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2021年12月27日月曜日

がん免疫療法

☆チェックポイント阻害薬(オプジーボ、キイトルーダ)
・T細胞表面にあるPD-1ががん細胞表面にあるPD-L1によって刺激されT細胞が抑制される。
・抗PD-1抗体を使うことでT細胞の抑制を解除し、がん細胞を攻撃できるようになる。
・パッセンジャー変異が多いほど、DNA修復酵素の異常(MSI)が多いほど効く。
・がん遺伝子、ドライバー変異があるほど効きにくい。
・PD-1阻害薬+化学療法が肺がん(小細胞癌、非小細胞がん)、頭頸部がんで承認。PD-1阻害薬+分子標的薬が腎癌で承認、PD-1阻害薬+抗VEGF抗体で肝がんで承認。
・2014年:メラノーマ、2015年:肺がん、2016年:腎がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、尿細胞がん、2017年:大腸がん、胃がん、肝細胞癌、メルケルがん、高頻度変異がん、2018年:子宮頸部がん、原発性胸郭中大型Bリンパ腫で承認。
・チェックポイント阻害薬の副作用:腸炎、下痢、肝障害、腎障害、ぶどう膜炎、薬剤性肺炎、神経障害、重症筋無力症、甲状腺機能異常、下垂体不全、副腎不全、皮疹、1型DM、心筋炎、膵炎
・①正常細胞が影響を受けない、②広範ながん腫に効果がある、③治療を止めても効果が長く続く。
・今後は有効性判定の予知が重要になってくる。
☆CART療法(カーティー療法)
・患者からの採血からリンパ球アフェレーシスにより採取したT細胞にキメラ抗原受容体(CAR:抗CD19抗体+共刺激ドメイン)遺伝子を導入し増殖させ(約20日、CARを導入したT細胞をCARTという)、再び輸注する。がん細胞のCD-19に刺激を受けてT細胞が活性化する。
・25歳以下のALLやDLBCL(びまん性大細胞型Bリンパ腫)で承認。
☆がんワクチン(樹状細胞ワクチン療法)
・単球を培養し樹状細胞まで分化させた後に、がん細胞の共通抗原(オンコアンチゲン:WT-1,MUC-1など)を取り込ませて増殖させ、皮下注する。がん細胞の抗原を特異的に提示する樹状細胞がT細胞を効率的に活性化させる。目に見えない小さながん細胞も攻撃できる。本来持っている免疫力を使って長く効果が続く。
・2週間に1回皮下注を5-7回行うのが1セット。費用は100万ほど。
・和歌山県立医大で膵がんに対してS-1併用でのRCTが行われている。
・個別化ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンはがん組織を遺伝子解析し、がん細胞表面に発現しているペプチド(がん抗原ペプチド、ネオアンチゲン)を合成し樹状細胞に取り込ませる。
・がん抗原ペプチドは1種類のがんに対し、12-17個見つかっている。
・ホルマリン固定の標本ではDNAを解析し、手術直後の新鮮標本ではRNAを解析している。
・60-100ccを採取し、1週間かけて樹状細胞に分化させオンコアンチゲンまたはネオアンチゲンを取り込ませ皮内注射もしくは皮下注を行う。一方でNK細胞やT細胞を分離し2-3週間かけて培養し200-1000倍に増殖させて点滴する。
・化学療法や放射線療法との併用が望ましい(特に進行がんや再発がんの場合)。

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