泌尿器ポイント
・腎門部はL1、前からVAU(静脈、動脈、腎盂)
・左腎静脈には左副腎v、左精巣v、左卵巣vが入る
・(内)線維被膜→脂肪被膜→腎筋膜(Gerota筋膜)(外)
・副腎は腎筋膜の内側、横隔膜内側脚に接する
・腎皮質は中胚葉、髄質は外胚葉由来
・尿管の生理的狭窄部位:腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、膀胱尿管移行部
・尿管は大腰筋前面、総腸骨AV前面を通過
・女性では尿管は膀胱子宮靱帯を貫く
・膀胱三角部:内尿道口と2つの尿管口から成る三角、Wolff管由来、中胚葉、腫瘍結核の好発部位
・膀胱の筋層:3層(内縦、中輪、外縦)
・尿道は前立腺部→膜様部→海綿体部→舟状窩、前立腺部は移行上皮、膜様部と海綿体部は円柱上皮、舟状窩以降は扁平上皮、膜様部が最も狭い
・勃起中枢はS2-4(副交)、射精は交感支配
・精巣細胞(精細管内)→16日で精祖細胞→16日で精母細胞→16日で4個の精娘細胞→16日で4個の精子
・精粗細胞→精母細胞は体細胞分裂、以降は減数分裂
・Sertoli細胞:精細管内、精子形成補助、FSHで↑
・Leydig細胞:精細管外、テストステロン分泌、LH↑、間質細胞とも言う
・前立腺液:プロスタータ(前立腺)に含まれるグランド(分泌物)→PGを含む(血中に入らないので精液には子宮収縮作用なし)
・Y染色体上のSRY遺伝子により5週に精巣形成、アンドロゲン産生→8週に外性器の分化開始→3Mに外性器完成、精巣下降開始
・正中臍索:膀胱と臍をつなぐ管が退化したもの、尿膜管癌が発生(膀胱腺癌)
・腎疝痛→結石、急性腎盂腎炎
・精巣疝痛→精巣捻転症
・膀胱刺激症状:残尿感、排尿痛、頻尿。膀胱炎、膀胱癌、前立腺肥大
・背部叩打痛(CVA-t):尿管結石、急性腎盂腎炎(腎石灰化では痛みなし)
・膀胱炎、尿道炎は発熱なし
・急性前立腺炎は係留熱、急性腎盂腎炎は間欠熱
・尿閉の原因:前立腺肥大、神経因性膀胱、骨盤内の癌再発(子宮頚癌、直腸癌、胃癌)、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬
・尿濃縮力障害→夜間頻尿、原因は低K、高Ca、慢性腎盂腎炎、間質性腎炎
・尿失禁
①真性:尿管異所性開口(奇形、TUR後)→尿路形成
②奇異性:尿閉(前立腺肥大、神経因性膀胱)→間欠的自己導尿
③切迫性:膀胱炎、脳血管障害、パーキンソン病、OAB→抗コリン薬
④緊張性:女性、腹圧負荷→排尿訓練
・過活動性膀胱OAB(over active bladder):膀胱の不随意の収縮→切迫性尿失禁、疼痛あり、治療は抗コリン薬、Caブロッカー
・肉眼的血尿:尿1L中に1ml以上の血液(0.1%)
・顕微鏡的血尿:400倍検鏡で赤血球5個以上(沈査は1500回転/分×5分)
・無症候性血尿:腎細胞癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌(泌尿器癌)
・Thompsonの2分杯法:第1,2尿ともに混濁なら膀胱より上、他は尿道
・ED:腎不全で起こることあり!、夜間陰茎勃起試験で勃起ありなら心因性
・EDの治療:①クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)→cGMP分解抑制で血管拡張、ニトロとの併用は禁忌②PGE1海綿体注射
・陰嚢透光性あり→陰嚢水腫
・新生児の側腹部腫瘤→水腎症(腎盂尿管移行部狭窄)
・幼児の腹部腫瘤→神経芽腫、Wilms腫瘍
・尿沈査:白血球円柱→腎実質の炎症、赤血球円柱→糸球体の炎症、尿酸→4角形、シスチン結晶→6角形、シュウ酸結晶→8面体
・腎細胞癌:腎嚢胞、腎動静脈奇形との鑑別→選択的腎動脈造影
・KUB:腎、尿管、膀胱の単純Xp
・IVP:静脈性腎盂造影→ヨードアレルギー、糖尿病性腎症、MM、アミロイドーシス、脱水、腎不全では禁忌
・レノグラム:血流相(腎a狭窄で↓)→分泌相(水腎症で↓)→排泄相(結石で↓)、糸球体濾過は99mTc-DTPA、尿細管は99m-MAG/DMSAを使用
・副腎シンチ:皮質は128Iアルドステロール、髄質はMIBG
・尿流曲線(排尿速度-排尿時間)では残尿量不明(スパイロで残気量不明と同じ)
・TUR-P→前立腺肥大、TUR-Bt→膀胱腫瘍
・TUR症候群:水中毒で低Na→悪心、嘔吐、意識障害、肺水腫、治療は3%NaCl+フロセミド、予防は生理食塩水で還流する(電気メス使用時は付加)
・尿路変向:皮膚ろう、回腸導管、尿管S状結腸吻合(尿の再吸収で高Cl性アシドーシス、結腸内に結石多発)
・尿閉:ネラトンカテーテルで導尿、無理ならエコーで膀胱内尿を確認後、恥骨上部から垂直に穿刺
・馬蹄腎:尿管が峡部前方を通過→尿停留→水腎症、尿路感染、結石、Turnerに合併多い、症状あれば腎盂形成術
・海綿腎:両側の腎乳頭部に嚢胞→嚢胞内に尿停留→結石、感染。先天性だが壮年期に発見される
・Potter症候群:両側腎無発生→耳介低位、羊水過少→関節拘縮、肺形成不全、致死性
・孤立性腎嚢胞:片側性、遺伝性なし、無症状
・ARPKD:胎児期に羊水過少→肺低形成→呼吸不全。または小児期に腎不全→腹部腫瘤。門脈周囲の線維化→門脈圧亢進
・ADPKD(成人型多発性嚢胞腎):両側性に多数の嚢胞→両側腹部腫瘤、高血圧、蛋白尿、血尿。中年で発症、10年くらいでCRF。肺、肝、膵にも嚢胞、脳動脈瘤合併
・先天性水腎症:新生児期の側腹部腫瘤で最多、腎盂尿管移行部狭窄が原因、無症状、腎機能正常なら経過観察で自然治癒!
・重複腎盂尿管:Weigert-Meyerの法則
腎の上から出た尿管は膀胱の下へ→尿管瘤(cobra head)で閉塞起こしやすい
腎の下から出た尿管は膀胱の上へ→VURで逆流起こしやすい
・下大静脈後尿管(PLIVC):IVCの発生異常でIVCが尿管の前に来る→右の水尿管閉塞→水腎症、尿路感染、結石
・VUR(膀胱尿路逆流現象):尿管膀胱移行部の発生異常(小児)、前立腺肥大、神経因性膀胱、重複腎盂尿管→反復性の腎盂腎炎、水腎症、検査は排尿時膀胱造影で尿管や腎杯の拡張程度を見る、生後数ヶ月で自然治癒、治癒しないなら外科的再建
・尿管異所性開口:男は外括約筋より近位に開口し尿失禁はない、女は外括約筋より遠位に開口し尿失禁あり
・尿管瘤:尿停滞→尿管拡張→水腎症、結石、腎不全
・尿管狭窄:尿管腎盂移行部に多い
・膀胱瘤:高齢女性、立位で膣口から膣前壁に覆われた球形腫瘤が突出、腹圧性尿失禁、二段排尿、排尿痛はなし
・POP(pelvic organ prolapse):骨盤臓器脱、子宮脱、膀胱脱、直腸脱の総称、進行性、再発性、手術かペッサリー
・尿道裂
下裂:女は膣に開口、男は陰茎前彎で勃起障害
上裂:膀胱外反を伴う、男児に多い
・後部尿道弁:前立腺部に弁→微弱、滴下するような尿線→両側水腎症
・腎盂腎炎の原因→①VUR+尿路感染②血行性
・STDは尿道炎→前立腺炎→精巣上体炎
・尿路感染:成人は女に多い(∵尿道が短い)、老人は男に多い(∵前立腺肥大)、乳児は性差なし、尿培養は中間尿で10の5乗/ml以上、基礎疾患のない単純性と基礎疾患のある複雑性、ともに起炎菌は大腸菌
・クラミジア尿道炎:2週間前に性交渉、治療はテトラサイクリン、エリスロマイシン(マクロライド系)、NQ。細胞内寄生→好中球集まらず→非化膿性分泌物のみ、排尿痛なし、発熱なし。産道感染で新生児結膜炎、新生児肺炎、女性は卵管炎、骨盤炎、腹膜炎、Fitz-Hugh-Curtis(AST↑,ALT↑)
・淋菌性尿道炎:3日前に性交渉、G-桿菌、膿汁漏出、排尿痛あり、発熱なし、慢性化すると尿道狭窄起こす
・急性膀胱炎:性的活動期の女性、膀胱刺激症状(頻尿、排尿痛、残尿感、血尿)、発熱なし、治療は水分摂取と尿排泄性抗菌薬
・間質性膀胱炎:自己免疫、膀胱刺激症状、過活動性膀胱
・出血性膀胱炎:アデノ11、シクロホスファミド、放射線(頚癌の内照射etc)
・急性腎盂腎炎:発熱、CVAt+、造影CTで楔形の低吸収域
幼児(女児)→VUR、移行部狭窄
青壮年期男→尿路結石
老年期男→前立腺肥大、神経因性膀胱
・慢性腎盂腎炎:発熱なし、腎萎縮、高血圧、尿濃縮力障害、尿細菌培養陰性のことあり
・急性前立腺炎:悪寒戦慄を伴う発熱、会陰部不快感、排尿痛、頻尿、尿混濁、治療は脂溶性抗菌薬(テトラサイクリン、アミノ配糖体、NQ)、前立腺マッサージは禁忌
・慢性前立腺炎:発熱なし、排尿痛、排尿困難、頻尿、Xpで前立腺の石灰化、プロスタトディニア(圧痛のみで炎症-、細菌-)
・精巣上体炎(副睾丸炎):これだけ淋菌(急性)、結核(慢性)、ベーチェット(他は全て大腸菌)、発熱、疼痛、陰嚢腫脹、硬結(ムンプスは精細管炎)
・尿路結核:肺結核から血行性、大部分は自然治癒、米のとぎ汁様無菌性膿尿、膀胱鏡で結核結節、結核性潰瘍、Xpで漆喰腎(石灰化)、尿路狭窄から膀胱萎縮へと進行
・尿路結石:側腹部痛と血尿とくれば石!CVAt+
95%は上部(腎、尿管)、夏、30代男性、30%は再発性、15%は両側性
分類:
80%はシュウ酸Ca結石、リン酸Ca結石
10%はMAP結石(リン酸Mgアンモニア結石)→尿路感染が原因
5%は尿酸結石、1%はシスチン結石→Xp陰性結石、CTには写る
原因:
70%は特発性(高Ca尿症伴うことが多い)
30%は続発性(原発性副甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒、紅茶/日本茶/ほうれん草/柑橘類はシュウ酸が多い、RTA、アセタゾラミド(緑内障治療薬)、シスチン尿症、高尿酸血症、プロテウスやクレブシエラ等の尿路感染(→MAP結石→腎盂にサンゴ状結石))
誘因:神経因性膀胱、腎盂尿管移行部狭窄、尿道カテーテル、長期臥床
予防:重曹で尿のアルカリ化(ただしMAP結石はアルカリ化禁忌)
治療:10mm以下はwash out、ブスコパン、NSAID。内視鏡的経尿道尿管破石術TUL、水腎症には尿管ステント、ESWL(炎症+、妊婦は禁忌、結石嵌頓挫に注意)。Ca結石はサイアザイド、尿酸結石にはアロプリノール、シスチン結石にはDペニシラミン
・膀胱結石:痛みなし、ESWL、内視鏡的膀胱破砕術、EDTAで溶かす、神経因性膀胱、前立腺肥大、尿道留置カテーテルによる
・腫瘍マーカー
前立腺癌→PSA(スクリーニングに使う、唯一早期診断可能)、γ-Sm
卵黄嚢腫瘍、胎児性癌、奇形癌→AFP
絨毛癌→hCG
・腎細胞癌:腺癌、50代男、古典3徴(無症候性血尿、側腹部腫瘤、腎部疼痛)、随伴症状(発熱、倦怠感、多血症(EPO↑)、高Ca(PYHrP↑))、合併症は腫瘍塞栓による左精索静脈瘤、腺癌なので放、化は効かない、肺転移があっても根治手術する!、転移例にもIFN有効
・腎芽腫(Wilms腫瘍):乳児期の腹部腫瘤、アクチノマイシンDが著効、合併症としてWAGR(無虹彩、尿路奇形、精神遅滞)、Beckwith-Widermann(臍帯ヘルニア、巨舌、巨体)
・腎盂尿管腫瘍:移行上皮癌、多発再発性、無症候性血尿、側腹部鈍痛、片側水腎症、再発防止のため腎も含めて尿管摘出
・膀胱腫瘍:移行上皮癌、しかし頂部は尿膜管由来で腺癌、原因はタバコ、染料(ナフチルアミン、ベンチジン、4-アミノジフェニル、オーラミン、マゼンダ)、膀胱三角部に多い、無症候性血尿、再発性膀胱炎、排尿障害、水腎症、リンパ行性肺転移、診断は尿細胞診、膀胱鏡、浸潤度判定にMRI、治療は表在癌にはTUR-Bt,BCG!,抗癌剤注入、浸潤癌には膀胱、前立腺、精嚢全摘と尿路変向
・前立腺肥大:内腺の肥大→尿道圧迫強い、弾性硬、表面平滑、経直腸的エコーで癌と鑑別、尿流測定で残尿程度を知る、国際前立腺症状スコア(8-19が中等症)
病期1期:夜間頻尿→αブロッカー
病期2期:残尿→αブロッカーかTUR-P
病期3期:尿閉、奇異性尿失禁→TUR-P
・前立腺癌:外腺由来、骨転移→骨形成性、石様硬、凹凸不整、経直腸的針生検で確診
ステージA:前立腺肥大のTUR-Pで癌が偶然全部とれた→経過観察
ステージB:前立腺内に限局→全摘か密封小線源
ステージC:被膜外に進展→密封小線源
ステージD:転移例→抗アンドロゲン療法(LHRHアナログ、エストラムチン-フォスフェイト療法=E+抗癌剤)
・精巣腫瘍:無痛性陰嚢腫大、発赤や透光性なし、生検禁忌→とりあえず高位精巣摘除術、90%が胚細胞由来、卵黄嚢腫瘍は0~10才、セミノーマは20~40才、悪性リンパ腫は50才~
セミノーマ:最多、放射線感受性大、治療は高位摘+シスプラチン+放
胎児性癌、卵黄嚢腫瘍、奇形腫:AFP↑、治療は高位摘+シスプラチン
絨毛癌:hCG、初期から血行性転移で予後不良、治療は高位摘+シスプラチン
悪性リンパ腫:治療はCHOP療法?
・神経因性膀胱:排尿困難→肉柱形成、結石、VUR、水腎症。排尿中枢はS2-4、排尿中枢より下の障害→残尿→奇異性尿失禁、尿意は知覚神経障害ならなし、治療は間欠的自己導尿(1日5,6回)
・精索静脈瘤:90%が左、腎細胞癌による腫瘍塞栓が原因、両側性では不妊
・精索捻転症:幼少、思春期、6h以内にope、Prehn徴候(精巣を手で持ち上げると疼痛↑)、精巣上体炎はPrehn徴候なし(持ち上げると疼痛↓)、対側睾丸も予防的に精巣固定術を行う
・精巣外傷:白膜の縫合か対側精巣への自己免疫予防のため精巣摘出術
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