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2013年7月17日水曜日

<腹痛>
★腹痛は、部位、年齢、血便血尿の有無、危険因子(喫煙/飲酒/ワーファリン/Af/外傷)を聞く。
★問診を取った後、腹単と検尿を必ずすること。
☆腹痛では、尿検査は必須。膵炎なら尿中アミラーゼ上昇、DKAなら尿中ケトン体陽性、胆道閉塞なら尿中UBG陰性(正常は±)、急性肝炎は尿bil陽性、尿管結石なら尿中赤血球5個/HPF以上、子宮外妊娠なら妊娠反応陽性、PIDなら尿中白血球5個/HPF以上。
☆上腹部痛
 ・若年
  ①喫煙/NSAID/ストレスあり
   AGMLか慢性活動性胃炎かも⇒ひどい時はオメプラール20mg 1Vを生食100mlに溶かして30分かけて静注し、ランソプラゾール(タケプロン)15mg2錠朝食後7日分を処方し経過見る。
  ②発熱あり
   急性虫垂炎の前駆症状かも⇒採血と腹部エコーするか、ひどくなければ右下腹部痛になってきたらすぐに来院するように指示。
  ③月経不順あり
   Fits-Hugh-Curtisかも⇒排尿時痛ないか聞く、検尿検査、クラミジア感染ないか抗体チェック。クラビット100mg5錠分1を5日分処方し、後日、婦人科受診を指示。
  ④嘔気や嘔吐あり
   ブ菌性食あたりかウィルス性胃腸炎初期⇒ミヤBM3g分3を処方し経過見る。水溶性下痢がなければウィルス性胃腸炎とは断定できない。他の上腹部痛の原因がないことを確認する。
   DKAかも⇒尿中ケトン体、デキスターをチェック。
 ・中年
  ①喫煙/NSAID/ストレスあり
   胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍かも⇒体重減少の有無を聞く。PPI処方し、必ずGIF予約。 
  ②肥満あり
   GERDかも⇒PPI処方とGIF予約。腹単で食道裂孔ヘルニアが分かることも。
  ③喫煙/HTN/HL/DMあり
   まずACSを否定する。
 ・老人
  ①ワーファリン/バイアスピリン/プラザキサ:
   出血性胃潰瘍かも⇒頻脈やふらつき/気分不良あれば、レクタールをして黒色便や便潜血ないかチェックする。何もなければPPI処方して、GIF予約。 
 ・右季肋部痛や左季肋部痛を上腹部痛と言っていることがある。
☆右季肋部痛
 ・上腹部痛と訴えることがある。
 ・中年
  ①肥満女性+食後発症
   胆石かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。急性胆嚢炎で発症72時間以内なら早期ラパコレ(腹腔鏡下胆嚢摘出術)。痛みが軽度で、SIRS徴候や採血でCRPやWBC上昇が軽度なら翌日外科受診を指示。
  ②食後発症:
   総胆管結石かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。AOSCを見逃したくないので、SIRS徴候や直接ビリルビン上昇あれば入院を。結石がなく、痛みも消失したならpassing stoneかもしれない。
  ③過度の飲酒歴
   急性肝炎かも。採血でGOT、GPTを測定。200を超えてくると危ないので入院。肝細胞癌は痛くない。
☆左季肋部痛
 ・上腹部痛と訴えることがある。
 ・中年
  ①過度飲酒歴or腹部外傷歴or総胆管結石orTG高値:
   急性膵炎かも⇒造影CTと採血をする。①膵臓腫大(周囲の脂肪織の炎症像)、②上腹部痛or左季肋部痛、③AMY上昇のうち2項目で膵炎と診断される。
☆右下腹部痛
 ・若年
 ①発熱あり
  急性虫垂炎⇒造影CTを。盲腸の拡張+小腸拡張あれば麻痺性イレウスで穿孔の可能性あり。free airや腹水もチェックする。
 ②尿潜血陽性
  尿管結石かも⇒単純CTで結石の大きさを調べる。8mm以下なら自然排石を待つ。それ以上なら翌日泌尿器科受診を指示。
 ③妊娠反応陽性
  子宮外妊娠かも⇒腹部エコーとともに婦人科call。
 ④月経不順
  PID(卵巣炎)かも
 ⑤若年女性で七転八倒する激痛
  卵巣茎捻転かも⇒卵巣が30㎜以上で造影不良と周囲の濃度上昇、卵管の一部狭窄
 ・中年、老人
 ①発熱あり
  急性虫垂炎かも
 ②尿潜血陽性
  尿管結石かも
 ③尿潜血陽性+Af/透析中
  腎梗塞かも⇒造影CT
 ④血便あり
  憩室炎か虚血性腸炎かも
☆左下腹部痛
 ・若年
 ①便が何日も出ていない
  便秘かも⇒腹単で便貯留確認。フォルセニド2T分1寝る前、重症時はマグラックス330㎎6錠分3
(カマグは腎不全には禁忌)、ラキソベロン10滴を水で薄めて寝る前、レシカルボン坐薬1個5回分処
方し帰宅。激痛のこともあるが、排便で消失する。
 ②尿潜血陽性
  尿管結石かも⇒単純CTで結石の大きさを調べる。8mm以下なら自然排石を待つ。それ以上なら翌日泌尿器科受診を指示。
 ③妊娠反応陽性
  子宮外妊娠かも⇒腹部エコーとともに婦人科call。
 ④月経不順
  PID(卵巣炎)かも
 ⑤若年女性で七転八倒する激痛
  卵巣茎捻転かも
 ・中年、老人
①尿潜血陽性
  尿管結石かも
 ②血便あり
  憩室炎か虚血性腸炎かS状結腸捻転かも⇒腹単でcoffee beanないか見る。腹痛が治まっていないなら造影CTを。憩室があっても周囲の炎症像がなければ憩室炎とは言えない。憩室も捻転もなければ虚血性腸炎だったのかも。
 ③尿潜血陽性+Af/透析中
  腎梗塞かも⇒造影CT
☆下腹部痛
 ①尿が出るがチョロチョロしか出ない
  尿閉かも⇒腹部エコーで尿貯留を確認し、導尿。必要なら尿道カテーテル留置し、翌日泌尿器科受診を指示。
 ②精神科にかかっている
  尿閉かも
☆腹部全体痛
 ①板状硬
  消化管穿孔かも⇒造影CTして、free airや腹水貯留ないか見ること。
 ②腹部軟+喫煙/高血圧
  腹部大動脈瘤破裂かも⇒腹部エコー、造影CT
 ③腹部軟+Af/透析
  SMA塞栓症かも⇒造影CT

<胸痛>
★まず心電図とモニターを装着し、胸写をとる。明らかなST変化あれば直ちに循環器call。
☆胸痛あるのに、ST変化なければ、見逃すと危険な胸部大動脈解離、肺塞栓、緊張性気胸、食道破裂を除外する。
 ・胸部大動脈解離ないか見るために、胸写や造影CTを行う。
 ・肺塞栓ないか見るために、下肢の把握痛ないか、SpO2の低下(90%前後であることが多い)、危険因子(寝たきり、肥満、ピル、骨盤手術)探す。
 ・ショックバイタルなら緊張性気胸も頭の片隅に入れる。ショックバイタル、気管偏位、片側呼吸音低下なら緊張性気胸として、両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空ける。
 ・食道破裂(Boerhaave症候群)は頻回嘔吐の後に起きる、胸写やCTで左胸水あり。
☆胸痛と共に、1mm以上のST変化やCRP↑伴わない白血球上昇あればミオコールスプレー1回噴霧、抗血小板薬3剤(バイアスピリン100mg,プレタール(シロスタゾール)100mg,アンプラーグ(サルポグレラート/5-HT2遮断薬)100mg)を2錠ずつ噛み砕いてもらい、採血でCPK,CKMB,TropT/Iを測定し、心エコーで壁運動の低下の有無、EF、心嚢液貯留ないか見る。
☆症状消失し、VSAの時はニトロペン舌下錠0.3mg3回分処方し、後日循環器受診を指示。
☆PCI後1年以内に再狭窄がくることは稀。PCI後に不安になって架空の胸痛で受診する人が多い。
☆CKMB上昇はCPKの1割以上でないと有意にはとれない。TropT/IはACS,uAPの他、心不全,腎不全でも陽性になる(自然崩壊のTropT/Iが排泄されないため)。
☆食後であれば胆石発作とGERDの除外する。
☆痩せ型長身の若年男性では自然気胸かも。
☆冷や汗、激痛で何もない人もいる(精神疾患や以前の受診歴をチェックする)。
☆肋間神経痛は肋骨下端を触診する。肋軟骨炎(Tietze症候群)、剣状突起炎、大胸筋筋肉痛なども胸痛きたす。
☆感冒様症状が続き、その後CPK↑TropT↑壁運動低下あれば心筋炎か(心筋炎で心拡大はこない)。
☆他に誘因や症状なくEF低下とLVDd拡張であればDCM。
☆Af tachycardiaやPSVTによる動悸を胸痛という人もいる。
☆変な心電図は以前の分を取り寄せて比較する。

cf)胸部大動脈解離の除外
 ①CXRで上縦隔の拡大(8cm以上)
 ②血圧の左右差
 ③移動する背部痛
 3項目全てが除外されれば大動脈解離がある可能性は7%
 ・CXRで大動脈外縁と石灰化の距離が6mm以上であれば解離を疑う
 ・大動脈解離の99%以上でD-dimer0.5μg/ml以上になる(感度99%以上)
 ・ただし、D-dimerが0.5μg/ml以下でも半分は大動脈解離の可能性がある(特異度は50%弱)

cf)肺塞栓の除外
 ・Wells criteria
  下肢腫脹or下肢把握痛 3点
  肺塞栓以外に考えられない 3点
  心拍数が100以上 1.5点
  過去4週以内に3日以上の臥床or手術 1.5点
  DVT/PEの既往 1.5点
  血痰 1点
  過去半年以内のがん 1点
 ・DVTの可能性
  Wells criteria  6> 2-6 >2
  d-dimer陽性 50% 20% 5%
        陰性 10% 1% 0.5%
<骨折>
★基本的に緊急性は低いのでシップとギプス包帯で固定し、翌日の整形外科受診を指示する(顔面なら口腔外科受診)。
☆次のことを説明する。
 ・レントゲンで見えない骨折もあるが今は時間外で人手が足りず詳しい検査ができにくいこと
 ・荷重がかかってずれてきて初めてわかる骨折もあること
 ・小児は骨化が進んでいないため骨折が見えないことがある
☆レントゲンで自発痛、圧痛、叩打痛があるところを入念に見る(前後上下も)
☆上腕の外旋時痛は上腕骨頚部骨折の可能性あり。
☆下顎骨は脱臼あればすぐに整復する。顎関節の左右差ないか見て、脱臼無く2横指開口できれば後日口腔外科受診を指示。
☆小児の肘の骨折は4方向+両側、関節周囲の脂肪組織の盛り上がり(fat pad sign)あれば骨折
☆外顆骨折は転移強ければ整形call。上腕骨遠位端の骨化は外(1才)→最内(5才)→内(10才)。
☆開放骨折、神経障害、血流障害あればすぐに整形callを。
<急性薬物中毒>
★基本は、輸液(ラクテック120ml/hr程度)でwash out。
★薬剤による腎障害、肝障害の可能性、嘔吐による誤嚥性肺炎の可能性を説明する。
☆意識障害なければ活性炭をすぐに飲んでもらう。
☆意識障害あれば、気管挿管せずに活性炭を投与するのは禁忌(活性炭肺炎はARDS起こして予後不良)。
☆透析適応はI stumbleで覚える(isopropranorol,salicylate,theophyline,uremia,methanol,barbiturate,βblocker,litium,ethyleneglycol)。
☆血中アルコール濃度(mg/dl)の推定は、OSM(mosm/L,mmol/L)=2Na+BS/18+BUN/2.8+C2H6O/4.6から計算できる(血中濃度が0.3g/dl,0.3%を超えると昏睡)。
☆痙攣発作+アシドーシスあれば三環系抗うつ薬疑う→メイロン,活性炭の繰り返し投与しないとCPA起こすことあり。

<中年以降の突然発症の激痛>
★突然発症の背部、腹部、下腹部の激痛は血管病変をまず考え、造影CTを行う。
★中年、高血圧、喫煙歴、抗癌療法中の背部痛では、まず大動脈解離を否定する。
☆解離はまず除痛と降圧。除痛はソセゴン(ペンタゾシン)を痛みが止まるまで10A(1Aは15mg/1ml)まで頻回投与。降圧はラジストン(ニカルジピン)1㎎/1mlを頻回静注、ニカルジピン10mg10ml2Aを生食20mlに溶いて5ml/hrから持続投与開始。
☆既往なければ、除痛と降圧しながら、すぐに造影CTに行くこと。激痛=痛い痛いとずっと言っている状態。
☆突然の激痛の例
・突然の頭部の激痛+Cushing sign+意識障害⇒SAH(SAHでCPAになることあり!!心電図変化も来る!!)
・当然の背部の激痛+収縮期200以上+喫煙歴⇒大動脈解離
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒腹部大動脈破裂
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+Af/HD⇒SMA塞栓症
・突然の下腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒総腸骨動脈瘤破裂
☆”裂ける痛み”や”移動する痛み”と言う場合は少ない。”イタイ、イタイ”と唸っていて、冷や汗を伴って、応答もきちんとできない、意識混濁の場合が多い。

cf)StandfordB型解離の手術適応:
片肺換気、肺切除も伴うのでそもそもriskの高い手術であり、内科的治療の方が成績が良い。
①破裂したとき、②偽腔に流入があり55㎜以上で破裂の危険性大(瘤は60㎜以上だが解離あれば5㎜マイナス)、③CA/SMA/IMA噛んでる時(腎動脈噛んでるときは大抵片側であり後腹膜操作となりrisk大なので緊急手術にならない)