循環器ポイント
・右が前:RVがLVより前、右冠尖が前、T弁がM弁より前、P弁がA弁より前
・胸管:長鎖脂肪酸/CM→腹腔内乳び槽→大動脈裂孔→後縦隔→左静脈角
・胸水、心嚢液→奇静脈→SVC
・心尖拍動:第5肋間鎖骨中線上(乳頭内下)
・LADは前室間溝、RCAは後室間溝を走行、冠状溝は心室と心房の境界
・冠状静脈洞:IVCに開口、近くにAVN
・冠動脈の出ていない弁を無冠尖
・LMT(5)がLAD(6)とCX(11)に分かれる(5+6=11)
・内頚静脈→外頚静脈の外側、胸鎖乳突筋の内側
・駆出率:心不全では1回拍出量が低下するより先に駆出率(EF)が低下、EF正常値は65±10%
・EF↓、BNP↑は慢性心不全の早期診断に有効(無症状の段階で見られる)
・Forrester分類→急性心不全の治療方針
1群:CI>2.2、PAWP<18→正常
2群:CI>2.2、PAWP>18→血管拡張薬、利尿薬
3群:CI<2.2、PAWP<18→カテコラミン、輸液
4群:CI<2.2、PAWP>18→カテコラミン、血管拡張薬、利尿薬、IABP、LVAD、PCPS
・肺水腫では吸気時のcoarse crackleと呼気性喘鳴(吸気時に肺胞が広がると肺胞内に水が流れ込むため)
・Kussmaul徴候:吸気時にかえって頸静脈怒張が増強
・奇脈:吸気時に10mmHg以上血圧が低下
→Kussmaul,奇脈ともに収縮性心膜炎、心タンポナーデ、重症喘息
・ばち指→チアノーゼ性心疾患(TOF,Eisenmenger)、慢性肺疾患(肺気腫、肺膿瘍、気管支拡張症)、肺癌、肝硬変、クローン病、UC、細菌性心内膜炎
・脈拍測定:橈骨動脈を3指で触診し、10秒測定→6倍
・脈
絶対性不整脈:af
大脈速脈:AR,PDA(拡張期に血流が逃げるので脈圧↑、Valsalva動脈瘤破裂も同じ)
小脈遅脈:AS
二峰性脈:HOCM
・Ⅲ音とMSのrumbleはベル型で聴取、どちらも左側臥位でよく聴取される(膜型は低音を遮断するため)
・心音(エルメスのハットは高い→AR,MS,HTで↑)
Ⅰ音増加:MS,Volume↑
Ⅰ音低下:MR,Volume↓
Ⅱ音増加:AR,PR、血圧↑
Ⅱ音低下:AS,PS、血圧↓
Ⅱ音分裂
単一Ⅱ音:TOF,Eisenmenger
固定性分裂:ASD,ECD(呼気も吸気も幅広く分裂)
奇異性分裂:LBBB、AS、WPWtypeB(Kent束がLALV間)(ⅡAが遅れる)
病的分裂:RBBB、PS、肺血流↑(ⅡPが遅れる)、WPWtypeA(Kent束がRARV間)(ⅡAが早い)
Ⅲ音:MR,DCM、心不全、健康若年(左側臥位で聴取しやすい)(拡張早期に流入血流が心室壁叩く音)
Ⅳ音:AS,HOCM、心不全(拡張後期の心房収縮で流入血流が心室壁叩く音∴Afで消失)
・OS:MS
・拡張早期過剰心音(心膜ノック音):収縮性心膜炎
・拡張中期クリック(click&murmur):MVP
・雑音最強点:2RSB→A弁、2LSB→P弁、3LSB→Erb(AR雑音)、4LSB→T弁、第5肋間鎖骨中線上→M弁
・心尖拍動:第5肋間鎖骨中線上
・逆流性雑音:汎収縮期→MR,VSD、漸減性(ぜんげんせい)→AR
・拡張期雑音:低調性(ランブル)→MS、高調性(灌水様、blowing)→AR、全ての拡張期雑音は異常
・連続性雑音→Ⅱ音にかぶさる雑音:PDA、Valsalva洞動脈瘤破裂
・AS,ARの雑音は前屈位で↑、MS,MR,Ⅲ音の雑音は左側臥位で↑
・GrahamSteel雑音:肺高血圧によるPR雑音(MS等)
AustinFlint雑音:ARによるMS雑音
CareyCoombs雑音:MRによるMS雑音
・心カテ:MSはPAWP>LVEDP、MRはv波増高(LV収縮でLA圧↑)、ASはAo-LV圧較差(50mmHg以上でope)、ARはAo造影でLVへ逆流
・AS:ASC、左室肥大(V1S+V5R>35mm)、post-stenotic dilatation→嗄声
・AR:to&fro(Ⅱ音で途切れる、AR逆流雑音+相対的AS収縮期雑音)、AustinFlint雑音、fluttering、Quincke拍動(爪床部の毛細血管拍動)、Musset徴候(高い脈圧で拍動ごとに頭が動く)
・ECG:1mm=0.04sec、PQ→5mmまで、QRS→2.5mmまで、QT→10mmまで
・K↑→T↑、K↓→T↓、K/Ca↑→QT↓、K/Ca↓→QT↑
・右軸偏位→Ⅰ,aVLが負、左軸偏位→Ⅲ,aVfが負
・RA肥大→V1P↑、LA肥大→V12相性P、RV肥大→V1 R>S、V5,6 S波深い、LV肥大→V1S+V5R>35mm
・心筋虚血:心内膜下→ST↓、全層性→ST↑
心筋壊死:心内膜下→異常Q-、全層性→異常Q+(肢誘導ではRの1/4以上、胸部誘導ではQSパターン)
・RCA:SAN、AVN、後下壁→Ⅱ,Ⅲ,aVf、純後壁→V1-3でmirror image(R増高、ST低下)
LAD:前壁中隔→V1-V4
CX:側壁→Ⅰ,aVL,V5,V6
・小児の心筋梗塞→川崎病とBWG(LMTがPAから出る)
・異型狭心症→Caブロッカー(βブロッカーは禁忌)、発作時ST↑、PTCAはしない、診断はAchやエルゴノビンで冠動脈攣縮を起こして冠動脈造影
・不安定狭心症:安静型、増悪型(胸痛↑、頻度↑、労作閾値↓)、発症1M以内
・AMIのマーカー:Mb(1hr-)→CK,トロポニンT(3hr-)→赤沈(1日-)
・AMIの急性期合併症
心破裂:突然意識消失し脈が触れない、雑音や肺水腫はなし、ECGで電気機械的解離
心タンポナーデ:エコーでfree space
VSD:突然の収縮期逆流性雑音と肺水腫、LAD(前壁中隔梗塞)
乳頭筋断裂:突然のMR雑音と肺水腫、RCA(後下壁梗塞)は後乳頭筋、LADは前乳頭筋支配
・RCA閉塞によるAVN障害は一過性、LCA閉塞による3枝ブロックはペースメーカー、RCAはSAN,AVN、LADはHis束,脚を支配
・AMIの慢性期合併症
心室瘤:1ヶ月以上の持続性、冠動脈支配に一致しないST↑
ドレスラー症候群:交叉免疫で胸膜炎、発熱
・AMIの治療:6hr以内なら再還流療法(PCI,CABG,血栓溶解後にPCI/CABG、IABPしながらでもPCIはできる)、12hr以降なら内科治療
・CABG:off-pump下、人工心肺は3-4hrが限界、心筋保護のため3-4℃下げる、高K液、適応は有意の狭窄(75%以上、LMTは50%以上)
・徐脈性不整脈
SSS→flatが長い
AVブロック 1度:PR>5mmのみ→徐脈にならない
2度:Wenckebach型:PRが次第に延長してQRS脱落
2度:Mobitz2型:PRは一定だが突然QRS脱落
3度:完全房室ブロック、PP一定、RR一定だがPRバラバラ、大砲音
脚ブロック QRS>3mm、RBBB→V1でM型QRS、V56で幅広S波、LBBB→V1でQSパターン、V56でM型R(前枝は左軸偏位、後枝は右軸偏位)
・房室解離は心室ペースメーカーがSANより早いから解離→脈拍正常
・頻脈性不整脈
上室性:QRS<2.5mm→PAC(一発)→PSVT(RR一定)→af(RR不定)、WPWで起こしやすい
心室性:QRS>2.5mm→PVC(一発)→VT(RR一定)→Vf(RR不定)、Brugada、LQTで起こしやすい
・WPW症候群:遺伝性なし、Kent束、typeAはLALV間にKent束→右室負荷、Ebstein奇形に合併、shortPQ,wideQRS,δwave
・LQT症候群:Ca↓、K↓、抗精神病薬、Ia型抗不整脈薬、Jarvell-Lange Nielsen(AR、聾+)、Romano-Ward(AD、聾-)
・Brugada症候群:遺伝性、RBBB+V1-3でST↑
・不整脈の治療
HRを下げる:Caブロッカー、βブロッカー、ジキタリス
ジキタリス禁忌:HOCM、AVブロック、WPWのaf発作→K↓、Ca↑で起きやすい
Caブロッカー適応:①血管拡張→異型狭心症、高血圧、レイノー ②AV伝導抑制→PSVT、af ③心収縮力低下→HOCM
上室性頻脈:キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド(Ⅰa)
心室性頻脈:リドカイン、メキシレチン(Ⅰb)
無脈性VT,VfにはDCshock
LQT,BrugadaにはICD
SSS,Mobits2型、3度AVブロックにはペースメーカー>アトロピン、イソプロ(β刺激)
・IE:診断に経食道心エコー(TEE)が有効、急性→黄ブ菌、慢性→緑連菌、人工弁→表皮ブ菌、尿路→腸球菌、Osler結節(指先の有痛性結節)、爪床出血斑、眼底のRoth斑、人工弁によるものは有熱期でもope
・左房粘液腫:体位で変わるMS様雑音、IL-6により発熱、WBC↑、赤沈↑、5%は家族性で若年男性
・心タンポナーデ:心嚢液貯留+拡張障害+CO低下、心膜内圧10mmHg以上、原因はウィルス、癌、SLE、尿毒症、AMI、大動脈解離、心臓手術。Beckの3徴(静脈圧↑、動脈圧↓、心拍動↓)、奇脈、Kussmaul徴候(緊張性気胸は呼吸音低下、皮下気腫)
・急性心筋炎:コクサッキーB、風邪様症状→胸痛、心不全症状、冠動脈支配に一致しないST↑
・急性心膜炎:コクサッキーB、SLE、ドレスラー症候群、癌、尿毒症、心膜摩擦音、 冠動脈支配に一致しないST↑
・慢性収縮性心膜炎:結核による心膜の石灰化、瘢痕化、奇脈、Kussmaul徴候、右心不全(にくづく肝)、蛋白漏出性胃腸症、心膜ノック音、拡張早期過剰心音、右室圧曲線でdip&plateau
・先天性心疾患で新生児期に心不全なし→ASD、TOF
・左軸偏位の先天性心疾患→ECD(肺血流↑)かTA(肺血流↓)
・新生児期にPGE1→PA、TGA、HTHL(PTHと覚える)
・新生児期にBAS→TGA1、TA、TAPVR(TTT)
・血管手術(シャント、BAS、血管置換)は新生児期に行う
・シャント
Blalock-Tauusig→鎖骨下動脈と肺動脈シャント、連続性雑音(腹部Ao→肋間A→内胸A→上腕A)
Glenn→上大静脈と肺動脈のシャント(TOF)
Fontan→上下大静脈と肺動脈のシャント(TA)
・肺動脈絞扼術→VSD、ECDで肺血流を下げてEisenmangerを予防
・チアノーゼ性先天性心疾患
①TOF:単一Ⅱ音、3LSBで収縮期駆出性雑音(弁下部なので2LSB→3LSB)、多血症、脳膿瘍
②TGA:新生児期にBAS、根治はJatene(AoとPAを入れ替える)
③TA:Fontan手術
④Ebstein:WPWを合併、T弁中隔尖がRVに落ち込む→TR→RA圧↑→逆シャントのASD(右右右)、Hardy手術(T弁挙上)
⑤HLHS:新生児期にPGE1で動脈管維持→Norwood→Fontan
・非チアノーゼ性心疾患
①ASD:右右右(右室肥大、右脚ブロック、右軸偏位)、心室中隔の奇異性運動(右室負荷でRVがよく動く→収縮期に中隔がRV側に、拡張期に中隔がLV側に動く)、奇異性左心系塞栓(時々右左シャントになるため)、心不全やIEはない
②ECD:Downに合併、ASD+VSD+MR、右右左(右室肥大、右脚ブロック、左軸偏位)、左室造影でgoose neck sign
③VSD:乳幼児期に自然閉鎖あり
④CoA:Turnerに合併、成人は管後性でrib nothcing、小児は管前性でVSD、PDA合併(cf.先天性風疹症候群もVSD、PDA合併)
⑤Valsalva洞動脈瘤破裂:2,3LSBで連続性雑音
・Eisenmenger化:左右シャントが肺高血圧にyいって右左シャントになったもの、RV圧>LV圧、Qp>Qs、右軸偏位、下壁虚血、根治手術を行うと肺に血流が入らずに脳ヘルニア
・DCM:遺伝性15%、除外診断、心エコーでBB'ステップ、壁在血栓
・HOCM:遺伝性50%、AD、サルコメア蛋白の異常→心筋の錯綜配列、Brockenbrough現象(PVCの後に休止期があると普通はCO増加、脈圧増加だが、HOCMでは脈圧低下)、ASH(非対称性心室中隔肥厚、Mモード)、SAM(収縮期M弁異常前方運動、心エコー)、A弁の収縮中期半閉鎖、心カテで心尖部-流出路圧較差、治療はβブロッカー、Caブロッカー
・HOCMの駆出性雑音が増加→収縮力↑、前後負荷↓の時:Valsalva手技、立位、カテコラミン、血管拡張薬(∵Ao圧低下でLV-Ao圧較差↑)
・たこつぼ型心筋症:ストレス、外傷→心尖部運動↓→心基部過運動、左室造影で診断、冠動脈支配を超えるST↑、T波陰転化、トロポニンT/CK↑
・大動脈解離:原因は動脈硬化かMarfan、DebakeyⅠ上+下、Ⅱ上だけ、Ⅲ下だけ
上行Aoに解離あり→StandfordA→人工血管置換、Bentall(AR+のとき)
上行Aoに解離なし→StandfordB→降圧療法(βブロッカー)
・大動脈瘤:上行→AR合併、弓部→嗄声、胸部→アダムキービックス動脈閉塞、腹部→腎動脈分岐部より末梢、腹部の拍動性雑音、外傷性は左鎖骨下動脈分岐部に多い
・大動脈瘤の治療:直径5cm以上、切迫破裂(痛い)のとき→人工血管置換術
・高血圧の90%は本態性、動脈硬化(内膜石灰化)によるものは収縮期血圧だけが↑
・悪性高血圧→①血圧が常に130以上②眼底検査キースワグナー4度(うっ血乳頭)③腎不全(悪性腎硬化症)、心不全、脳症
・起立性低血圧:立位で20mmHg以上低下、自律神経障害(DM、アミロイドーシス、パーキンソン、ShyDrager)か褐色細胞腫、Shellong試験(立位で血圧↓)、Tilting試験(ベッド傾けて血圧↓)
・大動脈炎症候群=高安病=脈なし病=異型大動脈縮窄症:肺動脈閉鎖もある、眼底の花環状吻合、出血白斑
・ASO:動脈硬化のある老人、ひじ、ひざより中枢、治療はPTA、大動脈分岐部閉鎖はLeriche症候群(両下肢閉塞、ED)
・TAO(バージャー):喫煙歴のある若年男性、ひじ、ひざより末梢、遊走性静脈炎合併、治療は腰部交感神経節切除術
・ASO,TAOの診断→足底動脈の拍動消失、API(Ankle Pressure Index)が0.9以下、動脈造影
・ASO,TAOの重症度:Fontaine分類1度 冷感、2度 蹲踞で改善しない間欠性跛行、3度 安静時疼痛、4度 潰瘍壊死
・深部静脈血栓症:左足が疼痛、発赤、熱感、浮腫、再発例はope前に弾性ストッキング、Homans徴候(足首曲げるとふくらはぎが痛い)、Lowenberg徴候(ふくらはぎ握ると痛い)
・表在静脈瘤:立ち仕事、弁不全で大腿静脈から大小伏在静脈へ逆流、Trendelenberg試験(下肢挙上で消失、立位で下肢を縛ると怒張)、治療は伏在静脈抜去、レーザー、DVTでは下肢を挙上しても消失しない
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