菌は大腸菌
・クラミジア尿道炎:2週間前に性交渉、治療はテトラサイクリン、エリスロマイシン(マクロライド系)、NQ。細胞内寄生→好中球集まらず→非化膿性分泌物のみ、排尿痛なし、発熱なし。産道感染で新生児結膜炎、新生児肺炎、女性は卵管炎、骨盤炎、腹膜炎、Fitz-Hugh-Curtis(AST↑,ALT↑)
・淋菌性尿道炎:3日前に性交渉、G-桿菌、膿汁漏出、排尿痛あり、発熱なし、慢性化すると尿道狭窄起こす
・急性膀胱炎:性的活動期の女性、膀胱刺激症状(頻尿、排尿痛、残尿感、血尿)、発熱なし、治療は水分摂取と尿排泄性抗菌薬
・間質性膀胱炎:自己免疫、膀胱刺激症状、過活動性膀胱
・出血性膀胱炎:アデノ11、シクロホスファミド、放射線(頚癌の内照射etc)
・急性腎盂腎炎:発熱、CVAt+、造影CTで楔形の低吸収域
幼児(女児)→VUR、移行部狭窄
青壮年期男→尿路結石
老年期男→前立腺肥大、神経因性膀胱
・慢性腎盂腎炎:発熱なし、腎萎縮、高血圧、尿濃縮力障害、尿細菌培養陰性のことあり
・急性前立腺炎:悪寒戦慄を伴う発熱、会陰部不快感、排尿痛、頻尿、尿混濁、治療は脂溶性抗菌薬(テトラサイクリン、アミノ配糖体、NQ)、前立腺マッサージは禁忌
・慢性前立腺炎:発熱なし、排尿痛、排尿困難、頻尿、Xpで前立腺の石灰化、プロスタトディニア(圧痛のみで炎症-、細菌-)
・精巣上体炎(副睾丸炎):これだけ淋菌(急性)、結核(慢性)、ベーチェット(他は全て大腸菌)、発熱、疼痛、陰嚢腫脹、硬結(ムンプスは精細管炎)
・尿路結核:肺結核から血行性、大部分は自然治癒、米のとぎ汁様無菌性膿尿、膀胱鏡で結核結節、結核性潰瘍、Xpで漆喰腎(石灰化)、尿路狭窄から膀胱萎縮へと進行
・尿路結石:側腹部痛と血尿とくれば石!CVAt+
95%は上部(腎、尿管)、夏、30代男性、30%は再発性、15%は両側性
分類:
80%はシュウ酸Ca結石、リン酸Ca結石
10%はMAP結石(リン酸Mgアンモニア結石)→尿路感染が原因
5%は尿酸結石、1%はシスチン結石→Xp陰性結石、CTには写る
原因:
70%は特発性(高Ca尿症伴うことが多い)
30%は続発性(原発性副甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒、紅茶/日本茶/ほうれん草/柑橘類はシュウ酸が多い、RTA、アセタゾラミド(緑内障治療薬)、シスチン尿症、高尿酸血症、プロテウスやクレブシエラ等の尿路感染(→MAP結石→腎盂にサンゴ状結石))
誘因:神経因性膀胱、腎盂尿管移行部狭窄、尿道カテーテル、長期臥床
予防:重曹で尿のアルカリ化(ただしMAP結石はアルカリ化禁忌)
治療:10mm以下はwash out、ブスコパン、NSAID。内視鏡的経尿道尿管破石術TUL、水腎症には尿管ステント、ESWL(炎症+、妊婦は禁忌、結石嵌頓挫に注意)。Ca結石はサイアザイド、尿酸結石にはアロプリノール、シスチン結石にはDペニシラミン
・膀胱結石:痛みなし、ESWL、内視鏡的膀胱破砕術、EDTAで溶かす、神経因性膀胱、前立腺肥大、尿道留置カテーテルによる
・腫瘍マーカー
前立腺癌→PSA(スクリーニングに使う、唯一早期診断可能)、γ-Sm
卵黄嚢腫瘍、胎児性癌、奇形癌→AFP
絨毛癌→hCG
・腎細胞癌:腺癌、50代男、古典3徴(無症候性血尿、側腹部腫瘤、腎部疼痛)、随伴症状(発熱、倦怠感、多血症(EPO↑)、高Ca(PYHrP↑))、合併症は腫瘍塞栓による左精索静脈瘤、腺癌なので放、化は効かない、肺転移があっても根治手術する!、転移例にもIFN有効
・腎芽腫(Wilms腫瘍):乳児期の腹部腫瘤、アクチノマイシンDが著効、合併症としてWAGR(無虹彩、尿路奇形、精神遅滞)、Beckwith-Widermann(臍帯ヘルニア、巨舌、巨体)
・腎盂尿管腫瘍:移行上皮癌、多発再発性、無症候性血尿、側腹部鈍痛、片側水腎症、再発防止のため腎も含めて尿管摘出
・膀胱腫瘍:移行上皮癌、しかし頂部は尿膜管由来で腺癌、原因はタバコ、染料(ナフチルアミン、ベンチジン、4-アミノジフェニル、オーラミン、マゼンダ)、膀胱三角部に多い、無症候性血尿、再発性膀胱炎、排尿障害、水腎症、リンパ行性肺転移、診断は尿細胞診、膀胱鏡、浸潤度判定にMRI、治療は表在癌にはTUR-Bt,BCG!,抗癌剤注入、浸潤癌には膀胱、前立腺、精嚢全摘と尿路変向
・前立腺肥大:内腺の肥大→尿道圧迫強い、弾性硬、表面平滑、経直腸的エコーで癌と鑑別、尿流測定で残尿程度を知る、国際前立腺症状スコア(8-19が中等症)
病期1期:夜間頻尿→αブロッカー
病期2期:残尿→αブロッカーかTUR-P
病期3期:尿閉、奇異性尿失禁→TUR-P
・前立腺癌:外腺由来、骨転移→骨形成性、石様硬、凹凸不整、経直腸的針生検で確診
ステージA:前立腺肥大のTUR-Pで癌が偶然全部とれた→経過観察
ステージB:前立腺内に限局→全摘か密封小線源
ステージC:被膜外に進展→密封小線源
ステージD:転移例→抗アンドロゲン療法(LHRHアナログ、エストラムチン-フォスフェイト療法=E+抗癌剤)
・精巣腫瘍:無痛性陰嚢腫大、発赤や透光性なし、生検禁忌→とりあえず高位精巣摘除術、90%が胚細胞由来、卵黄嚢腫瘍は0~10才、セミノーマは20~40才、悪性リンパ腫は50才~
セミノーマ:最多、放射線感受性大、治療は高位摘+シスプラチン+放
胎児性癌、卵黄嚢腫瘍、奇形腫:AFP↑、治療は高位摘+シスプラチン
絨毛癌:hCG、初期から血行性転移で予後不良、治療は高位摘+シスプラチン
悪性リンパ腫:治療はCHOP療法?
・神経因性膀胱:排尿困難→肉柱形成、結石、VUR、水腎症。排尿中枢はS2-4、排尿中枢より下の障害→残尿→奇異性尿失禁、尿意は知覚神経障害ならなし、治療は間欠的自己導尿(1日5,6回)
・精索静脈瘤:90%が左、腎細胞癌による腫瘍塞栓が原因、両側性では不妊
・精索捻転症:幼少、思春期、6h以内にope、Prehn徴候(精巣を手で持ち上げると疼痛↑)、精巣上体炎はPrehn徴候なし(持ち上げると疼痛↓)、対側睾丸も予防的に精巣固定術を行う
・精巣外傷:白膜の縫合か対側精巣への自己免疫予防のため精巣摘出術

2011年12月4日日曜日

公衆衛生ポイント

公衆衛生ポイント

・出生107万、死亡120万、婚姻70万、離婚25万
・総再生産率:0.67(1人の女性が一生に産む女児の数)→母体の死亡を考慮したものが純再生産率0.66
 合計特殊出生率:1.39(1人の女性が一生に産む子供の数)
・合計特殊出生率
国内のトップは沖縄>九州、最下位は奈良>秋田>京都>北海道>東京
世界のトップはアメリカ、フランス、最下位はイタリア、ドイツ、日本
・出産年齢は30才がピーク、20代は減少、30代は増加
・死亡統計にはWHOの国際疾病分類(ICD)が用いられる
・65才以上の死亡割合:日本、スウェーデンがトップで85%
・年齢調整死亡率:標準の年齢人口構成にしたときの死亡者の割合→男5.4、女2.7(人口1000対)(標準集団×観察集団死亡率)
・粗死亡率は高齢化が進んだので増加、年齢調整死亡率は医療が進んだので減少
・標準化死亡比SMR:観察集団×標準集団死亡率/期待死亡数
・標準化罹患率:標準集団×観察集団罹患率
・死亡率は国内でその疾患で死ぬ割合、致命率はその疾患になった人がそれで死ぬ割合(狂犬病の死亡率は0%、致命率は100%)
・平均余命:x才の人があと何年生きるか
 平均寿命:0才の人があと何年生きるか(0才の平均余命)→男79才、女86才
・平均初婚年齢:男30才、女28才、夫婦の年齢差は縮小傾向(歳の差カップルが報道されるのは珍しいから!)
・離婚率:2(人口1000対)、同居5年以内が35%、15年以上が27%(ロシアの離婚率は4.99で世界トップ)
・死産比=死産/出生、死産率=死産/出産、出産=死産+出生
・妊産婦死亡率:妊娠中~妊娠終了6週までの母体の死亡、4.8(出産10万対)
・周産期死亡率:妊娠22週~生後1週まで児の死亡、4.2(出産1000対)
・早期新生児死亡率0.8、新生児死亡率1.2、乳児死亡率2.4(出産1000対)
・総人口1億3000万人、男:女=95:100
・人口ピラミッドはひょうたんに近いつぼ型
・老年人口(65才以上)は23%、年少人口(14才まで)は13%→生産年齢人口は残りの64%
年少人口指数=年少人口/生産年齢人口=13/64=20%
老年人口指数=老年人口/生産年齢人口=23/64=36%
従属人口指数=年少人口+老年人口/生産年齢人口=56%
老年化指数=老年人口/年少人口=23/13=175%
・前期老年人口:1400万人(13%)、後期老年人口:1300万人(10%)→合計23%
・老人の単独世帯の増加で、世帯数は増加傾向(4860万世帯)、平均世帯人員は減少傾向(2.59人)→核家族は減少傾向
・死因順位:1位:悪性新生物30%、2位:心疾患16%、3位:脳血管疾患11%、4位:肺炎10%、5位:老衰、6位:不慮の事故、7位:自殺
・悪性新生物、心疾患、肺炎は増加傾向(年齢調整死亡率は全て減少傾向)
・年齢別死因:0~4才:先天奇形、染色体異常、5~9才:不慮の事故、10~14才:悪性新生物、15~39才:自殺、40~89才:悪性新生物、90~99才:心疾患、100才~:老衰
・悪性新生物:男は肺>胃>大腸>肝、女は大腸>肺>胃>膵、胃癌と子宮癌は減少傾向、悪性新生物がなくなると平均寿命は4年伸びる
・脳血管疾患:脳梗塞>脳出血>SAH
・肺炎の大部分は80才以上の誤嚥性肺炎→対策は座位での食事、口腔内ケア、粘性の食事
・不慮の事故:0才と75才以上は窒息(うつぶせ寝と餅)、1~74才は交通事故→全体では窒息が最多、ついで交通事故(減少傾向)
・自殺:H22は3万人を切った、男は経済苦、女と老人は健康苦、総数では健康苦、厚労省統計では秋田、警察統計では山梨が最多
・自殺の国際比較:ハンガリー、ロシア、日本
・健康の定義:WHO憲章では、身体的、社会的、精神的に良好な状態、1999年総会では霊的も加わる
・疾病統計(しっぺいとうけい)
国民生活基礎調査:3年ごと、世帯調査、層化無作為抽出(サンプリング)、有訴者率、通院率、介護状況、世帯所得
患者調査:3年ごと、患者対象、層化無作為抽出(サンプリング)、受療率、在院日数
国民健康栄養調査:健康増進法に基づいて保健所が実施、世帯調査、層化無作為抽出(サンプリング)、身体状況、栄養摂取量、生活習慣
・受療率:入院は精神疾患(統合失調症)が1位、外来はう歯を含む消化器疾患が1位
・入院の6割、外来の4割が65才以上
・平均在院日数は18.8日と長い→病床あたりの医師数、看護師数は低い、しかし人口あたりの医師数、看護師数は英米と同じ水準
・国民医療費35兆円、介護保険は含まない、国民医療費の半分以上は65才以上、国民所得の9.9%、GDP比8.5%(OECD諸国では中位、最高はアメリカの17%)
・国民医療費の財源:保険料が49%、公費37%、患者負担14%
・入院外医療費(37.7%)>入院医療費(36.8%)
・医療費で最も高いのは循環器疾患20%、悪性新生物は12%
・医療費に含まれないもの:正常妊娠、正常分娩、差額ベッド、健康診断、予防接種、義肢義眼
・院外処方が増えたので医療費における薬剤比率は低下
・疫学の有益度:コホート、介入研究>症例対照研究、メタアナリシス
・人年法:1万人を10年間追跡して10人が発症→10/1万人10年=1/1万人年、1年の途中では0.5年とカウントする
・相対危険度=リスクありのときの発生率/リスクなしのときの発生率
 寄与危険度=リスクありのときの発生率-リスクなしのときの発生率
・コホート研究(前向き研究):喫煙する人しない人を100人ずつ集めてきて、今後50年間肺癌になるかを調べる→時間と費用がかかる、稀な要因にも有効、稀な疾患だと徒労に終わる、罹患率がわかる
・患者対照研究(後ろ向き研究、CaseContorolStudy):肺癌患者100人のカルテを読んで、肺癌患者の内、何人が喫煙者か調べる→時間と費用がかからない、稀な疾患にも有効、記億が曖昧で因子の有無が定かでない、寄与危険度が不明、相対危険度はオッズ比で推測
・メタアナリシス:個々の研究を集めて分析する
・ハイリスクアプローチ:高血圧患者に降圧薬を飲ませて脳血管障害がどれだけ減るか調べる、リスクの高い集団に介入してアウトカムを得る研究
・1次予防:予防→ワクチン、健康増進、転倒防止、健康教育、食生活改善
 2次予防:早期発見→健診、がん検診、メタボ検診(特定健康診査)マススクリーニング
 3次予防:増悪させない→リハビリ、DMのインスリン療法、不眠症のカウンセリング、肺気腫の禁煙指導、高血圧の降圧剤
・がん健診:効果判定は介入研究(コホートなんてできない→がん健診を受けないでどうなるか実験できないから)、2次予防、胃癌、肺癌、大腸癌、乳癌は40才から、子宮頸癌は20才から
・プライマリヘルスケア:健康教育、家族計画(多産多子は母体の負担)、食料の確保、医薬品の確保、上水道の完備、予防接種
・WHO宣言
アルマアタ宣言:発展途上国のプライマリヘルスケアについて、上水道の完備をしましょう
オタワ憲章:先進工業国のプライマリヘルスケアについて、生活習慣病を防ぎましょう
・スクリーニングテスト:2次予防、検査だけでなく、診察、医療面接でも行う
・スクリーニングは感度の高い検査、確定診断は特異度の高い検査を使う
・疫学の用語(定義をはっきりさせると良い)
感度:病気の人が陽性になる確率
特異度:病気でない人が陰性になる確率
陽性的中率:検査陽性の人が病気である確率
陰性的中率:検査陰性の人が病気でない確率
偽陽性率:1-特異度(病気でないのに陽性の確率)
偽陰性率:1-感度(病気なのに陰性の確率)
尤度比:感度/1-特異度
検査前確率:有病率
検査後確率:検査陽性の人が病気である確率、検査陰性の人が病気である確率(検査結果を踏まえてその人が病気である確率)
・メタボ診断基準
男85cm、女90cm、内臓脂肪面積100c㎡以上が前提で、①血圧130/85、②TG150以上/HDL40以下、③FBS110以上のうち2項目以上
・メタボ診査(特定健康診査):医療保険者(市町村、企業)に実施義務、40~74才が対象、特定保健指導は初回面接20分以上/8人以下に80分以上、医師、看護師、管理栄養士が行う、6ヶ月後に改善状況を確認
・肥満は男の31%、女の22%、糖尿病2200万人
・至適血圧120/80、正常血圧130/85未満、正常高値血圧140/90未満、Ⅰ度高血圧140/90以上、Ⅱ度高血圧160/100以上、Ⅲ度高血圧180/110以上
・アルコール幻覚:幻聴
・喫煙率:男37%、女性12%(男は減少傾向、女は増加傾向)
・男:欧米より多くてアジアより少ない
 女:欧米より少なくアジアより多い
・タールに毒性、ニコチンに習慣性
・胃潰瘍、骨粗鬆症は喫煙もリスク、喫煙のRRは肺癌5倍、喉頭癌30倍
・禁煙外来:禁煙宣言書、きっぱり断煙、周囲の励まし、灰皿の除去
・健康日本21:健康増進法に基づく1次予防、寝たきりを予防し健康寿命の延長を目指す、健康手帳の交付、健診は含まれない、市町村が地域ごとに計画、具体的数値目標を設定、①栄養、②運動、③休養、④分煙、⑤アルコール、⑥8020運動(80才以上では歯は男10本/女8本が現実)、⑦糖尿病、⑧循環器病、⑨がん登録
・トータルヘルスプローモーション:労働者の健康維持、産業医が検診、問題があれば各担当者(運動指導担当者、産業保健指導担当者、心理相談担当者、産業栄養指導担当者)が指導
・低出生体重児が増加、男児8.5%、女児10.8%(女児は強いので低出生でも生きる)
・妊産婦死亡率4.8(出産10万対)、原因:弛緩出血、子宮破裂、脳出血、羊水塞栓
・周産期死亡率4.2(=早期新生児死亡+22週以降の死産)(出産1000対)、母体原因:胎盤、臍帯、卵膜の異常、胎児原因:先天奇形/染色体異常
・早期新生児死亡率0.8(出産1000対)、原因1位:先天奇形/染色体異常
 新生児死亡率1.2(出産1000対)、原因1位:先天奇形/染色体異常、2位:呼吸循環障害、3位:出血
 乳児死亡率2.4(出産1000対)、原因1位:不慮の事故、2位:呼吸循環障害、3位:SIDS
 幼児死亡の原因1位:先天異常、2位:不慮の事故、3位:悪性新生物
・死産:妊娠満12週以降の死児の出産
・人工死産14.5>自然死産11.7(出産1000対)、合計3万件
・人工死産率が最高は15~19才、最低は30~34才、自然死産率が最高は45~49才、最低は25~29才
・新エンゼルプラン(母子保健法):少子化対策
・健やか親子21(母子保健法)
①思春期の保健教育:10代の自殺率、中絶率、性病率を減らそう
②出産の安全性:妊産婦死亡率、産後うつ病を減らそう、産婦人科医や助産師を増やそう
③小児保健医療の向上:低出生、不慮の事故、妊婦の喫煙率を減らそう
④子供の発達と育児不安の解消:虐待を減らそう、出産後1Mの母乳栄養、親子の心理に対応できる小児科医を増やそう
・母子保健法:
保健所→低出生体重児2500g未満への訪問指導、小児慢性特定疾患への訪問指導
市町村→健康診査、葉酸摂取、母子健康手帳の発行、出生届受理、必要に応じ母子健康センターを設置
健康診査:妊産婦(23週までは4週、24~35週までは2週、36週以降は1週に1回、産褥1ヶ月に1回)、乳児、幼児(1才6ヶ月、3才)→都道府県が行う
国籍にかかわらず、妊娠連絡票を病院が発行→母子健康手帳を市町村が発行、母子健康手帳は妊娠出産育児の健康記録
市町村が妊婦の葉酸0.4mg/日摂取指導
出生届は14日以内、死亡届は7日以内に市町村役場へ提出
・未熟児養育医療:2000g未満、1才未満、医療費免除、実施は保健所の設置市区
・自立支援医療(育成医療):身体障害児、18才未満
・育児休業基本給付金:国民健康保険/社会保険、育児休業中に支給
 育児休業者職場復帰給付金:国民健康保険/社会保険、育児休業終了6ヶ月後に支給
 出産育児一時金:社会保険、35万円支給
・産後産前の休暇:労働基準法、出産予定日の6週前~出産8週後は「休める」、出産から6週後までは「休まないといけない」
・母体保護法
人工妊娠中絶、命令をもって定める不妊手術
人工妊娠中絶は都道府県医師会が指定した母体保護法指定医が行う、胎児適応なし、死児のときは都道府県医師会指定医でなくてもよい、年間25万件、20才未満は年間3万件、12週未満が95%
・児童相談所
児童福祉法に基づき、都道府県、政令指定都市に設置、児童福祉施設ではない
一時保護、虐待相談、虚弱児相談、障害児相談、非行相談、不登校相談
・児童福祉施設:助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童養育施設、児童自立支援施設、知的障害児施設
・老人保健法
健康手帳の交付、40才以上は基本健康診査(問診、身体測定、血尿、検尿、血液、血糖、心電図、眼底、肝炎ウィルス、受診指導、歯周病、骨粗鬆症)、訪問指導
・ゴールドプラン21
活力ある高齢者像、高齢者の尊厳の確保と自立支援、支えあう地域社会、信頼ある介護サービス
・精神保健福祉法
精神障害者保健福祉手帳は1~3級で2年ごとに認定、精神保健指定は厚生大臣が指定、措置入院は0.6%
精神保健福祉センター:都道府県に1つ→訪問指導は保健所が担当(センターは都道府県に1つなので無理)、アルコール依存相談、薬物依存相談、認知症相談、引きこもり相談、家庭内暴力相談、保健所への技術指導、調査研究、デイケア(医療保険)
精神科病床:35万床、民間が多い、利用率89%、平均在院日数350日、入院は統合失調症が最多、外来は気分障害が最多
・学校安全保健法
生徒、職員の健康増進(産業医ではない)、学校の安全管理
学校定期健康診断:心電図は小中高各1年、胸部X線は高1(被曝するので義務教育中はしない)、検尿や視力は各学年、色覚検査はしない、聴力は小4,6中2高2以外
学校医:学校保健安全計画、学校定期健康診断、生徒の健康相談、校長の求めにより救急処置、設置者の求めにより就学時健康診断や職員健康診断
出席停止は校長、学校閉鎖や学級閉鎖は設置者の権限
・学校伝染病の出席停止期間
流行性角結膜炎:医師により伝染のおそれがないと認められるまで
咽頭結膜熱:主症状消失後2日まで
インフルエンザ:解熱後2日まで
麻疹:解熱後3日まで
風疹:発疹消失まで
流行性耳下腺炎:耳下腺腫脹消失まで
水痘:全ての発疹が痂皮化するまで
第1種学校伝染病(1類、2類):治癒するまで(新型、H1N5など)
・保険所
地域保険法に基づき都道府県、政令指定都市、政令で定める市区に設置、所長は医師以外でも可能
人口動態統計、公衆衛生、保健師関連、母体/乳幼児/老人の衛生、歯科衛生、精神衛生、結核/性病/伝染病
・市町村保健センター
地域保険法に基づき市町村は市町村保健センターを設置することができる、所長は医師である必要はない、市町村の健康づくり、母子保健や老人保健の拠点
・医師法:公衆衛生の向上、応召の義務、異状死体の届出、処方箋、診療録の義務、臨床研修の義務、ただし「保険医は厚生労働大臣が定める治療以外はしてはならない」は保険医療養担当規則
・守秘義務は刑法が規定∴違反すると刑事罰
・医師届出義務
異状死体、異状死産児:医師法、24時間以内に警察署長
死亡診断書、死体検案書:医師法、死亡後7日以内に死亡届に添付して市町村に提出→埋葬許可証が発行される
麻薬:麻薬取締法、速やかに知事
1~4感染症:感染症法、直ちに保健所長
5類感染症:感染症法、7日以内(梅毒,HIV)に保健所長
食中毒:食品衛生法、直ちに保健所長
診療所開設:医療法、開設後10日以内に保健所長
・診療録
医師法により規定、医師だけでなく看護師なども記入、保存期間5年間(検査記録は2年間)、修正液で消すことは避ける→2重線+押印で訂正
・死亡診断書は医師、歯科医師が発行、死体検案書は医師のみ
・自殺、他殺は「その他および不詳の外因死」
・ソーシャルワーカー、ケースワーカー、ケアワーカー、ケアマネージャー、ホームヘルパー、准看護師は国家資格ではない、准看護師は知事が任命
・医師数:225人/10万(286万人)、毎年7500人卒業、研修医は15000人
 看護士数:935人/10万
・平均入院日数:18日→100病床あたりの医師数が少ない(日本15.6、アメリカ78.4)、しかし人口あたりの医師数はアメリカと同数(日本2.15、アメリカ2.43)
・医療法:医療施設、医療計画、医療広告についての法律
特定機能病院:医療法、高度の医療技術の開発と教育、救急医療を行う義務はない、大学病院、国立循環器病センター、国立がんセンター、府立成人病センターなど
診療所開設:医療法規定、臨床研修終了医師であれば許可の必要はない、開設後10日以内に保健所に届出
薬局:保険薬局(院外薬局)は健康保険法で規定、院内薬局(調剤所)は減少傾向、医薬分業が60%以上、薬剤師は薬剤師法
・医療圏(医療法)
1次医療圏:かかりつけ医
2次医療圏:都道府県内で完結するように
3次医療圏:高度専門医療(特定機能病院、救命救急センター、母子医療センター)
・医療計画(医療法)
都道府県が作成、地域の医療資源の有効活用、2次医療圏の病床数をコントロール、医療費削減や医師数に関する規定はない
・医療安全支援センター:医者、病院に関する苦情受付、患者への医療情報の提供、都道府県、政令指定都市、特別区に設置
・憲法第25条:全ての国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する
・生活保護
福祉事務所が実施、ケースワーカーが担当、200万人以上、保護理由で「世帯主の傷病」は40%以下、ジニ係数(所得の不平等さを反映)はOECD中最低、しかし貧困率(可処分所得が平均の50%以下の人の割合)は15.7%でOECD諸国中ワースト4位
・医療保険
社会保険か国民健康保険のどちらかに全員が加入(国民皆保険)、社会保険は健康保険法、国民健康保険は国民健康保険法が規定、保険者は利潤追求できない
被用者保険(社会保険):職域保険、59%を占める、保険者は政府、健康保険組合、共済組合、大正11年制定
国民健康保険:地域保険、41%を占める、保険者は市町村、昭和13年制定(国民皆保険になったのは昭和13年以降)
退職者保険:65才~75才の退職者は国民健康保険と社会保険でまかなう
後期高齢者医療制度:75才以上、保険料は納入する、保険料10%、現役世代からの保険金40%、公費50%(全部で6.6兆円)
・医療費:原則3割、3才未満は2割負担、70才以上は1割(一定所得ある人は3割)、保健医療なら上限は5~10万円(残りは公費負担)
・公費医療
児童福祉法:小児慢性特定疾患
予防接種法:副反応
身体障害者福祉法:自立支援医療(育成医療)
生活保護法:医療扶助
母子保健法:(未熟児)養育医療
精神医療福祉法:措置入院
石綿
・老人福祉法:都道府県、市町村は老人福祉計画を立案、老人介護福祉センターは相談助言
・介護保険
強制加入、保険者は市町村、地域ごとに保険料が違う、被保険者は40才以上、ケアプランは本人またはケアマネージャーが作成、施設サービスは要介護のみ、要支援は介護サービス受けられない、40~64才は特定疾患(癌、RA、パーキンソン、膝股関節変形症)がある場合のみ介護保険を給付
・地域包括支援センター
介護保険法に基づき市町村に設置、高齢者への虐待防止、要支援の人に対する介護予防、保健師、ケアマネージャー、社会福祉師が置かれる
・介護保険の施設サービス
指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):生活ができない認知症、寝たきり、一度入ると死ぬまで入る→リハビリはしない
介護老人保健施設(老人保健施設):PT,OTのもと在宅を目指してリハビリ
指定介護療養型医療施設:医療依存度が高い人
療養病床群:一般病院の中に介護施設を併設したもの→医療保険の適応、機能は指定介護療養型医療施設と同じ
・第1号被保険者(65才以上)の介護保険料は3年に1度見直し、地域ごとに異なる、要介護5で35万円分給付(あとは5万円ずつ減)
・新障害者プラン:5カ年計画、リハビリ、ノーマライゼーションを目指す、身体障害、知的障害、精神障害
・障害者自立支援法:9割給付、給付で最も多いのは内部障害の人工透析、身体障害で最も多いのは肢体不自由、身体障害に温痛覚障害は含まれない、精神保険福祉法の精神科医療と身体障害者福祉法の更生医療と児童福祉法の育成医療を一本化したもの
・身体障害者福祉法
身体障害児10万人、身体障害者348万人、肢体不自由が約半数、原因は疾病20%、事故10%、加齢5%、身体障害者手帳は福祉事務所が発行、肢体不自由児施設は児童福祉法で規定
・知的障害:55万人、発達障害、高次脳機能障害
・身体障害者手帳:福祉事務所が発行、1~6級
・国際生活機能分類(ICF):WHOによる障害の分類
①機能障害:生物レベル、機能の欠損(脳血管障害による片麻痺)
②能力障害:個人レベル、日常生活動作の制約(片麻痺による衣服着脱困難)
③社会的不利:社会レベル、社会参加の制約(片麻痺による職場配置転換)
・日常生活動作:独立生活に必要な基本動作、食物摂取、排泄、衣服の着脱、入浴、屋外歩行
・水道:上水道普及率98%、下水道普及率74%(欧米より低い)、塩素消毒によるクロロホルム(トリハロメタン)の発生、塩素消毒できないクリプトスポリジウムが問題、大腸菌は一切検出されてはいけない、一般細菌は100コロニー/ml以下
・食品衛生法:乳幼児のおもちゃについても規定、食料自給率はエネルギーベースで40%(仏は120%)、保健機能食品は消費者庁が規定、特定効能食品には栄養機能食品と特定保健用食品(薬剤基準で作られる)がある、特定用途食品には病院食や妊産婦/嚥下困難者用食品や特定保健用食品がある
・食中毒:食品衛生法により直ちに保健所長に届出、夏はビブリオ、冬はノロ、死亡例はふぐのテトロドトキシンによる、件数は細菌性、患者数はウィルス性が多い、細菌の件数トップはカンピロバクター、患者数トップはサルモネラ、ウィルスは件数患者数ともにノロウィルス
・公害:環境基準法
第一種:誰が原因か特定できない→四日市喘息(SO2)
第二種:誰が原因か特定できる→水俣病(有機水銀、熊本水俣湾、新潟阿賀野川)、イタイイタイ病(Cd、富山県神通川)、慢性ヒ素中毒(宮崎県土呂久地区)
・生物濃縮:有機水銀(メチル水銀)、ダイオキシン、PCB、DDT、BHC→脂溶性、化学的安定、急性中毒なし
・水俣病(有機水銀中毒):Hunter-Russell症候群、求心性視野狭窄、小脳失調、感覚障害、難聴(「水俣病は九州かな?」)
・イタイイタイ病(Cd中毒):近位尿細管障害→Fanconi症候群→骨軟化症、蛋白尿
・慢性砒素中毒:皮膚癌、色素沈着、肺癌、多発神経炎、鼻中隔穿孔(鼻中隔穿孔は6価クロムも)
・ダイオキシン:低温の焼却炉、タバコ、自動車排ガス→母乳や食物を介して発がん、催奇形性、環境基準法ではなくダイオキシン特別措置法
・内分泌かく乱物質:ダイオキシン、PCB、DDT、アルキルフェノール(洗剤、殺虫剤)、フタル酸エステル(ビニール)、トリブチルスズ(魚網)
・シックハウス(化学物質過敏症):ホルムアルデヒド、トルエン(尿中馬尿酸)、キシレン(尿中メチル馬尿酸)、環境測定をすること、ただし環境濃度が正常でも否定できない(中毒ではなく過敏症だから)
・大気汚染:大気汚染防止法
二酸化硫黄SO2:四日市喘息
二酸化窒素NO2:化石燃料(ボイラー、車)
一酸化窒素CO:車
浮遊粒子状物質SPM:トラック(ディーゼル車)
光化学オキシダント:紫外線でNOxや揮発性有機化合物VOC(ベンゼン、トリクロロエチレン、フロン)が変化し、オゾンやアルデヒドができる(=光化学オキシダント)
・CO2は京都議定書、ダイオキシンはダイオキシン特別措置法→環境基準法ではない
・水質環境基準:シアン、アルキル水銀、PCB→検出されないこと(0bpm)
・水質基準は水道法、環境基準は環境基準法、排水基準は水質汚濁防止法
・地球温暖化→水没地域の増加→蚊の発生↑→マラリア、デング熱↑
・地球サミット:
ストックホルム宣言:人間環境宣言
リオデジャネイロ宣言:環境開発宣言
・環境保全条約
ラムサール条約:水鳥保護
ワシントン条約:絶滅動物取引禁止
バーゼル条約:産業廃棄物の海外廃棄禁止
ロンドン条約:海洋汚染禁止
ウィーン条約、モントリオール議定書:オゾン層保護
・ゴミ最終処理場:面積は減少してるが、それ以上にゴミが減少→残余年数は増加傾向!
・医療廃棄物
特別管理一般廃棄物:血液の付着したもの
特別管理産業廃棄物:メス、注射針(怪我するもの)
・マニフェスト制度:医療廃棄物の委託業者がきちんと処分しているかどうかチェックするシステム
・産業医
労働安全衛生法で規定、医師資格+厚労大臣認定研修
常時50人なら嘱託医1人、常時1000人なら専属医1人(有害業務なら500人)
主な業務:健康診断(年1回、特殊は半年に1回、産業医の義務ではない)、職場巡視(月1回)、衛生委員会出席(月1回)、疫学調査、衛生教育、健康相談
産業医の業務でないもの:統括安全衛生管理(工場長)、作業環境測定(作業環境測定士)、業務上疾病の認定(労働基準監督署)、疾病の管理(臨床医)
・労働衛生3管理:作業環境管理、作業管理、健康管理
・管理濃度:労働安全衛生法、第1管理区分(適切)、第2管理区分(改善余地)、第3管理区分(不適切)
・許容濃度:日本産業衛生学会勧告、労働者に影響を及ぼさないであろう濃度、天井値はどの時点でも超えてはならない濃度、短時間曝露限界値は15分間で超えてはならない濃度合計
・労働災害補償保険(労働保険):保険者は政府、被保険者は全労働者、保険料は事業者負担(強制加入)、労災指定病院では事故負担なし、遺族補償金銭給付、過労死への給付、労災認定は労働基準監督署
・労働災害は交通事故よりも少なく減少傾向、死傷者は製造業や建設業が最多、述べ労働時間あたりの死傷者は運搬業が最多、業務上疾病では災害性腰痛が最多(→作業内容聴取、作業時姿勢の改善、ただし安静臥床は必要でない)
・塵肺健康診査:3年に1回、管理区分2(Xp所見あり)では毎年、作業歴聴取と胸部Xp→所見ありならスパイログラフィー→異常ありならツ反や喀痰細胞診、管理区分1(所見なし)、管理区分2(Xp所見あり)、管理区分3(作業転換)、管理区分4(療養)
・金属中毒
鉛:乾電池、車のバッテリー、七宝焼き、塗装(鉛とクロム)、症状はヘムの合成障害(鉄芽球性貧血)、撓骨神経麻痺、鉛脳症、麻痺性イレウス(鉛穿通)、血中鉛↑、尿中δALA↑(∵鉛はδALAD阻害)
有機鉛(アルキル鉛):ガソリンに含まれていた、小球性貧血、精神神経症状
ヒ素:殺鼠剤、半導体製造、皮膚色素沈着、皮膚癌、鼻中隔穿孔、肺癌、多発神経炎
クロム(特に6価クロム):クロムメッキ、皮なめし、接触性皮膚炎、鼻中隔穿孔、肺癌、多発神経炎
マンガン:乾電池製造、大脳基底核沈着でPakinsonism
ベリリウム:皮膚や肺に肉芽腫
金属ヒューム(銅、亜鉛):肺水腫
・有機溶剤:脂溶性で肝代謝→肝障害
ベンゼン:ガソリンに含まれる、再生不良性貧血、白血病、尿中フェノール↑
トルエン:シンナー(塗料を溶かす溶媒)、接着剤、中枢神経抑制、尿中馬尿酸↑(ただし1日くらいで代謝されるので、休日明けに尿中濃度を測定しても意味が無い)
キシレン:尿中メチル馬尿酸↑以外はトルエンと同じ
スチレン:ゴムの合成、粘膜刺激症状、尿中マンデル酸↑
トリクロロエチレン:IC洗浄剤、ドライクリーニング、肝障害、尿中総酸塩化物↑
四塩化炭素:塩化ビニル可塑剤、肝障害
N-ジメチルホルムアルデヒド:尿中Nメチルホルムアルデヒド↑
・ガス中毒
CO:HbCOはピンク色なのでチアノーゼがでない、治療は高圧酸素療法
シアン(青酸、CN):メッキ、ミトコンドリアのチトクローム酸化酵素阻害→細胞内呼吸障害→SpO2正常でチアノーゼ出ない、治療は亜硝酸+チオ硫酸法
硫化水素(H2S):チトクローム酸化酵素障害、肺水腫、死体は緑色調の暗紫赤色の紫斑、自殺目的→空気より重いので階下の人も巻き添え、下水道事故→仲間を助けようとして巻き添え、下水道工事では作業場の酸素濃度(18%以上ないと酸素欠乏)と硫化水素濃度の測定が義務(労働安全衛生法)
・農薬中毒
パラコート:除草剤、口腔粘膜/消化管粘膜びらん→肺水腫→肺線維症(2週間後)→呼吸不全で死亡、肺線維症へ進行させるので酸素投与は禁忌、対症療法のみ(胃洗浄、血液吸着、血液透析)
有機リン剤(パラチオン、スミチオン):殺虫剤、ChE阻害→Ach過剰→NMJ異常興奮+副交感神経異常興奮→けいれん、縮瞳、流涙、流延(りゅうえん)、発汗(発汗は交感神経支配だが伝達物質がAchなので)、血中ChE低下、治療はアトロピン、PAM
カーバメイト:有機リンとほぼ同じだが、PAMは無効
有機塩素剤(DDT,BHC):生物濃縮を起こす、中枢神経症状(けいれん)
・職業がん:離職後も定期健康診断、発がんすれば労災保険適応、最多は膀胱癌
膀胱癌:ナフチルアミン、ベンチジン、アミノジフェニル、ニトロジフェニル、オーラミン、マゼンダ
肺癌:ヒ素、6価クロム、クロロメチルエーテル、ニッケル、コールタール、石綿
白血病:ベンゼン
皮膚癌:ヒ素
肝血管肉腫:塩化ビニルモノマー
・医療施設
診療所:19床以下、医療法
病院:20床以上、医療法
特定機能病院:医療法、高度先進医療、大学病院、国立循環器病センター、国立がんセンター、府立成人病センターなど
地域医療支援病院:医療法、かかりつけ医の支援、MRIの共有、かかりつけ医の代わりに救急医療
市町村保健センター:地域保健法、市町村レベルの健康づくり
地域包括支援センター:介護保険法、市町村に設置、高齢者への虐待防止、要支援の人に対する介護予防、保健師、ケアマネージャー、社会福祉士が置かれる
医療安全支援センター:医療法、医者、病院に関する苦情受付、患者への医療情報の提供、都道府県、政令指定都市、特別区に設置
母子健康センター:母子保健法、健康診査、葉酸摂取、母子健康手帳の発行、出生届受理、市町村が必要に応じ設置
精神保健福祉センター:都道府県に1つ→訪問指導は保健所が担当(センターは都道府県に1つなので無理)、アルコール依存相談、薬物依存相談、認知症相談、引きこもり相談、家庭内暴力相談、保健所への技術指導、調査研究、デイケア(医療保険)
老人介護福祉センター:市町村は老人福祉計画を立案、相談助言
救急医療情報センター:救急医療の情報収集
・救急医療機関(全て2次医療圏に入る)
初期救急医療機関:休日夜間急患センター、在宅当番医
2次救急医療機関:24時間体制の病院群輪番
3次救急医療機関:救急救命センター(都道府県ごとに設置)
・在宅医療:在宅酸素療法は心不全患者には用いない、訪問診療は定期的、往診は不定期
・2国間協力:日本は2国間、有償、ひも付き(タイド援助)が多い
JICA(国際協力機構):金と技術を供与、外務省独立法人でODA実行部隊、理事長は緒方貞子
JBIC(国際協力銀行):金だけ
・多国間協力
WHO(世界保健機構):世界の保健衛生、本部ジュネーブ、日本は西太平洋地域、標準化国際疾病分類ICD10を作成して診断の標準化と疫学統計、ポリオ根絶目標(西太平洋地域では根絶)、マラリア対策、日本の負担金は20%で2位
ILO(国際労働機関):労働者の健康保護、男女雇用均等、児童労働撲滅、本部ジュネーブ
FAO(国際連合食糧農業機関):食料安全保障、飢餓からの解放、本部ローマ
UNICEF(国連児童基金):子供の緊急援助、子供の権利、本部ニューヨーク
UNESCO(国連教育科学文化機関):世界遺産、「戦争は人の心で生まれる」、本部パリ
・世界の保健動向:乳児死亡の原因はマラリア、感染性下痢。結核は増加傾向、HIVはサハラ以南で異性間感染多い(3300万人の7割がサハラ以南)、5才未満の死亡率は世界的に減少(原因は呼吸器感染、マラリア、下痢)
・感染症法:1~4類は直ちに、5類は7日以内に保健所に報告
1類:(南米)出血熱、(エ)ボラ、(ラ)ッサ、(ペ)スト、(痘)瘡、(ク)リミアコンゴ、(マ)ールブルグ、「南米1のえらいペットは熊」、
2類:(鳥)インフルエンザ(H5N1)、(ジ)フテリア、(S)ARS、(ポ)リオ、(結)核、「鳥は時差ぼけ」
3類:細菌性(赤)痢、(チ)フス、パラ(チ)フス、(O)-157、(コ)レラ、「赤いチ◯コ」
4類:動物を介して感染するもの
5類:全数把握と定点把握(インフルエンザ、性器クラミジア、MRSA、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、RSウィルス、など)
・新興感染症:1970年以降に発見、WHOが報告、レジオネラ、O157、Hピロリ、HHV6、H5N1、HTLV1、HIV、プリオン、仁科いるウィルス、エボラ出血熱
・再興感染症:マラリア、デング熱、狂犬病、MRSA、VRE、ペスト、コレラ、結核
・検疫感染症:1類全て、2類のH5N1とSARS、4類のマラリアとデング熱
・年間感染症患者数:感染症発生動向調査が毎週報告(感染症法)
1類:発生なし
2類:ポリオはワクチンで1人、結核は2.5万人
3類:O157は4000人、細菌性赤痢は200人
4類:ツツガムシ400人、マラリアは70人、日本脳炎は高齢者4人
5類:HIVは1500人、アメーバ赤痢は800人、梅毒は700人、レジオネラは700人
・BSEは厚労省牛海綿脳症対策特別措置法による、CJDは感染症法5類による
・予防接種:国民の義務ではない(責務)、ムンプス、水痘、B型肝炎は任意、乳児期3ヶ月以降に接種するのはポリオ、DPT、BCG、B型肝炎、定期1類2類予防接種で1回だけなのはBCG、定期2類は高齢者へのインフルエンザは毎年1回、生ワクはムンプス、風疹、麻疹、ポリオ、結核、水痘「無風の進歩の結果です」、生ワクは4週間以上あける、他は1週間
・法医学の解剖
司法解剖:犯罪の疑いがある時、刑事訴訟法により、大学の法医学教室が行う、承諾不要
行政解剖:検案しても死因がわからないとき、知事任命の監察医が行う、承諾不要
承諾解剖:検案しても死因が分からないとき、監察医制度のない都道府県、承諾必要
病理解剖:病死を詳しく調べるとき、大学病院が行う、承諾必要
系統解剖:医学実習、医学生、本人が検体を希望し、死後に承諾必要
・異状でない死:病死と老衰(これら以外は全て異状で、24時間以内に警察に届け出ること)
・改正臓器移植法
脳死判定の年齢制限撤廃、本人の意志不明なときは家族の承諾で臓器提供できる、本人の文書での意思表示があれば配偶者と親子間での優先提供可能、6才未満は24時間以上あけて2回目の判定をする(それ以外は6時間以上)、判定者は脳外科、神経内科、麻酔科、救急医
脳死判定できないとき:急性薬物中毒、代謝内分泌疾患、知的障害者、生命徴候がないとき(直腸温32度以下、収縮期血圧90未満、重篤な不整脈)
・死体現象
体温:死後10時間で10℃低下、以後は0.5℃/hrずつ低下、夏は推定時間の1.4倍、冬は0.7倍
死斑:死後30分開始、12時間ピーク、死後5時間までは体位変化で死斑も移動
死後硬直:直後は弛緩、死後2時間開始、12時間ピーク、48時間で緩解開始、顎から下行する
角膜混濁:死後6時間開始、24~48時間がピーク
腐敗:死後24時間から細菌の多い側腹部に出てくる

2011年12月2日金曜日

感情意欲の異常

感情:主体が対象に抱く主観的な印象。喜びと悲しみ、愛と憎しみ、快と不快など2極性
情動:一過性、反応性の激しい感情
気分:持続的で弱い感情

躁うつ病→感情障害、気分障害(内因性だが精神病のニュアンスが少ないためこう呼ばれる)
うつ病の分類
・体因うつ病:脳卒中半年後、薬剤、内分泌疾患など
・反応うつ病:心理要因、燃え尽き、円形脱毛症を伴うことも、重症化すると内因性と鑑別しにくい、悲しみが強く過ぎて抑制消失(葬式躁病)
・内因うつ病(単極うつ病、双極うつ病):心理要因が明らかでない、大うつ病とも言う、完全に回復する、早朝覚醒、日内変動が内因性を示唆、身体症状が全面に出るものを仮面うつ病、

うつ病になりやすい性格
・循環気質(クレチマー):情意あふれる善良、温厚な社交家
・同調性(ブロイラー):環境順応
・執着気質(下田):熱中、徹底、几帳面、正義感、責任感
・メランコリー親和型(テレンバッハ):秩序傾向、木を見て森を見ず、臨機応変なし→状況変化に自分の秩序を変化できない→追い詰められる(インクルデンツ)→負い目(レネマンツ)→罪業妄想→乗り越え不能→発症

うつ病の対象は現実的な問題(仕事、経済問題、健康)であり、人間存在の根源や哲学宗教が問題になることはない、過敏で強迫的な内省傾向もない→あれば分裂病、妄想性障害、非定型精神病など

双極うつ病:躁とうつ2相性、発病が10年若い、遺伝要因、気分安定薬の効果が高い、躁病相があるものをⅠ型、軽躁ならⅡ型、Ⅱ型はパニック障害、行動障害、人格障害、自殺の家族歴、難治性

非定型精神病の経過:幻覚妄想、錯乱ではじまり、長期の寛解と増悪を繰り返し、比較的単純な躁うつ、軽躁に収斂していく、躁病により躁状態と異なり不安が強い、妄想を伴う、意識障害を疑わせる記億の欠落が見られる、むしろ抑制消失に近い

摂食障害:厳しい禁欲と反動で抑制消失、過食は体の実感を取り戻す試み、意志の低下を過食で緩和、極端に揺れ動く意志の障害

気分障害の意欲前進と減退:見合った感情変化を伴う、被暗示性なし→心的エネルギーの量的問題
分裂病の意欲前進と減退:爽快気分のない興奮、抑うつ気分のない無気力、被暗示性亢進→意志のコントロールの問題(心的エネルギーは下がっていないのに、現実に即した行動を取らない無為、解脱)

緊張病:不眠と心気抑うつ、拒絶症と命令自動の両価性、切迫感を伴う不安(何か悪いことが起こりそうだ、あるいはすでに進んでいる、意志のコントロールがうまくいかない予感)

2011年11月26日土曜日

人格の異常

人格とは心的活動を営む主体、もしくは心的活動の特徴全体を指す。
体験から生じた精神障害を心因反応という。PTSDなど。
原因と発病が時間的に結びついていること、因果関係が了解できること、原因がなくなると症状も消えることが心因反応の特徴。

刺激と反応の間に人格が関わる反応を内的葛藤反応。何かにつけて自信がない、物事に過敏な人になんらかの鍵体験が作用して起こる反応。

人格のレベルが下がることを人格変化といい、心的機能の統一性が失われる。

境界例は精神病と神経症の中間。
欲動コントロールが不良で周囲を巻き込みやすく、複数の未分化な神経症症状と、マイクロサイコーシスと呼ばれる一過性の精神病症状を呈する。

境界例は、分裂病寄りの分裂病型人格障害、神経症寄りの境界性人格障害に収録された。
人格発展の屈折から摂食障害を経て、境界性人格障害に至るものが多い。

希望に満ちた生命上昇的な世界と、地上の世界を調和させる思い上がりに幾度も失敗し、地下の墓穴の世界に引きずり込まれ、愛や救いを期待できない虚無、挫折の現存在状態。羞恥と自責を特徴とする。


自我egoは知覚、思考、意思などの心的活動をつかさどる主体。
心的活動を意識することを自我意識という。
自我意識の障害は、
自己所属性が障害される離人症、
内的な体験の変容を自覚する内界意識離人症、
外の対象が生き生きと感じられない外界意識離人症、
体の感覚の疎外を感じる身体意識離人症がある。
内界、外界、身体と拡散していく。

残った自我が自我意識障害を自覚して悩む。

意識の障害

意識とはあらゆる心的活動を支える媒体
意識が障害されると、全ての心的活動は影響を受ける

アンフェタミンでは過度覚醒になり、注意が散漫、思考の流れが速まり、僅かな刺激に過敏に反応する。幻覚や錯覚、追い詰められる妄想、交感神経の興奮。
後になって記憶が不確かなので、意識障害がある。

ガンサー症候群は拘禁反応のひとつで正答をかする的外れ応答

非定型精神病は不安と高揚が交錯する著しい気分変動と妄想気分、関係妄想、幻聴、させられ体験。
要するに躁うつ病と統合失調症の交錯したものか。

人格は低級な心的諸機能が心的緊張により統合されたもの。統合を維持するには心的力が必要となる。心的緊張の部分的低下がヒステリー、全体的低下が精神衰弱。

心的諸機能とは、記憶、学習、

特定の記憶を能動的に想起できないにも関わらず、その記憶が自動的に蘇る。
記億の想起、抑制は心的緊張によりなされ、低級な心的機能である記億は保たれているので、自動的な記億の展開がもたらされた。
心的緊張がなくなり、心的活動の統合が緩むと、低級な活動が自動症として現れる。術後せん妄の作業せん妄 、も同じか。
自動症は、ヒステリー、分裂病、類縁疾患にも見られる。
統合失調症の初期には、人格統合が緩み、思考、記億、意欲などさまざまな領域で自動症が現れる。
自動症は強迫、幻覚にも発展する。

意識から別の意識状態が分離して、自分の知らない心的活動が生じるものを、解離、二重意識という。PTSD、多重人格。

意識領域が情報を受け取り、前意識は知識や記億ですぐに意識領域に入ることのできる心的内容。無意識は欲動の発散や充足が繰り広げられている場。
不快な体験は意識から排除され、無意識に押しこめられるが、消滅したわけではなく、歪曲したかたちで意識領域に登ってこようとする。
歪曲されているので、解釈しなければならない。精神分析。

人類に共通する普遍的無意識、時代や文化を越えた神話など。分裂病では普遍的無意識が意識領域に登ってきて、心的活動を妨げる。
では、分裂病に見られる妄想内容には人種差がみられないのだろうか。
分裂病に見られる、心的活動の自動症は、意識、前意識、普遍的無意識のヒエラルキーが解放されることによる。

脳障害や分裂病遺残状態、精神病後抑うつ、では心的エネルギーの欠乏が見られる。
精神病後抑うつでは、内因性うつ病と異なり、意欲の低下が全面に出て、感情の低下、抑うつ気分は少ない。外の物事は気にならないのに、体の僅かな変化にこだわる関心の不均等、敏感と鈍感の同居が認められる。

分裂病初期は心的エネルギーは低下しないが、統合バランスが悪く、全体の調和や方向の誤りが見られる。ある事柄への強いこだわり、そうしないではいられない強迫、とりとめなく堂々めぐりする考えなど。
心的ネルギーの展開に創造性と柔軟性を欠き、極端に理念化した、数学的、空間的な思考(病的合理主義、all or nothing)。分裂病だけでなく境界例、摂食障害にも見られる。

統合失調症の発症

シュープ(今にも何かが起きそうだという緊張の高まり)
→トレマ(心的な場が狭まって決断の自由が奪われる
→アポフェニー(主体が受動的な世界の中心になり、対象が特定の性質を帯びる)
→アナストロフェ(主体が世界に影響を与え始める)
→アポカリプティック(暗示の意味が明らかになり、意味の連続性が崩壊)
→場の緊張がゆるみ、ある程度回復し、固定化
→心的エネルギーの低下
→遺残状態

2011年11月17日木曜日

産科ポイント

産科ポイント

・妊娠中期は4M~7M(「死なないで」)、4Mは胎動自覚
・排卵→24h以内に膨大部で受精→7日目に胚胞(胚盤胞)となり着床
・胚胞は胎芽胚葉と栄養胚葉
・胎芽胚葉は胎児、栄養胚葉(トロホブラスト)は胎盤になる。
・卵膜:羊膜、絨毛膜は胎児由来、脱落膜は母体由来、羊膜は外胚葉、絨毛膜は中胚葉
・胎盤
胎盤は繁盛絨毛膜と脱落膜から成る
16週で完成、500g,直径20cm,厚さ3cm
内側は細胞層(ラングハンス細胞層、24週には消失)
外側は合胞体層(シンチウム細胞層)→hCG分泌(10週10万ピーク、妊娠黄体の持続)、hPL分泌(正常は4-10、胎児への糖供給)、E/P分泌
・胎児副腎のDHEA-S→胎児肝、胎盤で代謝されE3→母体血中へ、正常は20-30、胎盤機能、胎児成熟度を反映、妊娠末期にピーク
・hCGは10週がピーク
胎盤がとりあえずhCGを分泌→卵巣の月経黄体を妊娠黄体にしてE,Pを分泌促進→妊娠維持→胎盤が完成すると妊娠黄体は必要がないのでhCGも減少
・つわり:morning sickness、5週に始まる、始まりは個人差なし、終わりは個人差あり、重症化すると妊娠悪阻→ブドウ糖+B1輸液
・尿中hCG>200で妊娠反応+、妊娠の半確徴
・子宮底長=3×(月数+1)、35cm以上ならCPD、月数よりも低いならIUGR、羊水過少
胎嚢(GS:gestational sac)=週数-4(cm)
頭臀長(CRL:crown rump length)cm=週数-7(cm)
大横径(BPD:biparietal diameter)cm=週数÷4(cm)
・胎児発達:心拍5週、四肢運動10週、呼吸様運動15週、聴覚形成20週
・胎児染色体検査:絨毛10週、羊水16週、臍帯血18週
・10ヶ月で3000g、2ヶ月前は2分の1、さらに3ヶ月前は3分の1
・PRL作用:乳汁産生、Eで腺管発達、Pで腺房発達、EもPも乳房発育
・オキシトシン作用:平滑筋作用→子宮収縮、腺葉から腺管へ射乳、EでOxy感受性↑、PでOxy感受性↓
・胎児循環:胎盤→1本の臍静脈→門脈orArantius管を介してIVC→RA→卵円孔→LA→LV→脳→SVC→RA→RV→Bottalo管→Ao(左鎖骨下Aより末梢)→2本の内腸骨A→2本の臍動脈→胎盤
・羊水穿刺
羊水過多:800ml以上、羊水スポット8cm以上→切迫早産
羊水過少:200ml以下、羊水スポット2cm以下→胎児肺低形成、関節拘縮
AFI(羊水指数):4ヶ所の羊水ポケットの合計、正常5~20cm
羊水量は7Mがピーク、700ml
・羊水診断は中絶可能な22週より前で羊水が十分量になる16~18週以降
・羊水による成熟度判定→出生後は胃液で判定(∵羊水嚥下)
肺surfactant:Shakeテスト(2倍希釈でも泡)、マイクロバブルテスト(20個/mm3以上)、L/S比(2以上)→肺surfactantは28週で合成スタート34週で完成
羊水Cr:2以上
脂肪細胞:20%以上
△OD450:0.02以下
AFP:陰性
・NST
妊娠中に行う、胎動に伴って頻脈になるのが正常、胎児心拍数は140±40bpmを超えると異常(正常は140±20)
30週以降は覚醒睡眠が各20分→最低40分は検査すること、基線細変動は5bpm以上
一過性頻脈が20分で2回以上ならreactive
sinusoidalは100bpm以下かつ基線細変動消失
・CTG
CTGは分娩開始時に装着する、陣痛に伴って徐脈になるのが正常
早発一過性徐脈:子宮収縮ピークと徐脈ピークのtime lagが25秒以下、児頭圧迫だが正常、児頭圧迫→ICP↑→Cushing現象
遅発一過性徐脈:子宮収縮ピークと徐脈ピークのtime lagが25秒以上、胎児機能不全(早剥など)
変動一過性徐脈:徐脈と収縮のタイミングがバラバラ、羊水過小→臍帯圧迫、胎児と臍帯の位置関係によっては圧迫がないのでバラバラになる
・胎児機能不全→帝切、吸引分娩
児頭採血でpH<7.15、サイヌソイダルパターン、基線細変動5bpm以下、遅発一過性徐脈が15分以上、変動一過性徐脈60bpm以下が60秒以上
・胎児感染:母体の炎症所見(CRP)、子宮圧痛、羊水悪臭、NSTで持続性頻脈(180bpm以上)
・Bishopスコア(2倍して反対にして60で合格)
         0    1    2    3
頚管開大度(cm)  0   ~2   ~4    ~6
下降度(sp)    -3   -2    -1    +1
展退度     ~30  40~50  60~70  80~
硬さ      鼻翼  口唇   マシュマロ
8点以上で分娩誘発できる、子宮収縮薬はPG、オキシトシン(麦角アルカロイド=エルゴメトリンは弛緩出血の予防治療薬)
展退度100%でも全開大とは限らない
・胎児の位置
胎位:頭位、骨盤位、横位
胎向:第1は児背が母体右、第2は児背が母体左(母体左は肝臓があるのでスペースがない→第1が多い)
胎勢:
 屈位:先進部は小泉門=後頭部、最大通過径は小斜径
 反屈位は前頭位、額位、顔位
 前頭位:先進部は大泉門=前頭部、最大通過径は前後径
 額位:先進部は額部、最大通過径は大斜径
 顔位:先進部は顔(顎が母体前を向くのはオトガイ前方顔位、顎が母体後ろを向くのはオトガイ後方顔位)
・分娩開始:10分に1回の規則的な分娩陣痛
・分娩機転
第1期:陣痛周期10分~子宮口全開大、固定は38週頃でsp0、第1回旋(横を向く)でsp+1
第2期:胎児娩出、第2回旋(肛門を見る)→sp+1~+3、第3回旋(エビ反り)→sp+3~+4、第4回旋(肩を出す)、第1前方後頭位(第1胎向、先進部は後頭部=小泉門、先進部が母体の前に移動)が正常
第3期:ダンカンは前から、シュルツは後ろから胎盤がはがれる、出血は500ml以下、胎盤剥離徴候(アフェルドは臍帯が下降、クストナーは恥骨上縁圧迫で臍帯下降、シュレイダーは子宮底が上昇し右に傾く)
・産瘤:たんこぶ、仙骨と反対側、第1胎向で右、縫合を越える(第1胎向は背中が左)
・頭血腫:骨膜下血腫、仙骨でこすれる、第1胎向で左、縫合を越えない
・回旋異常
第1回旋の異常:前頭位、オトガイ前方顔位では経膣分娩可能
第2回旋の異常:
 後方後頭位:逆回転、臍を見る向き→自然治癒しなければ吸引分娩
 高在縦定位:下降なしで第2回旋→児頭浮遊→帝切
 低在横定位:第2回旋なしで下降(sp+2なのに小泉門9時)→吸引分娩
・吸引分娩の適応:子宮口全開大、sp+2以上、CPDなし
・児頭骨盤不均衡(CPD):全妊娠の5%、原因は狭骨盤か頭位拡大、CPD疑いは38週以降も浮遊,ザイツ法(触診で児頭が恥骨より上),子宮底長35cm以上,身長150cm以下、診断はガットマン法、エコーで産科的真結合線-児頭大横径<1cmまたは産科的真結合線が9.5cm未満、治療は帝王切開
・妊娠7週までは1/3が骨盤位、末期には3%
・骨盤位:全妊娠の3%、臀位が70%、足位が30%、膝位が1%、臀位は予後良好、足位は予後不良、先進部の臀部、足に産瘤
・足位は予後不良:前期破水→臍帯脱出→予後不良、足娩出→臍帯血管収縮→頭部子宮内→低酸素血症、足分娩後はブラート、バイトスメリ、横8などの方法で頭を素早く娩出、現在は帝切
・第1期は12h、第2期は2h、第3期は20分→計15h(経産婦は半分)
・遷延分娩は正常の2倍以上
・微弱陣痛
第1期では周期が6分以上、発作時間は30秒以下
第2期では周期が4分以上、発作時間は30秒以下(正常娩出期陣痛は周期2分、持続1分、内圧は50±5mmHg)
原因は①子宮が収縮しない:双胎、羊水過多、筋腫、子宮奇形、高齢妊娠、②胎児が出ない:CPD(狭骨盤、巨大児)、回旋異常
治療は通過障害/胎児仮死がなければ経過観察、頚管熟化なら陣痛促進剤、通過障害/胎児仮死があれば帝王切開
・過強陣痛:周期1分30秒以内(子宮口4~6cm),1分以内、Bandle収縮輪が臍高、原因は陣痛促進剤乱用、産道抵抗大、治療は陣痛抑制(塩酸リトドリン)、麻酔
・子宮復古:3日で3横指上がる→臍高→10日で10横指下がる→恥骨
・悪露:赤(3d)→褐(2w)→黄→白(1M)
・産褥期は感染性静脈血栓が好発→産褥0日から早期離床
・初乳:生後5日目まで、乳白色、IgA、蛋白、塩類、ラクトアルブミンが多い
 成乳:出生後2週以降、乳白色、乳糖、ラクトアルブミン、不飽和脂肪酸が多い、ミネラル、ビタミンKが少ない、ほぼ等張 
・流産:全妊娠の15%、22週未満の胎児の娩出、分類は、完全流産(胎児+胎盤が娩出、8週までに多い)、不全流産(一部が子宮内に残る)、進行流産(頚管開大、陣痛開始)、切迫流産(頚管開大なし、妊娠継続可能、頸管粘液中好中球エラスターゼ+)、稽留流産(死亡胎芽胎児が子宮内留まる、流産徴候なし、放置するとDIC起こす)、原因は胎児染色体異常(妊娠初期)、子宮奇形、頚管無力症、抗リン脂質抗体症候群(妊娠中期以降)
・習慣性流産:3回連続の流産、原因は①抗リン脂質抗体症候群、②子宮奇形(中隔子宮にはヒステロスコピー下切除、双角子宮にはStrassmann手術)、③頚管無力症:妊娠中期に流産徴候なく無痛性の流産、治療は頸管縫縮術(シロッカー:膣前壁からアプローチし内子宮口を縫縮、マクドナルド:外子宮口を縫縮、マクドは安い外食)、分娩時に抜糸
・早産:全妊娠の5%、22週~37週未満の胎児の娩出、原因は絨毛膜羊膜炎,多胎妊娠,前置胎盤、子宮頚管長短縮(35mm以下)、頸管粘液中顆粒球エラスターゼ+、治療は塩酸リトドリンで子宮収縮抑制、絨毛膜羊膜炎には抗菌薬、胎児仮死があれば急遂分娩
・絨毛膜羊膜炎:発熱38℃以上、母体頻脈100以上、WBC15000以上、羊水悪臭、頸管粘液中顆粒球エラスターゼ+
・卵管妊娠:膨大部70%、峡部30%、破裂前ならMTX卵管注入か腹腔鏡下卵管切開で卵管温存、破裂時はダグラス窩にecho free space→開腹し卵管切除、特にクラミジアが原因による卵管妊娠は対側にも起こるのでできる限り卵管温存
・頚管妊娠:だるま型子宮、内診は大出血、MTX血管内注入
・破水の診断:シダ状結晶、AFP、BTBで青変(アルカリ)
・妊娠高血圧症候群(PIH):全妊娠の10%、20週以降に初めて140/90以上(160/110以上なら重症)→胎盤血流↓→早剥/羊水過少(変動一過性徐脈)/胎児仮死、高血圧により子癇、脳出血、血管内脱水と循環血漿量↓、妊娠後半期の500g以上の体重増加は要注意、重症型はHELLP症候群(hemolysis,elevated liver enzyme,Low platelet count)、治療は低カロリー1800kcal、塩7g、蛋白70g、降圧剤(ヒドララジン、αメチルドパ)、抗痙攣薬(MgSO4)、帝切
・対称性IUGR:奇形、染色体異常、子宮内感染(妊娠前半期の異常)
 非対称性IUGR:胎盤機能不全、妊娠高血圧症候群(頭は大きく体は小さい→頭はOK∴妊娠後半期の異常)
・前置胎盤:突然、就寝中の無痛性警告出血(外出血)、頚管の立方上皮に胎盤が入り込んで癒着胎盤、内診禁忌→経膣エコー、原因は頻回の出産や中絶、治療は自己血保存の上、37週まで経過観察、胎児仮死や出血量増加あれば急遂分娩
・常位胎盤早期剥離:全妊娠の1%、胎盤後出血(内出血)→DIC/shock、板状硬、強い腹痛、胎盤血流↓→胎児仮死、羊水過少、原因は妊娠高血圧症候群、腹部打撲、急激な羊水内圧減少、治療はDIC/shockに輸液輸血、ヘパリン、胎児仮死あれば急遂分娩
・胎児仮死:胎動減少、羊水過少、NSTで胎児心拍140±40を超える、CTGで遅発一過性徐脈、変動一過性徐脈、超音波パルスでMCA-RI(resistanse index)低下、胎児血pH7.15以下、BPS2点以下、
・妊娠糖尿病(GDM):妊娠中DMだが産後1ヶ月後には正常化、産褥1週/4週に診断する
・糖尿病合併妊娠:DMの人が妊娠
胎児合併症:催奇形性、巨大児(肩甲難産)、低Ca(副甲状腺未熟)、低血糖、高bil(肝臓未熟)、IRDS(肺未熟)
母体合併症:妊娠高血圧症候群、羊水過多
診断:BS92/180/153(空腹時/75gOGTT1h/2h)のうち1項目
治療:インスリン(経口血糖降下剤は禁忌)でFBS100/OGTT2h120以下にする、カロリーは妊娠初期+50/中期は+250/末期は+450/授乳期は+350kcal
・バセドウ合併妊娠:プロピオチルウラシル、自己抗体がIgGだから起きる
・SLE合併妊娠:少量プレドニゾロンで寛解なら妊娠OK、新生児一過性ループス(皮疹、AVblockはSS-A抗体+で多い)
・子宮筋腫合併妊娠:分娩継続、分娩障害あれば帝王切開とともに筋腫核出術(妊娠中は核出術しない)
・子宮頸癌合併妊娠:異形成、CISは分娩後に円錐切除、浸潤癌は頚癌治療しつつ22週以降帝王切開
・尿路結石合併妊娠:ESWLは禁忌、尿管ステントや輸液で妊娠継続、痛みがあってもNSAIDは禁忌(動脈管収縮でIUGR)
・てんかん合併妊娠:抗てんかん薬は妊娠中も継続、バルプロ酸は二分脊椎起こす
・心不全合併妊娠:妊娠8ヶ月が循環血漿量最大
・腎不全合併妊娠:GFR<50、Cr>1.5で妊娠中絶
・Rh不適合妊娠:胎児水腫、核黄疸(CP)、診断は直接Coombs(臍帯血中抗D測定)、間接Coombs(母体の抗D測定)、羊水△OD450(羊水中bil測定)、治療は母Rh-,父Rh+で感作前なら72h以内に母に抗D-Ig、感作後なら胎児輸血、交換輸血、光線療法
・トキソプラズマ:水頭症、脳内石灰化、網脈絡膜炎
・サイトメガロ:水頭症、黄疸、血小板減少
・風疹:白内障、PDA、感音性難聴、妊娠初期の風疹ワクチン接種は禁忌
・HSV:ヘルペス脳炎、母体血中IgG-なら経膣分娩は禁忌
・HBV:母がe抗原+なら児は95%がs抗原+のキャリア、治療はHBIG投与、その後出生3ヶ月以内にHBワクチン
・HIV:妊娠中からのHAART+無血帝切+分娩後児への抗HIV薬投与+授乳禁止で垂直感染2%
・一卵性双胎:遺伝性なし、胎盤が1個(1絨毛膜1羊膜)なら必ず1卵性、しかし胎盤2個だと1卵性で別々に着床したか2卵性か分からない、胎盤1個+羊膜だけ2枚→TTTS→吻合血管をレーザーで焼く、TTTSは受血児の方が予後不良
・二卵性双胎:遺伝性あり、胎盤2個、羊膜、絨毛膜、脱落膜すべて2枚
・子宮破裂:CPD、回旋異常、過強陣痛、帝切既往、前兆は収縮輪が恥骨上10cmに上昇、破裂時の激痛と内出血によるショック、漿膜側不全破裂の場合はDouglas窩に血液貯留、治療は輸液輸血、緊急開復術、DIC治療、帝切ではsilent rapture(痛み少ない)
・頚管裂傷:子宮収縮良好→分娩直後で子宮底は臍下2横指、鮮紅色の外出血、痛み少、治療は縫合術
・会陰裂傷:子宮収縮良好→分娩直後で子宮底は臍下2横指、鮮紅色の外出血、痛み少、不十分な会陰保護、6時方向が多い、1度は皮下限局で自然治癒、2度は筋層に及ぶ、3度は肛門括約筋に及ぶ、4度は肛門粘膜に及ぶ、治療は2度以上はすぐに縫合術
・弛緩出血:子宮収縮不良→分娩直後なのに子宮底が臍上(正常は臍下2横指)、暗赤色の外出血、痛み少、治療は子宮収縮薬、分娩後出血の90%を占める
・子宮内反:胎盤娩出時の急激な腹圧、臍帯牽引、激痛を伴う出血、ショック、治療は全身麻酔下で用手整復、無理なら開腹整復
・産褥熱:胎盤剥離面からの感染、産褥10日までに2日以上の38℃以上、治療は抗菌薬(嫌気性菌はクリンダマイシン)、子宮内膜炎、骨盤結合織炎、付属器炎、腹膜炎、感染性静脈血栓(左下肢の浮腫、疼痛、熱感が多い)
・うっ滞性乳腺炎:乳汁うっ滞による疼痛、感染や炎症所見なし、感染がないので授乳はOK、治療は搾乳、乳頭清拭
・急性化膿性乳腺炎:うっ滞性乳腺炎+黄ブ菌、感染があるので授乳NG、治療は抗菌薬、切開排膿

婦人科ポイント

婦人科ポイント

・婦人科診察
外陰部視診→クスコ(膣鏡診)→双合診
双合診をすると粘膜の性状が変わるのでクスコを先にすること
触診では卵管、卵巣は触れないのが正常
経腹超音波は膀胱充満、経膣超音波は膀胱空で行う
・発生
生殖原基→卵巣、精巣(6,7週頃)
Muller管→卵管、子宮、膣上2/3
Wolff管→精巣上体、精嚢、精管(Y染色体があるとMuller管抑制因子が出る)
尿生殖洞→小陰唇⇔尿道(陰毛なし)
生殖隆起→大陰唇⇔陰嚢(陰毛あり)
生殖結節→陰核⇔陰茎
・卵子形成
卵子数:胎生期600万、出生時200万、思春期30万個
出生時には第1減数分裂の途中、排卵時に第1減数分裂が完了、受精時に第2減数分裂が完了
第1減数分裂完了時に第1極体1個、第2減数分裂完了時に第2極体3個が放出される
・靱帯
卵巣固有靱帯(固有卵巣索):卵巣と子宮をつなぐ
骨盤漏斗靭帯(卵巣提索):卵巣と骨盤をつなぐ
基靱帯:子宮と骨盤をつなぐ
膀胱子宮靱帯:子宮と膀胱をつなぐ
仙骨子宮靱帯:子宮頚部と仙骨をつなぐ→直腸指診で触診
円靭帯:子宮底部と恥骨をつなぐ、鼠径管を通過する
広靭帯(広間膜):体部と骨盤をつなぐ
・卵巣動脈は大動脈から直接分枝し、固有卵巣索、卵巣索の中を走行
・子宮動脈は内腸骨動脈の枝で内子宮口の高さで子宮に入り、上行枝と下行枝に別れ、上行枝は卵巣動脈を吻合
・尿管は基靱帯の上、子宮動脈の下をくぐって膀胱子宮靱帯を貫く
・感染症
性器クラミジア:膣炎は起こさない、頸管炎→内膜炎、筋層炎→卵管炎→付属器炎→子宮卵管溜嚢腫、汎発性腹膜炎、肝周囲膿瘍、肝周囲膿瘍により肝機能低下、頚管分泌物をPCR法か血中IgM型クラミジア抗体
尖圭コンジローマ:HPV6,11が重層扁平上皮に感染、潜伏期は数週から数ヶ月で幅がある、痛くも痒くもない、新生児に産道感染すると乳幼児喉頭乳頭腫→呼吸困難や哺乳困難で重篤化∴帝切、治療は冷凍療法、抗腫瘍薬軟膏
外陰ヘルペス:HSV1,2、外陰部潰瘍、歩くだけで痛い、妊婦の初感染(HSV-IgG陰性)では帝切、治療はアシクロビル
膣カンジダ症:真菌、誘引はステロイド、DM、妊娠、ピル、抗菌薬。激しい掻痒感→掻爬して陰部が赤発、酒かす様帯下、治療はトリコマイシン
トリコモナス膣炎:原虫、膣炎のみ、上行性感染は起こさない、泡沫状帯下、掻痒感、治療はメトロニダゾール
細菌性膣症:妊婦の20%、Gardnerella vaginalis、無症状、切迫早産を起こしやすい、帯下所見は灰色、pH>5、アミン臭、Clue cell、治療はメトロニダゾール
・子宮内膜
基底層→海綿層→緻密層、海綿層と緻密層を機能層といい、月経で脱落する
増殖期:腺が折りたたまれて偽重層(本来は腺組織なので単層立方上皮)
分泌期:単層の腺組織、初期は丸いがピーク時は蛇行、腺上皮内は粘液で核が偏在→染色過程で空洞化(核下空胞、核上空胞)
・月経周期
増殖期は約14日だが個人差あり、黄体期は全員14日
内膜:増殖期①②→分泌期③④→月経⑤
卵巣:卵胞期①②→黄体期③④
①FSH↑により卵胞発育→卵胞周囲の顆粒膜細胞からE分泌
②E↑↑→GnRH↑↑→LHサージ→排卵、E↑により子宮内膜機能層増殖
③排卵後の卵胞が黄体になり、P分泌
④Pは代謝亢進(体温上昇)、子宮内膜機能層増殖をstop&保持
⑤黄体が白体化しP↓、子宮内膜機能層剥離(月経)
・排卵の1,2日前から精子受け入れ準備でE↑→頚管粘液が生食で薄められる→粘調度↓、けん糸性↑、シダ状結晶↑、アルカリ化(酸性環境の中和)
・黄体期は受け入れ拒否で逆
・アクチビン:卵巣が分泌、下垂体のFSH,LH合成を促進(FSH,LH分泌はGnRHが促進)、インヒビンはアクチビンの逆作用
・稀発月経は39日~3ヶ月未満の月経周期、無月経は3ヶ月以上
・早発月経は初経10才未満、遅発月経は初経15才以上、原発性無月経は18才でも初経なし
・早発閉経は閉経43才未満、遅発閉経は閉経55才以上
・続発性無月経
診断:まずP投与→出血あれば第1度無月経、なければE+Pを投与→出血あれば第2度無月経でGn測定し、Gn↑なら卵巣性、Gn↓なら視床下部か下垂体性、出血なければ子宮性無月経
高PRL血症:PRL↑→Gn↓→無月経、乳汁漏出(絞ると出てくる)、治療はブロモクリプチン(ドパミン作働薬)
第1度無月経:Pで性器出血、治療はクロミフェン(抗E作用薬、EによるGnRHへのnegative feedbackをブロック)
第2度無月経:E,Pで性器出血、Gn↑なら卵巣性、Gn↓なら視床下部/下垂体性
 視床下部/下垂体性:治療はhMG-hCG(hMG=FSH,hCG=LH)
 卵巣性:Gn↑,FSH↑,LH↑、治療はKaufmann療法(ピル、Eの後にP投与で月経起こす)→ほとんどがTurnerなので妊娠は無理だが生理と2次性徴を起こし精神的安心を得るため
・PCOS(多のう胞性卵巣症候群):卵巣白膜肥厚化→排卵できず成熟卵胞多数貯留→両側卵巣腫大、黄体できずP↓(初経から不順)、卵胞成熟必要なしでFSH正常、排卵促進のためLH↑↑(LH/FSH>2.5)、E2になれないE1がアンドロゲン化(男性化)
    LH↑↑                FSH~
前駆物質→アンドロステンジオン↑↑(莢膜細胞)→E2(顆粒膜細胞)→E1
アンドロステンジオン↑↑→男性化、卵巣白膜肥厚→クロミフェンだけでは排卵させにくい、E1↑↑で子宮体癌のリスク、治療は肥満にDM治療、挙児希望ならクロミフェン(有効率20%)、GnRHアゴニストでLHを0にした後、hMG-hCG療法、腹腔鏡下卵巣多孔術、挙児希望ないならピル(E+P)で子宮体癌予防
・Stein-Leventhal症候群:PCOSで男性化が強いもの、PCOSは無月経,多毛,肥満がtrias
・不妊
男性因子:精子量>2ml、濃度2000万/ml、運動率>1/2、奇形率<1/2
卵管因子:Rubinテスト(卵管通気通水法)→通気通水性が正常でも線毛機能障害で不妊の可能性あり
頚管因子:Huhnerテスト(前日性交して翌日精子がどれだけ生き残っているか)
子宮因子:子宮卵管造影
卵巣因子:E+Pで性器出血、LH,FSH↑↑
・不妊の治療
①人工授精:精子を濃縮して子宮に注入(男性因子、頚管因子に)
②体外受精胚移植(IVF-ET):hMG,hCGで排卵させ卵子を取り出して受精させて子宮壁に着床させる
③GIFT,ZIFT:卵子を取り出して受精させ、腹腔鏡で卵管に戻す(pick up障害)
・OHSS(卵巣過剰刺激症候群):hMG,hCG→E↑↑→血管透過性↑→胸水、腹水、血管内脱水→血液濃縮→血栓塞栓、卵巣は多嚢胞性(PCOSより大きい嚢胞)、治療は輸液(生食、アルブミン)、尿量減少にはドパミンで腎血流↑
・黄体機能不全:流産の原因の1つ、高温相10日以内(正常では14日で個人差なし)、温度差0.3℃未満、治療はE(クロミフェン)で卵胞成熟促進、P(ゲスターゲン)で黄体ホルモン補充、hMG-hCGで黄体化促進
・月経困難症:内膜症、腺筋症、筋腫→月経痛↑、月経量↑、不妊、治療はLHRHアナログ=GnRHアゴニスト(ブセレリン、スプレキュア)でLH,FSH下げる、ダナゾール(男性化)
・子宮内膜症:妊娠の高齢化で月経回数増加→月経血が卵管を逆流→卵管、卵巣、ダグラス窩、仙骨子宮靭帯、子宮漿膜下に異所性内膜増殖、卵巣病変はチョコレート嚢胞でT1脂肪抑制下でもhigh、ダグラス窩/仙骨子宮靭帯病変は直腸指診、子宮漿膜下病変はブルーベリースポットで凍結骨盤、診断は腹腔鏡、血液は脂肪と同様T1T2high、CA125↑、治療は妊娠状態にすること→偽閉経療法(GnRHアゴニスト)、骨粗鬆症起こすので6ヶ月以内にする、ブルーベリースポットは電気メス
・子宮腺筋症:子宮筋層の中に内膜が侵入し増殖し出血→ものすごく月経痛が強い、子宮収縮ができないので月経血の止血ができず過多月経、着床できず不妊、T2で筋層(low)の中に腺組織と出血(high)が散在、腺組織は境界不明、junctional zoneとの境界不明、中に出血、CA125↑(内膜増殖で↑)
・子宮筋腫:子宮の平滑筋腫、T2low、境界鮮明、筋層内筋腫や粘膜内筋腫は子宮収縮ができないので月経血の止血ができず過多月経、漿膜下筋腫は無症状、粘膜下筋腫は筋腫分娩、治療は核出術、子宮動脈塞栓(UAE)、収束超音波治療(FUS)、しかしGnRHアゴニストは使わない(∵治療開始時のフレアアップによる出血量↑)、筋腫内に出血や壊死があれば子宮肉腫(ケモラジ効かない)、FUSは塞栓部位子宮壁癒着により不妊
・子宮頚癌:
SCJ内側の円柱上皮にHPV16,18が感染→扁平上皮化生→扁平上皮癌(85%)、15%は腺癌(腺腔構造+、粘液+、CEA,CA19-9、予後不良)
頚部擦過細胞診→コルポスコープ→狙い組織診→円錐切除→準/広汎子宮全摘
①まず細胞診で組織診を予想する
Ⅰ:正常
Ⅱ:炎症
Ⅲa:軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)
Ⅲb:高度異形成(CIN3)(CIN3までは極性あり→表皮に行くほど角化傾向)
Ⅳ:上皮内癌CIS(極性なし、細胞質のほとんどを核が占める)CIN3
Ⅴ:浸潤癌(基底膜が追えない)
コルポで酢酸加工後白色上皮、モザイク、赤点斑、異型血管、ナボット小卵→Ⅲ以上
②Ⅲ以上は組織診を行い確定診断
③ⅢⅣは円錐切除
④Ⅴは期別分類
頚癌の期別分類
Ⅰa1:基底膜を超えた深さ3mm以下
Ⅰa2:基底膜を超えた深さ3mm~5mm
Ⅰb:基底膜を超えた深さ5mm以上
Ⅱa:膣壁2/3までの浸潤
Ⅲa:膣壁2/3以上の浸潤
Ⅱb:子宮傍組織浸潤、しかし骨盤壁浸潤はない
Ⅲb:子宮傍組織浸潤、骨盤壁浸潤もある
Ⅳa:膀胱直腸浸潤
Ⅳb:肺転移など小骨盤腔を越えたもの
⑤Ⅰaは準広汎子宮全摘、Ⅰa1は挙児希望なら円錐切除、Ⅰb/Ⅱは広汎子宮全摘、Ⅲ/Ⅳは外照射+内腔照射
・頚癌ワクチン:HPV16,18(頚癌の60%の原因)に対するワクチン、45,56型には効果がない→HPVワクチンで全ての頚癌が予防できるわけではない
・子宮体癌:50~60才の未産婦、閉経後の不正性器出血とくればこれ、閉経なのに肥満でE↑→内膜増殖→癌化
子宮内腔の細胞診→ヒステロスコープ→内膜掻爬(体部と頚部の両方を掻爬)
治療:
0期:複雑型子宮内膜異型増殖症
Ⅰ期:内子宮口にとどまる→単純子宮全摘
Ⅱ期:子宮頚部に及ぶ→広汎子宮全摘
ⅢⅣ期:子宮外→放+プロゲステロン大量投与
・子宮内膜増殖症:内膜の増殖、子宮体癌との鑑別が難しい
単純性子宮内膜増殖症:E>Pによる過剰な内膜増殖→破綻出血、細胞異形成なし、原因は思春期、閉経期、E産生腫瘍、E投与、治療はP(+E)
子宮内膜異型増殖症:異形成あり、子宮体癌の前癌病変(上皮内癌)
・腫瘍マーカー
CA125:内膜増殖で↑、子宮内膜症、子宮腺筋症、頚部腺癌、卵巣漿液性嚢胞腺癌
CA19-9:成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫、類皮嚢腫、デルモイド)卵巣ムチン性嚢胞腺癌
CEA:Kruckenberg腫瘍
・卵巣腫瘍:高齢者は上皮性、若年者は胚細胞由来→悪性でも片側卵巣切除に留める、嚢胞性は95%が良性、充実性は80%が悪性、「癌,肉腫,未分化,芽,未熟」がつけば悪性、例外は顆粒膜細胞腫は境界悪性、卵黄嚢腫瘍は悪性
・卵巣腫瘍の治療:腹水中癌細胞陽性でも開腹除去する、卵巣腫瘍は腹水や腫瘤でイレウスになり死ぬため抗癌剤で小さくして腫瘍を除去するを繰り返す(second look operation)
・良性~境界悪性卵巣腫瘍
漿液性嚢胞腺腫:単房性、中は水、最多
粘液性嚢胞腺腫:多房性、中はムチン、巨大化しやすい
ブレンナー腫瘍:コーヒー豆様細胞
莢膜細胞腫:E産生
顆粒膜細胞腫:E産生、若年者と高齢者、境界悪性
Leydig細胞腫:A産生
Sertoli間質細胞腫:A産生、若年者
線維腫:良性だが胸水、腹水を伴い重症に見える(Meigs症候群)
成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫、類皮嚢腫、デルモイド):毛髪塊など3胚葉成分あり、脂肪が多くてつるつるして茎捻転起こしやすい(妊娠で特に起きやすい)、若年者、稀に皮膚成分が悪性化して扁平上皮癌になる→SCC↑
・悪性卵巣腫瘍
漿液性嚢胞腺癌:CA125>CA19-9
粘液性嚢胞腺癌:CA19-9>CA125
胎児性癌:AFP、若年者
未熟奇形腫:AFP
未分化胚細胞腫:LDH、若年者、精巣セミノーマと同じ病理組織
絨毛癌:hCG
卵黄嚢腫瘍:AFP
明細胞腺癌:明るい細胞、核は真ん中
Krukenberg腫瘍:明るい細胞、核は偏在(印鑑細胞癌)、胃癌や乳癌の転移、DIC起こしやすい、CEA
・腫瘍と間違えやすいもの(若年者)
卵胞嚢胞:PCOSの卵巣
ルテイン嚢胞:妊娠黄体がhCGに過剰反応、妊娠12週以降には消える
チョコレート嚢胞:卵巣にできた子宮内膜症、40才/4cm以上なら稀に類内膜癌や明細胞癌が発生する
・絨毛疾患:妊娠反応+なのにGSなし、つわりが強い、hCG高値、AFP低値、snow storm pattern
部分胞状奇胎:一部の絨毛が嚢胞化したもの
全胞状奇胎:全部の絨毛が嚢胞化したもの、23Xの精子が2倍体になって生じる(雄核発生)
侵入奇胎:胞状奇胎が筋層内に入り込んだもの→メタする
絨毛癌:絨毛構造がない、出血壊死+、妊娠性絨毛癌(雄核発生)、非妊娠性絨毛癌(胚細胞由来で卵巣、精巣、松果体部腫瘍)
治療は、胞状奇胎は内膜掻爬して血中β-hCGを測定する→1週後に再掻爬、5週後に1000mIU/ml以下、8週後に100mIU/ml以下、12週後にLHレベル(20mIU/ml)以下なら治癒(LHとhCGのα鎖共通なのでβ鎖を測定する)
掻爬しても血中hCG↑のまま→存続胞状奇胎→肺、脳、肝腎、膣転移
侵入奇胎は単独化学療法、絨毛癌は多剤併用療法(MTX、アクチノマイシンD、エトポシド)
・外陰癌の上皮内癌:外陰Paget病(表皮内腺癌)、Bowen病(表皮内扁平上皮癌)
・乳腺腫瘍の診察:両手を挙上/下垂で視診、頭の後ろで手を組んで触診、つまんでえくぼ徴候ないか、腋窩リンパ節は上肢を下垂させて触診
・乳腺症:ホルモンバランスの異常、両側性の乳腺疼痛、境界不明瞭な硬結、月経開始前に増悪
・線維腺腫:これだけ20才台、腺腫成分+線維成分、境界明瞭、無痛性、乳輪直下にできやすい
・乳管内乳頭腫:腺管上皮の腫瘍で、早期から腺管内発育→乳頭出血、腫瘤は触知しない(乳癌なら乳頭出血ある頃には腫瘤触知するはず)、治療は乳腺部分切除
・乳癌:90%は腺管由来、10%は小葉由来、外上1/4に好発→腋窩リンパ節転移、原因は未産婦、高脂肪食、肺、骨、脳に転移
症状は無痛性、境界不鮮明、移動性少ない、えくぼ徴候(Cooper靭帯への浸潤)、ポードオレンジ(皮膚浸潤)、上肢浮腫(腋窩リンパ節転移)
スクリーニングはマンモと超音波でspiculaや微細石灰化
病期分類
0期:腺管、小葉内に留まる
Ⅰ期:2cm以下
Ⅱ期:2-5cm、または同側腋窩リンパ節転移あり
Ⅲa期:
Ⅲb期:
Ⅳ期:遠隔臓器への転移
・乳癌の治療:
Ⅰ期:腫瘍切除、乳房切除などの乳房温存術、非定型乳房切除、腋窩リンパ節郭清は術中にセンチネルリンパ節転移があれば行う
Ⅱ期:定型乳房切除術(大胸筋、小胸筋切除)
Ⅲa期:
Ⅲb期:
Ⅳ期:放射線、内分泌療法、分子標的療法
・乳癌の内分泌療法
E受容体+で閉経前→LHRHアゴニスト、タモキシフェン(抗E薬)(卵巣由来のEを抑制)
E受容体+で閉経後→アロマターゼ阻害薬、タモキシフェン(アロマターゼ阻害薬で副腎由来のE合成を抑制)
・乳癌の分子標的療法:トラスツズマブ(ハーセプチン)、HER2受容体+の時、骨転移があっても治る、副作用は心臓障害