耳鼻科ポイント
☆耳科学
1解剖・生理
・聴覚は蝸牛神経、平衡覚は前庭神経、2つあわせて聴神経(第8脳神経)
・中耳=鼓室は乳突蜂巣、耳管を通して上咽頭につながる
・小児の耳管は水平、太い、短い→上咽頭からの感染をおこしやすい→急性中耳炎、滲出性中耳炎は小児の疾患
・耳管軟骨に付着するのは口蓋帆張筋(V3下顎神経支配)→咀嚼で収縮→耳管開口
・逆に大人の滲出性中耳炎は上咽頭癌を疑え
・鼓膜の振動は鼓室内の耳小骨(つち骨→きぬた骨→あぶみ骨)を介して前庭窓に伝わる
・大きな音→蝸牛N→オリーブ核→顔面N→あぶみ骨筋収縮→あぶみ骨を脱臼させて内耳を保護
・顔面神経麻痺ではあぶみ骨筋が収縮しない→聴覚過敏
・内耳は上から3半規官、前庭、蝸牛
・蝸牛の中は外リンパの中に内リンパが浮かぶ
・内リンパは蝸牛だけでなく、前庭や半規管にもある
・前庭窓から入った振動は外リンパを通って蝸牛窓に抜ける
・蝸牛管の外リンパの振動→内リンパのCorti器(有毛細胞)の振動→電気信号→蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→外側毛帯核→中脳下丘→内側膝状体→側頭葉の聴覚野
・外リンパはくも膜下腔と交通→髄膜炎の合併で難聴あり(細胞外液と同じ成分)
・内リンパは細胞内液と同じ。内耳の外交通してない→内リンパ水腫おこすことあり(メニエール病)
・前庭(卵形嚢、球形嚢)内には有毛細胞の上に耳石があり、頭の傾きを感知する
・耳石が剥がれ落ちると特定の頭位でめまい→良性発作性頭位めまい症(耳鳴り、難聴なし)
・卵形嚢は三半規管、球形嚢は蝸牛管に連絡
・三半規管の膨大部には有毛細胞からできたクプラがある。回転加速度の感知。
・外側(水平方向)、前(上垂直方向)、後(後垂直方向)の加速度を感知。
・内耳は椎骨-脳底動脈由来のAICA支配→椎骨脳底動脈の循環障害でめまい、耳鳴り
2症候
・耳痛とくれば、外耳炎、急性中耳炎、三叉神経痛
・滲出性中耳炎は痛くない→乳幼児で気づかず言語発達遅延の恐れ
・非回転性めまいは貧血など脳の問題
・世の中がぐるぐる回ってるように感じるのは回転性めまい
反復性で頭位が決まっている→良性発作性頭位めまい症(難聴なし)
反復性で難聴を伴う→メニエール病
めまいは1回だけでその後難聴→突発性難聴
めまいだけ→前庭神経炎
聴神経腫瘍、多発性硬化症、ワレンベルグ症候群、帯状疱疹など
・中枢性めまい(脳幹)→垂直性眼振
末梢性めまい(内耳)→水平回旋性眼振
3検査
・難聴=20dB以上でないと聞こえない
・オージオグラムは難聴の検査。自覚的なので乳幼児、嘘つき、ヒステリーにはABR
・自記オージオメーター:Ⅰ正常、伝音性難聴Ⅱ迷路性難聴ⅢⅣ後迷路性難聴Ⅴ機能性難聴
・伝音性難聴:気導と骨導の差がある(Air-BoneGap+)→外耳、中耳の病気
・感音性難聴:気導と骨導の差がない(Air-BoneGap-)→神経の病気
・感音性難聴
片側性→突発性難聴、メニエール病、流行性耳下腺炎
両側性→アミノ配糖体(ストマイ・カナマイ)、騒音性難聴、老人性難聴
・オージオグラムで↓は無限dBでも聞こえない=聾(補聴器は無効)
・内耳の障害では少しの内圧の差にも気づく=補充現象(リクルートメント現象:検査音を少しでも大きくすると異常に大きく感じる)
補充現象陽性は内耳の迷路障害→メニエール病、アミノ配糖体、騒音性難聴
・ティンパノメトリは鼓膜の動きやすさをみる
・鼓膜の外と内の圧較差がないときに最も動きやすい。正常では圧較差が0のときが最大(A型)
・耳硬化症はアブミ骨が前庭窓の固着するので鼓膜が動かない→As型
・耳小骨離断では鼓膜がやたら動く→Ad型
・滲出性中耳炎は耳管閉塞で鼓室内空気が血管に吸収されて鼓室内圧が陰圧なので鼓膜外圧をマイナスにすると動きやすくなる→B型、C1型
・B型は中耳に水がありピークなし、C1は陰圧側にピーク
・急性中耳炎は鼓室内に液体がたまり鼓室内圧は陽圧なので、鼓膜外圧がプラスで動きやすい→C2型
・ABRはクリック音で脳波の変化を見る。乳幼児、心因性難聴、詐聴、意識障害でも使える。
・ABR:Ⅰ波は蝸牛神経、Ⅱ~Ⅳ波は脳幹、Ⅴ波は聴覚野
・耳鏡ではつち骨柄が前上方にのびるのが見える→緊張部から弛緩部にのびる
・急性中耳炎は発赤、突出、穿孔
滲出性中耳炎は黄金色、内陥、水あめ調
・カロリックテストは内耳の平衡機能を見る(外耳道に水or湯を入れると眼振が正常)
4治療
・補聴器(集音器)は両側性の伝音性難聴に適応
耳硬化症、両側性外耳道閉鎖、耳小骨奇形(耳は奇形が多い)
老人性難聴は感音性難聴の要素が強いので早期に使う
・伝音性難聴は人工中耳も適応
・補聴器の無効な感音性難聴には人工内耳
・鼓膜チューブは滲出性中耳炎(鼓室内圧陰圧で血管から水が滲出するため)
・鼓室形成術は慢性化膿性中耳炎や真珠腫性中耳炎で鼓室が破壊されたとき
・耳硬化症にはアブミ骨手術
5疾患
・指と耳は奇形が多い:耳小骨奇形→補聴器、遺伝性が多い
・悪性外耳道炎:DM、老人に緑膿菌感染→頭蓋底まで壊死→脳神経症状、予後不良
・急性化膿性中耳炎
耳管が水平、太い、短い小児に多い→口腔内常在菌の肺炎球菌、インフルエンザ桿菌の上行性感染→血管透過性亢進→鼓室内滲出液貯留
拍動性耳痛、炎症なので発熱、伝音性難聴、
急性乳様突起炎→S状静脈洞血栓症、脳膿瘍
内リンパ→髄膜炎
耳鏡で鼓膜の発赤、腫張
治療は鼓膜切開(髄膜炎、脳膿瘍対策)、ABPC(アモキシシリン)、軽症例は無治療でも3日で軽快
めまいはなし
・慢性化膿性中耳炎
急性化膿性中耳炎の慢性化したもの。稀。痛みなし。
鼓膜穿孔を認めることあり
乳突蜂巣は発育不全
治療は顕微鏡下に吸引と洗浄、鼓室が破壊されていれば鼓室形成術。耳管通気は禁忌。
・滲出性中耳炎
小児期にはワルダイエル輪リンパ節が腫張しやすい→耳管閉塞→鼓室内空気が血管に吸収→鼓室内が陰圧→滲出液貯留
小児期の病気→大人の滲出性中耳炎は上咽頭癌を疑う
痛みがないので、乳幼児期に見逃すと伝音性難聴による言語発達遅延(航空性中耳炎は急性で痛みあり)
耳鏡では鼓膜陥凹
咽頭Xpで耳管周囲リンパ節腫大
治療は鼓膜チューブ、耳管通気、抗生物質、抗ヒスタミン薬
・真珠腫性中耳炎
中耳炎が慢性化→鼓膜が陥凹し、鼓室内に入り込む→真珠腫になって鼓室破壊(特に上鼓室型)
空気がないので嫌気性かん菌による悪臭のある耳漏
最初は伝音性難聴→内耳が破壊されると感音性難聴が加わる(混合性難聴)→めまい、顔面神経麻痺(味覚障害など)
治療は鼓室形成術
・耳硬化症
両側のあぶみ骨が前庭窓に固着→両側の伝音性難聴
ゆっくりと進行する
2000Hzで骨道閾値が上昇→カルハルトのノッチ(なぜか骨道、本来は気道のはず…)
治療はあぶみ骨手術
・突発性難聴
突然のめまい→片側性の高度感音性難聴
理由不明だが、ウィルス感染か。
DMで起きやすい
治療はビタミンB1,2,6,12、高圧酸素、ステロイド、亜硝酸製剤
早期治療すれば8割がよくなるが、2週間たつと回復しにくい
予後不良因子:発症2週以上、90dB以上の難聴、回転性めまい、高齢者
・先天難聴(内耳奇形)
原因は遺伝性(劣性遺伝)、妊娠12週未満の風疹/CMV初感染、妊婦へのアミノ配糖体
・老人性難聴
蝸牛神経の加齢変性→両側性の感音性難聴
老人は悪口はよく聞こえる→高音が聞き取りにくい
語音明瞭度が低下
・騒音性難聴
長期の高周波騒音→有毛細胞の不可逆変性→両側性の感音性難聴
4000Hzの聴力低下(C5-dip)から始まるので気づきにくい(会話は500~2000Hz)
迷路性なので補充現象+
職場騒音は6ヶ月に1回の定期聴力検査
・中毒性難聴
アミノ配糖体(ストマイ・カナマイ・ゲンマイ)による有毛細胞の障害
初期はめまい→高音中心の両側性の感音性難聴
迷路性なので補充現象+
・機能性難聴
学童期の女子、原因はストレス
オージオグラムは高度の感音性難聴だがABRでは正常、ティンパノグラムはA型
自記オージオメトリはJergerV型(断続音が継続音より低下)
・良性発作性頭位めまい症(BPPV)
耳石がはがれて半規管内に落ちる→頭位変換による回転性めまいだけ
治療は半規管内耳石置換術(Epley法)
・メニエール病
外部と交通していない内リンパ内にリンパ液が溜まる(内リンパ水腫)
反復する発作性回転性めまい→進行すると耳鳴り、片側性の感音性難聴(低音域中心)
迷路性なので補充現象+
・外リンパろう
いきんだ瞬間に前庭窓や蝸牛窓に穴→突然のぽんっという音→片側性の感音性難聴、めまい、耳鳴り
・前庭神経炎
先行するウィルス性上気道感染→2週間の激しい回転性めまい→一過性で治癒
難聴や顔面神経麻痺はなし
・聴神経腫瘍
前庭神経のシュワン細胞由来の良性腫瘍
ゆっくりと大きくなる→平衡障害は代償するので、初発は感音性難聴
両側性のものは神経線維腫症2型(22qのMerlin遺伝子の異常、両側性聴神経腫瘍、多発性髄膜腫、神経膠腫、神経鞘腫、若年性白内障)
腫瘍増大で三叉神経麻痺、顔面神経麻痺
・顔面神経麻痺
顔面神経は耳下腺をくぐった後、目、耳、舌、顔に枝を出す
目:膝神経節からの枝が涙腺→涙液分泌低下
耳:アブミ骨筋神経→障害で聴覚過敏
舌:鼓索神経が舌の前3分の2の味覚
顔:顔面筋→障害で閉眼障害、口角下垂、鼻唇溝浅化、額のしわがない
・RamsayHunt症候群(Ⅶ、Ⅷ)
水痘帯状疱疹ウィルスの再活性化
膝神経節炎→涙液↓、聴覚過敏、味覚↓、表情筋麻痺
内耳障害→めまい、感音性難聴
外耳の耳痛を伴う水泡性発疹
治療はアシクロビル
・Bell麻痺(Ⅶのみ)
突然発症する末梢性顔面神経麻痺
HSVの再活性化
難聴やめまいはない
治療はステロイド、ビタミンB群
半数が自然治癒
・側頭骨骨折
縦骨折は伝音性、横骨折は感音性難聴(Ⅷ)+Ⅶ
☆鼻科学
1解剖生理
・上鼻道:後部篩骨洞、蝶形骨洞が開口
中鼻道:前頭洞、前部篩骨洞、上顎洞が開口
下鼻道:鼻涙管が開口
cf)耳管は上咽頭に開口
・嗅部は鼻の上面にあり、切手1枚の大きさ
・鼻の血流は顎動脈(外頚動脈の枝)。鼻腔の上3分の1は篩骨動脈(内頚動脈の枝)支配。
2症候
・鼻音はm,n
・鼻漏
漿液性→アレルギー性鼻炎
粘液性→慢性副鼻腔炎
出血性→上顎癌
悪臭→上顎癌、鼻腔異物、進行性鼻壊疽
・いびき→睡眠時無呼吸症候群、小顎症、高齢者、肥満、アデノイド腫大、副鼻腔炎、飲酒後
3検査
・前鼻鏡では上鼻甲介、咽頭扁桃、耳管開口部、鼻茸は観察できない→後鼻鏡
・アレルギー性鼻炎→白色の下鼻甲介
・副鼻腔炎→赤色の下鼻甲介
4疾患
・鼻出血
キーゼルバッハ部位からの出血がほとんど
前は0.1%ボスミン綿球、後ろはBelloqタンポンを詰める
鼻出血の原因に高血圧を忘れるな。他に出血傾向、上顎癌、Osler病、上咽頭血管線維腫、異物
・鞍鼻→Wegener肉芽腫症、ムコ多糖蓄積症、鼻骨骨折、梅毒、ダウン症
cf)Wegener肉芽腫症→上気道、下気道、腎の障害
・アレルギー性鼻炎
IgEが介する1型アレルギー
アレルゲンは通年性はハウスダスト(ダニ)、季節性はスギ花粉
通年性は幼児発症、季節性は成人発症
くしゃみ、鼻水、鼻づまり
鼻汁中好酸球増加、前鼻鏡検査で白色の下鼻甲介
治療はH1ブロッカー、クロモグリク酸(DSCG,インタール)、ステロイド点鼻、抗ロイコトリエン薬
・急性副鼻腔炎
かぜ、急性鼻炎に続発。上顎洞の好発、次が篩骨洞
・慢性副鼻腔炎
蓄膿症。上顎洞の好発、次が篩骨洞
鼻茸、味覚障害、嗅覚障害(アデノイド、上咽頭癌、術後性上顎嚢胞では嗅覚障害-)
手術10年後に術後性上顎嚢胞→上にいくと眼球突出、下に行くと歯痛
治療は抗菌薬、洗浄、手術
・歯性上顎洞炎
上顎側第一大臼歯抜歯→瘻孔→成人の急性片側性副鼻腔炎
治療は抗菌薬、洗浄、手術
・睡眠時無呼吸症候群
肥満、アデノイド→上気道閉塞→睡眠時無呼吸→夜間の不眠→日中の眠気→交通事故
5%はShyDrager症候群による中枢型睡眠時無呼吸症候群
外来のアプノモニターでスクリーニング→入院でポリソムノグラム(呼吸停止→脳波覚醒→呼吸再開)
治療は経鼻的持続性陽圧換気、不十分なら軟口蓋形成術
・上顎癌
扁平上皮癌
上顎洞という骨に囲まれたところに発生するのでリンパ行性転移は少ない
高齢男性に多い
前下型は歯痛を起こして早期発見なので予後良好、後上型は脳に行くので予後不良
悪臭のある血性鼻漏、鼻閉、歯痛、頬部腫張、眼球突出
治療は集学的治療(放射線+手術+抗がん剤)→どれも扁平上皮癌に効く
・顔面外傷
鼻骨骨折→鼻出血、鞍鼻、鼻閉
前頭蓋底骨折→髄液鼻漏
眼窩吹き抜け骨折→下直筋がトラップされて上転障害
視神経管骨折→視力障害
上顎骨骨折→両側横断骨折はLeFort1~3に分類(複視+)
下顎骨骨折→咬合異常(複視-)
側頭骨骨折→縦骨折は伝音性、横骨折は感音性難聴
☆咽喉頭
1解剖・生理・症候
・上から舌骨、甲状軟骨、輪状軟骨
・声帯は舌骨、披裂軟骨に付着する内喉頭内筋から成る
・ワルダイエル輪=咽頭扁桃(アデノイド)、耳管扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃、リンパ小節→口腔視診で見れるのは口蓋扁桃、舌扁桃
・唾液腺=小唾液腺(上顎と下顎)+大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺→左から漿液腺、混合腺、粘液腺)
・シェーグレンでは小唾液腺を生検する。
・上咽頭は鼻腔の後ろ、中咽頭は口腔の後ろ、下咽頭は喉頭の後ろ。上咽頭の後ろは延髄。
・下咽頭は喉頭を両サイドから包み込む→梨状陥凹
・味覚は味蕾で知覚する:前は甘味、両端は塩味、中央は酸味、後ろは苦味
・味蕾は舌だけでなく軟口蓋にも分布する。
・舌の前3分の2は味覚が顔面神経の枝の鼓索神経、温痛覚が三叉神経
後3分の1の味覚も温痛覚も舌咽神経
・嚥下運動:舌が後上方に動き軟口蓋を上げ、食物を咽頭へ(口腔期・随意)→喉頭蓋閉鎖、咽頭筋収縮で食物を下咽頭へ(咽頭期・不随意)→食物は食道へ行き、喉頭蓋が開いて呼吸再開(食道期・不随意)
・軟口蓋麻痺(舌咽迷走神経支配)→ミルクを飲むと鼻から出る
・片側声帯麻痺(反回神経支配)→嗄声。健側が過剰運動をするので誤嚥は起きない。両側声帯麻痺なら窒息。
・嗄声の原因は声帯異常か一側反回神経麻痺。
声帯異常→クループ(急性声門下喉頭炎)、甲状腺機能低下症、喉頭癌、声帯ポリープ、下咽頭癌
一側反回神経麻痺→食道癌、肺癌、縦隔腫瘍、大動脈瘤、PDA、外傷、手術
・間接喉頭鏡では患者の前が上、後ろが舌
・声帯ポリープは片側声帯にできた結節、謡人結節は両側の声帯ポリープ、ポリープ様声帯は両側ポリープ全体の腫脹、急性喉頭蓋炎では腫れた喉頭蓋で声帯は見えない。
2疾患各論
・口唇裂、口蓋裂
0.1%、家族内発生は20%、多因子遺伝
口蓋裂の手術時期は早すぎると口蓋成長障害、遅すぎると言語獲得遅延→2~3才(口唇裂はいつでもよい→1~3ヶ月)
・急性扁桃炎
学童の口蓋扁桃に多い。
原因は溶連菌、アデノウィルス
扁桃陰窩に一致した黄白色の膿栓→進行すると偽膜
正中線を越えた肥大を第3度肥大
・病巣感染
慢性扁桃炎→免疫複合体→交叉抗原反応→IgA腎症、掌蹠膿胞症、心炎
扁桃マッサージでIC上昇、扁桃洗浄でIC低下
治療は扁摘
掌蹠膿胞症の膿胞からは病原菌(溶連菌、黄ブ菌)は検出されない
・アデノイド増殖症
咽頭扁桃は3~7才で生理的に肥大→耳管、後鼻腔の閉塞
耳管閉塞:急性中耳炎、滲出性中耳炎
後鼻腔閉塞:閉鼻声、いびき、SAS(睡眠時無呼吸症候群)、アデノイド顔貌
治療はアデノイド切除術
・扁桃周囲膿瘍
成人(急性扁桃炎は学童)
咽頭痛、嚥下痛、開口障害、高熱
口蓋垂の健側への偏位、頚部リンパ節腫脹→縦隔膿瘍(危険)
抗菌薬、切開排膿
・アフタ性口内炎
多発の原因→Behcet、Crohn病、SLE
・唾石症
顎下腺に好発(リン酸カルシウムだからネバネバ)
ワルトン管の閉塞で、顎下部腫脹、摂食時に唾疝痛
下顎皮膚から摘出
・ガマ腫
舌下腺の導出管の閉塞で貯留性嚢胞
・正中頚嚢胞
甲状舌管の遺残
舌骨を含めて摘出
・舌癌
扁平上皮癌
不適合義歯による慢性刺激→白板症→舌縁、舌下に発癌
転移は顎下リンパ節→頸部リンパ節
密封小線源治療(扁平上皮癌は放射線、化学療法が効く)
舌は血流、リンパ流、脂質が豊富なので転移しやすいが、表面なので早期発見できるし、舌を切除すると発語困難になるので保存的にしたい
・上咽頭癌
EBウィルス
低分化な扁平上皮癌→放射線治療
耳管閉塞で滲出性中耳炎、鼻出血、脳神経浸潤による6、9、10、11(∵後ろに脳幹)
早期より頚部リンパ節転移
病期に関わらず放射線治療(opeできない)
・高齢者の滲出性中耳炎→上咽頭癌
高齢者の抜歯でよくならな歯痛→上顎癌
・上咽頭血管線維腫
思春期、男児に好発、生検すると大出血(生検禁忌)
思春期男子の反復する鼻出血
治療はカテーテル塞栓、ホルモン療法
・下咽頭癌
酒、タバコ→食道癌合併が多い
普通は発見が遅れるので予後が悪い→頭頚部癌中で予後不良
梨状陥凹癌は早期発見(∵梨状陥凹に唾液が貯留し嗄声)
・急性喉頭蓋炎
幼児のインフルエンザ桿菌感染、成人の喫煙者
嚥下痛、高熱、吸気性喘鳴
声門閉塞による窒息もある→直ちに気道確保(輪状甲状軟骨間膜切開)
・クループ(急性声門下喉頭炎)
幼児、パラインフルエンザウィルス
嗄声、犬吠様咳嗽、吸気性呼吸困難
軽症なのでアドレナリン吸入
・嗄声を伴う声帯の病変
声帯ポリープ:有茎性、前3分の1、片側、原因は声の酷使
声帯結節(謡人結節):両側対称性の声帯ポリープ、前3分の1
ポリープ様声帯:声帯全体の浮腫、原因は声の酷使
・喉頭乳頭腫
パピローマウィルスが原因。喫煙と飲酒は無関係
喉頭癌の前癌病変
嗄声、喉頭異物感
・喉頭癌
頭頚部癌の4分の1
声門型が多い(70%)→嗄声、血痰により早期発見、残り30%は声門上部
原因は喫煙(Brinkman指数400以上で発生率上昇)
舌癌、喉頭癌は早期発見なら放射線療法(普通は外科切除)←舌や喉頭をとると発生困難になるため
喉頭全摘後は食道発声訓練(器具不必要、リハビリ必要)か人工喉頭(器具必要、リハビリ不必要)
・反回神経麻痺
食道の両脇を走る迷走神経の枝
左は大動脈弓、右は鎖骨下動脈を反回する
片側麻痺で嗄声、両側麻痺で窒息
原因:食道癌、肺癌、縦隔腫瘍、大動脈瘤、PDA、外傷、手術
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