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2011年12月31日土曜日

皮膚科ポイント

皮膚科ポイント

1組織と機能
・皮膚は上から表皮(0.2mm)、真皮(2mm)、皮下組織
・表皮はほとんどが細胞成分からなり、基底細胞(基底層)→有棘細胞(有棘層)→顆粒細胞(顆粒層)→角質細胞(角層)の順に分化する角化細胞と、紫外線防御のためのメラノサイト、表皮の免疫担当のランゲルハンス細胞からなる。
・基底細胞は基底膜にヘミデスモゾームで結合し、他の角化細胞どうしはデスモゾームで互いに結合している。
・角質層になるとデスモゾームが壊れて、角質が脱落する。
・紫外線によりビタミンDを活性化し、消化管からのCa、Pの吸収を促進する
・PAS染色は基底膜を染める染色法
・真皮には血管、リンパ管、神経、基質(ムコ多糖類)、線維(膠原線維、弾性繊維)、細胞(組織球、線維芽細胞、肥満細胞)がある。
・真皮には神経があるので真皮病変は掻痒感、疼痛がある(表皮病変にはないので掻痒感、疼痛はなし)。
2表皮の疾患
☆尋常性ざ瘡
・ざ瘡=にきび
・思春期のアンドロゲン↑→角層↑、皮脂腺分泌↑→毛根閉鎖→アクネ菌がTGを遊離脂肪酸に分解→酸による炎症
・アクネ菌は常在菌で通常は遊離脂肪酸による表皮の殺菌効果がある。
☆熱射病
・汗による脱水→汗がかけなくなり体温↑→視床下部の体温中枢障害→体温上昇
・汗=2分の1生食を補う+ぬるま湯の吹きかけと気化熱冷却(氷水では体表血管の収縮で中が冷却できない)
☆尋常性乾癬
・表皮のturn overが異常に短くなる(45日→5日)
・細胞回転が速いので高尿酸血症
・表皮内のデスモゾームが強固なままで角質が脱落しない→銀白色鱗屑を伴った限局性紅斑
・ケプネル現象陽性(健常皮膚を刺激すると病変が出現)
・アウシュビッツの血露現象(無理やりはがすと真皮まではがれて出血)
・表皮疾患なので痒くない!
・治療はPUVA療法(ソラレン+UVA照射)、ステロイド、シクロスポリンで免疫抑制、メトトレキセートでDNA合成抑制、ビタミンD補充
☆尋常性白斑
・自己免疫によるメラノサイト破壊
・治療はPUVA療法、ステロイド、ビタミンD3外用、皮膚移植
☆色素性乾皮症(XP)
・DNAの修復酵素の欠損(AR)→日光過敏、全ての皮膚癌、中枢神経障害(聴覚異常、構音障害)
☆晩発性皮膚ポルフィリン症
・多飲酒歴のある中年男性
・露光部に破れやすい水泡
☆薬剤性光線過敏症
・サイアザイド
☆尋常性天疱瘡
・角化細胞間を結合するデスモゾームへの自己抗体(抗デスモグレインIgG抗体)→表皮内に水がたまる=水泡→表皮内なのでこすれると破れるので弛緩性水泡
・病変は口腔粘膜から始まり全身皮膚へ
・表皮内にとどまるので痒みはなし
・ニコルスキー現象陽性(さわるだけでベロリとはがれる)
・ツァンクテスト(自己抗体免疫染色で角化細胞間が染まる)
・治療はステロイド、効かないときは血漿交換、免疫抑制
☆落葉状天疱瘡
・皮膚病変のみで軽症
☆類天疱瘡
・基底膜と基底細胞を結合しているヘミデスモゾームへの自己抗体(抗BP180 IgG抗体)
・表皮下に水泡→やぶれにくので緊張性水泡
・真皮に近いので痒みあり
☆アトピー性皮膚炎
・湿疹=皮膚炎
・表皮を中心としたⅠ型アレルギー→IgE↑、好酸球↑
・真皮乳頭に炎症が波及するので痒い
・屈曲面→刺激→掻痒感→掻破→苔癬化(ひじ、ひざ、顔)
・白色皮膚描記症(皮膚をひっかいても白色のまま)
・合併症:白内障、伝染性軟属腫(DNAウィルス)、伝染性膿痂疹(黄ブ菌)、カポジ水痘様発疹(HSV)
☆貨幣状湿疹
・中年、四肢伸側、自家感染
☆単純疱疹
・疱疹=ヘルペス
・HSV1は口、HSV2は外陰部
・初感染は歯肉口内炎→ストレス時に口唇周囲の水泡(表皮内に水がたまる)
・ツァンクテストで核内封入体(HSVはDNAウィルスなので)
cf.RNAウィルスでは核周囲封入体
☆帯状疱疹
・発感染は全身性の水疱瘡(水痘)→感覚神経内に潜む→ガンなど細胞性免疫低下→帯状疱疹(片側性)
・肋間神経などの走行に沿ってできる
☆掌蹠膿胞症
・慢性扁桃炎→交叉抗体抗原反応→手のひら、足の裏に無菌性の膿疱
・膿疱内には細菌陰性、好中球がある
・胸肋鎖骨異常骨化による胸痛
・ステロイド、PUVA療法、扁桃摘出
☆Sweet病
・白血病、MDSに合併する多発性浮腫性紅斑
・発熱、好中球↑(∵G-CSF↑)
☆壊疽性膿皮症
・壊疽=黒色の壊死
・大動脈炎症候群、UC、クローン病、白血病に合併
☆SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)
・乳幼児
・黄ブ菌の表皮剥奪毒素が原因→水泡内に菌はいない
・ニコルスキー現象陽性
☆TEN(中毒性表皮壊死型薬疹)
・全ての薬剤で起こりえる
・熱傷様表皮剥奪→重症例は死亡する
・ニコルスキー現象陽性
☆Stevens-Johnson症候群
・薬剤や感染→全身に多形性滲出性紅斑
・死ぬことはないが失明が後遺症
☆扁平苔癬
・四肢屈側、体幹、外陰部
・口腔、爪に他の皮膚疾患を合併
・ケプネル現象陽性
☆黒色表皮腫
・腋窩、鼠径部、首筋に色素沈着、角質増殖
・肥満、胃癌、DMに合併
☆尋常性疣贅
・HPV
・凍結療法
3表皮細胞の腫瘍
・基底細胞腫、有棘細胞癌→浸潤癌
・Bowen病、Paget病、日光角化症→表皮内癌
・露光部にできる→基底細胞腫、日光角化症
・黒い→基底細胞腫、Bowen病
・湿疹様→Paget病
☆基底細胞腫
・老人の露光部
・一部は脂腺母斑由来(生まれつきのハゲ→ザラザラしてきて癌化)
・基底細胞はメラノサイトからメラニンを受け取る→黒色腫瘍
☆有棘細胞癌
・有棘細胞癌=扁平上皮癌
・メラニンがないので黒くない
・原因:熱傷瘢痕、色素性乾皮症、日光角化症、放射線、尋常性狼瘡、Bowen病、
・SCC↑、SYFRA↑
☆Bowen病
・黒っぽいかさぶた
・他の悪性腫瘍の合併が多い
・露光部は関係なし
☆Paget病
・「乳房と外陰部にできたステロイド無効の湿疹」とくればこれ。
・細胞診でPaget細胞(細胞質が大きくて白い)
☆日光角化症
・老人の露光部にできる
☆母斑細胞性母斑
・母斑=ほくろ
・メラノサイトの良性腫瘍
・大きいものはメラノサイトへ進行
・真皮の深いところにできるので青い(深い海は青い)
・メラノサイトは表皮細胞なので真皮にできてもここに入れてます。
☆太田母斑
・目の周りにできた青い母斑
・生後すぐ、または思春期に出現
☆メラノーマ
・メラノサイトは神経堤から表皮に遊走するためデスモゾームがない→非常に転移しやすい→生検禁忌
・足の裏にできたしみ出しのあるほくろ
☆母斑症
・癌抑制遺伝子の異常
・von Recklinghausen病:カフェオーレスポット、神経線維腫1、脳内石灰化
・結節性紅斑:初発は木の葉状白斑→顔面の脂腺様皮疹(実は血管線維腫)、爪のケーネン腫瘍、脳内石灰化、West症候群
・SturgeWeber症候群:顔面の血管腫+牛眼
4真皮の疾患
☆エーラースダンロス症候群
・やわらかく伸びやすい皮膚、柔らかすぎる関節、異常な瘢痕形成傾向
☆マルファン症候群
・膠原線維(コラーゲン)の異常、AD
・高身長、くも状指、漏斗胸、はと胸、高口蓋、水晶体亜脱臼
・大動脈解離、AR、MVP、肺のう胞の合併
☆弾性仮性黄色腫症(PXE)
・弾性線維(エラスチン)の変性
・首すじ、わきの下にザラザラデコボコの黄色腫様
・心臓血管系の異常(高血圧、眼底出血など)
☆ムコ多糖蓄積症
・ムコ多糖が真皮、角膜、軟骨、神経に蓄積→ガーゴイリズム、角膜混濁、骨格異常、精神発達遅滞
・ハーラー、ハンター、モルキオ
・代謝異常はAR。しかし、ハンターは例外でXR。
☆ヒスチオサイトーシスX
・Lettere-Stiewe病:2歳まで。発熱、発疹、肝脾腫
・Hand-Schuller-Christian病:2歳~6歳。眼球突出、地図状頭蓋、尿崩症
・好酸球性肉芽腫症:6歳以降。上肺野の間質性肺炎、肉芽腫による気胸、尿崩症
☆肥満細胞腫
・色素性蕁麻疹
・蕁麻疹=真皮の浮腫→大きなもりあがり、神経があるので痒い!
☆遺伝性血管神経性浮腫(HANE)
・C1inhibitor欠損→真皮深くにできる蕁麻疹→深すぎて痒くない、non-pitting edema
・喉頭浮腫による窒息を防ぐために気道確保
☆グロムス腫瘍
・爪の下、かなり痛い、青い
☆皮膚T細胞性リンパ腫
・皮疹、紅皮症
・菌状息肉症、セザリー症候群、ATLL
☆丹毒
・A群レンサ球菌の真皮感染→顔面全体が真っ赤にただれる、痛い
☆非定型抗酸菌
・水槽の手入れ→半年くらいで皮疹
・抗酸菌なので増殖スピードが遅い
・抗酸菌なのでZiehl-Neelsen染色
☆伝染性膿痂疹
・黄ブ菌の真皮感染→有痛性、限局性
・アトピーでひっかいて感染する
5皮下の疾患
☆フレグモーネ
・皮下蜂巣炎、黄ブ菌
☆Weber-Christian病
・中年女性
・感染でもないのに発熱、四肢の有痛性紅斑→瘢痕化
☆黄色腫
・高脂血症、糖尿病
☆ケロイド
・外傷範囲を超えて広がる、皮下の膠原線維の増殖、腫瘤
・切除しても創傷治癒過程の異常なので、また出てくる
6他の表皮感染症
☆ダニ、真菌
・ダニ、真菌:KOHで角質を溶かして検出する。ステロイド禁忌
・カンジダ:主婦は第3指間、爪周囲、乳幼児は陰股部
・皮脂が少なすぎるとカンジダ、白癬が増えてしまう。皮脂が多すぎると脂漏性皮膚炎(中年男性と乳児)
・白癬:第4趾間、爪。水疱内には白癬菌はいない。
・ケルスス:幼児の頭髪の白癬症→脱毛。ペットからの感染
・癜風(でんぷう):若年の男性の汗をあくところにできる。わずかに隆起した紅斑。痒みなし。
・疥癬:ヒゼンダニ。細胞性免疫不全で重症化(ノルウェー疥癬)。硫黄風呂でよくなる。
☆フルンケルンとカルブンケルン
・「せつ」と「よう」
・フルンケルンはひとつの毛根(=表皮の落ち込み)の黄ブ菌感染
・カルブンケルンはフルンケルンの集まったもの
☆尋常性毛そう
・毛そう=ひげそり負け

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