当直メモ
------目次------
<中年以降の突然発症の激痛>
<急性薬物中毒>
<骨折>
<胸痛>
<腹痛>
<腰痛>
<頭痛>
<髄膜炎>
<軽症頭部外傷>
<意識障害>
<失神>
<痙攣>
<眩暈>
<ふらつき>
<呼吸困難(SpO2の低下)>
<嘔吐>
<急性胃腸炎>
<下痢>
<吐血、下血>
<過換気症候群>
<不眠症>
<頸椎捻挫>
<高血圧>
<鼻出血>
<かぜ>
<インフルエンザ>
<咽頭痛>
<尿管結石>
<発熱>
<敗血症性ショック>
<蕁麻疹>
<動悸>
<徐脈>
<蜂窩織炎>
<裂創/切創>
<爪の外傷>
<動物咬傷>
<指趾切断>
<多発外傷>
<熱中症>
<しびれ>
<粉瘤>
<異物>
<気道異物>
<胃瘻抜去>
<鼠径ヘルニア>
<肩こり>
<肘内障>
<義歯誤飲>
<火傷>
<不眠>
<慢性咳嗽>
<歩行障害>
<呂律困難>
<麻痺>
<体重減少>
<血算の異常>
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<中年以降の突然発症の激痛>
★突然発症の背部、腹部、下腹部の激痛は血管病変をまず考え、造影CTを行う。
★中年、高血圧、喫煙歴、抗癌療法中の背部痛では、まず大動脈解離を否定する。
☆解離はまず除痛と降圧。除痛はソセゴン(ペンタゾシン)を痛みが止まるまで10A(1Aは15mg/1ml)まで頻回投与。降圧はラジストン(ニカルジピン)1㎎/1mlを頻回静注、ニカルジピン10mg10ml2Aを生食20mlに溶いて5ml/hrから持続投与開始。
☆既往なければ、除痛と降圧しながら、すぐに造影CTに行くこと。激痛=痛い痛いとずっと言っている状態。
☆突然の激痛の例
・突然の頭部の激痛+Cushing sign+意識障害⇒SAH(SAHでCPAになることあり!!心電図変化も来る!!)
・当然の背部の激痛+収縮期200以上+喫煙歴⇒大動脈解離
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒腹部大動脈破裂
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+Af/HD⇒SMA塞栓症
・突然の下腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒総腸骨動脈瘤破裂
☆”裂ける痛み”や”移動する痛み”と言う場合は少ない。”イタイ、イタイ”と唸っていて、冷や汗を伴って、応答もきちんとできない、意識混濁の場合が多い。
cf)StandfordB型解離の手術適応:
片肺換気、肺切除も伴うのでそもそもriskの高い手術であり、内科的治療の方が成績が良い。
①破裂したとき、②偽腔に流入があり55㎜以上で破裂の危険性大(瘤は60㎜以上だが解離あれば5㎜マイナス)、③CA/SMA/IMA噛んでる時(腎動脈噛んでるときは大抵片側であり後腹膜操作となりrisk大なので緊急手術にならない)
<急性薬物中毒>
★基本は、輸液(ラクテック120ml/hr程度)でwash out。
★薬剤による腎障害、肝障害の可能性、嘔吐による誤嚥性肺炎の可能性を説明する。
☆意識障害なければ活性炭をすぐに飲んでもらう。
☆意識障害あれば、気管挿管せずに活性炭を投与するのは禁忌(活性炭肺炎はARDS起こして予後不良)。
☆透析適応はI stumbleで覚える(isopropranorol,salicylate,theophyline,uremia,methanol,barbiturate,βblocker,litium,ethyleneglycol)。
☆血中アルコール濃度(mg/dl)の推定は、OSM(mosm/L,mmol/L)=2Na+BS/18+BUN/2.8+C2H6O/4.6から計算できる(血中濃度が0.3g/dl,0.3%を超えると昏睡)。
☆痙攣発作+アシドーシスあれば三環系抗うつ薬疑う→メイロン,活性炭の繰り返し投与しないとCPA起こすことあり。
<骨折>
★基本的に緊急性は低いのでシップとギプス包帯で固定し、翌日の整形外科受診を指示する(顔面なら口腔外科受診)。
☆次のことを説明する。
・レントゲンで見えない骨折もあるが今は時間外で人手が足りず詳しい検査ができにくいこと
・荷重がかかってずれてきて初めてわかる骨折もあること
・小児は骨化が進んでいないため骨折が見えないことがある
☆レントゲンで自発痛、圧痛、叩打痛があるところを入念に見る(前後上下も)
☆上腕の外旋時痛は上腕骨頚部骨折の可能性あり。
☆下顎骨は脱臼あればすぐに整復する。顎関節の左右差ないか見て、脱臼無く2横指開口できれば後日口腔外科受診を指示。
☆小児の肘の骨折は4方向+両側、関節周囲の脂肪組織の盛り上がり(fat pad sign)あれば骨折
☆外顆骨折は転移強ければ整形call。上腕骨遠位端の骨化は外(1才)→最内(5才)→内(10才)。
☆開放骨折、神経障害、血流障害あればすぐに整形callを。
☆CTの骨条件なら骨が重なり合うところの骨折が良く分かる(膝関節、足関節、手関節、頚椎、骨盤、頭蓋骨、頬骨、下顎骨など)。
<胸痛>
★まず心電図とモニターを装着し、胸写をとる。明らかなST変化あれば直ちに循環器call。
☆胸痛あるのに、ST変化なければ、見逃すと危険な胸部大動脈解離、肺塞栓、緊張性気胸、食道破裂を除外する。
・胸部大動脈解離ないか見るために、胸写や造影CTを行う。
・肺塞栓ないか見るために、下肢の把握痛ないか、SpO2の低下(90%前後であることが多い)、危険因子(寝たきり、肥満、ピル、骨盤手術)探す。
・ショックバイタルなら緊張性気胸も頭の片隅に入れる。ショックバイタル、気管偏位、片側呼吸音低下なら緊張性気胸として、両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空ける。
・食道破裂(Boerhaave症候群)は頻回嘔吐の後に起きる、胸写やCTで左胸水あり。
☆胸痛と共に、1mm以上のST変化やCRP↑伴わない白血球上昇あればミオコールスプレー1回噴霧、抗血小板薬3剤(バイアスピリン100mg,プレタール(シロスタゾール)100mg,アンプラーグ(サルポグレラート/5-HT2遮断薬)100mg)を2錠ずつ噛み砕いてもらい、採血でCPK,CKMB,TropT/Iを測定し、心エコーで壁運動の低下の有無、EF、心嚢液貯留ないか見る。
☆症状消失し、VSAの時はニトロペン舌下錠0.3mg3回分処方し、後日循環器受診を指示。
☆PCI後1年以内に再狭窄がくることは稀。PCI後に不安になって架空の胸痛で受診する人が多い。
☆CKMB上昇はCPKの1割以上でないと有意にはとれない。TropT/IはACS,uAPの他、心不全,腎不全でも陽性になる(自然崩壊のTropT/Iが排泄されないため)。
☆食後であれば胆石発作とGERDの除外する。
☆痩せ型長身の若年男性では自然気胸かも。
☆冷や汗、激痛で何もない人もいる(精神疾患や以前の受診歴をチェックする)。
☆肋間神経痛は肋骨下端を触診する。肋軟骨炎(Tietze症候群)、剣状突起炎、大胸筋筋肉痛なども胸痛きたす。
☆感冒様症状が続き、その後CPK↑TropT↑壁運動低下あれば心筋炎か(心筋炎で心拡大はこない)。
☆他に誘因や症状なくEF低下とLVDd拡張であればDCM。
☆Af tachycardiaやPSVTによる動悸を胸痛という人もいる。
☆変な心電図は以前の分を取り寄せて比較する。
cf)胸部大動脈解離の除外
①CXRで上縦隔の拡大(8cm以上)
②血圧の左右差
③移動する背部痛
3項目全てが除外されれば大動脈解離がある可能性は7%
・CXRで大動脈外縁と石灰化の距離が6mm以上であれば解離を疑う
・大動脈解離の99%以上でD-dimer0.5μg/ml以上になる(感度99%以上)
・ただし、D-dimerが0.5μg/ml以下でも半分は大動脈解離の可能性がある(特異度は50%弱)
cf)肺塞栓の除外
・Wells criteria
下肢腫脹or下肢把握痛 3点
肺塞栓以外に考えられない 3点
心拍数が100以上 1.5点
過去4週以内に3日以上の臥床or手術 1.5点
DVT/PEの既往 1.5点
血痰 1点
過去半年以内のがん 1点
・DVTの可能性
Wells criteria 6> 2-6 >2
d-dimer陽性 50% 20% 5%
陰性 10% 1% 0.5%
cf)心電図のpitfall
・ST変化は基本は2㎜以上
・下壁梗塞ではreciprocal changeが70%で見られる(特にaVLのST低下)
・下壁梗塞を見たら右側誘導(左にある胸部誘導をすべて右に対称移動)で右室梗塞がないかを見る
→特にⅢのST上昇が高いときは右室梗塞疑う
→右室梗塞があれば上行大動脈の解離を探す(StandfordAではRCAを噛みやすい)
・V1-3のST低下とR増高あれば後壁梗塞を疑って、背中の誘導も(V7-8)。
・LAD狭窄ではV1-4でT波が上がって、下がっての2峰性
・良性早期再分極(benign early repolarization)では①若い人、②V2-5のST上昇、③四肢誘導のみは稀、④経時変化なし、⑤ミラーイメージなし
・心外膜炎のST上昇もイラーイメージなし。ⅡⅢaVfでPRが基線より下があれば心外膜炎。
・高KのテントTは左右対称でツンツン
・中枢神経病変ではV1-4で巨大陰性T波(giant cerebral T)
・RBBBはV1でM字型+ウサギ耳型陰性T波
・LBBBはV6でM字型+ウサギ耳型陰性T波
・脚ブロックのときはST変化評価できない→新たに脚ブロックが出たときは虚血疑う。
・PEではSⅠQⅢTⅢが有名だが、V1-3のnegativeTの方が有用→心エコーで右室拡大ないか見る→あればば胸部造影CT
<腹痛>
★腹痛は、部位、年齢、血便血尿の有無、危険因子(喫煙/飲酒/ワーファリン/Af/外傷)を聞く。
★腹部診察では、鼠径部の膨隆がないか見る。
★腹単と検尿を必ずすること。
☆腹痛では、尿検査は必須。膵炎なら尿中アミラーゼ上昇、DKAなら尿中ケトン体陽性、胆道閉塞なら尿中UBG陰性(正常は±)、急性肝炎は尿bil陽性、尿管結石なら尿中赤血球5個/HPF以上、子宮外妊娠なら妊娠反応陽性、PIDなら尿中白血球5個/HPF以上。
☆上腹部痛
・若年
①喫煙/NSAID/ストレスあり
AGMLか慢性活動性胃炎かも⇒ひどい時はオメプラール20mg 1Vを生食100mlに溶かして30分かけて静注し、ランソプラゾール(タケプロン)15mg2錠朝食後7日分を処方し経過見る。
②発熱あり
急性虫垂炎の前駆症状かも⇒採血と腹部エコーするか、ひどくなければ右下腹部痛になってきたらすぐに来院するように指示。
③月経不順あり
Fits-Hugh-Curtisかも⇒排尿時痛ないか聞く、検尿検査、クラミジア感染ないか抗体チェック。クラビット100mg5錠分1を5日分処方し、後日、婦人科受診を指示。
④嘔気や嘔吐あり
ブ菌性食あたりかウィルス性胃腸炎初期⇒ミヤBM3g分3を処方し経過見る。水溶性下痢がなければウィルス性胃腸炎とは断定できない。他の上腹部痛の原因がないことを確認する。
DKAかも⇒尿中ケトン体、デキスターをチェック。
・中年
①喫煙/NSAID/ストレスあり
胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍かも⇒体重減少の有無を聞く。PPI処方し、必ずGIF予約。
②肥満あり
GERDかも⇒PPI処方とGIF予約。腹単で食道裂孔ヘルニアが分かることも。
③喫煙/HTN/HL/DMあり
まずACSを否定する。
・老人
①ワーファリン/バイアスピリン/プラザキサ:
出血性胃潰瘍かも⇒頻脈やふらつき/気分不良あれば、レクタールをして黒色便や便潜血ないかチェックする。何もなければPPI処方して、GIF予約。
・右季肋部痛や左季肋部痛を上腹部痛と言っていることがある。
☆右季肋部痛
・上腹部痛と訴えることがある。
・中年
①肥満女性+食後発症
胆石かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。急性胆嚢炎で発症72時間以内なら早期ラパコレ(腹腔鏡下胆嚢摘出術)。痛みが軽度で、SIRS徴候や採血でCRPやWBC上昇が軽度なら翌日外科受診を指示。
②食後発症:
総胆管結石かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。AOSCを見逃したくないので、SIRS徴候や直接ビリルビン上昇あれば入院を。結石がなく、痛みも消失したならpassing stoneかもしれない。
③過度の飲酒歴
急性肝炎かも。採血でGOT、GPTを測定。200を超えてくると危ないので入院。肝細胞癌は痛くない。
☆左季肋部痛
・上腹部痛と訴えることがある。
・中年
①過度飲酒歴or腹部外傷歴or総胆管結石orTG高値:
急性膵炎かも⇒造影CTと採血をする。(1)膵臓腫大(周囲の脂肪織の炎症像)、(2)上腹部痛or左季肋部痛、(3)AMY上昇のうち2項目で膵炎と診断される。小児は腹部打撲、男は酒、女は石の病歴を必ず聞く事。CTで膵腫大あっても周囲脂肪組織の炎症像なければ急性膵炎とは言えない(膵石灰化は逆に慢性膵炎のサイン)。輸液はラクテック160-250ml/hr、メロペン1g生食100mlに溶いて30分で投与を1日2回、痛み強いのでソセゴン1A i.v.もしくはオピスタン35mg4Aを生食20mlに溶いて1ml/hr、レペタン0.2㎎/1mL 12Aを0.5ml/hrから開始、採血して腎機能問題なければ造影腹部CTを。
☆右下腹部痛
・若年
①発熱あり
急性虫垂炎⇒造影CTを。盲腸の拡張+小腸拡張あれば麻痺性イレウスで穿孔の可能性あり。free airや腹水もチェックする。Migration of pain(1点),Anorexia(1点),Nausea(1点),Tnderness inRLQ(2点),Rebound(1点),ElevatedBT(1点),Leukocytosis(2点),Shit(1点)とし、7点以上なら感度93%特異度85%で虫垂炎。
②尿潜血陽性
尿管結石かも⇒単純CTで結石の大きさを調べる。8mm以下なら自然排石を待つ。それ以上なら翌日泌尿器科受診を指示。
③妊娠反応陽性
子宮外妊娠かも⇒腹部エコーとともに婦人科call。
④月経不順
PID(卵巣炎)かも
⑤若年女性で七転八倒する激痛
卵巣茎捻転かも⇒卵巣が30㎜以上で造影不良と周囲の濃度上昇、卵管の一部狭窄
・中年、老人
①発熱あり
急性虫垂炎かも
②尿潜血陽性
尿管結石かも
③尿潜血陽性+Af/透析中
腎梗塞かも⇒造影CT
④血便あり
憩室炎か虚血性腸炎かも
☆左下腹部痛
・若年
①便が何日も出ていない
便秘かも⇒腹単で便貯留確認。フォルセニド2T分1寝る前、重症時はマグラックス330㎎6錠分3(カマグは腎不全には禁忌)、ラキソベロン10滴を水で薄めて寝る前、レシカルボン坐薬1個5回分処方し帰宅。激痛のこともあるが、排便で消失する。
②尿潜血陽性
尿管結石かも⇒単純CTで結石の大きさを調べる。8mm以下なら自然排石を待つ。それ以上なら翌日泌尿器科受診を指示。
③妊娠反応陽性
子宮外妊娠かも⇒腹部エコーとともに婦人科call。
④月経不順
PID(卵巣炎)かも
⑤若年女性で七転八倒する激痛
卵巣茎捻転かも
・中年、老人
①尿潜血陽性
尿管結石かも
②血便あり
憩室炎か虚血性腸炎かS状結腸捻転かも⇒腹単でcoffee beanないか見る。腹痛が治まっていないなら造影CTを。憩室があっても周囲の炎症像がなければ憩室炎とは言えない。憩室も捻転もなければ虚血性腸炎だったのかも。
③尿潜血陽性+Af/透析中
腎梗塞かも⇒造影CT
☆下腹部痛
①尿が出るがチョロチョロしか出ない
尿閉かも⇒腹部エコーで尿貯留を確認し、導尿。必要なら尿道カテーテル留置し、翌日泌尿器科受診を指示。
cf)前立腺断面のサイズ
・左右径35mm、前後径20mm、上下径25mm程度が正常上限。
②精神科にかかっている
尿閉かも
☆腹部全体痛
①頻回嘔吐+手術歴
腸閉塞⇒手術歴がない場合は鼠径部を必ず見ること。
②板状硬
消化管穿孔かも⇒造影CTして、free airや腹水貯留ないか見ること。
③腹部軟+喫煙/高血圧
腹部大動脈瘤破裂かも⇒腹部エコー、造影CT
cf)腹部大動脈瘤
・大動脈瘤は腹部大動脈3cm以上もしくは正常の1.5倍以上
・胸骨下端から臍までが腹部大動脈、胸骨下端と臍の間に腎動脈
・触診するときは腎動脈より上か下かが重要、5cm超えても4人に1人は触知しない、3-4cmで30%程度が触知
・有病率5%
・破裂すると半分がその場で死亡、病院に到着しても半分が死亡
・危険因子は喫煙、高血圧、家族歴
・破裂リスク:
①紡錘状よりも嚢状の方が破裂リスク大
②3-4cmでは年間2cm、4-5cmでは年間3cm、5cm以上は年間5cm以上進行する
・経過観察の目安
4cm以下なら年1回、4-5cmなら年2回、5cm以上なら専門医コンサルト(無症状でも)
④腹部軟+Af/透析
SMA塞栓症かも⇒造影CT
<腰痛>
☆片側性によるものは尿管結石を考慮。
★red flag(1か月以上持続、50歳以上、安静時痛、ステロイド使用、体重減少、癌、神経症状)ないか聞く。
★FACET(facet=椎間関節の意味)がないか探す。
①fructure(脊椎圧迫骨折、骨盤骨折、仙尾骨骨折)
・圧迫骨折は高齢者の尻餅で起きやすい。叩打痛ないか⇒あればレントゲン撮影し、叩打痛のところを入念に見る。叩打痛のない圧迫骨折は陳旧性。圧迫骨折あれば整形入院させ、圧迫が進行しないように水平位を保つ。
・骨盤骨折があれば必ず造影CTを行い、現在の出血がないか確認する。骨盤骨折は入院。
・仙骨尾骨の骨折は保存的に見るしかないので、痛み止めを処方し翌日整形外科受診を指示。
②aorta(腹部大動脈の瘤や解離)
・移動する痛み、高血圧既往、腹部拍動性腫瘤あれば、腹部エコーを行う。
・3割は腹部拍動性腫瘤がないこともある。
③compression(ヘルニアや脊柱管狭窄)
・夜間痛(脊柱由来の痛みは、筋肉が弛緩する夜中に起きやすい)、痺れ、尻の中央を押すと足先まで痛みが放散(坐骨神経痛)、膀胱直腸障害ないか見る。両下肢の運動も感覚もまだらに障害される。運動だけ完全に障害されるのは脳血管障害。
④epidural abscess
・腰椎の手術歴+DM+発熱では常に考慮する。ワーファリン使用中の血腫の時もある。
・全身状態が悪い時や採血してCRP2ケタやWBC上昇あれば入院させる。ロセフィン(セフトリアキソン)2gを生食100mlに溶いて30分で投与を1日1回。
⑤tumor
・体重減少、乳癌や前立腺癌既往あれば入院させてMRIを行う。
・腰椎の左右のpedicleが消えていれば骨転移の可能性あり。
☆FACETがなければ急性腰痛症(脊柱起立筋の筋膜炎や棘間靭帯炎etc)としてケンタン(ロキソプロフェン)60mg1錠とムコスタ(レバミピド)100mg1錠を疼痛時頓服で処方する(腎機能低下あればカロナール(アセトアミノフェン)100mg3錠、透析中であれば逆にケンタンで良い)。暖めて動けるなら少々痛くても動くようにして、硬いベッドは避けるようにと指示する。
☆シップはインテナースシップ1袋など。かぶれるという人にはインテバンクリーム1%50mlやスミルスチックを処方する。
<頭痛>
★まず、発熱あれば髄膜炎、なければSAHを否定する。「いつもの頭痛と違いはありますか?」と聞く。
★発熱が原因の頭痛かもしれないので、胸写と尿検査(特に若年女性)をしておく。
☆次に、脳内病変(巣症状)、緑内障(瞳孔散瞳左右差)、巨細胞性側頭炎(ESR↑)を否定する。
★危険な頭痛のred flagはSNOOP(systemic disease,neurological,onset suddenly,older,pattern change)。
☆片頭痛は、片方の頭痛+嘔気+光過敏+動けない+既往+片頭痛の家族歴。
☆cutaneous allodynia(皮膚を触るだけで痛い)は、片頭痛の最重症型で片麻痺(かたまひ)になる人もいるので注意する。
☆緊張型頭痛は、後頭部や両側前頭部の痛み。肩こりやストレスが誘引。片頭痛に併発することもある。
☆片頭痛や緊張型頭痛はテルネリンやマクサルト(リザトリプタン)10mg1錠を疼痛時頓服で処方する。マクサルトは高血圧や脳梗塞既往には禁忌。
☆群発頭痛は片側で中年男性+興奮気味+結膜充血+流涙+鼻汁。ケンタン(ロキソニン)60mg1錠とムコスタ(レバミピド)100mg1錠を疼痛時の頓服で処方する。
☆痛みを感じない時間があれば神経痛かも。特に帯状疱疹に伴う大後頭神経痛は発疹あればバルトレックス(バラシクロビル)500mg2錠分2を5日分処方する。
<髄膜炎>
☆疑わしい頭痛+発熱+項部硬直はまず採血。意識清明でCRP正常ならあまり考えなくて良い。
☆抗血小板薬単剤なら腰椎穿刺しても良い。2剤以上や抗凝固療法中はしない(脳外科や神経内科consult)。
☆腰椎穿刺での出血は、硬膜外腔にある静脈叢からのもの。出血による巨大硬膜外血腫とそれに伴う脊髄神経圧迫を起こす。
☆髄液所見が正常でもヘルペス脳炎は否定できない。
☆髄膜炎の治療はステロイドから投与開始し、4剤投与する。
・オルガドロン3.8㎎1ml 2Aを生食50mlに溶いて30分かけて1日4回
・セフィローム1g(CTRX,ロセフィン)2瓶を生食50mlに溶いて30分かけて1日2回
・バンコマイシン0.5g1瓶を生食50mlに溶いて60分かけて(急速静注するとred neck syndrome)1日4回
・アシクロビル250㎎(ゾビラックス)2Aを生食50mlに溶いて30分かけて1日3回
cf)ステロイド力価(コルチゾール:アルドステロン)
・ソルコーテフ(ヒドロコルチゾン)⇒1:1
ソルメルコート(メチルプレドニゾロン)⇒5:0.5
リンデロン(ベタメタゾン)⇒25:0
オルガドロン(デキサメタゾン)⇒25:0
・コルチゾールは体内で1日20mg分泌される。
<軽症頭部外傷>
☆老人なら頭部CTを行い、慢硬予防に1ヵ月後の脳外科受診を指示する。
☆CTはTraumaABCDEsのうち1つあれば行う。
①toddler:よちよち歩き2歳以下のたんこぶ
②repeated vomitting
③accelerated headache
④unknown mechanism:受傷機転不明
⑤multiple trauma
⑥amnesia:健忘
⑦alteredLOC:意識消失や意識障害
⑧batterd child:虐待
⑨convulsion:痙攣
⑩drug/EtOH:抗凝固薬など
⑪elderly
⑫skull fx sign:頭蓋底骨折
☆脳震盪は数秒の意識消失なら1週間は運動禁止(second impact synd)。
☆頭蓋底骨折の徴候は、①パンダの目、②耳介後部血腫(battle sign)、③二重丸の鼻血
☆頭部CTで血腫はCT値が50程度(ROIで囲んで、Max,Min,Avgを見る)。血腫は骨条件で写らなくなる。骨条件で映れば石灰化。
☆乳幼児は顔色いいか、号泣あるか、機嫌よいか、目線合うか、手足動かすかで判断する。
<意識障害>
★デキスターで血糖値測定し、緊急一般の採血(T-bil,Cre,BUN,TKB,Na,K,Ca,Mg,TSH,freeT3/T4,ACTH,cortisol,CRP,WBC,neutrophil,)と頭部CT,頭部MRIを行う。項部硬直あれば腰椎穿刺も必要(老人は筋鉤縮あれば全部の方向で首が硬い)。
☆JCSの記載はJCSⅠ-3-A/R/I(aparic安静/restless暴れている/incontinence尿失禁)等の様にする。
☆意識障害+心機能低下なら心原性ショック以外は頭(意識障害)を優先する。
★まず低血糖否定。血糖値50以下なら、50プロツッカー(50%ブドウ糖液20ml)2A+アリナミン(ビタミンB1)2ml5A静注。
☆眩暈、嘔吐、後頸部痛伴うものはDWI、MRA、頸椎2方向(CTでも可能)が必要。
☆頸椎で椎間板が狭小化している頸椎の上下に頚部前屈位ですべり症が起きる可能性がある(あれば椎骨脳底動脈系のTIAの疑いが強い)。頸椎正面で頚動脈の石灰化が見えることもある。
☆AIUEOTIPS
①Alcohol⇒Wernicke脳症忘れるな、B1を1日100mg投与する(ビタメジン1Vを輸液に混注する)。
②Insulin⇒DKA、HONK、低血糖
③Uremia⇒尿毒症、劇症肝炎
④Encephalopathy⇒特発性/症候性癲癇、脳炎、高血圧性脳症
⑤Electrolytes⇒低Na血症、高Ca血症
⑥Endocrine⇒下垂体、甲状腺、副腎
⑦Trauma
⑧Temperature
⑨Infection⇒sepsisないかSIRSチェック
⑩Psychiatry⇒drop hand test、”手で開眼させても話すとぱっと閉じる”
⑪Porphilia
⑫Seizure⇒痙攣の目撃がないか。2回目以降なら癲癇(原因分かれば症候性癲癇、原因不明なら特発性癲癇)
⑬Stroke⇒TIA(ABCD2スコア:エービーシーディースクエアスコア)
⑭SAH⇒瞳孔左右差+交代性片麻痺あればテント切痕ヘルニアの可能性あり、緊急脳外科call。外傷性であれば部分的SAH、動脈瘤破裂では心電図異常も出るし、CPAにもなる。
cf)ABCD2スコア(エービーシーディースクエアスコア)
・TIAでの入院基準>
A(Age):60歳以上なら1点
B(BP):SBP140以上またはDBP90以上で1点
C(Clinical symptom):片麻痺あれば2点、構音障害あれば1点
D(Duration):持続時間が60分以上なら2点、10-59分なら1点、10分未満なら0点
D(DM):糖尿病あれば1点
・4点以上で2日以内の脳梗塞発症リスクが4%なので入院
cf)MRIの見方
DWIでhigh/ADC活性DWIでiso-lowなら新鮮脳梗塞
T1low/T2highなら陳旧性脳梗塞
T1/T2/T2starでlowなら陳旧性出血
<失神>
★失神とは、数秒~数分の意識消失で自然に完全回復するもの、を指す。”ふらついて倒れた”、”すぐに自然に意識が戻った”と言うことが多い。
☆症候性癲癇を否定するためには痙攣の有無に関して周囲の目撃証言が重要になる。
☆冷汗、嘔気、眩暈(浮遊感)、ふらつきなどの前駆症状がない場合や仰臥位失神では、心血管性失神(AVB,SSS,AS/AR,除脈を伴ったAf,HOCMなど)を考えて、心電図、採血、胸写をして、CHESSがなければ帰宅可能(congestive heart failure,Ht<30%,EKG,SBP<90mmHg,shortness of breath)。
☆前駆症状あれば、ほとんどが迷走神経反射や起立性失神(出血、貧血、脱水)。洞性頻脈や起立負荷でふらつき、嘔気、20以上の脈拍と血圧変化ないかチェックする。
☆迷走神経反射にはアトロピン0.5mgを輸液に混注して点滴も良い。
☆失神の原因としてのTIAは1%であり、ほとんどない(大脳皮質や脳幹を支配する大きな血管が詰まって再開通などありえないし、脳底動脈閉塞なら麻痺や小脳症状が必ずあるはず)。
☆Afと徐脈はTIAよりも心血管性を強く疑うパターン。
☆TIAによる意識障害は少なくとも30分以上持続するし、他の麻痺など神経所見を必ず伴う。それでもTIAを疑うなら、MRA,DWI,頸椎XRを行う。
cf)弁膜症の手術適応
①AS:
・ASC(APあれば5年、syncopeあれば3年、鬱血性心不全あれば2年の予後)
・4m/s以上、圧較差40mmHg以上、弁口面積1cm2以下のいずれかで手術適応
・有症状やEF50%以下で放置すると心筋症が進む
・めまい、ふらつきで来院することがある
・AVR>TAVR>内科治療、術後30日の脳梗塞発生率はTAVRで5%、AVRで2.5%
②AR
・有症状、EF50%以下、LVDs55mm以上、LVDd75mm以上のいずれかで手術適応
③MR/MS
・有症状、EF60%以下、心房細動、いずれかで手術適応
<痙攣>
★まず止める。呼吸停止に備えてバッグバルブマスクを用意してから、ホリゾン(ジアゼパム)10mg/2mlを0.5Aを点滴ライン側管からショットで投与する。痙攣が止まるまで2回まで繰り返す。1時間様子みて止まらないならもう0.5A。
☆止まったら、再発予防にアレビアチン(フェニトイン)250mg/5mL1Aを生食100mlに溶いて30分で投与する。
☆癲癇は2回目の痙攣発作時に言う。初回痙攣は癲癇と言わないこと。
☆老人初発の多くは、Alzheimerに合併する老人性癲癇(症候性癲癇の1つ)。
☆麻痺のない共同偏視は脳梗塞後の症候性癲癇の可能性あり。
☆中年初発では、脳腫瘍、AVMなどを考慮し、頭部CTを行う。
☆若年者の癲癇は熱性痙攣の既往や癲癇の家族歴、頭部外傷歴を聞くこと。
☆他にアルコール離脱(osmを測定する)、低血糖、高血糖、尿毒症(BUN/Cr)、陳旧性脳出血/脳梗塞病変による牽引、低Na、低Mg、低Ca、甲状腺機能↑↓、低酸素、SAH、脳炎、脳卒中、薬物中毒の痙攣(乳酸アシドーシスあれば三環系抗うつ薬を疑う)。
☆痙攣ではCPKが300-2000程度、軽度の乳酸アシドーシスあり。
☆癲癇(2回目の痙攣)なら車の運転は2年間禁止。
☆入院させて、デパゲンR(バルプロ酸の徐方剤)800㎎分2朝夕食後を投与する。服用できないなら、アレビアチン(フェニトイン)250mg/5mL1Aを生食100mlに溶いて1日3回から開始。
<眩暈>
★回転性眩暈(vertigo)か浮遊感(diziness/presyncope)か区別する。
★”世の中がぐるぐる回ってる”、”景色が横に流れる”、”意識は遠のかない”は、回転性眩暈(vertigo)。
★”意識が遠のく”、”目の前が真っ暗になる”、”ふらつく”は、浮遊感diziness/presyncope)。
☆”ふらついて倒れた”は意識消失があれば失神で、意識消失なければ眩暈として対処する。
☆vertigoではほとんどが内耳性だが小脳脳幹病変をr/oする。
☆diziness/presyncopeは心血管性失神(AR/AS,AVB,SSS,除脈伴ったAf,HOCM)と起立性失神(出血/貧血/脱水)をr/oする。
☆内耳性(vertigo)
・頭位変換で眼振出るならBPPVかも。じっとしてるとおさまる水平性眼振あり。
・風邪が先行し、耳鳴り難聴ないなら前庭神経炎かも。
・SSRI、抗ヒスタミン薬、降圧薬利尿薬、抗癲癇薬も原因となる。
・内耳の循環改善にアデホスLコーワ2A、シチコリン1A、シアノコバラミン1A、メイロン1Aを生食100mlに溶いて30分で投与する(眩暈点滴セット)。入院後は1日2回投与。メイロンはラクテックに入れるとCaと結合して沈殿するので注意。
・嘔吐にはプリンペラン(メトクロプラミド)10mg2mL 1Aをi.v.かナウゼリン(ドンペリドン)坐薬10mg、アタラックスP(H1拮抗薬)1A i.v.、ノバミン(プロクロルペラジン)5mg/1mL 1A i.m.、リンデロン(ベタメタゾン)坐薬0.5mgなど。
・指鼻試験正常、回内回外運動正常、体幹失調なし、麻痺なし、構音障害なし、眼振なし、複視なし、で眩暈点滴セットで症状消失したなら、ベタヒスチンメシル12mg(メタヒスロン)12mg3錠、セファドール25mg3錠、ナウゼリン5mg3錠分3毎食後で処方し、近日中に耳鼻科受診を指示し帰宅。
・耳鳴り難聴あれば、初発なら突発性難聴か繰り返すならメニエール病か。
☆小脳脳幹性(vertigo)
・眩暈点滴セットでも改善しないなら、小脳脳幹の出血を否定するために頭部CTを行う。小脳出血ではほとんどに頭痛がある。
・急性期の梗塞の場合はCTでは検出できないので、頭部MRIを行う。PICA領域がほとんど。
・1hr以内の超急性期はDWIでも検出できないのでMRAも行う。椎骨脳底動脈解離を否定するためにBIPAS(ビーパス)というMRIのモードで撮影してみるとよい。
・小脳の脳卒中は話せないくらいの嘔吐が続き、そのうちMalloryWeissを起こす。吐血すれば血圧は下がるが、この場合は高いか正常のまま⇒GIFよりCT/MRIを。もしくは眩暈改善時に歩けるかチェック(小脳虫部梗塞では体幹失調が出るだけで指鼻や回内回外など正常のことも多い。
☆diziness/presyncope
・失神の場合に準じる。
・後ろに振り向いたときに浮遊感が起きるなら椎骨脳底動脈血流不全の可能性あるため、後日脳外科受診を指示。
<ふらつき>
★曖昧な主訴であり、失神、眩暈、全身倦怠感のことあり。
★必要あれば採血、頭部CT/MRI、心電図など。
☆”ふらついて倒れた”は”倒れるときあぶないと思いましたか?”と聞くこと。⇒失神なら思わないし、drop attackや小脳病変なら思ったはず。
☆浮遊感あれば心血管性前失神(AR/AS,AVB,SSS,除脈伴ったAf,HOCM)、起立性前失神(出血/貧血/脱水)、椎骨脳底動脈血流不全、回転性眩暈あれば小脳脳幹/内耳を検索する。
☆全身倦怠感ならACTH,コルチゾール,fT3,fT4,TSH(ACTH単独欠損やSheehan症候群が見つかるかも)を測定。
☆Cushing症候群の診断:真夜中の12時にデカドロン0.5mg2錠を服用し、朝一番のコルチゾールを測定し、5以下なら正常となる(同時にACTHも測定すればよい)
<呼吸困難(SpO2の低下)>
★酸素化悪い時は、躊躇せずにバッグ換気⇒挿管をする。酸素化不良を漫然と放置しない。
★血圧低下時はSpO2が低く出るので、上気道狭窄音がなく、胸郭が上がっていればバッグ換気はOK。
★入れ歯をとった時は挿管位置は口角20㎝でOK。
★挿管困難(CI:cannot intubate)は怖いが換気困難(CV:cannot ventilateはもっと怖い(CVCI)→バッグ換気OKなら挿管は待てる。
★バッグ換気で酸素化悪い時は、頚部の聴診と送気したバッグを握ったまま保持しPCVにする。
★バッグバルブマスク(アンビューとも言う)はFiO2が100%にはならないが、ジャクソンリースは酸素10L/分にすれば100%になる。リザーバーマスクも酸素10L/分なら100%になる。⇒この時のPaO2/FiO2を計算して300以下ならALI,200以下ならARDS。
★挿管の確認はまず左肺⇒胃部(胃泡音が強すぎて左肺の呼吸音と間違うことがある)。
☆咳痰/発熱⇒肺炎
・採血、胸写、胸部CTを。
・室内気でSpO2が93%切るようなら入院。
☆透析中でBUN↑Cr↑⇒溢水(尿毒症)
・DWを患者かかかりつけクリニックに聞いて、緊急透析(3時間3L程度)。
・血圧が高くて、心不全もあるならミリスロール原液を2mlショットし、2ml/hrで持続投与。
☆wheeze/BNP増加/pitting edema/CXRで上肺野中心の肺鬱血⇒急性心不全か慢性心不全の急性増悪
・胸痛あれば、胸痛の対応に準じる。
・慢性心不全の急性増悪で血圧が高い(140mmHg以上)ならミリスロール原液を2mlショットし、2ml/hrで持続投与。効果ないならBiPAP(胸腔内圧を上げて静脈還流を減らす効果)。
・ショックバイタル(EF40%以下)なら心原性ショックの対応に準じる。ドパミンキット600/200mL1袋5-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr、5γ以下はrenal dose)、ドブポン0.3%注シリンジ50ml(ドブトレックス)1筒5-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr)、DOA:DOB=1:1で合計20γ以下にする。βblockerを使っておりカテコラミンに反応が悪いときはミルリーラ原液(10mg/10ml)を1ml/hrから開始。
・肺鬱血重篤なら入院後は5%ブドウ糖500ml/day
・低Alb時はアルブミナーを投与。
・自覚症状が軽快したら、点滴offし内服薬に速やかに切り替える。
・心機能が低くいが改善傾向見られるなら、1-2日かけてそれぞれの投与量を半減させていく。
☆長期の喫煙歴/慢性咳嗽痰/滴状心/やせ⇒COPDの急性増悪
・喘息の治療と同様。
・SpO2が89%以上になる程度でO2は2L/分程度までとする。
・肺線維症では僅かな体動でPaO2が30mmHg以上も低下することがある。頻回測定が必要。
・O2を2L/分にしても、SpO2が改善しないときは、PaCO2とpHの関係から、高PaCO2が慢性か急性かを判断し、慢性的ならO2流量を上げるとCO2ナルコーシスから呼吸停止になることがあるため、BiPAPを導入する(それでも無理なら挿管することになるが、人工呼吸器が離脱できなくなることを家族に話した上でそうするか決めてもらう)。
・底流量の酸素投与でしのげたなら急性増悪の原因(多くは感染症)の治療を行う。
☆発作既往/wheeze/心拡大なし/BNP増加なし⇒喘息
・ソルメルコート125㎎(プリドール)1Vを生食100mlに溶かして30分かけて投与。超音波ネブライザーでベネトリン吸入液0.5%0.5ml+ビソルボン吸入液0.2%2ml+生食5mL2Aを3回繰り返す。
・アスピリン喘息ではソルメルコートなどのコハク酸エステル型ステロイドは喘息を誘発するためリン酸エステル型ステロイドであるリンデロンやデカドロン4-8mgに変更する。
・室内気でSpO2が93%以上ならフルタイド100ディスカス60ブリスター1個1日2回30回分、メプチン10μgエアー100吸入5mL1キット発作時30回分、キプレス10㎎1錠1日1回寝る前、ムコソルバン15㎎3錠1日3回毎食後を処方し、帰宅。
☆SpO2が91%程度/100回/分以上の頻脈/女性/下腿圧痛/肥満/ピル/喫煙/骨盤手術歴⇒DVT/PEかも
・まずは心エコー。
・心エコーで右室拡大あれば造影CTする(D-dimer陰性なら否定的)
・ワーファリン5㎎1錠分1朝食後、ヘパリンNa(1000単位/ml)5mlショット後、ヘパリンNa(1000単位/ml) 15mlを生食100mlに溶いて5ml/hrで持続投与開始。
・ワーファリン投与期間:原因が除去できたら3ヶ月、原因不明なら6ヶ月、ProteinS/C欠損/癌/膠原病など原因が一生ものなら一生。
☆長身痩せ型/喫煙歴/若年男性⇒自然気胸
・胸痛→呼吸困難
・正面CXRで正常でも前面気胸かもしれないのでCTを。
・両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点で肋骨上縁をキシロカイン10mlで陰圧をかけながら穿刺しつつ麻酔し、気泡が逆流したところが胸腔内なので、そこから少し針を戻して胸膜を6ml使って麻酔する。麻酔部を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空け、18-24Fr(フレンチ)の太さのトロッカー(チェストチューブ)を挿入し、12cmH2Oで持続吸引する。
☆血圧低下/発疹発赤/気道狭窄音⇒アナフィラキシーショック
・まず生食全開投与し、ボスミン0.3mg/0.3mlを大腿外側にi.m.
・ポララミン5mg1A、ラニチジン(ザンタック)100mg1A、ソルメルコート(プリドール)125mg1Aを生食100mlに溶いて30分かけて投与。
☆血圧低下/気管偏位/片側胸郭膨隆/片側呼吸音低下⇒緊張性気胸
・両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空ける。
☆体動時の著明な息切れ⇒間質性肺炎
・RA/SLE/PMDM/サルコイドーシス/カリニ
☆最近の引っ越し/好中球↑LDH↑/空咳⇒過敏性肺臓炎
☆好酸球増多⇒ChurgStrauss(IgE↑MPO-ANCA陽性)かABPA(IgE↑アスペルギルス抗原↑)
☆鳥の飼育歴⇒オウム病?
☆原因不明なら肺高血圧症かも
・心エコーで肺動脈圧を測定。
・COPD/SLE/PMDM/Sjogren/甲状腺↑↓に合併する。
cf)人工呼吸器について
・換気モードについて
①CPAP:ずっと一定の陽圧(PEEP)をかけるだけ
②PSV:自発吸気時に陽圧をかけるだけ、無呼吸の恐れあり
③A/C:自発呼吸をひろって換気、自発呼吸ないときは強制換気、設定以上の換気を行うことあり→頻呼吸→静脈還流↓
④SIMV:自発呼吸をひろって換気、自発呼吸ないときは強制換気、設定回数以上は換気しない
⑤CMV:一定間隔で強制換気、自発呼吸が全くないとき
⑥NIPPV:挿管なしの人工呼吸器、フェイスマスク、吸気/呼気ともに陽圧をかける、呼気時の陽圧はPEEPと同じ、NIPPV専用機がBiPAP、適応はCOPD/喘息/CHF
①~⑤は人工呼吸器のモードで、従量式か従圧式かを選ぶ(従量式は換気量保てるが圧損傷あり、しかし圧波形で状態みれるのでICUではこちら。従圧式は換気量低下あるが圧を設定値以下にするので圧損傷ないため手術室ではこちら。)
・人工呼吸器の設定
①換気モード:PSVかSIMVか
②FiO2は100%からスタート、PF比からPaO2を80mmHgに保つ
③PEEPは3-5cmH20
④1回換気量は8-10cc/kg、呼吸回数は10-12回/分、プラトー圧が30cmH2O以上なら6cc/kgにする
⑤他はデフォルト値
・NIPPVの設定:IPAP10cmH2O、EPAP5cmH2Oからスタート、PaCO2↓したいときはIPAPを上げる、PaO2↑したいときはFiO2上げる
<嘔吐>
☆若年者のほとんどは黄ブ菌の食あたりやウィルス性胃腸炎の部分症状。
☆嘔吐のみの若い人は急性虫垂炎/DKAかも。
☆中年以降は心筋梗塞と大動脈解離に注意する。
☆嘔吐したらCl低下でHCO3上昇(下痢はHCO3低下)。
☆内服は無理なら3号液などの点滴を行う。血圧低下や洞性頻脈あるときは外液投与を。
☆嘔吐の原因:
・急性胃腸炎⇒数日後に水溶性下痢、プリンペラン1A i.v.,ミヤBM3g分3,ナウゼリン坐薬
・GRED⇒タケプロン,ランソプラゾール,オメプラール等。ラクテック混注は沈殿する。
・脳圧↑⇒瞳孔左右差,Cushing sign
・小脳出血⇒頭部CT/MRI
・片頭痛⇒マクサルト1錠(5HT1作動薬)
・前庭系⇒アタラックスP、H1拮抗薬
・DKA⇒BS↑、尿中ケトン体↑、代謝性アシドーシス。生食とインスリン持続投与。
・妊娠悪阻⇒ブドウ糖+B1を投与。頭部CT/MRIでaxial(水平断)で両側視床にhigh intesity、coronal(冠状断、額に平行なスライス)で扁桃体や海馬の萎縮ないか見る。(ちなみに額と直行するスライスはsagital)
・尿閉⇒膀胱充満でも嘔気くることあり
・腸閉塞⇒腹部術歴ある老人。プリンペランは禁忌。NG挿入で50cmH20-30秒-30秒の設定で胃液を回収し悪化を防ぐ。腸閉塞があり、小腸と盲腸と上行結腸の拡張なら麻痺性イレウスで急性虫垂炎や憩室穿孔を探し、小腸だけの拡張なら外ヘルニア(鼠径ヘルニア/大腿ヘルニア/閉鎖孔ヘルニア)や癒着性イレウス(closed loopやbeak sign)を探し、盲腸や上行結腸だけの拡張と下行結腸の虚脱なら大腸癌等の閉塞を探す(⇒便潜血)。
<急性胃腸炎>
☆嘔吐、臍周囲の腹痛、水様性下痢のtriasが揃って初めてウィルス性胃腸炎と診断できる。
☆嘔吐から始まって水様性下痢になるのが普通。
☆39度以上の発熱、濃粘血便、激しい腹痛、しぶり腹(tenesums)があれば細菌性腸炎を疑って、便培養をとる。
☆老人の脱水でGFR低下時は入院を。
☆水様性下痢、腹痛、嘔吐のtriasがそろってない時は、虫垂炎、子宮外妊娠、腸閉塞、出血性胃潰瘍を否定すること。
☆ウィルス性の胃腸炎なら2~3日で治る。整腸剤のミヤBM3包分3、下痢止めのロペラミド2T分2を処方し帰宅。
<下痢>
☆ミヤBM3包分3、ロペミン2錠分2(CDトキシン、ベロトキシン検査を同時にしておく)。
☆軟便を水様性下痢ということがある。
☆細菌性であっても抗生剤はキャリア化や増悪を助長するので投与しない。細菌性疑えば便培養を。
☆感染性胃腸炎の原因
・おにぎり、手弁当→黄ブ菌、セレウス菌、潜伏6時間、毒素で嘔吐中心、発熱なし
・サラダ、魚介類→ノロウィルス、潜伏1日、毒素で嘔吐中心、発熱なし
・いずし→サルモネラ、潜伏1日、毒素で嘔吐中心、発熱なし
・夏の海産物→腸炎ビブリオ、潜伏2日、感染型で発熱と下痢中心
・生の鶏/牛肉→カンピロバクター、潜伏5日、感染型で発熱と下痢中心、血便のことも、便培養
・肉、生野菜→HUS、潜伏7日、感染型で発熱と下痢中心、血便のことも、便培養、腎機能と血算
<吐血、下血>
☆吐血の色
・茶褐色~黒色⇒胃や食道からの慢性出血(炎症,潰瘍,腫瘍)
・鮮血⇒茶褐色の嘔吐を繰り返しているうちにMallory-Weisseを起した
☆下血の色と出血部位
・真っ黒⇒上部(PUGa/D、緊急内視鏡)
・暗赤色⇒下部(憩室出血は腹痛なし、右or左下腹部痛は憩室炎、CTで憩室ないなら虚血性腸炎、クラビット100mg5錠分1処方し帰宅)
・真っ赤⇒直腸潰瘍(長期臥床、E入りキシロカインを含んだガーゼを直腸に充填し帰宅)、痔核(陥頓による痛みがなければヘモレックス軟膏2g処方し帰宅)、肛門周囲膿瘍(痔瘻ないか造影CTをすること)、裂肛(ヘモレックス軟膏2g処方し帰宅)
☆20代前後ならクローン病(+腹痛、下痢)やUC(+腹痛)も(どちらも高齢者でもピークあり)。血沈とHbのチェック。
☆初期対応
・普段より血圧低下、洞性頻脈あればルートは2本確保し、ラクテック+チチナ1A+リカバリン1A、オメプラール1A+生食100ml静注。
・モニター装着、血ガスでHb/Lac/pH/BEチェックして、ふらつき/頻脈/起立性低血圧/Hb低いならRCCオーダーと輸血同意書。
・NGで上か下か(鼻出血でも黒色便になるし、NGでも胃からか鼻からかは分からない、慢性出血で嘔吐を繰り返しての吐血はMalloryWeisse症候群の可能性あり)
・基本は緊急内視鏡。
・入院になるならCA19-9とCEA/ピロリ抗体/クロス血/入院時採血セット/ECG/胸写/入院時指示。
☆緊急でないならゆっくり病歴(最終食事時間、喫煙、アルコール)、身体所見(明らかな下血なければ直腸診と便潜血)、憩室炎で下腹部痛あるときは炎症反応上がる(なければ憩室症)。
cf)便潜血
・化学潜血反応では肉、魚、緑黄色野菜、鉄剤で偽陽性になりやすい
・免疫学的潜血反応では上部からの出血ではHbが分解されて偽陰性になりやすい、大腸癌スクリーニングに最適。鉄剤では偽陽性にならない。
<過換気症候群>
☆アタラックスP(H1拮抗薬、抗不安作用もある)1Aを肩に筋注か静注。
☆不安性障害やパニック発作によるものが多いが、原因検索を忘れないこと。DVT/PE、SAHなど。
<不眠症>
☆デパス0.5㎎1錠+マイスリー5㎎2錠就寝前頓服を3日分処方でとりあえずはOK。
☆効果ないならウィンタミン12.5mg1錠就寝前頓服を3日分処方。
☆それでも効果ないならベゲタミンB0.5錠就寝前頓服を3日分処方。
<頸椎捻挫>
☆神経所見に異常なければ、後日整形受診を指示。
☆念のため頚椎レントゲン(開口位と側面の2方向)か頚椎CTをとっておく。
☆ケンタン3T分3、ムコスタ3T分3、インテナンスシップ(かぶれる人はスミルスチックやインテバンクリーム)を処方する。2週間程度で治るが、人によっては長引くことがあると説明。
☆診断書は10日加療にする。
<高血圧>
☆血圧を測って、普段より高いので、不安になってくる人が多い。
☆視野異常、嘔気嘔吐、他の神経所見なければ、収縮期200mmHg以下であれば降圧は不要。
☆体調が悪いから血圧が高いのであって、血圧が高いから体調が悪いのではないこと、血圧を不用意に下げると脳梗塞の危険性もあること、を説明する。
☆希望が強い場合は、点滴と安静指示。
☆浮遊感、眩暈で来院することがあるので、その場合は頭部CTを。
<鼻出血>
☆鼻腔鏡で見て、出血量多い場合、止血困難な場合は5000倍or1000倍希釈のボスミンガーゼを鼻に詰める。
<かぜ>
☆”いつもの風邪と違うところはありますか”と聞くこと。
☆風邪は咽頭痛/鼻汁/咳のうち2項目以上で診断できる。
☆感冒症状で38℃台後半の熱は出ない。インフルエンザ/咽頭炎/肺炎を疑う。
☆インフルエンザでないなら肺炎を疑うこと(聴診、胸写、CRP/CBC-B、若年者の胸痛)。
☆熱の出ないインフルエンザもあるが治療の必要性は低い。
☆発熱から始まる頑固な咳はマイコプラズマかも。迅速診断の感度は50%程度。IgM抗体を測定するPA法で診断する。
☆総合感冒薬のセラピナ1g3包分3、解熱薬としてカロナール200㎎2錠10回分、鼻水止めにアレロック5㎎2錠分2かアルデシンAQネーザル1瓶1日4回20回分、咳止めにメジコン15mg6T分3かニチコデ散1g3包分3、うがい薬はネオヨジンガーグル50ml(他にアクロマイシントローチ15mg1錠)、痰多い時はビソポロン3錠分3(痰がサラサラになり誤嚥しやすくなるので注意)などを処方し帰宅。
☆高齢者や重篤そうなら採血、胸写、点滴、細菌感染否定できないときはレボフロキサシン(クラビット)100㎎5錠分1処方。
☆小児の咽頭痛にはアスベリンシロップ0.5% 4ml+ムコダインシロップ5% 7ml+メプチンシロップ5μg/ml 5mlを1日3回など。
☆粘膜保護のためトランサミン3錠分3処方すると良い。
☆咳嗽時の血痰は粘膜損傷によるものが多い。
☆ワーファリン/プラザキサ/バイアスピリン服用していないか聞く。
☆外傷後によるものは、紙に鼻血をたらして、2重丸になってないか見る(師板損傷による髄液漏、頭部CTを)。
<インフルエンザ>
cf)妊娠中のインフルエンザについて
・タミフルよりはイナビルやリレンザの方が血中への移行が少ない。
・どちらも妊娠中や授乳中の投与はOK
・母乳中にはわずかに移行するが、極微量。
・インフルエンザウィルスの母乳感染はない。
・手洗い、マスクをすれば母子分離は必要ないが、搾乳をして非感染者家族が与えるのがベスト。
・母乳中への移行薬剤で乳児のインフルエンザは治療できない。
<咽頭痛>
☆中年、高血圧、喫煙歴の咽頭痛はACSを頭の片隅に入れておく。
☆咽頭炎は高熱+喉の痛みメイン、咳なし、鼻水なし。
☆前頸部リンパ節腫脹なら細菌性(化膿性扁桃腺炎)、後頸部ならEBV。白苔と39℃以上の高熱は細菌性でもウィルス性でも見られる。
☆カナダルール(38℃以上、咳なし、前頸部リンパ腫、扁桃肥大)2項目以上でAβ溶連菌迅速検査。
☆扁桃周囲膿瘍は成人で咽頭痛+扁桃腫大+口蓋垂の偏移+開口障害+嚥下障害で緊急切開が必要であり、直ちに耳鼻科コンサルトするか転送。
☆急性喉頭蓋炎は小児で頻呼吸+強い嚥下痛+流涎+扁桃腫大なし。
☆甲状腺の痛みを咽頭痛ということがある。若年~中年女性に多い亜急性甲状腺炎は頚部腫大+頻脈でTSH/T3/T4を測定。
☆溶連菌と伝単(EBV)が鑑別できない場合は、ABPCやAMPCは禁忌。メイアクト100mg3錠分3を5日分、ジスロマック250mg2錠分1を3日分処方、クラリスロマイシン200mg2錠分2を7日分処方、クラビット100mg5錠分1を5日分処方のいずれかにしておく(サワシリンやオーグメンチンは避ける)。
<尿管結石>
☆肉眼的血尿の場合はワーファリン内服中でないか聞く事(同時に消化管出血もチェック)。尿道カテーテル留置し、生食で膀胱洗浄する。止まらなければ造影CTを。
☆腰に返し手+既往歴+エコーで水腎症⇒すぐにボル坐を挿肛し、落ち着かせてから尿検査で感染(尿中WBC5個/HPF以上)ないか見る。
☆尿管結石でも2割は尿潜血なし。
☆CVA-tないことも多い。膀胱近くまで降りてきたら右or左下腹部痛と訴えることが多い。
☆90%はXpで写るが、CTでは必ず写る(5mmスライスで2mmなら写らないこともあるが…)
☆中年男性、高血圧既往、喫煙歴ありで尿潜血陽性ならAAAを腹部CTで否定をする。
☆AfありでCVA-t陽性で尿潜血陽性なら腎梗塞を腹部造影CTで否定する。
☆ESWLは8㎜以上の時。8㎜以上は泌尿器科受診を指示。
☆ロキソニン1錠、ムコスタ1錠を疼痛時頓用で処方、無効時はボルタレン(ジクロフェナクNa)座薬25㎎5回分(1日2回まで)を処方。
☆ソセゴン使ったときは車の運転はNG。
☆再発5年以内に60%、石が落ちているなら「心配なら泌尿器科受診を」、腎臓内結石なら「泌尿器科受診を」、茶こしで尿をこしとって石を泌尿器科に持って来れば、代謝異常が見つかることがあると。
☆食事は塩分と肉類は避ける(塩分は尿Ca再吸収阻害、肉類は腸管からのシュウ酸吸収促進)、水は2L以上で再発率半減。Ca制限しても骨溶かすからダメ。
☆sepsisになってたら泌尿器科call。
☆泌尿器科的処置はESWL/経尿道的破砕術/対処療法的にWJカテーテル留置など。
★実際には、腰に返し手と片側腰痛or右/左下腹部痛あればすぐに尿検査し、尿潜血陽性なら腹部CTをとって石の大きさを確認し、8mm以下ならボルタレン坐薬50mgを疼痛時頓用で処方し、自然排石を待ってもらう。8mm以上なら翌日泌尿器か受診を指示。尿中白血球陽性ならクラビット100mg5錠分1を処方し帰宅。全身状態不良、SIRS所見陽性、CRP2桁、WBC15000以上なら入院(数値はあくまで目安)。
<発熱>
☆高齢者の発熱は、まず誤嚥性肺炎か尿路感染症(女性/前立腺肥大のある男性)→胸部レントゲン、採血、尿沈渣。褥瘡/関節炎/前立腺炎検索も忘れずに。
☆熱源探しは、ABCDE3Ps(abscess,bone inflamation,cholangitis胆管炎/cholecystitis胆嚢炎,decubitus,endocarditis/encephalitis,pneumonitis,prostatitis,pyelonephritis,sinusitis)
cf)PCT(プロカルシトニン)について
・CRPよりも早期に上昇し、CRPに比べれば感度も特異度も高い
・ウィルス感染では上昇せず、細菌感染で上昇する
・ウィルス感染→IFNα↑→TNF阻害→PCT合成阻害
・敗血症の診断では感度も特異度も70%程度
・熱傷、外傷、外科手術、膵炎でも上昇する→敗血症の診断には使えない
・外来での抗菌薬を使うかどうかの指標には使えるかもしれない
<敗血症性ショック>
☆EDGT
①ルート2本とってラクテック500ml×4全開
②その後は120ml/hr程度に留め、血圧上昇しないなら昇圧剤を使う
③血培/痰培/尿培とってチエナム点滴
④平均血圧60mmHg切れば、ノルアドレナリン1mg/1mL 3Aを生食50mlに溶いて2ml/hrから開始。もしくは、ドパミン5γ(体重50kgで5ml/hr)以上、ドブタミン3γ(体重50kgで3ml/hr)以上。
⑤HES500mlや腎機能低下あるときはアルブミナー25%50ml 5Vを全開で投与。
☆pitting edemaありやIVC正常のときに、なんとなく輸液しないこと。1-2L入れて血圧上がらなければDOA5γやDOB3γから開始する。
☆メイロン(1mEq/1mL)はBEの10倍まで急速静注して良い。
cf)ショック時に使うのは乳酸リンゲルか生食か
・乳酸は肝臓で代謝されてブドウ糖になるため、肝不全では乳酸アシドーシスになりやすい。
・乳酸リンゲルに含まれるのは乳酸ではなく、乳酸イオンであり、それ自体はアルカリ性。
・ショックでは嫌気性代謝が進み、乳酸アシドーシスになっている(pH↓BE↓Lactate↑HCO3↑)。
・乳酸NaはpH調節機能もあり、ショックから立ち直れば、すぐに乳酸は代謝される。
・生理食塩水にはpH調節機能がない。
・生理食塩水は大量投与で乳酸リンゲルよりアシドーシスになりやすい。
・アセテートリンゲルは肝臓と筋肉で代謝、乳酸リンゲルは肝臓だけで代謝。
・アシドーシス時の大量投与はアセテートリンゲルが最も良い。
<蕁麻疹>
☆基本はⅠ型アレルギーだが、青魚が古くなってヒスタミン様物質によるアナフィラシー様反応もある(青魚アレルギーではない)。
☆呼吸困難がないか必ず確認すること。
☆呼吸困難やバイタルの変化(血圧低下や洞性頻脈)があれば、外液を全開投与し、ボスミン0.3mg/0.3mlを大腿外側に筋注する。皮下注は間に合わないので禁忌。ヒスタミンにより血管透過性が亢進するため外液投与は必ず必要。
☆なければ、生食100mlにポララミン5mg、ソルメルコート40㎎、ネオファーゲン20mlを混注して30分で投与し、軽快すればポララミン2mg2錠分2を処方し帰宅。ステロイドは即効性なく、2峰性反応の予防に投与する。
☆37℃台の発熱と同時の発疹なら風疹かも(融合のない発赤伴う小丘疹、舌裏の出血斑、後頸部リンパ節腫大ないか見る)。
cf)風疹ワクチンについて
・風疹単独ワクチンがあるが、麻疹予防も考えればMRワクチン接種推奨。
・MRワクチンは小児も成人も接種量は同じ。
・MRワクチン接種歴がなければ4週間の間隔で2回推奨(Primary vaccine failureを防ぐため)。接種歴あれば1回でも可。
・抗体価を測定して低ければ接種が理想だが、検査に時間と費用がかかるので心配なら、直接MRワクチン接種が良い。
<動悸>
☆多くはPSVTかAf tachycardia(rapid Af)。どちらもワソラン5mg/2mL 1Aを生食50mlに溶いて15分で投与。もしくはモニター波形を見ながら、ワソラン1Aを生食に溶いて20mlにしたものを5分かけて投与する。
☆心電図の読み方
・wideQRS,RR間隔不整,P波なし⇒心室内変行伝導を伴ったAf tachycardia(rapid Af)。
・wideQRS,RR間隔一定,P波なし⇒心室内変行伝導を伴ったPSVTか脈ありVTかrapid Af
・narrowQRS,RR間隔不整,P波なし⇒rapid Af
・narrowQRS,RR間隔一定,P波なし⇒PSVT(QRS直後に逆行性P波あればPVNRT)
・narrowQRS,RR間隔不整,P波あり⇒PAC多発
・narrowQRS,RR間隔一定,P波あり⇒洞性頻脈
☆PSVTは心室内変行伝導を伴うとVT様に見えることあるので、アデホス投与で診断的治療。
☆Afにアデホスは無効。アデホスは副伝導路を抑制するので、心房内のmicro re-entryが原因であるAfには無効である。
☆PSVTには、除細動とアンビューバッグを準備して、ラクテック点滴、冷蔵庫のアデホスLコーワ1A2mlを半減期が10秒なので、点滴ラインから急速静注し生食50mlで押し込む。妊婦にもOK。
☆Afには、
①ワソラン(Ca拮抗薬、ベラパミル)1Aを生食50mlに溶いて15分で静注(生食10mlに溶いて1/4Aずつi.v.も可)
②シベノール(Ⅰa群)1Aを生食50mlに溶いて5分で静注
③ジゴシン1Aを生食50mlに溶いて30分で静注(正常時の波形を確認しδ波がないことを確認すること)
④電気的除細動50J>100J(意識あるのでドロミカム1Aを生食で溶いて10mlにしたものを2mlずつi.v./プロポフォール200㎎20mlを5mlずつi.v.)
☆脈ありVTは、心エコーや採血にてACSやHOCMないかチェック。基本は循環器call。
①シンビット50㎎1Vを生食20mlに溶いて5mlを5分かけて、その後5ml/hr。
②ミダゾラム10㎎2ml 1A(ドロミカム)を生食5ml 2Aに溶いて2mlずつ投与し、鎮静してからDC150J-200J。ドロミカムによる血圧低下に対してはノルアドレナリン1Aを生食20mlに溶いて3ml/hrから投与。
☆DCには1相性と2相性がある。必ず確認を。2相性は200J程度までしか目盛がない。
cf)CHADS2スコア(チャズツースコア)
・Afでの抗凝固療法開始基準
C(CHF):鬱血性心不全あれば1点
H(HTN):高血圧あれば1点
A(Age):75歳以上なら1点
D(DM):糖尿病あれば1点
S(Stroke):脳卒中やTIAの既往があれば2点
・2点以上で抗凝固療法開始
・ワーファリン→ⅡⅦⅨⅩ阻害
ダビガトラン(プラザキサ)→Ⅱ阻害(トロンビン阻害)
cf)頻脈性不整脈の鑑別
・洞頻脈⇒P波は明瞭、220-年齢/分、徐々に始まり徐々に終わる、心不全/脳出血/Basedow/貧血/脱水
・PSVT⇒RR規則的、P波は不明なことが「多い」、180/分前後、突然始まり突然終わる、narrowQRS(脚ブロックや心室内変向伝導伴えばwideQRSになる)
・Af⇒RR不規則、P波はなくf波、250/分を超えると死亡例も
・VT⇒RR規則的、140-220/分、RBBB+左軸偏位型やLBBB+右軸偏位型では特発性の可能性(どこにfocusがあるかがわかるのでVTを見ればこれを確認すること)
<徐脈>
☆SSSは多くは加齢によるもの。その他、血管迷走神経反射、甲状腺機能低下、ジキタリス、βブロッカー、Caブロッカーなど。
☆SSSは症状なければ放置し、原因検索(アーチスト服用してないか等)をする。
☆AVBは症状なくても、次の瞬間CPAになることがある。ACSやHOCMがないか心電図、心エコーと採血。速やかに循環器callし、緊急ペーシング。
☆徐脈(特にAVB)の治療は、
①アトロピン1Aの急速i.v.(嘔気嘔吐予防にプリンペラン1Aもi.v.しておく)
②プロタノール(イソプロテレノール)0.2mg1mL1Aを生食50mlに溶いて5ml/hrで開始。
③カテによる緊急ペーシング
cf)CPAのPEAとVfの違い
・PEAは脚ブロックを伴ったQRS波が徐脈になっているか、全く正常なQRSで徐脈。
・心室細動はランダムな波形が続く。基本は頻脈になっている。
<蜂窩織炎>
★下肢では足背動脈の拍動を必ず確認する。
☆ヒールによる拇趾の痛みは蜂窩織炎の可能性あり。基本は冷却し下肢拳上、化膿してきたら切開排膿し、L-ケフレックス(第1世代セフェムの徐放剤)1g2錠分2処方。
☆重症例では血液検査、毎日外来でセファメジン(CEZ)2gバッグを30分かけて点滴し、半減期が1時間で半日しか効かないためオラセフ(第2世代セフェム)250㎎3錠分3経口(4錠分4ではない)も処方。
☆重症例ではDVTやPAD(PeripheralArterialDisease)を鑑別するため血管エコーをする。
☆小児の場合はオラスポアDS(ドライシロップ)30mg/kg/dayを分3、カロナール1錠5回分。
☆動物咬傷の場合はユナシン1.5gを生食50mlに溶いて30分で投与し、オーグメンチン250㎎3錠分3経口(4錠分4ではない)を処方(幼児や学童の場合は2錠分4と整腸剤)。
<裂創/切創>
☆創傷処置
①麻酔してから水道水で洗浄
②テープで寄せてワセリン塗布する。もしくは縫合
③縫合
・1%キシロカイン(極量0.7ml/kg)を創内に麻酔
・陰圧にして静注になっていないか確認
・4-0ナイロン等でマットレス縫合か単縫合
・顔面などは6-0ナイロン
・創部が濡れないようにそのままにして2日後受診を指示
・1週間後に抜糸(関節など緊張かかる部位は10日)
・抗生剤はオーグメンチン250mg4錠分4を5日分など
・痛み強いならカロナールを処方
・口腔内など粘膜面は4-0polysorbで縫わないとちくちくするので注意
☆指の切創は局所麻酔ではなく指の根本を伝達麻酔しないと痛い。指の根元の片側にブルー針で深く刺して2ml、針を浅くして2mlもう一方にも同様。
☆小児の指の切創はステーリー固定でもOK。
☆頭の創はステープラー固定でもOK。
☆顎の裂創はテープで寄せてデュオアクティブで固定してもOK。
☆深い場合は、麻酔の前にまず神経損傷ないかチェック。
☆創が大きく深い時は、深いところまで清潔手袋で指を入れて生食で洗浄し、皮膚が残っていない場合も寄せて閉鎖する(デブリしてマットレス必須、ペンローズ/サランラップ/ナイロン糸(シルク等の縒り糸はだめ)も留置する→皮膚に1針縫い付けると良い)。
☆動物咬傷など汚染創なら麻酔後、歯ブラシでデブリ、open woundのまま破傷風トキソイド(ハトキ)を受傷時/1M後/1年後に筋注(中学生までならDPTワクチンをしているなら必須ではない)。抗生剤はオーグメンチン250mg4錠分4を5日分処方し、毎日外来で洗浄する。
☆挫滅創は、待合でキシロカインゼリーを塗布してサランラップして麻酔してから、十分に洗浄して薄くワセリンを塗布しカルトスタットを充填し、包帯固定。2日後受診を指示。
☆静脈瘤による出血は鎮子固定もしておく。必要なら縫合も。
<爪の外傷>
☆爪がはがれそうなときは包帯固定しておいて新しい爪が生えるのを待つ。
☆深爪は指の根元を伝達麻酔し、先の丸い鋏で爪が食い込んでいる部分を奥まで一直線に切り、根元から引き抜く。よく洗浄し、ワセリンを塗布し抗生剤を処方する。
<動物咬傷>
☆とにかくよく洗浄する。膿むことが多いので言っておくこと。
☆創は閉じずにコメガーゼやドレナージ糸を留置する。翌日も洗浄のため外来受診を指示。
☆過去10年間に国内で野良犬に咬まれて狂犬病を発症した例はない。狂犬病が心配なら保健所に行ってもらうこと(10年で2,3例発症したがそれは海外で感染し帰国後発症した人)。
☆動物の口腔内常在細菌による感染症にオーグメンチン250mg4錠分4を7日間。
☆小児の咬傷はクラバモックス(AMPC/CVA)100mg/kg/day分2、なければオーグメンチンを細粉にしてもらう(30mg/kg/day)と整腸剤(ビオフェルミンR)を投与(体重30㎏以上なら成人量でもOK)。
<指趾切断>
☆断端形成の方法(神経吻合や切断指趾の吻合は形成外科や整形外科consult)
①指の根本で腹側、背側の4本の神経をoberest block(キシロカイン2A)
②指の根元の左右の両端をそれぞれ深くと浅くで計4回麻酔する
③以下はポピヨンヨードで消毒後、穴あき覆い布で覆って清潔操作で行う
④ネラトンとペアンで根本で阻血してから行う
⑤骨先端があたるときは、リュエル、エレバラスパで削ってから、創を閉鎖する
⑥基節骨が解放骨折している時は、基節骨をDIPで切離して、さらに中節骨の皮質骨を剥離し、海綿骨を露出させて末梢の血流を保つ
⑦神経を同定して、断端を根元まで追って、結紮する
⑧ゲンタシン軟膏、ガーゼ、包帯で固定し終了
⑨オーグメンチンを処方し2日後の外科RTCを指示
<多発外傷>
☆高エネルギー外傷はFASTをして、異常なければ胸腹部造影CTを行う。
☆腹部はエコー、他はレントゲン(顔面はウォーターズ、膝はスカイラインで撮影)。
☆椎骨圧迫骨折はそのままにしておくと圧迫されて神経症状が出てくるので見逃さないこと(上下の椎体と比べて前や後ろに凹んでいる)。
☆仙骨骨折はそのまま安静にしておくしかない。
☆骨盤骨折があれば、骨盤内造影CTを行う。
☆受傷時、意識障害があったのか、記憶障害だけなのか。GCS,JCMはcore consciousness、高次神経機能はextended consciousnessでありGCS,JCSは正常。
<熱中症>
☆腋窩乾燥、CRT2秒以上、IVCがAoよりも小さい(最短径10mm以下)なら補液を。
☆熱痙攣(水だけ飲んで低Na)⇒熱疲労(脱水メイン)⇒熱射病(40℃以上の高体温/意識障害あり)
☆汗があるときは腋窩温は低めに出るので、口腔温か直腸温を測定する。
☆合併症は横紋筋融解症(尿がコーラ色+CPKが10000超え)、高K、低Ca、高乳酸。
☆治療は外液投与、ぬるま湯の吹きかけとうちわであおぐ、合併症の治療。
☆若年者が野外で運動中に汗を大量にかいて汗が出なくなって熱中症になったものと、老人と小児が暑い部屋や車内にいて高体温になったもの(古典的熱中症)の2パターンがある。古典的熱中症では外液投与はあまり必要でないこともある(冷却メイン)。
☆尿比重を急性腎不全の関係。比重1.010→Uosm350→腎性、比重1.020→Uosm700→腎前性、比重1.030→Uosm1050→腎前性。FENaを計算すれば良いが。
☆脱水の喪失量の目安⇒症状なしなら2L(軽症、体重5%減)、粘膜乾燥なら4L、turgor低下なら6L(中等症、体重10%減)、ショック/意識障害なら6L以上(重症、体重15%減)。維持量(水1ml/kg/hr,Na5g=85mEq,K5g=65mEq,Glu200g)に加えて喪失量を2,3日で補う。
<しびれ>
☆ビリビリしびれるような「異常知覚」、薄皮1枚かぶったような「知覚低下」、力が入らない「運動麻痺」の3つに分ける。
☆脳卒中、椎間板ヘルニアなどが多い。脳卒中では運動麻痺のみ来ることが多い。椎間板ヘルニアは感覚も運動も少しずつ障害される。
☆手先と足先の異常知覚以外に神経所見なければメチコバール500μg3T分3で近日中に内科受診など指示。
☆若年者の手先のしびれは腰椎椎間板ヘルニアによる脊柱管狭窄症か。
☆手先の巧緻運動障害は脊髄症。根症状は左右差あり。
☆痛み⇒痺れ⇒麻痺の順に進行する(ヘルニアが長年続いて麻痺の段階になるとLaseague徴候は陰性となる)
☆味覚障害には貧血ないか見て、なければプロマック2錠分2(亜鉛を含む胃粘膜保護)を処方。
<粉瘤>
☆キシロカインで嚢内を麻酔し(この時に陰圧で引けば排膿が確認できるはず)、尖刃で切開し排膿する(かなり痛がるが、びびらないように)。創は開放したままコメガーゼを詰めて、次の日外科外来受診を指示。抗生剤と痛み止めを忘れずに。
<異物>
☆鼻の異物は吸引したり、鑷子(せっし)で取りに行く。
☆耳の異物は無理せず耳鼻科受診を指示。骨性外耳道に入っている場合は全身麻酔下で除去することになることもある。
<気道異物>
☆どうにか呼吸できているなら喉頭鏡で喉頭展開し、マギール鉗子で摘出
☆酸素投与でSpO2が改善するが、意識レベルが悪いなら、挿管して人工呼吸器につなげてから、挿管チューブに気管支鏡を入れて落ち着いてで取り出す。
☆O2投与で胸郭が上がらず、SpO2も改善せず、すぐに摘出できそうにないなら、生食を満たした注射器で輪状甲状軟骨間靭帯を穿刺し、エアーが引けたところで、尖刃で横切開し、ペアンで広げ挿管チューブをカフが隠れるところまで挿入し気道確保する(最後の手段であり、勝手にしないこと)。
<胃瘻抜去>
☆留置期間が長い時は瘻孔が出来ているので、ガイドワイヤーを入れて再留置し、腹部CTで確認。
<鼠径ヘルニア>
☆用手還納できないなら、ヘルニア陥頓であり、緊急手術の適応。
☆壊死しかかったら痛みが消えていくので注意。
☆造影CTをとって拘扼性イレウスになっていないかチェックする。腹水は腸管壊死のサイン。
☆腸管壊死で乳酸上昇はかなり重篤のはず(乳酸は門脈から肝臓に入り代謝されるから少々の腸管壊死では上昇しない)。
<肩こり>
☆左肩痛は、中年/高血圧/喫煙歴は心電図をとってACSを否定(特に冷や汗と嘔気を伴うもの)。
☆右肩痛は、発熱と結膜黄染、呼吸数増加ないか見て急性化膿性胆管炎(AOSC)を否定。
☆なにもなければシップ処方。
<肘内障>
☆橈骨頭を内側に押しながら、回外させつつ肘を屈曲させる。万歳できたらOK。習慣になることを言っておく。
<義歯誤飲>
☆誤飲後何時間経過か、むせや咳込なかったか聞く。
☆胸腹部レントゲンで気管内にないことを確認し、腹部CTでTreiz靭帯より上にあればGIF。
<火傷>
☆軽症は水道水で洗浄し、水泡を除去し洗浄、ワセリン/ゲーベン塗布しサランラップ、ガーゼ、包帯。2日後受診指示。痛み止め、抗生剤。
<不眠>
☆非BZP系のマイスリー(ゾルピデム)5㎎2錠就寝前の頓服3日分を処方。
☆不眠の原因検索もせずに初診や時間外で28日分を処方するのは禁忌。
☆後日の内科受診を指示(精神科と言うと過剰反応する人がいるので)。
<慢性咳嗽>
☆鑑別
・咳喘息、アトピー咳嗽⇒夜間増悪
・GERD⇒夜間増悪、脂肪食後、胸焼け/胸骨後面の焼けつくような痛み、肥満
・慢性気管支炎⇒長期の喫煙歴
・百日咳、マイコプラズマ
・間質性肺炎
・慢性副鼻腔炎
・結核
・肺癌
・ACE阻害薬
<歩行障害>
☆鑑別
・脳血管障害⇒脳出血/脳梗塞)
・慢性硬膜下血腫⇒数か月前に頭部外傷のエピソード
・正常圧水頭症⇒頭頂葉の脳溝が詰まっていて他がスカスカ=DESH、EvansIndex=両側側脳室前角間最大幅/頭蓋内最大幅>0.3
・パーキンソン病⇒足が出ない/声が小さくなった/動作緩慢/歯車様固縮
・頸髄症⇒首を痛めたエピソード、膝蓋腱反射亢進
・ALS/脊柱管狭窄症⇒力が入らない
・NMJ病変(MG)⇒眼瞼下垂
・脊髄小脳変性症⇒ふらつく
・脳梗塞後⇒痙縮はゆっくりと動かせば動く、拘縮は動かない(→脳梗塞後の痙縮が拘縮になれば不可逆的、腋が開かないのは大胸筋の拘縮でボトックス注射適応)
<呂律困難>
☆この、あの、そので名前が出ないのは運動性失語。100-11は?と口頭で聞くともごもごするが、紙に100-11と書いて見せると紙に書いて答えられる(運動性失語)。
<麻痺>
☆腕や足を挙げれたらまずはMMT3/5、さらに握ったりできれば3+/5。
☆上肢Barreは1分待つこと。
☆単麻痺は肘を長時間ついていて橈骨神経麻痺などもある(脳梗塞が多いが)。
☆親指の骨格筋萎縮は正中神経麻痺、他指の骨格筋麻痺の萎縮は尺骨神経麻痺(尺側前腕の筋萎縮も見られる場合は肘での障害)。
☆単神経障害も脳梗塞直後も深部腱反射は低下する(脳梗塞発症直後は弛緩性麻痺になるため)。
☆頸椎症なら感覚と運動麻痺どちらも同程度に見られるはず(感覚だけでない純粋な運動麻痺ならまず脳梗塞)。
☆首を後屈させて痛み出ないか(Jackson test)、首を横にしていたみ出ないか(Spurling test)⇒これらが陽性なら頸椎症
☆椎体のpedicleという両端の丸い部分が消えていると骨メタかもしれない⇒肺癌/乳癌/前立腺癌精査。
☆発症1時間程度ならDWIにて明らかな梗塞巣みられないことも。
☆tPA適応が4.5時間以内なので、発症が明らかに4.5時間以上でなければ必ず脳外科コンサルトする。
☆HBOで滲出性中耳炎の可能性あり。HBO後の耳痛には注意する(あれば中止)。
<体重減少>
☆鑑別
・バセドウ病⇒頻脈、食欲低下なし、甲状腺腫大
・DM⇒口渇、多飲、多尿
・胃潰瘍
・炎症性腸疾患
・神経因性食思不振症
・薬物中毒
・アルコール中毒
<血算の異常>
☆貧血+MCV120以上+胃切⇒B12↓(悪性貧血)
☆網赤血球10万/μL以上⇒急性出血か溶血⇒胃癌などないかCEA/便潜血/GIF
☆網赤血球5万/μL以下⇒骨髄低形成かFe↓B12↓葉酸↓腎不全
☆RBCのみ↑はストレス/タバコ/脱水
☆Pltのみ↓はITPか