肝胆膵ポイント
・肝円索:臍静脈の遺残、静脈索:アランチウス静脈管の遺残
・肝機能
①蛋白合成:アルブミン、ハプトグロビン、2/7/9/10因子、フィブリノーゲン、ChE、補体、CRP、トランスフェリン(フェリチン↑で合成↓)の合成
②脂質代謝:chol、VLDL合成、LCAT
③糖代謝:グリコーゲン合成&分解、ガラクトース代謝
④尿素回路、CYP450による解毒、VitD活性化、E不活性化
・肝予備能:Alb,Bil,ICG,PT
・胆汁→胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸)、chol、直ビ、レシチン、ALP
・胆汁酸は回腸末端で95%が回収、体内に3g、1日10回腸肝循環する
・脾でRBC破壊→間ビ-Alb↑→肝で抱合受けて直ビ→胆汁中に排泄→腸内細菌が分解→UBG→腸から吸収→尿中UBG
∴閉塞性黄疸では尿中直ビ↑、血管外溶血では尿中UBG↑
・解剖学的分類:肝鎌状間膜で右葉と左葉を分ける
臨床分類:Cantlie線(下大静脈と胆嚢を結ぶ線)で右葉と左葉を分ける
右葉は前と後、左葉は肝鎌状間膜で内と外に分かれる
Couinaud分類:S1→尾状葉、門脈を中心に反時計回りにS1~S7、S8は上、S1~4は右葉、S5~S8は左葉(肺が見えてる方がS8)、中肝静脈と右肝静脈の間にS5,8がある
・門脈はCouinaud区域の中心を走行、肝静脈は区域間を走行
・S3とS4の間→左肝静脈、S4とS5の間→中肝静脈、S5とS6の間→右肝静脈
・肝臓の血流→1/4が肝動脈、3/4が門脈
・腹腔動脈(Th12)の枝→総肝動脈、左胃動脈、脾動脈
脾動脈の枝→短胃動脈、左胃大網動脈
総肝動脈の枝→固有肝動脈、右胃動脈、胃十二指腸動脈
胃十二指腸動脈の枝→右胃大網動脈、上膵十二指腸動脈
・肝小葉:グリソン鞘(小葉間結合組織)によって六角形構造に分けられる、頂点はportal triad(肝動脈、門脈、胆管、リンパ管)、中心は中心静脈
・Kupffer細胞はMφ由来(門脈経由で入った腸内細菌を貪食)、Pit細胞はNK細胞由来
・肝星細胞(伊東細胞):類洞の血流調節、肝硬変で線維産生、ビタミンA貯蔵
・肝細胞のミクロゾーム分画にあるチトクロームP450で解毒、代謝
・左右の肝管があわさって総肝管、総肝管と胆嚢管があわさって総胆管
・胆嚢→肝床部では漿膜を欠く、粘膜筋板がないのでRokitansky-Aschoff洞を作る、単層立法上皮
・胆嚢腺筋腫症:Rokitansky-Aschoff洞の増生、癌化はない、胆嚢結石はできる、エコーでcommet sign
・Oddi括約筋:迷走神経で弛緩、モルヒネで収縮∴急性膵炎の腹痛にモルヒネ禁忌
・セクレチン:膵重炭酸増加
CCK-PZ:膵酵素増加(pancreozymin=pancreas+enzyme)
ともに十二指腸壁から血中に内分泌
・膵臓→鈎部、頭部、体部、尾部、頭部に門脈、体部に脾動脈が走行
・膵頭部の血流:上部→CA由来の上膵十二指腸動脈、下部→SMA由来の下膵十二指腸動脈
膵体尾部の血流:脾動脈
・主膵管(Wirsung管)が総胆管と合流しVater乳頭部に開口、副膵管(Santorini管)は主膵管の2cm頭側に開口
・黄疸→総ビが2以上で顕性、総ビ正常は1以下
・胆道から排泄された直ビが腸内細菌でウロビリノーゲンになり再び血中へ→直ビ排泄↑(溶血性貧血)で尿中UBG+、直ビ排泄↓(閉塞性黄疸)で尿中UBG-(正常尿中UBGは±)
・胆汁うっ滞:総Chol↑、リポ蛋白X↑、血清銅↑、脂溶性ビタミン吸収↓
・体質性黄疸:AST,ALT,LDH,ALP,LAP,γGTPは正常
間ビ:Gilbert(軽症),Crigler-Najjar(重症→核黄疸)→フェノバルビタールで軽減
直ビ:Rotor(幼児),Dubin-Johnson(思春期)
・ICG,BSPが延長するのはRotorのみ、Dubin-Johnsonは黒色肝とBSP再上昇、1人名はAD、2人名はAR
・アンモニアの発生源:腸内細菌によりできた腸内ガスを門脈経由で吸収、アミノ酸のNH2基(肝で尿素になる)
・肝不全=肝性昏睡=肝性脳症:高度の黄疸、腹水、出血傾向、精神神経症状。アンモニア増加、Fisher比低下(=BCAA/AAAの低下、BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシン、AAAはチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、AAAはBBBを通過して偽性神経伝達物質になる、BCAAはAAAのBBB通過を阻害)、chol/ChE/Alb低下、PT延長。エコーで腹水を伴った肝萎縮、脳波で三相波、徐波(θ,δ)。誘引は高蛋白食、消化管出血(→NH3↑)、大量腹水除去、利尿薬(→肝血流↓)、低K/アルカローシス(利尿薬で起こしやすい、低K→細胞からK放出→H取り込み、NH4+→NH3→気体はBBB通過しやすい)、便秘(→腸内細菌↑→NH3↑)。肝性昏睡Ⅰ度は睡眠覚醒リズム逆転、Ⅱ度は見当識障害、羽ばたき振戦、指示に従う、Ⅲ度はせん妄、羽ばたき振戦、指示に従わない、Ⅳ度は昏睡。治療は劇症肝炎と同じ。
・劇症肝炎:急性肝炎による肝不全→肝炎発症8週以内、肝性昏睡2度以上、PT活性40%以下、急性型は10日以内に脳症、10日以降に発症する亜急性型の方が予後不良、AST,ALTは1000以上→AST,ALT低下にもかかわらず間ビ20以上の黄疸(∵肝細胞全て破壊で抱合できない)
・劇症肝炎の検査:AST,ALT,LDHが急上昇のあと低下、にもかかわらず黄疸増強
・AST,ALT:急性肝炎、劇症肝炎は1000、慢性肝炎は100、肝硬変は50くらい
・Child分類B:総ビ→2~3、Alb→3~3.5、腹水は治療可、意識障害軽度、栄養良好(Child-Pughでは栄養状態の代わりにPT活性40-70%)、Cでは肝切除しない
・Courvoisier徴候→膵頭部領域癌による無痛性胆嚢腫大、膵頭部領域癌=膵頭部癌、Vater乳頭部癌、下部総胆管癌
・門脈と肝動脈が合流→類洞→肝静脈→IVC
・肝前性/前類洞性門脈圧亢進:Banti、門脈塞栓、小児の門脈形成不全→肝硬変/復水なし、症状は食道静脈瘤、脾腫による汎血球減少
後類洞性門脈圧亢進:肝硬変
肝後性門脈亢進:Budd-Chiari
・肝前性/前類洞性ではWHVP正常、後類洞性、肝後性ではWHVP上昇(WHVP=類洞圧)、WHVP上昇=WHVPがIVC圧より4mmHg高い
・小児では肝前性のものが多く、海綿状血管増生(側副血行)、原因は脱水による血栓形成
・Banti(特発性門脈圧亢進症):原因は門脈域の線維化、CaputMedusae、診断は肝生検。治療は対症療法(食道静脈瘤、摘脾)、肝前性なので肝硬変や腹水なし→予後良好
Budd-Chiari:IVC閉塞、先天性は膜様閉鎖、後天性は腫瘍塞栓、APS、ベーチェット、PNH。上行性腹壁静脈怒張、ICG延長、右房下大静脈造影でSVCとIVCの離断、治療は経心房性用手的破砕術、カテーテル開通術
・Traube三角:第6肋骨、肋骨弓、前腋窩線で囲まれた場所。脾腫があるとTraube三角の胃泡鼓音が消失。正中線を越えて触知した場合も脾腫大
・LDH1,2→心臓と赤血球、LDH3→肺間質と結腸、LDH4,5→肝と骨格筋
ALP1,2→肝、ALP3→骨、ALP4→胎盤、ALP5→小腸
LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ)→胆道系、胎盤
γ-GTP→胆道系、飲酒
・腫瘍マーカー:AFP→肝細胞癌、肝芽腫、胎児性癌、奇形腫、無脳児、妊娠で↑、PIVKAⅡ→ビタミンK欠乏、肝細胞癌で↑
・肝線維化マーカー:血小板、Ⅳ型コラーゲン、ヒアルロン酸
・ICG延長(15分値10%以上)→肝硬変(40%超えると非代償性)、Budd-Chiari、Rotor
・排泄性胆道造影は閉塞性黄疸では無駄→総ビ2以上ではPTCでドレナージしてから造影
・直接的胆道造影:PTC→肝内胆管拡張時、ERCP→合併症は膵炎、穿孔、胆道感染(∴急性膵炎では禁忌)、MRCP→非侵襲的
・胆道ドレナージ:PTBD→経皮経肝(閉塞性黄疸で肝内胆管拡張あるとき)、ENBD→経鼻内視鏡(閉塞性黄疸で肝内胆管拡張ないとき)、PTGBD→経皮経肝胆嚢ドレナージ
・門脈造影:腹腔動脈造影の門脈相、経皮経肝門脈造影(PTP)
・肝生検で確定診断→慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝、Reye症候群(脂肪変性)、PBC(CNSDC)
・急性ウィルス性肝炎の症状:発熱、全身倦怠感、悪心嘔吐→症状軽快する頃に顕性黄疸、直ビ優位の黄疸(∵抱合はまだ余裕、肝細胞腫大で毛細胆管閉塞)、AST,ALTが1000以上、TTT,ZTT↑、ただし、肝性昏睡2度以上、PT活性40%以下が出てくると劇症化の可能性、治療は安静、高カロリー食、低蛋白食、脂溶性ビタミン剤など。抗ウィルス薬は適応なし!
・劇症化:B>A>妊娠末期のE>B+D(要するにC以外は劇症化あり)
慢性化(キャリア化):C>B(B型肝炎の慢性化はHBVのgenotypeAに多い、都市部のSTDとして増加傾向)
・肝炎合併症→再生不良性貧血(未知の肝炎ウィルス)、HBVキャリアでは膜性腎症、PN(HBsAb+HBsAgのIC→Ⅲ型アレルギー)、Gianotti症候群(小児のHBV水平感染で皮疹)
・B型肝炎:s抗原→e抗原→c抗体→e抗体→s抗体(s抗体+は症状出てから3ヶ月以降)。STD、針刺し、刺青、透析で成人に急性一過性、時に劇症化、しかし慢性化(キャリア化)はない、だがGenotypeAでは慢性化、肝硬変、肝細胞癌もある、日本に多いのはGenotypeC。HBVキャリア母から産道感染すると無症候性キャリア化、成人期に免疫が完成すると数%は慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、HBVウィルスが変異すると劇症化もある。合併症はMN、Gianotti症候群
・HBVキャリアからの新生児/針刺し:s抗原-なら、まずHBIg(=s抗体)、その後HBワクチン(HBVキャリア児は生後3ヶ月以内)
・C型肝炎:輸血、フィブリノーゲン製剤、凝固因子製剤、針を変えない予防接種で感染し、慢性化(キャリア化)し、肝硬変、肝細胞癌になる、HCVの現感染はHCV抗体ではできない→HCV-RNAをPCRで検出する、genotype1a1%、1b70%、2a20%、2b10%。合併症はMPGN、クリオグロブリン血症、シェーグレン、扁平苔癬
・慢性ウィルス性肝炎:6ヶ月以上持続する門脈域を中心とする持続性炎症→piece meal necrosis,bridging necrosis→線維化(F0-4)、活動性(A0-3)で分類、血小板が10万切るとF4(肝硬変)
・piece meal necrosis,bridging necrosisはウィルス性肝炎、自己免疫性肝炎の所見、しかしアルコール性肝炎では見られない
・慢性ウィルス性肝炎の治療:ウィルス除去目的→肝硬変になるとしない
HBV:インターフェロン、エンテカビル、ラミブジン(逆転写酵素阻害剤、抗HIV薬、耐性ウィルス多い)
HCV:PEGインターフェロン+リバビリンを1年続ける、瀉血(しゃけつ)が50%で有効(IFN単独ではgenotype1bでは20%しか有効でなかった)
・インターフェロンの副作用:インフルエンザ様症状、うつ、間質性肺炎(うつ、間質性肺炎出現時は中止する)
・HCVインターフェロン治療が効かない→HCV-RNA量↑(100kIU/ml以上)、HCV遺伝子1b型、線維化強い(F4)
・肝硬変:肝全体の線維化、再生結節による偽小葉、肝機能低下と門脈圧亢進と肝細胞癌、エコーで腹水,表面凸凹著明,内部不均一、血小板10万以下ではF4、神経症状出れば非代償期で肝臓は小さく硬くなる、特発性細菌性腹膜炎(肝硬変による腹膜炎は浸出性なのに腹水所見は漏出性)
・肝硬変の腹水→フロセミド+スピロノラクトン(∵低K低Hでは肝性脳症誘発)+アルブミン輸液しながら腹水除去(1Lまで100mlずつ)
・特発性細菌性腹膜炎→肝硬変非代償期の感染源不明の細菌性腹膜炎、腹水中は好中球増加だが蛋白1g/dl以下(∵肝硬変)、Alb低下で循環血漿量減少→腎前性腎不全→造影剤は禁忌
・胃静脈瘤:胃内に造影された円形陰影多数、バルーン閉塞下逆行性胃静脈瘤塞栓術(BRTO)→経皮経肝的に胃静脈にカテーテル挿入し硬化薬で塞栓、内頚静脈経由で胃静脈が腎静脈に流入している場所をバルーンで閉塞し、硬化薬が腎静脈に入らないようにする
・アルコール性肝障害:禁酒でγ-GTP↓、脂肪肝(禁酒で治る)→アルコール性肝炎(症状激烈)or肝線維症(無症状)(不可逆)→肝硬変
・アルコール性脂肪肝:ChE↑、bright liver、肝腎コントラスト↑、深部エコー減衰、病理でTG蓄積で肝細胞が空砲変性
・アルコール性肝炎:大酒飲みの酒量増加時、派手な急性肝炎症状(発熱、腹痛、悪心嘔吐、腹水、黄疸)、IgA↑、PT延長、肝生検で好中球浸潤、マロリー小体(ピンク色硝子体)、肝細胞のバルーニング、脂肪肝所見
・アルコール性肝硬変:均等な小結節(F型)、IgA↑、肝生検で脂肪肝所見+アルコール性肝炎所見+偽小葉、癌化はない
・脂肪肝:原因は酒、肥満、妊娠、DM、ステロイド、テトラサイクリン、クロロホルム、Reye症候群、Basedow。アルコールはAST優位、肥満はALT優位
・NASH:過多栄養性脂肪肝は肝炎、肝硬変、癌化ないのに活性酸素で癌化するもの、治療はVitE、瀉血、サリドマイド(TNFα抑制)(サリドマイドはMMとNASHで使う)
・肝細胞障害型:アザチオプリン(→6-MP)、エリスロマイシン、テトラサイクリン、αメチルドパ、リファンピシン、イソニアジド、ハロセン→AST,ALT,LDH上昇
胆汁うっ滞型:クロルプロマジン、プロピオチルウラシル、メチルテストステロン=蛋白同化ステロイド、サルファ剤、ピル→ALP,LAP,γ-GTP上昇
・肝細胞癌:原因はHBV、HCV、NASH、ヘモクロマトーシス、リンパ行性転移やVirchow転移は稀、門脈塞栓や肝静脈塞栓(Budd-Chiari)、被膜下肝癌は破裂して腹腔内出血によるショックおこす(造影CT→血管造影→動脈塞栓)、中心性破裂は経過観察で止血、肝硬変患者がALP↑、AFP↑(肝硬変でも↑だが400以上)、PIVKAⅡ↑(肝硬変→閉塞性黄疸→VitK吸収↓→PIVKAⅡ↑もある)なら肝細胞癌、エコー所見はモザイクを取り囲む低エコー帯、腹腔動脈造影の門脈相で門脈塞栓ないか見る→TACEできるか判断
・肝癌治療
①ChildC、ICG>30%、総ビ2以上、Alb3以下、PT60%以下、門脈本幹腫瘍塞栓は肝区域切除ダメ
②門脈閉塞あればTACE(肝動脈化学塞栓、リピオドール+抗癌剤注入)、TAEダメ、葉切除ダメ
③3cm,3個以内,単発5cm以内ならラジオ波(RFA)、マイクロ波(MCT)、アルコール局注(PEIT)OK
④肝動注化学療法はいつもOK
⑤肝予備能低下(ChildC)でopeできないが3cm,3個以内,単発5cm以内,肝外転移なし,他の治療ダメ→生体肝移植
・胆管細胞癌:肝門部胆管癌では閉塞性黄疸、その他は肝硬変合併なく、症状もない、CEA,CA19-9は上昇
・転移性肝癌:大腸癌の肝転移は高分化型腺癌なので肝切除行う、胃癌転移は低分化なのでしない、低エコー帯が厚い(bull's eye)
・肝血管腫:やわらかいので胆道系酵素↑や黄疸なし、dynamicCTで辺縁から造影されプーリングが長い、血管造影でcotton wool、症状(DICなど)があればカテーテル塞栓の後、肝切除、無症状なら経過観察
・肝嚢胞:やわらかいので胆道系酵素↑や黄疸なし、エコーで内部の無エコー、大きいものは穿刺廃液しエタノール注射
・肝膿瘍:
Entamoeba histolytica:右葉、単発性、腸管症状あるのは半分、血清アメーバ抗体、膿瘍穿刺液がアンチョビペースト状、治療はメトロニダゾールで治る、アメーバ赤痢は潜伏1Mで軽症、赤痢菌は潜伏1週で重症
大腸菌/クレブシエラ/嫌気性桿菌/腸球菌:多発性、胆管炎から続発し予後不良、治療はPTCドレナージで減圧+抗菌薬
・肝包虫症:エキノコッカス、北海道居住歴、卵殻状石灰化、治療は肝切除
・自己免疫性肝炎(AIH):成人女性、HLA-DR4+、LE細胞+SLE症状ならルポイド肝炎、抗核抗体、抗平滑筋抗体、肝硬変に進行、治療はステロイド、免疫抑制剤、AIHAを合併して間ビ↑のことあり
・PBC:中年女性、細胆管上皮への自己免疫(毛細胆管には上皮なし)→上流閉塞なので肝内胆管拡張なし、CNSDC、抗ミトコンドリア抗体、25%でAIHの抗核抗体が+、胆汁うっ滞→血清Cu↑、黄疸に先行するかゆみ、黄色腫、骨粗鬆症(∵VitD吸収↓)、橋本病やSjogrenの合併、治療はウルソデオキシコール酸(ステロイド禁忌)、痒みに抗ヒスタミン薬、脂溶性ビタミン補充
・PSC:成人男性、数珠状胆管、消長をくりかえす閉塞性黄疸、UC合併、自己抗体は陰性、治療は胆道ドレナージ、ステント留置、肝移植
・PBC,PSCは肝炎を経ないで肝硬変になるが肝細胞癌にはならない
・胆石
①コ石は高脂血症(DM,IVH,妊娠,ソマトスタチノーマ)が原因で胆嚢内→脂肪食で誘発される右季肋部の疝痛発作、胆嚢炎(壁が肥厚)あれば収縮能↓で痛みないことも
②ビ石は胆道感染が原因で胆道内→持続的な右季肋部痛と閉塞性黄疸、胆汁酸製剤は無効!
③黒色石は溶血(人工弁、肝硬変)が原因で胆道内
コ石は5F(fatty,female,forty,fertile多産,fair白人)、コ石が胆道内に出て行く場合やビ石が胆嚢内にできることもある、純コ石は割面が放射状、混成石は中は放射状,外は層状でrim sign、混合石は放射,層状が混合でベンツ徴候、ビ石は層状、エコーはacoustic shadow
・Murphy徴候:右季肋部を押さえて吸気すると痛みで途中で止まる
Mirizzi徴候:胆嚢内胆石なのに、石が胆嚢管に嵌頓して総胆管を圧迫し閉塞性黄疸を起こしたもの
・胆石治療
胆嚢内胆石:コ石が多いので胆汁酸製剤(石灰化なし、15mm以下、胆嚢収縮正常∵胆汁酸が中に入らないと困る)、ESWL(3cm4個以内、胆嚢収縮正常∵粉々にした後排出できないと困る、炎症なし)、腹腔鏡下胆嚢摘出術(胆嚢癌の原因なのでsilent stoneでも胆摘、炎症があってもする)
胆道内胆石:まず胆道ドレナージ、ESWL(炎症なし)、内視鏡下乳頭切開(術後は上行性感染起こしやすい)、内視鏡下乳頭バルーン拡張、腹腔鏡下胆管切開
肝内胆石:経皮経肝胆石除去、肝切除
・胆道炎:急性閉塞性化膿性胆管炎AOSC、到命率高い、Charcot3徴→悪寒戦慄伴う発熱、黄疸、腹痛、Reynolds5徴→Charcot3徴+ショック、意識障害、治療は緊急ドレナージ+抗菌薬
・胆管癌:黄疸だが発熱や腹痛なし、健診で指摘、原因は膵胆管合流異常の合併、CA19-9陽性、治療はまず超音波で肝内胆管拡張を確認してPTCドレナージで減黄、その後手術(上部は肝合併切除、下部はPD=膵頭十二指腸切除)、ゲムシタビン
・Vater乳頭部癌:高齢男性、動揺性黄疸(胆道系酵素、直ビも動揺∴正常でも乳頭癌否定できない)、閉塞性膵炎、消化管出血→膵頭部領域癌では比較的早期発見
・胆嚢癌:高齢女性、原因は胆嚢内胆石、膵胆管合流異常、陶器様胆嚢、2cm以上、辺縁不整、acoustic shadowなし、CEA、CA19-9、発見時は進行し予後不良、治療は開腹し胆嚢摘出+リンパ節隔清、ゲムシタビン
・胆嚢ポリープ:胆嚢癌との鑑別が必要、10mm以上なら癌を疑って胆嚢摘出、腺腫性ポリープは癌化する、コレステロールポリープは癌化なし、
・胆嚢内腫瘤:5mm以下ならポリープ、1cm前後なら腺腫、2cm以上は癌
・先天性胆道閉鎖症CBA:遷延性黄疸(病的黄疸=24h以内ではない)、胎便は正常、生後2M以内に葛西手術(肝門部胆管空腸吻合術)をしないと死ぬ、肝内胆管閉塞では葛西手術無効
・先天性胆道拡張症CBD:発症は2才~50才の女性、膵胆管合流異常が基礎、triasは腹痛、黄疸、腹部腫瘤、治療は総胆管や胆嚢が癌化するので拡張胆管胆嚢切除
・急性膵炎:CTで黒ければ壊死性、白ければ浮腫性
毛細血管透過性亢進でhypovolmic shock、ARDS(左側胸水)、ARF、Ht↑、DIC→Cullen徴候(臍が赤い)、Grey-Turner徴候(左側腹部が赤い)
膵外分泌酵素が血管内流入で血中/尿中/胸水中アミラーゼ↑、脂肪溶解→高脂血症,アシドーシス,低Caでテタニー、麻痺性イレウス(colon cut-off,sentinel loop)、仮性膵嚢胞(2-3週後)
インスリン分泌↓でBS↑
原因は大量飲酒でVater浮腫、乳頭部結石嵌頓、腹部外傷、ERCP、ムンプス
治療は絶飲絶食、胃液吸引、PPI、ショックに輸液とステロイド、FOY(メシル酸ガベキサート)、抗菌薬静注
・慢性膵炎:原因は酒、胆道疾患、自己免疫。セクレチン試験でHCO3↓、BT-PABA試験で尿中PABA↓、耐糖能異常、ERCPで膵管数珠状拡張、単純Xpで膵に一致した石灰化、治療は禁酒、脂肪食制限、消化不良にはリパーゼ経口投与、DMにはインスリン、膵石にはESWL、アミラーゼ正常のことあり、総胆管を巻き込んでALP↑のことあり、10%は腫瘤形成で膵癌との鑑別難しい
・自己免疫性膵炎:PSCの膵管版、高齢男性、膵管胆管の狭窄と拡張→無痛性閉塞性黄疸で発症、IgG4、自己抗体+、ステロイド有効、シェーグレンの合併(リンパ球浸潤→唾液腺腫脹)
・膵癌:CA19-9↑、CEA、hypovascular、腹腔動脈浸潤あれはⅢ、遠隔転移あればⅣ、Ⅰ/Ⅱは外科手術、Ⅲ/Ⅳはゲムシタビン、TS-1、緩和ケア
膵頭部:多い(2/3)、閉塞性黄疸、Courvoisier徴候、乳頭部癌は消長する黄疸、減黄してPD
体尾部:神経を巻き込んで疼痛激しい、急に耐糖能異常、左上腹部血管雑音、体尾部脾合併切除
・膵嚢胞:上皮が増殖した真性と膵炎後の仮性、真性にはIPMTやMCNがある、症状は腹痛、腹部腫瘤、仮性は中に膵液→破裂でショック、治療は真性は癌化するので摘出、仮性は自然消失しない時は嚢胞空腸吻合術
・膵粘液性嚢胞腫瘍MCN:膵管の嚢胞状拡張、中年女性、体尾部、卵巣様間質組織、癌化するので体尾部切除、膵漿液性嚢胞腫瘍なら癌化はまれ
・膵管内乳頭粘液性腫瘍IPMT:膵管の嚢胞状拡張、高齢男性、頭部、膵管鏡でイクラ状、内視鏡でVater乳頭部開大、癌化するのでPD
・膵島腫瘍:hypervascular、尾部に多い、インスリノーマのみ良性、他は悪性
インスリノーマ:Wipple3徴(BS<50、中枢症状、ブドウ糖で劇的回復)
グルカゴノーマ:DM、壊死性遊走性皮膚炎
ガストリノーマ:MENⅠに合併、Z-E症候群(水様性下痢、多発性難治性潰瘍、BAO↑、BAO/MAO>0.6、セクレチン試験でガストリン↑)、治療は摘出できなければH2ブロッカー、PPI、ソマトスタチンアナログ
ソマトスタチノーマ:インスリン↓→DM、CCK-PZ↓→脂肪性下痢/胆石、ガストリン↓→胃酸↓
VIPoma:WDHA症候群(水様性下痢、低K、無酸症)
・CA19-9:胆嚢癌、胆管癌、膵癌、大腸癌、成熟嚢胞奇形腫、卵巣粘液性嚢胞腺癌で↑、胆嚢癌、胆管癌、膵癌にはゲムシタビン
・ESWL:胆石、膵石、尿路結石(炎症ある時、妊娠時は禁忌)
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